ひきこもり×シェアハウス=?

某千尋

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俺、子供に完敗する2

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 コンコン。
 落ち込んでいると部屋がノックされた。

「野口さん、今いいか?」

 それは中里だった。
 俺は正直誰にも会いたくなかった。けれど、小心者の俺は、無視する、という選択肢を取ることもできない。だって、部屋にいることはバレているのだから。

「……はい。なんですか……?」

 渋々ドアを開けると、そこには気まずそうな様子の中里がいた。さっきのフォローをしにしたのだろうか。放っておいて欲しい。

「和樹な、あれ悪気ないから。あいつ何でもすぐ聞くんだよ。だから気にすんな」

 案の定中里はフォローしたきたようだった。
 励まされると、余計惨めな気持ちになる。俺は何も言えない。

「あー……実はな、野口さんの母親から、話は聞いてんだ」

 俺が黙って俯いていると、中里の口から俺の母親の話が出てきた。
 俺はどきりとする。一体あいつは何を言ったんだ。

「もともとあんまり人と接するのが得意じゃないんだろ? それで引きこもっちまったって聞いてる。すげえ心配してたよ、野口さんの母親。本当はこのほぼ下宿みたいなとこじゃなくて、自分のことは全部自分でやるシェアハウスに入れようと思ってたらしいんだ。でも、いきなりそんなことしたら野口さんは三日ともたないって。だからうちを選んだんだと。うちならとりあえず飯は食えるからな。その上で、ここの住民全員に挨拶してったよ。何卒よろしくお願いしますって。お節介かもしんねえけど、折角ここ来て一歩踏みだしたんだし、ちょっと外出てみたらどうだ」

 思っていたのと違う内容で驚く。
 母親は俺が如何にダメな人間であるかを伝えたのだと思っていた。ボロクソに言われたのだと思っていた。
 けれど、中里に語られた内容はある意味で正解で、正解ではなかった。それは、俺を案じた母親の話だった。

 俺は、母親に見捨てられたんだと思っていた。
 でも、まあそれも仕方ない。なんていったって十五年だ。ひたすら自室に篭って、外との関わりを絶って、そのくせ親に対してずいぶんな態度をとっていた。世話になっておきながら、母親を馬鹿にしていた。思い返せば、見捨てられて当然だわ、と思っていた。
 ただ、反面腹も立てていた。俺を産んだのはあんただろう、生産者は最後まで面倒みろよ、何で途中でほっぽりだすんだ、と。

 中里の話を聞いて、言葉が出なかった。母親は真剣に俺のことを考えていたのか。見捨てられたわけではなかったのか。

「ま、俺に何ができるってことはねえけど、相談くらいはのるから。そんだけだ」

 驚きすぎて何も言えない俺に、それだけ言って中里は去っていった。
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