生まれ変わっても、あなたは姉を愛してる

プラネットプラント

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第三話

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(今から帰ったら・・・)

 旅館のキャンセル料は発生するかもしれないが、何事もなかったかのように元の生活に戻ることができる。
 彼を待つ生活。仕事だと言って、待ち合わせをすっぽかしてばかりだから、私は部屋の鍵を預けて、彼が来るのを待つ生活。
 きっと、今日も待ち合わせの時間には来ない彼と、もしかしたら、玄関先で鉢合わせするかもしれない。
 そんな生活。

 彼がどうして待ち合わせをすっぽかすのか、本当の理由など知りたくなくて、聞こうともしなかった。
 別れを考えている今も、別れた後も聞きたくはない。
 ・・・――姉と会っている、なんて聞きたくないから。
 姉が結婚しているからといって、旦那様は仕事で忙しい人だから、彼と会う時間はいくらでもある。会っていないはずがない。
 姉と一緒の彼の姿を見たくないから、私は大学の時から一人暮らししている。
 だから、聞けない。
 待ち合わせの約束をすっぽかされても、彼が来ることだけを待っている。

(・・・・・・・・・・・・・・・惨めだわ)

 わかっている。
 前世の時から、わかっている。

 それでも、私は彼を愛していた。

 惨めな二番手の女。

 それでも、彼を愛していた。

 でも、身代わりは嫌で。
 都合の良い女でいることも嫌で。
 隠れ蓑にされるのも嫌で。
 別れたいと思った。

 だから、
 だから――帰られない。
 終電に間に合ったとしても、帰られない。

 今なら何事もなかったかのように、すませられても、帰ることはできない。

 今世まで惨めな女のままでいたくないから。
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