浮気した彼氏のせいでNTRれた私

プラネットプラント

文字の大きさ
31 / 74
過ぎいく夏

話も何もあるか!!

しおりを挟む
 夏川先輩を追ってリビングに入ったら、夏川先輩は冷蔵庫を開けていた。
 エアコンは作動し始めたところで、この部屋もまだ暑い。

「適当なとこに座って」
「あ、はい」

 左はコンロや流し台などのキッチンにカウンターを挟んで四人がけの木製のテーブルと背もたれのついた木製の椅子が四つあった。でも、それは家族で使うように見えてやめた。
 右は居間の部分らしく、ラグが敷かれた上にテレビが見やすい位置に二人掛けソファが一つ置かれている。バランスボールらしきものもあるけど、こちらはどう考えても夏川先輩専用っぽいので二人掛けソファに座る。

 仲の良い友達の家でもないからか、二人っきりでいることに落ち着かない。
 家の中に自分たちしかいないから、余計にそう思うのかもしれない。

「テレビつけていいですか?」
「話をしたいんじゃなかったの? それとも部屋に行く?」

 話をしたくないの選択肢がないんですけど?
 もしかして、ここで話をするとここで話をしないから部屋でヤる、なんですか?
 そりゃあ、家族共通の場所でヤるなんて、普通しないけど。したいとも思わないけど。
 夏川先輩にそこのところの常識があって良かったと安心するところか、選択肢がおかしいところにツッコミを入れるべきか悩むところ・・・って、私は彼女(セフレ)になるのを回避するために諦めるように話をしないといけないんだった。

 そうなったら、もちろん選択肢は一つ。

「ここで話をします」
「話をするんだね。はい」

 冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取り出した夏川先輩がコップに注いで私に差し出してくれたので受け取った。
 カウンターに使用済みのコップがあるから、自分の分は先に飲んだみたい。
 私もスポーツドリンクを飲む。
 エアコンの風が当たると涼しいけど、この部屋はまだ冷えていない。
 喉を通る冷えたスポーツドリンクがとてもおいしくてホッとする。

「おかわりは?」

 私が一気に飲み終わったのを見て、夏川先輩が言う。

「お願いします」

 コップを渡しながら、夏川先輩は何杯飲んだのか気になった。
 夏川先輩はカウンターまで戻って、出したままにしていたペットボトルからおかわりを注いで、また持って来てくれた。

「夏川先輩は何杯おかわりしたんですか?」
「おかわりの回数は気にしなくていいよ」

 気遣いはしなくていいらしい。
 気遣いじゃなくて、ただ、何杯飲んだのか気になっただけだとは言えない。夏川先輩自身に興味があると思われたら困る。
 おかわりを飲んだら、エアコンのおかげか暑さが和らいですごしやすくなった。

「もう一杯いる?」

 どんだけ飲むと思ってんのか、夏川先輩はまだおかわりをくれようとする。

「いいです。大丈夫です」
「わかった。いらないコップくれる?」

 ソファの前にテーブルなんかないから、飲み終わったコップの置き場がない。どうしたらいいのか迷っていたので、夏川先輩に言われた通りに渡した。

「洗ってくるから、もう少し待ってて」

 コップを洗う?
 夏川先輩がコップを洗うことなんか、意外すぎて思いつかなかった。極端な話、夏川先輩はテニス以外のことになると一切興味がないというか、浮世離れしたところがあると思っていた。
 王子様のような外見からしても、洗濯の手伝いもしたことがないだろうし、食器を洗うことすらやったことがないように見える。

「え? 洗うんですか? 私が洗いますよ」

 自分の使ったものくらい自分で綺麗にしなきゃ。
 コップの置き場所がなくて困っていた私はソファから立ち上がって、自分で洗うことを申し出た。

「いいよ。ついでだから、構わない」

 夏川先輩はペットボトルを冷蔵庫に戻した後、私が辿り着く前にカウンターに置いていた自分の使ったコップと一緒に洗ってしまう。

「洗うって言ったのに」
「客は何もしないでいいから」

 客?
 客だって思ってるの?
 ん~。客なのかな?

「おもてなしはしてもらったし、このまま帰っていい?」

 帰れるかどうか試してみた。
 説得はまた別の日もできるし、今日はこれで勘弁してもらえるなら、これからもこの方法でいけるよね。
 そうしたら、セフレな彼女にならなくてすむ。
 付き合ってるデメリット(他の女子からのイジメ)はあるかもしれないけど、避けたいものはまずセフレ。次に周りが付き合ってるって思われること。
 優先順位がちゃんとあるんだから、それを守るようにしなくちゃ。

「それは駄目」

 夏川先輩はニッコリと笑うけど、その満面の笑みは黒い。

 舌打ちしたい気分。
 このまま帰られるとよかったのに。
 じゃあ、当初からの予定通り、諦めてもらう方向で行くしかないか。

 使ったコップを布巾で拭いて食器棚に直した夏川先輩は私のほうへと歩いてくる。

「え?」

 一瞬、何をされたのか、頭が追い付いかなかった。
 所謂、お姫様抱っこというやつをされて運ばれる。ソファに降ろしてくれるのかと思ったら、夏川先輩はそのままソファに座って私を降ろしてくれたけど、お姫様抱っこされていた私が降ろされた先は夏川先輩の膝の上。その上、腕でがっちりホールドされてそこから動けないようにされている。

 これじゃあ、さっきと同じだよ!
 っていうか、悪化してる!!

「ちょ、ちょっと、放してよ!」

 放してもらおうと暴れる私に夏川先輩は平然と言った。

「じゃあ、話をしようか」

 話も何もあるか!!
 人の話を聞けー!!!
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...