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過ぎいく夏
「冬野さんのおかげで助かったよ」
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店長の気遣いも虚しく、私は酔っ払い(若い男)に絡まれている。
遠い目したっていいよね。
「・・・」
隣りには冬野さん。酔っ払いが絡みはじめたので、お客の対応どころかお客自体いない。
「あのー。すみません、お客様。絡むのは止めてもらえますか?」
申し訳なさと迷惑さが混じった表情で冬野さんが酔っ払い(若い男)に言う。
ありがとう、冬野さん。
フェミニスト?ばんざーい!! 困ってる女の子に優しくするのは常識だよね!
「な。なんだとう?! こっちは客だぞ!」
酔っ払いも繁華街で職質されたり、プールで人が避けるワイルド(ヤバい)系の冬野さんの顔が怖いのか、酔っ払いも少し腰が引き気味だ。
「お酒のせいで、あとで後悔するようなことはしないほうがいいですよ」
冬野さん、すごい。尊敬しちゃう。
プールでの失点はあったけど、やっぱり、冬野さんが一番まともだ。
鹿(か)の子ちゃんという可愛い妹分も付いてくるし、冬野さんが一番お得だ。
夏川先輩が卒業して別れるまで待ってて。そうしたら、付き合おう。
絡んでくる酔っ払い(若い男)をどうにかしようとしている冬野さんに、感謝と尊敬で私の好意は急上昇だ。
「っ!!」
酔っ払いが鼻白んでいる間に冬野さんが「店長呼んで来て」と小声で言ってきた。
店長は私たち高校生バイトが帰る21時からの勤務に入っているから、店の奥で休憩という名で待機している。主に今の状況みたいな時の対応をする為だ。
「こら、スズキ。店に迷惑かけるなってーの」
私が店に戻る前に、別の若い男が酔っ払いの肩を組んで、私たちから引き離す。酔っ払いの連れらしい。
「サクライ先輩~」
「泣き付くな。男に泣き付かれても、キモイだけだっつーの」
酔っ払いの連れは垂れ目のイケメンだった。格好からしても、モテ男を地で行ってるタイプで、無造作に見えるヘアスタイルを作るのに一時間は時間をかけているようだ。
「だって、シホちゃんが・・・。イトウばっかり、モテやがって・・・!」
「モテるもんはしょうがないっしょ? お前みたいなのがモテるのは異世界行かなきゃ無理だって。もっと、努力しろよ」
それはそう思う。酔っ払いは連れとは違って、モテなさそうなタイプだ。
ショップの店員に自分が似合う服を選んでもらったら、もっとマシにはなるだろうに・・・。
「モテるサクライ先輩に言われたって、説得力ないッすよ」
「だって、オレ、誠実だもん。誠実でいるのって、大変なんだぜ? そんな努力家なオレの言うことなんだから、守ってたらモテるって」
話しながら、モテそうな連れは駅の向こう側の商店街のほうへと酔っ払いを連れて行く。商店街とはいっても、あそこの商店街は夜遅くまで開いている飲食店もあるから、これから花火帰りの人が多くなるだろう。
「え~? 信じられないッす。とっかえひっかえしている先輩が誠実だなんて、誰も信じないッすよ」
やっぱり、モテているらしい。そして見かけ通り本当にチャラい人だったようだ。
「信じる者は救われる。オレを信じたら、モテる。ご利益、抜群よ?」
「モテなかったら、どうするんッすか~?」
「酒、おごってやるよ」
そんな感じでサクライ先輩(?)はスズキさん(?)をうまく扱って、二人は去って行った。
ああ、終わった。
隣りで冬野さんが安堵したように息を吐く。
「大丈夫だったか、秋山?」
「うん。ありがとう。冬野さんのおかげで助かったよ」
酔っ払いから助けようとしてくれたお礼を言うと、冬野さんは渋い表情で首を横に振った。
「俺、役に立たなくて、ごめんな。あいつの連れがどうにかしてくれなかったら、どうしたらいいのかわからなかったよ。引き離そうとつかむのも駄目だし、店長を呼んで来てもらうことぐらいしかできなかったから」
いや、酔っ払いの対処は店長の仕事だし、冬野さん、責任感強すぎ。
酔っ払いは帰ったけど、花火帰りの人がたくさんいて遠巻きにされちゃったし、店長に知らせておかないと。
「冬野さんは充分、頑張ってくれたよ。とりあえず、店長呼んで来るね。報告しとかなきゃいけないし」
「そう言ってくれて、ありがとな」
遠い目したっていいよね。
「・・・」
隣りには冬野さん。酔っ払いが絡みはじめたので、お客の対応どころかお客自体いない。
「あのー。すみません、お客様。絡むのは止めてもらえますか?」
申し訳なさと迷惑さが混じった表情で冬野さんが酔っ払い(若い男)に言う。
ありがとう、冬野さん。
フェミニスト?ばんざーい!! 困ってる女の子に優しくするのは常識だよね!
「な。なんだとう?! こっちは客だぞ!」
酔っ払いも繁華街で職質されたり、プールで人が避けるワイルド(ヤバい)系の冬野さんの顔が怖いのか、酔っ払いも少し腰が引き気味だ。
「お酒のせいで、あとで後悔するようなことはしないほうがいいですよ」
冬野さん、すごい。尊敬しちゃう。
プールでの失点はあったけど、やっぱり、冬野さんが一番まともだ。
鹿(か)の子ちゃんという可愛い妹分も付いてくるし、冬野さんが一番お得だ。
夏川先輩が卒業して別れるまで待ってて。そうしたら、付き合おう。
絡んでくる酔っ払い(若い男)をどうにかしようとしている冬野さんに、感謝と尊敬で私の好意は急上昇だ。
「っ!!」
酔っ払いが鼻白んでいる間に冬野さんが「店長呼んで来て」と小声で言ってきた。
店長は私たち高校生バイトが帰る21時からの勤務に入っているから、店の奥で休憩という名で待機している。主に今の状況みたいな時の対応をする為だ。
「こら、スズキ。店に迷惑かけるなってーの」
私が店に戻る前に、別の若い男が酔っ払いの肩を組んで、私たちから引き離す。酔っ払いの連れらしい。
「サクライ先輩~」
「泣き付くな。男に泣き付かれても、キモイだけだっつーの」
酔っ払いの連れは垂れ目のイケメンだった。格好からしても、モテ男を地で行ってるタイプで、無造作に見えるヘアスタイルを作るのに一時間は時間をかけているようだ。
「だって、シホちゃんが・・・。イトウばっかり、モテやがって・・・!」
「モテるもんはしょうがないっしょ? お前みたいなのがモテるのは異世界行かなきゃ無理だって。もっと、努力しろよ」
それはそう思う。酔っ払いは連れとは違って、モテなさそうなタイプだ。
ショップの店員に自分が似合う服を選んでもらったら、もっとマシにはなるだろうに・・・。
「モテるサクライ先輩に言われたって、説得力ないッすよ」
「だって、オレ、誠実だもん。誠実でいるのって、大変なんだぜ? そんな努力家なオレの言うことなんだから、守ってたらモテるって」
話しながら、モテそうな連れは駅の向こう側の商店街のほうへと酔っ払いを連れて行く。商店街とはいっても、あそこの商店街は夜遅くまで開いている飲食店もあるから、これから花火帰りの人が多くなるだろう。
「え~? 信じられないッす。とっかえひっかえしている先輩が誠実だなんて、誰も信じないッすよ」
やっぱり、モテているらしい。そして見かけ通り本当にチャラい人だったようだ。
「信じる者は救われる。オレを信じたら、モテる。ご利益、抜群よ?」
「モテなかったら、どうするんッすか~?」
「酒、おごってやるよ」
そんな感じでサクライ先輩(?)はスズキさん(?)をうまく扱って、二人は去って行った。
ああ、終わった。
隣りで冬野さんが安堵したように息を吐く。
「大丈夫だったか、秋山?」
「うん。ありがとう。冬野さんのおかげで助かったよ」
酔っ払いから助けようとしてくれたお礼を言うと、冬野さんは渋い表情で首を横に振った。
「俺、役に立たなくて、ごめんな。あいつの連れがどうにかしてくれなかったら、どうしたらいいのかわからなかったよ。引き離そうとつかむのも駄目だし、店長を呼んで来てもらうことぐらいしかできなかったから」
いや、酔っ払いの対処は店長の仕事だし、冬野さん、責任感強すぎ。
酔っ払いは帰ったけど、花火帰りの人がたくさんいて遠巻きにされちゃったし、店長に知らせておかないと。
「冬野さんは充分、頑張ってくれたよ。とりあえず、店長呼んで来るね。報告しとかなきゃいけないし」
「そう言ってくれて、ありがとな」
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