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過ぎいく夏
「というわけで、私のバイトが決まりました!」
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バイト先はすぐに見つかった。学校の最寄り駅前にあるコンビニだ。
バイト募集の張り紙をスマホで撮って、放課後に電話。面接とかもあったけど、前の人が急に辞めたらしくて、その場で即決されて、翌日からの勤務になった。
保護者の許可を記入してある履歴書も翌日でいいらしい。
本当に人手が足りなかったようだ。求人媒体に依頼を出す時間さえなかったらしい。
「というわけで、私のバイトが決まりました! 忙しくなります!」
定例のお昼ご飯の時に爆弾を落とすことにした。
「いいんじゃない」
「え?! 実花、バイトするの?!」
お昼にそれを発表したところ、私のバイト発言は夏川先輩の反応はあっさりしたもので、友達のきららや浮気が原因で元カレになったあいつのほうが驚いてた。
「これから夏休みだってのに、バイト?! 花火大会とか、どーすんだよ?!」
そうだ。花火大会があった。
この花火大会は毎年楽しみにしていて、今年は初めてできた彼氏と行くと思っていた。
付き合って2ヵ月もたっていないのにこいつが浮気したから、初彼イベントがほぼ残った状態のままなのだ。
花火大会を彼氏と行くのは早くても来年ということになる。
今年は去年までと同じ友達と行くか家族と行くしかなかった。それがバイトで行けなくなったとしても、失恋の痛みを紛らわすにはいいかもしれない。
そうだ。恋人と過ごすイベントは全部バイトで潰そう。
「そんなのあんたに関係ないでしょ」
なんで元カレのこいつが驚くのか、わからない。一緒に行けなくしたのはこいつ自身だって言うのに、なんで元カレにすぎないこいつがショックを受けるのか、本当にわからない。
「実花ちゃんが決めたことなんだから、お前が口を出すことじゃないよ、春原」
なんで一番衝撃を受けるはずの夏川先輩が諭してんの?!
反応がおかしすぎる。
「じゃあ、休みは遊べないってこと?」
きららは不満そうに言った。
「休みは午後だけだから今まで通りだから、大丈夫だよ」
バイト自体が夏川先輩と会えない口実だから、部活が終わる時間帯にわざとシフトを入れてるので、それまでは今まで通りきららと遊べる。
なのに、夏川先輩の反応は容認のままのようで頷いている。
「あ、そうなんだ」
ホッとするきららと特に何も言わない夏川先輩。
なんなんだろう、この人。テニス以外に興味がないのは知ってるけど、バイトで会えなくなるって言っても、どうでもいいらしい。
なら、これ以上付き合いを長くしたくない私はバイト路線で行くことにする。
そのつもりだったしね。
「でも、どうしてバイトなんか始めようと思ったんだよ」
どうにか話に加わろうとこいつは口を挟む。
なんで余計なことをするんだろう。こいつの余計なことをする性格のせいで今のこの状況になってしまったのに、進歩しないの?
バイトは夏川先輩との学校以外での付き合いを自然消滅させる作戦なのだ。
それなのにバイトをはじめた理由を夏川先輩に正直に言うなんて、墓穴を掘るようなもの。かと言って、かまってもらっていた時間が暇になったからというのも、なんだか理由にならない。それをして理由にできるのは失恋したり、彼氏が忙しくて会える時間が少ない場合だけだ。
こいつと別れたり、テニス馬鹿で彼女放置な夏川先輩に付きまとわれて親公認でほぼ付き合っている同然でも、私の場合は縁が切りたいから、落ち込んでる気も、待ってる気もない。
夏川先輩の元カノたちには悪いけど、バイトでもして浮気せずに気長に待ってたら、そのうち寂しさや努力が報われたんじゃないかと思う。
問題はそれがいつになるかわからないのと、夏川先輩から顔をとったら良い所がほとんどないところ。マイペースだし、浮気みたいなことに余計な労力を使いたくないと考えるような性格だから、放置気味で彼女のことを見てないことさえ我慢できるなら待つ価値はある。
暴力をふるうとか、そういう類いの欠点じゃないから、待てる人なら待てると思う。
そういう人には価値があるかもしれない。
残念だけど、私には夏川先輩を待てるほど魅力を感じない。出会いが出会いだし、付き合いたいと思える性格でもない。
ただのテニス馬鹿だったら、まだ付き合ってもいいと思える。いつもほったらかしで、付き合っているのが昼休みだけでも問題ない。
あの性格だから無理。
いくらイケメンでも無理。
あの性格は無理。
女子からの嫉妬でひどい目に遭わなくても無理。
そこまで無理な相手なので、付き合いの自然消滅を狙っている。だから、夏川先輩にその理由を知られないようにして、計画の邪魔をされないようにしないと。
「大学の学費を貯める為だよ。暇潰しにもなるし、それにあっても困らないし」
ドヤ顔で私が言うと、三人はそれぞれ違う顔をした。
「は?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするあいつ。
「いいんじゃない」
これまたなんでもないことのように頷いて、夏川先輩は卵焼きを口に運ぶ。
興味がないのか、納得しているのか、どっちかわからないが問題はないようだ。
「そんな理由なら、しなけりゃいいじゃん。そしたら、毎日遊べるじゃん」
不満タラタラなきららは唇を尖らせる。
問題はきららか・・・。それも仕方ないか。
浮気した奴は問題外として、平日にバイトをしている時間はきららと遊ぶ時間とかぶっている。バイトを土日だけにしたらそれを回避できるけど、そうすると今度はバイトをする口実自体を夏川先輩に疑問を持たれると思って、平日も入れているのだ。
「バイトがない日だってあるから。その日だけじゃ駄目?」
不機嫌そうにきららが聞いた。
「バイトのない日って、何日くらい?」
「シフトによって違うけど、週三くらい」
私の答えではまだ不充分だったようだ。きららの機嫌は直らない。
「でも、休みは駄目なんだよね?」
「うん。ごめんね~」
何かひらめいたのかきららの表情が明るくなる。
「じゃあ、お泊りは? 朝までだったらいいでしょ」
「あー・・・、深夜のバイトは高校生は禁止だし、お泊りはできるか・・・」
高校生のバイトは22時までしか許されていないし。
「よ~し! お泊りよろ~!」
お泊りができるとわかったら、きららの機嫌が直った。
現金だな~。
でも、そんなきららが大好きだ。
バイト募集の張り紙をスマホで撮って、放課後に電話。面接とかもあったけど、前の人が急に辞めたらしくて、その場で即決されて、翌日からの勤務になった。
保護者の許可を記入してある履歴書も翌日でいいらしい。
本当に人手が足りなかったようだ。求人媒体に依頼を出す時間さえなかったらしい。
「というわけで、私のバイトが決まりました! 忙しくなります!」
定例のお昼ご飯の時に爆弾を落とすことにした。
「いいんじゃない」
「え?! 実花、バイトするの?!」
お昼にそれを発表したところ、私のバイト発言は夏川先輩の反応はあっさりしたもので、友達のきららや浮気が原因で元カレになったあいつのほうが驚いてた。
「これから夏休みだってのに、バイト?! 花火大会とか、どーすんだよ?!」
そうだ。花火大会があった。
この花火大会は毎年楽しみにしていて、今年は初めてできた彼氏と行くと思っていた。
付き合って2ヵ月もたっていないのにこいつが浮気したから、初彼イベントがほぼ残った状態のままなのだ。
花火大会を彼氏と行くのは早くても来年ということになる。
今年は去年までと同じ友達と行くか家族と行くしかなかった。それがバイトで行けなくなったとしても、失恋の痛みを紛らわすにはいいかもしれない。
そうだ。恋人と過ごすイベントは全部バイトで潰そう。
「そんなのあんたに関係ないでしょ」
なんで元カレのこいつが驚くのか、わからない。一緒に行けなくしたのはこいつ自身だって言うのに、なんで元カレにすぎないこいつがショックを受けるのか、本当にわからない。
「実花ちゃんが決めたことなんだから、お前が口を出すことじゃないよ、春原」
なんで一番衝撃を受けるはずの夏川先輩が諭してんの?!
反応がおかしすぎる。
「じゃあ、休みは遊べないってこと?」
きららは不満そうに言った。
「休みは午後だけだから今まで通りだから、大丈夫だよ」
バイト自体が夏川先輩と会えない口実だから、部活が終わる時間帯にわざとシフトを入れてるので、それまでは今まで通りきららと遊べる。
なのに、夏川先輩の反応は容認のままのようで頷いている。
「あ、そうなんだ」
ホッとするきららと特に何も言わない夏川先輩。
なんなんだろう、この人。テニス以外に興味がないのは知ってるけど、バイトで会えなくなるって言っても、どうでもいいらしい。
なら、これ以上付き合いを長くしたくない私はバイト路線で行くことにする。
そのつもりだったしね。
「でも、どうしてバイトなんか始めようと思ったんだよ」
どうにか話に加わろうとこいつは口を挟む。
なんで余計なことをするんだろう。こいつの余計なことをする性格のせいで今のこの状況になってしまったのに、進歩しないの?
バイトは夏川先輩との学校以外での付き合いを自然消滅させる作戦なのだ。
それなのにバイトをはじめた理由を夏川先輩に正直に言うなんて、墓穴を掘るようなもの。かと言って、かまってもらっていた時間が暇になったからというのも、なんだか理由にならない。それをして理由にできるのは失恋したり、彼氏が忙しくて会える時間が少ない場合だけだ。
こいつと別れたり、テニス馬鹿で彼女放置な夏川先輩に付きまとわれて親公認でほぼ付き合っている同然でも、私の場合は縁が切りたいから、落ち込んでる気も、待ってる気もない。
夏川先輩の元カノたちには悪いけど、バイトでもして浮気せずに気長に待ってたら、そのうち寂しさや努力が報われたんじゃないかと思う。
問題はそれがいつになるかわからないのと、夏川先輩から顔をとったら良い所がほとんどないところ。マイペースだし、浮気みたいなことに余計な労力を使いたくないと考えるような性格だから、放置気味で彼女のことを見てないことさえ我慢できるなら待つ価値はある。
暴力をふるうとか、そういう類いの欠点じゃないから、待てる人なら待てると思う。
そういう人には価値があるかもしれない。
残念だけど、私には夏川先輩を待てるほど魅力を感じない。出会いが出会いだし、付き合いたいと思える性格でもない。
ただのテニス馬鹿だったら、まだ付き合ってもいいと思える。いつもほったらかしで、付き合っているのが昼休みだけでも問題ない。
あの性格だから無理。
いくらイケメンでも無理。
あの性格は無理。
女子からの嫉妬でひどい目に遭わなくても無理。
そこまで無理な相手なので、付き合いの自然消滅を狙っている。だから、夏川先輩にその理由を知られないようにして、計画の邪魔をされないようにしないと。
「大学の学費を貯める為だよ。暇潰しにもなるし、それにあっても困らないし」
ドヤ顔で私が言うと、三人はそれぞれ違う顔をした。
「は?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするあいつ。
「いいんじゃない」
これまたなんでもないことのように頷いて、夏川先輩は卵焼きを口に運ぶ。
興味がないのか、納得しているのか、どっちかわからないが問題はないようだ。
「そんな理由なら、しなけりゃいいじゃん。そしたら、毎日遊べるじゃん」
不満タラタラなきららは唇を尖らせる。
問題はきららか・・・。それも仕方ないか。
浮気した奴は問題外として、平日にバイトをしている時間はきららと遊ぶ時間とかぶっている。バイトを土日だけにしたらそれを回避できるけど、そうすると今度はバイトをする口実自体を夏川先輩に疑問を持たれると思って、平日も入れているのだ。
「バイトがない日だってあるから。その日だけじゃ駄目?」
不機嫌そうにきららが聞いた。
「バイトのない日って、何日くらい?」
「シフトによって違うけど、週三くらい」
私の答えではまだ不充分だったようだ。きららの機嫌は直らない。
「でも、休みは駄目なんだよね?」
「うん。ごめんね~」
何かひらめいたのかきららの表情が明るくなる。
「じゃあ、お泊りは? 朝までだったらいいでしょ」
「あー・・・、深夜のバイトは高校生は禁止だし、お泊りはできるか・・・」
高校生のバイトは22時までしか許されていないし。
「よ~し! お泊りよろ~!」
お泊りができるとわかったら、きららの機嫌が直った。
現金だな~。
でも、そんなきららが大好きだ。
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