38 / 74
過ぎいく夏
今日は絶対、遅くならないうちに自力で帰ってやる!
しおりを挟む
TPOに合った服装の効果はすごかった。
夏の港街にマリンルックをした爽やか系イケメンなんて、ロイヤルストレートフラッシュだ。
時間が夕方でも、まだ日差しは強いくて昼間みたいだし、平凡な私には勝ち目なんかない。
気圧されちゃ駄目だ、私!
『負けたと思ったら、そこで負けてしまう!』
頭の中でSの声がする。
そうだね、S。
Sの応援に力をもらって、夏川先輩と対峙する。
「今日も来てくれたんだね、実花ちゃん」
良い子良い子とばかりに頭を撫でられる。
家族連れが多いから大丈夫だと思ったのに、「え~、信じらんない~!」って声が上がった。
昨日もそうだけど、こういう時って「わたしのほうが~」って声かけて来るもんじゃないの?!
なんで来ないの?!
来るなら、カモーン!
熨斗付けてあげるって!
至急、積極的女子望む!
「来たくて来たんじゃありません。お母さんに言われたから来たんです」
夏川先輩は信じていないのかクスクスと笑う。
「ホントに本当なんですから。来なかったらお母さんに電話するなんて言わなかったら、絶対に来なかったんだから」
私が理由を言ったら、夏川先輩は納得が行ったとばかりに笑うのを止める。
「ああ。電話されたくなかったんだ」
「だって、お母さん、夏川先輩のこと好きだから、私の味方をしてくれないんです」
「なんて心強い味方だ」
「・・・」
夏川先輩に苦笑いされたよ、お母さん。夏川先輩の味方なんかするだけ損だったんじゃない?
と、ここにいないお母さんにツッコミを入れる。
「じゃあ、行こうか」
「あ、はい・・・」
対抗する気もお母さんへのツッコミで萎んで、逃げ場のない私は大人しく付いていった。
せっかく、諦めさせる気が盛り返してきたのに、言いなりになってどうすんの?!
自分を叱ってみるけど、昨夜からさっきまでドナドナな気分だったおかげで対抗策なんか一個も考えてない。
昨日だって、説得できると思って何の準備もしていなかったし、このままじゃ今日も昨日と同じようになってしまうかも・・・。
駄目駄目!
ネバー、ギブアップ!
Sだって、そう言ってるし!
リビングにあるカレンダーの5月に書かれている熱い言葉を思い出して、私は気合を入れる。
まずは今できることをしなきゃ。
今できるのは・・・帰る時に一人で駅まで行けるようになること。
立ち去る時にスマートにできるだけでも昨日とは違うはず!
同じ市内に生まれた時から住んでいるといっても、夏川先輩が住んでいる辺りは小学校は学区が違うし、中学校じゃそっちの地区の友達がいなかったから、未知の地域。私の家から歩いて行ける距離なのに土地勘はまったくない。
昨日の行きは絶対に付き合わないですむように説得しようと必死で憶える気がなかっから、颯爽と立ち去れなかった。
帰りは薄暗かったし、代わり映えのしない風景だったのと、精神的ショックが大きすぎて道順なんて気にしていなかった。
今日は絶対、遅くならないうちに自力で帰ってやる!
私は密かにそう誓って、夏川先輩に付いていくのだった。
夏の港街にマリンルックをした爽やか系イケメンなんて、ロイヤルストレートフラッシュだ。
時間が夕方でも、まだ日差しは強いくて昼間みたいだし、平凡な私には勝ち目なんかない。
気圧されちゃ駄目だ、私!
『負けたと思ったら、そこで負けてしまう!』
頭の中でSの声がする。
そうだね、S。
Sの応援に力をもらって、夏川先輩と対峙する。
「今日も来てくれたんだね、実花ちゃん」
良い子良い子とばかりに頭を撫でられる。
家族連れが多いから大丈夫だと思ったのに、「え~、信じらんない~!」って声が上がった。
昨日もそうだけど、こういう時って「わたしのほうが~」って声かけて来るもんじゃないの?!
なんで来ないの?!
来るなら、カモーン!
熨斗付けてあげるって!
至急、積極的女子望む!
「来たくて来たんじゃありません。お母さんに言われたから来たんです」
夏川先輩は信じていないのかクスクスと笑う。
「ホントに本当なんですから。来なかったらお母さんに電話するなんて言わなかったら、絶対に来なかったんだから」
私が理由を言ったら、夏川先輩は納得が行ったとばかりに笑うのを止める。
「ああ。電話されたくなかったんだ」
「だって、お母さん、夏川先輩のこと好きだから、私の味方をしてくれないんです」
「なんて心強い味方だ」
「・・・」
夏川先輩に苦笑いされたよ、お母さん。夏川先輩の味方なんかするだけ損だったんじゃない?
と、ここにいないお母さんにツッコミを入れる。
「じゃあ、行こうか」
「あ、はい・・・」
対抗する気もお母さんへのツッコミで萎んで、逃げ場のない私は大人しく付いていった。
せっかく、諦めさせる気が盛り返してきたのに、言いなりになってどうすんの?!
自分を叱ってみるけど、昨夜からさっきまでドナドナな気分だったおかげで対抗策なんか一個も考えてない。
昨日だって、説得できると思って何の準備もしていなかったし、このままじゃ今日も昨日と同じようになってしまうかも・・・。
駄目駄目!
ネバー、ギブアップ!
Sだって、そう言ってるし!
リビングにあるカレンダーの5月に書かれている熱い言葉を思い出して、私は気合を入れる。
まずは今できることをしなきゃ。
今できるのは・・・帰る時に一人で駅まで行けるようになること。
立ち去る時にスマートにできるだけでも昨日とは違うはず!
同じ市内に生まれた時から住んでいるといっても、夏川先輩が住んでいる辺りは小学校は学区が違うし、中学校じゃそっちの地区の友達がいなかったから、未知の地域。私の家から歩いて行ける距離なのに土地勘はまったくない。
昨日の行きは絶対に付き合わないですむように説得しようと必死で憶える気がなかっから、颯爽と立ち去れなかった。
帰りは薄暗かったし、代わり映えのしない風景だったのと、精神的ショックが大きすぎて道順なんて気にしていなかった。
今日は絶対、遅くならないうちに自力で帰ってやる!
私は密かにそう誓って、夏川先輩に付いていくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる