親友令嬢が婚約破棄されたので、隣国の使者ですが貰っても宜しいですよね?

あらわ 宵

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15(side フィーリア)

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 ベアトリス様も紅茶を嗜みながらカエルム王太子の視線を気にした様子もなく、カップの紅茶を見ながら口を開いた。


「……ただ話しただけの相手を咎めてどうするんてすの? それに私は何もされておりませんし、私が決める事ではありません」


 ふんっと素知らぬ顔でそっぽを向いてしまった。対外的には、被害者は侯爵家であり、私なのだろう。そこまでの干渉をするのでは無く、彼女はただこの場を最後まで見届ける責務を全うしているとの話はこの期間に聞いていた。
 ベアトリス様の思惑も含めたにしても、彼女のあの反応は予期せぬ出来事で、生死までを問うのはこちらとしては不本意に該当したのかもしれないけど、行き先が北の修道院となると今まで、甘やかされて来た令嬢であるならばかなり厳しい処遇かもしれない。


「……私の汚名返上の為でしたものね。ベアトリス様が煽っただけで、それなのに誰かがベアトリス様のせいで命を落としたら寝覚めが悪いですものね」

「うん、そうね。否定しないけど、肯定もしないわ」

「いえ、私は感謝してますもの」


ふふっと笑うとベアトリス様も隠し切れない表情に綻びを見せていた。


「はいはい、二人の世界に行かないで。次に騎士子息と伯爵子息だけど、二人とも謹慎処分としてる。廃嫡とまではいかないにしても、社交界には暫くは……下手したら二度と顔を出せないだろうね。伯爵子息の方は王子の側近候補を辞退してる上に下級貴族だからと従う他無かったと被害者とまで言ってきたから……まあ、伯爵家は商家でもあるし、金で解決……いや、こちらが使える迄仕えさせようと言う算段をつけたから変な気さえ起こさなければもう大丈夫だよ。
ただ騎士子息に関しては責任の負い方が違うのと、別に証言もあって本人も止められ無かった事を相当悔いてる事。あの祝宴の後にも関わらず嘆願書もあって、信望も強かったし、惜しい人材と判断され反省と言う形を取り、ヴァルル兄様の護衛騎士には、推薦では無くなったけど、王国に生涯忠誠を誓う形になったよ」


 さり気なくとんでもない言い分もあった気がするが、他の処遇も決まった事を理解し頷いた。甘い処断もあるとは思うが意味を持っての英断もあるのだ。
 それに王国にとって、一番の痛手は、恐らく侯爵家を手放さ無ければならなくなった事だと気付かない程、不出来な仕事はしていない。公爵家にとっては目障りだった侯爵家が居なくなってさぞ嬉しい事だろうし、と愉快に思う反面、陛下方の心労は計り知れないだろうな、と少しばかり申し訳ない気持ちにもなる。


「ええ、これで、由緒正しい家門には喜ばしい事でしょうね。ただ女王陛下の心情を考えると少し複雑な気持ちにはなりました。ですが、もう決まってしまった事ですし、覆すのは容易ではないでしょうから」

「……侯爵家への決定はフィーリア令嬢も既に存じ上げている事だね。内外的にもカタストロフィ帝国に召し抱えられる事は決まっている。そう言う事で引継ぎ業務に奔走しているようだが、元々侯爵家にはかなり負担を掛けていた事も発覚した訳で、本当に呆れてものも言えない状況ではあるのが浮き彫りになってしまったところだよ。まあ、殆ど公務に関わってなかった僕が言える話では無いんだけど」

「あら、そうでも無いと思います。カエルム王太子なら立派に職務を全うしますわ」


 これは勘にも近かったが、観察眼に優れ、それでいて今まで第二王子だからと言って決して努力を重ね続けていた事は、王妃教育の一環でこちらに赴いていた私は良く耳にしていた事だった。何より数年王国の社交界に顔を出してなかったベアトリス皇女様が誰なのかを瞬時に見抜き、祝宴でエスコートを買って出る大胆さも十分な片鱗に見えた。
 それにあの時も兄では無く、女王陛下に寄り添っていたのは、誰に着くのが自身の立場で有効かを自然と理解していたからでは無いのだろうか。

 そんな事を考えてるとは梅雨知らず、カエルム王太子は驚いたような表情をした後に少し考える素振りをした後笑った。


「ありがとう。認められるようにこれからも精進していこうと思うよ」


 彼がいれば大丈夫だと思うのは、もう既に彼自身が行動を示しているからに他ならない。
 これで、ある程度の話は終わったように見えたが、ふとヴァルル王子は何故居るのか疑問に思った。婚約も公の場で破棄を宣言し、婚約不履行の書面は既に提出、承認されている。今更何だと言うのか。


「今回の話はこれで終わりなんだけど、これからの事をフィーリア令嬢に話したいんだ。その為にどうしても兄様が話したい事があるからって、本当だったら会う事も許されない。勿論、父も母もディプロマシ侯爵も反対した。僕も反対したけど……条件付きで許可が降りた。でも、フィーリア令嬢が聞きたくなかったらヴァルル兄様は有無を言わせず、この場から退席する事になっている」


 一瞬、彼はベアトリス様に視線を向けた。
 ベアトリス様は特に何も言わず、綺麗な姿勢で優雅ではあるが、ケーキは大きめにカットして口に頬張っていた。私に残っている蟠りを払拭しようとした配慮なのかも知れない。


「わかりました、私はその権利があると言うことですね」


 至って平静にそう答えると、隣に座っていたベアトリス様は立ち上がり、フェラン皇子に手招きした。


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