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ガルシェバルVS葦火守(あしかもり)
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紅蓮の支配圏《熾烈の王座》――永遠に燃え盛る炎の宮殿。
空気は熱を孕み、灰が舞い、世界は深紅と黒鉄に塗り潰されている。
玉座に座すのは、熾烈王ガルシェバル=ヴォル=カデス。
身長二八二センチの巨躯は燃えた白金のように輝き、背には燃え尽きかけた翼が二対、灰を散らしながら揺らめく。琥珀に血を溶かした瞳が、静かに来訪者を測っていた。
対峙するのは、白の軍団・銀警官連合の終極戦将――葦火守。
短く刈り込まれた白髪、鍛え抜かれた肉体は鋼のように無駄がない。胸甲に刻まれた紋章――握り拳と翼、そして炎環――が、白光と紅炎を宿す双眼とともに、揺るぎない決意を語っていた。
二人は、互いの領域の狭間で向き合う。
ガルシェバルは、葦火守の内にある激情と理性の均衡を「愛の欠如」と断じ、支配を試みる。
葦火守は、この破滅的な愛の体現者を「秩序を乱す混沌」と見なし、裁くために王座へ歩み出た。
「――来るか、白炎の執行者よ」
低く静かな声。しかし、それだけで周囲の温度が跳ね上がり、心拍が速まる錯覚が葦火守を襲う。
葦火守は答えず、拳を握った。
「護るために壊す。それでいい」
戦いが始まる。
ガルシェバルは即座に《燃焼支配》を発動。
感情の温度を操り、愛と憎しみの境界を溶かす。葦火守の心に、狂おしい独占欲が流れ込み、拳が一瞬だけ鈍る。
「愛とは、己を燃やして他者を照らすものだ。影を恐れるな」
詩のように囁きながら、ガルシェバルは白金の拳銃《ガル=ガボス》を抜く。放たれた弾丸は、葦火守の“護る”という信念を燃料に、情念の裁きとして迫った。
葦火守は身を翻し、徒手で弾丸を弾き落とす。
人間域を逸脱した体術が、銃弾の未来を読み切っていた。
「真理は、拳に宿る」
反撃。
拳が巨躯に叩き込まれる。混沌制御により、戦場のエネルギーが吸収・転化され、ガルシェバルの情念の炎すら力へと変わる。
ガルシェバルは即座に《焼灼の鎖》を展開。
情念の炎で編まれた枷が葦火守に絡みつき、逃れようとするほど熱を増し、心の自由を焼く。
「僕を縛る者よ、同時に僕を解く者でもあれ――共に燃えよう」
灼熱が精神を侵す。
暴力衝動と自己犠牲の情熱がせめぎ合い、内なる声が交錯する。
だが、葦火守は均衡を選ぶ。
激情を共鳴させ、意志で幻惑を打ち砕き、鎖を拳で引きちぎった。
その瞬間、ガルシェバルの感情が初めて揺れる。
《狂熱の審判》
歪んだ正義として激情を解放し、紅蓮の炎が爆発した。
「愛は焚刑に似たり。偽りを焼き、真実を灰にする」
炎が葦火守を包む。
皮膚が焼け、痛みが理性を試す。しかし彼は現実主義者だ。直感を信じ、瞬時に百通りの戦法を組み立てる。
炎の中を前進し、胸元へ拳を連打する。
ガルシェバルは《罰愛反転》を発動。
愛を罰へ、罰を愛へ。「愛しているから壊す」という倒錯を強制する根源権能。
葦火守の拳は、本来なら“抱擁”として感じられるはずだった。
だが、彼の信条は違う。
「力は裁きであり、救いでもある。愛も憎も、拳に宿る」
拳は破壊と守護の均衡。
反転を拒み、純粋な力としてガルシェバルの法衣を砕く。焦げた金属の紋章が宙を舞った。
ガルシェバルは怒りを、静かに燃やす。
《灰の抱擁》
灰が渦を巻き、葦火守の心に“終わりの温度”を刻む。記憶と情熱が冷やされていく。
動きが鈍る。
情熱なくして力に意味はない――それが葦火守の弱点。
だが彼は、混沌を抱いて秩序を築く者だ。
内なる暴力の理と、愛の盲信を再び拳で釣り合わせる。
「混沌を恐れるな。恐れるべきは、それを制する意思の弱さだ」
白炎が炸裂する。
拳が、ガルシェバルの片眼――狂おしい情熱を宿す方を正確に捉えた。人外の思考速度で《罰愛反転》を逆用し、激情を支配の炎として叩き返す。
ガルシェバルが、初めて膝をつく。
燃え尽きた翼は灰となり、情念の鎖は断ち切られた。
「――君は……愛の欠如を、愛で満たしたか」
祈りのような声が、静かに燃え尽きる。
葦火守は荒い息のまま拳を下ろす。
「情熱なくして、力に意味はない。君の愛は、破壊だけだった」
紅蓮の王座が崩れ、灰が舞う。
熾烈王は敗北し、永遠の孤独から解き放たれたかのように、静かに消えていった。
葦火守は振り返らない。
護るために壊した。それでいい。
白炎の執行者は、再び秩序の道を進む。
空気は熱を孕み、灰が舞い、世界は深紅と黒鉄に塗り潰されている。
玉座に座すのは、熾烈王ガルシェバル=ヴォル=カデス。
身長二八二センチの巨躯は燃えた白金のように輝き、背には燃え尽きかけた翼が二対、灰を散らしながら揺らめく。琥珀に血を溶かした瞳が、静かに来訪者を測っていた。
対峙するのは、白の軍団・銀警官連合の終極戦将――葦火守。
短く刈り込まれた白髪、鍛え抜かれた肉体は鋼のように無駄がない。胸甲に刻まれた紋章――握り拳と翼、そして炎環――が、白光と紅炎を宿す双眼とともに、揺るぎない決意を語っていた。
二人は、互いの領域の狭間で向き合う。
ガルシェバルは、葦火守の内にある激情と理性の均衡を「愛の欠如」と断じ、支配を試みる。
葦火守は、この破滅的な愛の体現者を「秩序を乱す混沌」と見なし、裁くために王座へ歩み出た。
「――来るか、白炎の執行者よ」
低く静かな声。しかし、それだけで周囲の温度が跳ね上がり、心拍が速まる錯覚が葦火守を襲う。
葦火守は答えず、拳を握った。
「護るために壊す。それでいい」
戦いが始まる。
ガルシェバルは即座に《燃焼支配》を発動。
感情の温度を操り、愛と憎しみの境界を溶かす。葦火守の心に、狂おしい独占欲が流れ込み、拳が一瞬だけ鈍る。
「愛とは、己を燃やして他者を照らすものだ。影を恐れるな」
詩のように囁きながら、ガルシェバルは白金の拳銃《ガル=ガボス》を抜く。放たれた弾丸は、葦火守の“護る”という信念を燃料に、情念の裁きとして迫った。
葦火守は身を翻し、徒手で弾丸を弾き落とす。
人間域を逸脱した体術が、銃弾の未来を読み切っていた。
「真理は、拳に宿る」
反撃。
拳が巨躯に叩き込まれる。混沌制御により、戦場のエネルギーが吸収・転化され、ガルシェバルの情念の炎すら力へと変わる。
ガルシェバルは即座に《焼灼の鎖》を展開。
情念の炎で編まれた枷が葦火守に絡みつき、逃れようとするほど熱を増し、心の自由を焼く。
「僕を縛る者よ、同時に僕を解く者でもあれ――共に燃えよう」
灼熱が精神を侵す。
暴力衝動と自己犠牲の情熱がせめぎ合い、内なる声が交錯する。
だが、葦火守は均衡を選ぶ。
激情を共鳴させ、意志で幻惑を打ち砕き、鎖を拳で引きちぎった。
その瞬間、ガルシェバルの感情が初めて揺れる。
《狂熱の審判》
歪んだ正義として激情を解放し、紅蓮の炎が爆発した。
「愛は焚刑に似たり。偽りを焼き、真実を灰にする」
炎が葦火守を包む。
皮膚が焼け、痛みが理性を試す。しかし彼は現実主義者だ。直感を信じ、瞬時に百通りの戦法を組み立てる。
炎の中を前進し、胸元へ拳を連打する。
ガルシェバルは《罰愛反転》を発動。
愛を罰へ、罰を愛へ。「愛しているから壊す」という倒錯を強制する根源権能。
葦火守の拳は、本来なら“抱擁”として感じられるはずだった。
だが、彼の信条は違う。
「力は裁きであり、救いでもある。愛も憎も、拳に宿る」
拳は破壊と守護の均衡。
反転を拒み、純粋な力としてガルシェバルの法衣を砕く。焦げた金属の紋章が宙を舞った。
ガルシェバルは怒りを、静かに燃やす。
《灰の抱擁》
灰が渦を巻き、葦火守の心に“終わりの温度”を刻む。記憶と情熱が冷やされていく。
動きが鈍る。
情熱なくして力に意味はない――それが葦火守の弱点。
だが彼は、混沌を抱いて秩序を築く者だ。
内なる暴力の理と、愛の盲信を再び拳で釣り合わせる。
「混沌を恐れるな。恐れるべきは、それを制する意思の弱さだ」
白炎が炸裂する。
拳が、ガルシェバルの片眼――狂おしい情熱を宿す方を正確に捉えた。人外の思考速度で《罰愛反転》を逆用し、激情を支配の炎として叩き返す。
ガルシェバルが、初めて膝をつく。
燃え尽きた翼は灰となり、情念の鎖は断ち切られた。
「――君は……愛の欠如を、愛で満たしたか」
祈りのような声が、静かに燃え尽きる。
葦火守は荒い息のまま拳を下ろす。
「情熱なくして、力に意味はない。君の愛は、破壊だけだった」
紅蓮の王座が崩れ、灰が舞う。
熾烈王は敗北し、永遠の孤独から解き放たれたかのように、静かに消えていった。
葦火守は振り返らない。
護るために壊した。それでいい。
白炎の執行者は、再び秩序の道を進む。
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