羊山羊牛

桂圭人

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夜の山奥で

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静かな山の奥、月明かりだけが差し込む岩窟の奥。
岩姫は白い巫女装束の裾を乱しながら、磐堅の広い胸に背中を預けていた。  
冷たい岩肌とは裏腹に、触れ合う二人の体温だけが熱く脈打っている。

「……岩姫(いわき)」

低い、掠れた声。  
磐堅の手が、ためらいながらもゆっくりと彼女の胸元へと滑り落ちる。  
薄い布越しに、柔らかく張りのある膨らみを包み込むように両手で掴んだ瞬間——

「んっ……っ」

岩姫の喉から、初めて聞くような小さな甘い音が零れた。
彼女の体がびくりと震え、灰金色の瞳が一瞬大きく見開かれる。  
ずっと胸の奥深くに封じ込めていた想い——熱くて、疼いて、触れられたら壊れてしまいそうなほど危うい感情が、今、磐堅の指先によって一気に解き放たれた。

「ぁ……は、ぁん……っ」

磐堅は言葉を失い、ただその柔肉を両手で優しく、しかし確実に揉みしだく。  
指の腹が頂の小さな突起を捉えるたび、岩姫の背筋が弓なりに反り返った。

「んぁっ……! あぁん……っ、ん、んんっ……!」

普段は決して漏らさない、甘く掠れた喘ぎが次々と溢れ出す。  
恥ずかしさで頬を真っ赤にしながらも、彼女は逃げようとはしなかった。  
むしろ、磐堅の腕の中に自分を沈めるように身を寄せ、細い指で彼の肩をぎゅっと掴む。

「…ごめん、岩姫(いわき)。僕、ずっと我慢してた」

磐堅の声は震えていた。  
自分でも制御しきれなくなっているのが分かる。
岩姫は首を小さく振って、涙で潤んだ瞳を上げた。

「……ううん……」

そして、唇を震わせながら、ほとんど声にならない声で囁く。

「ありがとう……」

その瞬間だった。
磐堅の中で何かが弾けた。
次の瞬間、彼は岩姫を強く抱き寄せ、彼女の唇を奪った。  
同時に、両手はさらに激しく胸を揉みしだき、布越しに形を変えるほど強く、深く。

「んむっ……! ん、んんっ……はぁ、んぁっ……!」

岩姫の喘ぎはキスに飲み込まれながらも、途切れ途切れに響き続ける。  
華奢な体がびくびくと跳ね、膝が内側に寄りそうになるほど感じているのが分かった。
月光の下、二人の影は一つに重なり、岩窟に響くのは、岩姫の甘く切ない声と、布を擦る音、そして互いの荒い息遣いだけだった。
彼女の封印は、もう二度と戻らない。  
そして磐堅もまた、その「ありがとう」の一言で、完全に彼女に囚われてしまったことを、もう誰にも否定できなかった。
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