親友令嬢が婚約破棄されたので、隣国の使者ですが貰っても宜しいですよね?

あらわ 宵

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14(side フィーリア)

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 歩いて暫く会話の無いまま目的地の扉まで着いた。どうやら謁見の間では無く、応接間に通されるようだ。扉が開かれるとそこには、意外な人物も合わせ、三者三様ともとれる状態でのお出迎えと言うにはあまりにも辛辣な雰囲気だった。


「おかえり~カエルム。フィーリア令嬢も卒業祝宴会以来だね」

「うん、出迎えありがとう」


 第一声にこの雰囲気にそぐわない明るい調子で呑気に声を掛けて来たのは異国からの留学生だった。流暢な王国語を話ているので、もう隠す気は無くなったようだった。


「お久しぶりです。と言うより何故貴方がいらっしゃる……ああ、そういう事ですね、貴方が東の異国から来たあの……」

「流石、フィーリア令嬢は、本当に周りを見ていらっしゃいますね。改めまして、海に囲まれた宮、東の大国パレメールより参りました。フェラン・パレメールです。代表の三兄弟の末っ子なので一応ここで言う第三皇子? に当たるのかな」


 ふっと得意気な笑みを浮かべたフェラン皇子はすっと手を差し出した。少し考えるもある事に気付いて手を差し出し、お互い握りあった。握手をする事で、嬉しそうはにかむフェラン皇子は、きっとこの行為も親交や友好としての意味を込めたままなのだろうな、と思った。


「やっと来てくれたのね、フィーリア! 貴方はまさにこの場を美しく彩り、神々しく咲き誇る白百合のような方よ。私はもうこのむさ苦しい空気に耐えられなかったわ」

「いいえ、この空気にしたのは他でも無い、ベアトリス様です。フィーリア令嬢惑わされてはいけません」


 挨拶もそこそこに勢い良く抱き縋ってきたのはベアトリス皇女様。しかし、直ぐに従者のエクラに訂正されてしまうあたり的を得ているのだろう。


「エクラ、貴方従者の分際で主に楯突く気」

「何を言いますか、ベアトリス皇女様。主の貴方様が全ての真実を明るみにしたのですよ。私も従者の身ではありますが、主様に習って、友人様であるフィーリア令嬢には真実を白日にお伝えした方が信頼感もより深まると思い」

「その真実は言っても言わなくても変わらないのよ!」


 エクラに悪態を言いながらもベアトリス皇女は直ぐに隣に座るように促してくれて、私は手を引かれるままにソファに腰を下ろした。奥の一人用のソファにはカエルム王太子が座った。
 私の向かいにはフェラン皇子が居て、そして、その隣、つまりベアトリス様の向かいに座っていたのは恐らく現われる事は無かったと思われる意外な相手であり、一番驚いた人物だった。


「……いつまで、その姿でいるんですの。見苦しいから顔を上げたらいかが」

「すまない」


 ずっと肘に膝を付け手を組んで祈るように黙っていたのはヴァルル王子。辛辣な面持ちの彼は、私と目が合うとバツの悪い顔をしたが、意を決したように真面目な顔付きに変わる。
 困惑する私はどう声を掛けるべきか躊躇われたし、この場に何故彼がいるのかも疑問であるが、何か言いたげな面持ちではあるものの、ベアトリス様が盛大に溜息をこれ見よがしと言わんばかりにするもので、彼は萎縮しているのか、やっぱり苦手なのかで、言葉を出す事は無かった。


「さて、そろそろ件の話をしましょう。まず、ディプロマシ侯爵家にはお咎めは無い事は周知の事実だろうから他の騒動の発端になった者の処遇を話そうと思う」


 そこにカエルム王太子が区切りを見ていたようで、本題に入ってくれた。侍従が陶器に紅茶を注ぎ、あっという間に茶菓子と紅茶が配られるとエクラと王室専属侍従一人を残し、私達だけになった。

 ベアトリス様はエクラに茶菓子であるクッキーを一つ食べさせると頷き、何食わぬ顔で、自身も置いてある別のクッキーを一つ口に頬張った。一連の動作に慣れてしまっているようで、誰も特に何も言及はしないのだけど、私の目の前に座ってるフェラン皇子はポカンと今の何? と言う顔をしている。後程、彼にはその理由を伝えようとは思った。


「それでは、まずこの騒動で一部の家門は失墜した事もあるけど、まあそこは書面に記されてるから言及はしないよ。
今回の首謀者とされたアロガン・デルニエールは王国に功労のある侯爵家に冤罪の濡れ衣を着せ名誉毀損したとして現在投獄されている。公爵家からも責を負われ廃嫡とされた。仮にも王族を拐かし、失落させた事も含めても最終処断は一番重い。
次に子爵令嬢だけど、彼女は子爵家を追い出され修道院行きが決定し、もう既に北の地域の修道院に行っている。彼女はフィーリア令嬢を貶めたとしているんだけど、実際は何もしていない。学園で起きた事も少し大袈裟に話を盛っていたようだった。
それも、上手い事利用されたみたいだからそこの処罰対象はほぼ無いんだ。申し訳ないんだけど、ただ祝宴会で、皇女に危害を加えようとした罪に極刑は免れる筈が無かったんだけど……これは、ベアトリス皇女が否定した為、このような処遇になった」


 カエルム王太子はふぅと一息着くと、丁寧な所作でお茶を口に運びながらチラリとベアトリス様に視線をやる。
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