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魔国編
32 世界樹を
しおりを挟む少し前までリオンの胸を借り溢れ続けた涙が治まった頃、サキとキール様、タイクロノスの話が聞こえた
顔をそちらに向ければ悔しそうに顔を歪めるキール様と泣いているサキ、その後ろで世界樹を見つめ続けるセバスさんと拳を握りしめるカイルの姿が見えた
世界樹が枯れる、それはもう覆す事のできないことだと皆が諦めた空気が流れる時、私の中である言葉と約束が思い出される
サキの中に眠る女神はなんて言っていた ??
マオと約束したことは何だった ??
私は、二人に何を託された ??
それを思い出した時私は自然と口から言葉がこぼれていた
諦めることなんてない…世界樹を助ける
「方法はあるわ」
私は穢に侵食されつつある世界樹を見つめそう言葉にした
「マリ、アン ?」
「マリアン殿」
「マリアン様」
「あるのか !?」
サキ、キール様、セバスさん、カイルの声が同時に聞こえた
一人だけものすごく驚いた声で違う言葉をかけてきたけど気にならない、あとで思い出したら笑ってしまったけれど…、ね。
「リア…」
心配そうに私を見つめてきたリオンに微笑んでからもう一度タイクロノス達へと視線を向けた
… 時の子よ、方法があると言ったがどんな方法があるのだ …
「……、賢者マオが私に託したモノ達の力を借り、サキの中に眠る女神の力を借りれば、きっと…」
… だが他の世界の創造神を呼ぶなど不可能だ …
「きっと出来るわ、だって…彼等だって、大切な人が大切にしていた場所を、世界を守りたいはずだもの !! そうよね皆 !!」
そう声をかけると体の中から暑いものが4つ抜けていった。
私から出ていった4つの光の玉は私の周りをクルクル回り徐々に姿を変えていく
私を囲むようにそれぞれ神獣姿に変えていき現れた
『我らを呼んだかの ??』
『どうしたのー ??』
『ついに着いたのですか ??』
『はっ、着いたにしては気持ち悪い空気が漂ってるな』
「皆、世界樹の元へは来れたの、だけど穢を纏った女神が現れて世界樹を穢してしまったの…その穢を消すにはあなた達神獣である四神の力が必要なの」
『うむぅ…内側に穢れがあるのぉ』
『アレを取り除かねばならないのですね』
『あれ嫌な感じだもんねぇ !! でも如何したらいいの ?』
『ふん、そんなもの四方結界で囲んで取り除けばいいだろうが』
『じゃが、アレは我等に違くて違うモノじゃ取り除けたとしても消す事はできぬ』
「取り除くことはできるの ?」
『できるにはできるがのう』
『長くそれを維持する事はできません』
「…消すしか方法がないのね」
『でも、僕達よりあの気持ち悪いやつの方が強いから消すことはできないよぅ』
『我等の世界の神ならば消せるだろうがな』
そう、話していく4匹の様子を私は見ながらたまに会話に参加し考えた。
穢を世界樹から取り除く事はできてもそれを結界内に維持し続ける事はできない。結界が解けた瞬間穢がどんな行動をするのか分からない、そして、穢を消す事ができるのは、元女神と同じ、もしくはそれ以上の存在でないと不可能と言う事が話の中で分かった
でも、サキの中にいる女神は元女神よりも上の存在だけど神力は殆ど無いに近い…
だから穢れを消すことなんてできない、となると…
「タイクロノス…」
… なんだ ? …
「私の時の力を使えば結界を維持することはできる ??」
… 不可能では無いが、時の子の魔力が不足したりなくなった場合はすぐ結界が解かれるな …
「…それじゃぁ」
… 時の子よ、今考えていることはできぬ事はないだろうがそれを行えば時の子が如何なるかはわからぬぞ …
鋭い目で見つめられ一瞬息をつまらせた
私が言おうと考えた事をタイクロノスは気づき釘を差してきたのだろう…
だけど、それしか方法が無いのならば…
「リア」
声を掛けられチラリとリオンの方を向く
リオンも鋭い視線で私を見つめ続けていた
きっとリオンはどんな手を使っても止めようとするだろう、だけどこの世界を救うにはそれしかないのならば、そしてそれができるのが私しかいないのならば…
「私の時の魔力で、時の神力で…穢の時を戻してみせる」
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