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過ぎいく夏
話も何もあるか!!
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夏川先輩を追ってリビングに入ったら、夏川先輩は冷蔵庫を開けていた。
エアコンは作動し始めたところで、この部屋もまだ暑い。
「適当なとこに座って」
「あ、はい」
左はコンロや流し台などのキッチンにカウンターを挟んで四人がけの木製のテーブルと背もたれのついた木製の椅子が四つあった。でも、それは家族で使うように見えてやめた。
右は居間の部分らしく、ラグが敷かれた上にテレビが見やすい位置に二人掛けソファが一つ置かれている。バランスボールらしきものもあるけど、こちらはどう考えても夏川先輩専用っぽいので二人掛けソファに座る。
仲の良い友達の家でもないからか、二人っきりでいることに落ち着かない。
家の中に自分たちしかいないから、余計にそう思うのかもしれない。
「テレビつけていいですか?」
「話をしたいんじゃなかったの? それとも部屋に行く?」
話をしたくないの選択肢がないんですけど?
もしかして、ここで話をするとここで話をしないから部屋でヤる、なんですか?
そりゃあ、家族共通の場所でヤるなんて、普通しないけど。したいとも思わないけど。
夏川先輩にそこのところの常識があって良かったと安心するところか、選択肢がおかしいところにツッコミを入れるべきか悩むところ・・・って、私は彼女(セフレ)になるのを回避するために諦めるように話をしないといけないんだった。
そうなったら、もちろん選択肢は一つ。
「ここで話をします」
「話をするんだね。はい」
冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取り出した夏川先輩がコップに注いで私に差し出してくれたので受け取った。
カウンターに使用済みのコップがあるから、自分の分は先に飲んだみたい。
私もスポーツドリンクを飲む。
エアコンの風が当たると涼しいけど、この部屋はまだ冷えていない。
喉を通る冷えたスポーツドリンクがとてもおいしくてホッとする。
「おかわりは?」
私が一気に飲み終わったのを見て、夏川先輩が言う。
「お願いします」
コップを渡しながら、夏川先輩は何杯飲んだのか気になった。
夏川先輩はカウンターまで戻って、出したままにしていたペットボトルからおかわりを注いで、また持って来てくれた。
「夏川先輩は何杯おかわりしたんですか?」
「おかわりの回数は気にしなくていいよ」
気遣いはしなくていいらしい。
気遣いじゃなくて、ただ、何杯飲んだのか気になっただけだとは言えない。夏川先輩自身に興味があると思われたら困る。
おかわりを飲んだら、エアコンのおかげか暑さが和らいですごしやすくなった。
「もう一杯いる?」
どんだけ飲むと思ってんのか、夏川先輩はまだおかわりをくれようとする。
「いいです。大丈夫です」
「わかった。いらないコップくれる?」
ソファの前にテーブルなんかないから、飲み終わったコップの置き場がない。どうしたらいいのか迷っていたので、夏川先輩に言われた通りに渡した。
「洗ってくるから、もう少し待ってて」
コップを洗う?
夏川先輩がコップを洗うことなんか、意外すぎて思いつかなかった。極端な話、夏川先輩はテニス以外のことになると一切興味がないというか、浮世離れしたところがあると思っていた。
王子様のような外見からしても、洗濯の手伝いもしたことがないだろうし、食器を洗うことすらやったことがないように見える。
「え? 洗うんですか? 私が洗いますよ」
自分の使ったものくらい自分で綺麗にしなきゃ。
コップの置き場所がなくて困っていた私はソファから立ち上がって、自分で洗うことを申し出た。
「いいよ。ついでだから、構わない」
夏川先輩はペットボトルを冷蔵庫に戻した後、私が辿り着く前にカウンターに置いていた自分の使ったコップと一緒に洗ってしまう。
「洗うって言ったのに」
「客は何もしないでいいから」
客?
客だって思ってるの?
ん~。客なのかな?
「おもてなしはしてもらったし、このまま帰っていい?」
帰れるかどうか試してみた。
説得はまた別の日もできるし、今日はこれで勘弁してもらえるなら、これからもこの方法でいけるよね。
そうしたら、セフレな彼女にならなくてすむ。
付き合ってるデメリット(他の女子からのイジメ)はあるかもしれないけど、避けたいものはまずセフレ。次に周りが付き合ってるって思われること。
優先順位がちゃんとあるんだから、それを守るようにしなくちゃ。
「それは駄目」
夏川先輩はニッコリと笑うけど、その満面の笑みは黒い。
舌打ちしたい気分。
このまま帰られるとよかったのに。
じゃあ、当初からの予定通り、諦めてもらう方向で行くしかないか。
使ったコップを布巾で拭いて食器棚に直した夏川先輩は私のほうへと歩いてくる。
「え?」
一瞬、何をされたのか、頭が追い付いかなかった。
所謂、お姫様抱っこというやつをされて運ばれる。ソファに降ろしてくれるのかと思ったら、夏川先輩はそのままソファに座って私を降ろしてくれたけど、お姫様抱っこされていた私が降ろされた先は夏川先輩の膝の上。その上、腕でがっちりホールドされてそこから動けないようにされている。
これじゃあ、さっきと同じだよ!
っていうか、悪化してる!!
「ちょ、ちょっと、放してよ!」
放してもらおうと暴れる私に夏川先輩は平然と言った。
「じゃあ、話をしようか」
話も何もあるか!!
人の話を聞けー!!!
エアコンは作動し始めたところで、この部屋もまだ暑い。
「適当なとこに座って」
「あ、はい」
左はコンロや流し台などのキッチンにカウンターを挟んで四人がけの木製のテーブルと背もたれのついた木製の椅子が四つあった。でも、それは家族で使うように見えてやめた。
右は居間の部分らしく、ラグが敷かれた上にテレビが見やすい位置に二人掛けソファが一つ置かれている。バランスボールらしきものもあるけど、こちらはどう考えても夏川先輩専用っぽいので二人掛けソファに座る。
仲の良い友達の家でもないからか、二人っきりでいることに落ち着かない。
家の中に自分たちしかいないから、余計にそう思うのかもしれない。
「テレビつけていいですか?」
「話をしたいんじゃなかったの? それとも部屋に行く?」
話をしたくないの選択肢がないんですけど?
もしかして、ここで話をするとここで話をしないから部屋でヤる、なんですか?
そりゃあ、家族共通の場所でヤるなんて、普通しないけど。したいとも思わないけど。
夏川先輩にそこのところの常識があって良かったと安心するところか、選択肢がおかしいところにツッコミを入れるべきか悩むところ・・・って、私は彼女(セフレ)になるのを回避するために諦めるように話をしないといけないんだった。
そうなったら、もちろん選択肢は一つ。
「ここで話をします」
「話をするんだね。はい」
冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取り出した夏川先輩がコップに注いで私に差し出してくれたので受け取った。
カウンターに使用済みのコップがあるから、自分の分は先に飲んだみたい。
私もスポーツドリンクを飲む。
エアコンの風が当たると涼しいけど、この部屋はまだ冷えていない。
喉を通る冷えたスポーツドリンクがとてもおいしくてホッとする。
「おかわりは?」
私が一気に飲み終わったのを見て、夏川先輩が言う。
「お願いします」
コップを渡しながら、夏川先輩は何杯飲んだのか気になった。
夏川先輩はカウンターまで戻って、出したままにしていたペットボトルからおかわりを注いで、また持って来てくれた。
「夏川先輩は何杯おかわりしたんですか?」
「おかわりの回数は気にしなくていいよ」
気遣いはしなくていいらしい。
気遣いじゃなくて、ただ、何杯飲んだのか気になっただけだとは言えない。夏川先輩自身に興味があると思われたら困る。
おかわりを飲んだら、エアコンのおかげか暑さが和らいですごしやすくなった。
「もう一杯いる?」
どんだけ飲むと思ってんのか、夏川先輩はまだおかわりをくれようとする。
「いいです。大丈夫です」
「わかった。いらないコップくれる?」
ソファの前にテーブルなんかないから、飲み終わったコップの置き場がない。どうしたらいいのか迷っていたので、夏川先輩に言われた通りに渡した。
「洗ってくるから、もう少し待ってて」
コップを洗う?
夏川先輩がコップを洗うことなんか、意外すぎて思いつかなかった。極端な話、夏川先輩はテニス以外のことになると一切興味がないというか、浮世離れしたところがあると思っていた。
王子様のような外見からしても、洗濯の手伝いもしたことがないだろうし、食器を洗うことすらやったことがないように見える。
「え? 洗うんですか? 私が洗いますよ」
自分の使ったものくらい自分で綺麗にしなきゃ。
コップの置き場所がなくて困っていた私はソファから立ち上がって、自分で洗うことを申し出た。
「いいよ。ついでだから、構わない」
夏川先輩はペットボトルを冷蔵庫に戻した後、私が辿り着く前にカウンターに置いていた自分の使ったコップと一緒に洗ってしまう。
「洗うって言ったのに」
「客は何もしないでいいから」
客?
客だって思ってるの?
ん~。客なのかな?
「おもてなしはしてもらったし、このまま帰っていい?」
帰れるかどうか試してみた。
説得はまた別の日もできるし、今日はこれで勘弁してもらえるなら、これからもこの方法でいけるよね。
そうしたら、セフレな彼女にならなくてすむ。
付き合ってるデメリット(他の女子からのイジメ)はあるかもしれないけど、避けたいものはまずセフレ。次に周りが付き合ってるって思われること。
優先順位がちゃんとあるんだから、それを守るようにしなくちゃ。
「それは駄目」
夏川先輩はニッコリと笑うけど、その満面の笑みは黒い。
舌打ちしたい気分。
このまま帰られるとよかったのに。
じゃあ、当初からの予定通り、諦めてもらう方向で行くしかないか。
使ったコップを布巾で拭いて食器棚に直した夏川先輩は私のほうへと歩いてくる。
「え?」
一瞬、何をされたのか、頭が追い付いかなかった。
所謂、お姫様抱っこというやつをされて運ばれる。ソファに降ろしてくれるのかと思ったら、夏川先輩はそのままソファに座って私を降ろしてくれたけど、お姫様抱っこされていた私が降ろされた先は夏川先輩の膝の上。その上、腕でがっちりホールドされてそこから動けないようにされている。
これじゃあ、さっきと同じだよ!
っていうか、悪化してる!!
「ちょ、ちょっと、放してよ!」
放してもらおうと暴れる私に夏川先輩は平然と言った。
「じゃあ、話をしようか」
話も何もあるか!!
人の話を聞けー!!!
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