浮気した彼氏のせいでNTRれた私

プラネットプラント

文字の大きさ
57 / 74
過ぎいく夏

「冬野さんのおかげで助かったよ」

しおりを挟む
 店長の気遣いも虚しく、私は酔っ払い(若い男)に絡まれている。
 遠い目したっていいよね。

「・・・」

 隣りには冬野さん。酔っ払いが絡みはじめたので、お客の対応どころかお客自体いない。

「あのー。すみません、お客様。絡むのは止めてもらえますか?」

 申し訳なさと迷惑さが混じった表情で冬野さんが酔っ払い(若い男)に言う。

 ありがとう、冬野さん。
 フェミニスト?ばんざーい!! 困ってる女の子に優しくするのは常識だよね!

「な。なんだとう?! こっちは客だぞ!」

 酔っ払いも繁華街で職質されたり、プールで人が避けるワイルド(ヤバい)系の冬野さんの顔が怖いのか、酔っ払いも少し腰が引き気味だ。

「お酒のせいで、あとで後悔するようなことはしないほうがいいですよ」

 冬野さん、すごい。尊敬しちゃう。
 プールでの失点はあったけど、やっぱり、冬野さんが一番まともだ。
 鹿(か)の子ちゃんという可愛い妹分も付いてくるし、冬野さんが一番お得だ。
 夏川先輩が卒業して別れるまで待ってて。そうしたら、付き合おう。

 絡んでくる酔っ払い(若い男)をどうにかしようとしている冬野さんに、感謝と尊敬で私の好意は急上昇だ。

「っ!!」

 酔っ払いが鼻白んでいる間に冬野さんが「店長呼んで来て」と小声で言ってきた。
 店長は私たち高校生バイトが帰る21時からの勤務に入っているから、店の奥で休憩という名で待機している。主に今の状況みたいな時の対応をする為だ。

「こら、スズキ。店に迷惑かけるなってーの」

 私が店に戻る前に、別の若い男が酔っ払いの肩を組んで、私たちから引き離す。酔っ払いの連れらしい。

「サクライ先輩~」
「泣き付くな。男に泣き付かれても、キモイだけだっつーの」

 酔っ払いの連れは垂れ目のイケメンだった。格好からしても、モテ男を地で行ってるタイプで、無造作に見えるヘアスタイルを作るのに一時間は時間をかけているようだ。

「だって、シホちゃんが・・・。イトウばっかり、モテやがって・・・!」
「モテるもんはしょうがないっしょ? お前みたいなのがモテるのは異世界行かなきゃ無理だって。もっと、努力しろよ」

 それはそう思う。酔っ払いは連れとは違って、モテなさそうなタイプだ。
 ショップの店員に自分が似合う服を選んでもらったら、もっとマシにはなるだろうに・・・。

「モテるサクライ先輩に言われたって、説得力ないッすよ」
「だって、オレ、誠実だもん。誠実でいるのって、大変なんだぜ? そんな努力家なオレの言うことなんだから、守ってたらモテるって」

 話しながら、モテそうな連れは駅の向こう側の商店街のほうへと酔っ払いを連れて行く。商店街とはいっても、あそこの商店街は夜遅くまで開いている飲食店もあるから、これから花火帰りの人が多くなるだろう。

「え~? 信じられないッす。とっかえひっかえしている先輩が誠実だなんて、誰も信じないッすよ」

 やっぱり、モテているらしい。そして見かけ通り本当にチャラい人だったようだ。
 
「信じる者は救われる。オレを信じたら、モテる。ご利益、抜群よ?」
「モテなかったら、どうするんッすか~?」
「酒、おごってやるよ」

 そんな感じでサクライ先輩(?)はスズキさん(?)をうまく扱って、二人は去って行った。

 ああ、終わった。

 隣りで冬野さんが安堵したように息を吐く。

「大丈夫だったか、秋山?」
「うん。ありがとう。冬野さんのおかげで助かったよ」

 酔っ払いから助けようとしてくれたお礼を言うと、冬野さんは渋い表情で首を横に振った。

「俺、役に立たなくて、ごめんな。あいつの連れがどうにかしてくれなかったら、どうしたらいいのかわからなかったよ。引き離そうとつかむのも駄目だし、店長を呼んで来てもらうことぐらいしかできなかったから」

 いや、酔っ払いの対処は店長の仕事だし、冬野さん、責任感強すぎ。
 酔っ払いは帰ったけど、花火帰りの人がたくさんいて遠巻きにされちゃったし、店長に知らせておかないと。

「冬野さんは充分、頑張ってくれたよ。とりあえず、店長呼んで来るね。報告しとかなきゃいけないし」
「そう言ってくれて、ありがとな」
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...