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地球滅亡予定日まで 残り18日
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10歳の頃、学校がインフルエンザで休校になったことがあった。幸いその時に僕は元気だったので何の問題もなく遊べた時、不謹慎ながら「この状態がずっと続けばいいのに」と思ってしまった。
その願いは奇しくも7年後に叶ってしまった
昨日の暴漢襲撃事件の影響を受けて、捜査や治安の問題のために、当面の間は休校になるようだった。
恐らく隕石衝突まで学校が再開されることは無いだろうから、永久に登校する必要すら無いかもしれない。
でも、学校に行かなくて良いことがこんなにも嬉しくないとは思わなかった……。
勉強をする義務やダルイ行事に参加しなくてはいけない義務などから逃れることは出来たものの、代わりに同年代の誰とも会うことが出来なくなってしまったのだから……。
しかし、これだけにとどまらなかったのだ……。
◇
「今日から裕司は学校には行かないけど……これからどうする?」
母さんが心配そうに聞いてきた。
「とりあえず、自分で勉強をしていこうとは思うけど……」
正直言って、昨日のショックが大きすぎてノープランだったので適当に答えたけど……。
「残り18日しか無いんだ。自由に好きなことしていいぞ? 母さんも、裕司は昨日大変な目に遭ったばっかりなんだし、そんなプレッシャーをかける必要ないぞ」
父さんが妙に優しい声をかけてきた。
ちなみに今日はいつも読んでいた新聞が届かなかったのか手持無沙汰にしているのが分かる。
「ねぇ、あなた。会社に毎日行っていると思ったら実は出社して無いみたいじゃない。
給料が今月分が支払われていないと思って聞いてみたら、
会社が休業状態に入ったから給料が出ないって言われたわ」
父さんはピクッと身体が反応した……。
実をいうと伊崎家は生活に窮することになってしまっている。
僕はあまり注目していなかった点だったが、物流が治安の悪化の影響によって全国的に滞っているために、
スーパーマーケットでも営業しているところも少なくなってしている。
それが品薄と物価高に繋がり、毎日価格が倍になっている有様なのだ。
残念ながらお金は物資調達のために地球があと少しで無くなるかもしれないという状況でも必要なのだ。
ところがそのお金が無いという話を今朝母さんは呟いていた。
「今日の夕食からは非常食の缶詰を開けて食べなきゃいけない日々になるけど、それすらも数日すれば尽きてしまうわ……。
どうして言ってくれなかったのよ……」
「……どうすることも出来ないだろ?」
「それに、預金が以前よりも減ったような気がするけど、一体どこで何に使ったの?」
父さんは沈黙して庭の方に視線を向ける。それに対して母さんの顔が更に厳しいものになる。
「まさか……女?」
「……そうだ」
父さんは意外とあっさりと認めた。僕はこの場に存在していいのかとすら思った……。
「どうして、結婚しておきながらそんなことが出来るのよ……」
「俺の稼いだ金を俺がどう使おうと勝手だろ?」
ピキッと母さんの何かが切れた音がした。僕は茫然と見守っていたが、後戻りできない一線を越えた気がした。
「ふざけないで! 私が支えているから稼ぐことができたんでしょ! 夫婦共有の財産よ! 第一、隕石が衝突しないことだってあり得るんだから来月以降についても考えていかないと! どうするのよ!」
「それならお前が稼いで来いよ! いっつも家で暇して何もしてないだろう! パートのシフト増やせよ!」
「なによ! 毎日、毎週、毎月、毎年! 掃除洗濯、夕ご飯の買い物! 家計のやりくり! 姑やママ友との付き合い! こんな生活まっぴらごめんなのに、アンタは全然あたしの精神的な支えになってくれなかったじゃない! 今のパートだけで精一杯よ!」
「俺だって疲れてたんだよ! 上司の部長と部下との板挟みで課長の俺は色々と大変なんだよ! むしろ俺の方を労わってくれよ! だから外で女を作ってるんだよ!」
「部長のくせに給料が少なくて、やれ疲れた、やれ肩を揉め、やれ料理の味が薄い――終いには浮気で散在してお金が必要になったらスッカラカンじゃない! いい加減にしろよ!」
最近夫婦仲が冷え切っている中で、僕の学校の一件で色々考えていた結果、「最後の一撃」になってしまったのだろう。
両親の罵詈雑言が飛び交っている中で学校に行くことも出来ないというのは、隕石衝突することよりもある意味地獄だった。
むしろ、今すぐ隕石が衝突して早くこの悪夢から抜け出したいような気分にすらなった……。
明日からもずっとこんな雰囲気でい続けるのだろうか……。
この2人としても他に行き場所は無いだろうし、家を出ることもないだろう。
僕が外に行くとしても治安悪化で危険。八方塞がりな気がして気が遠くなってきた。
「この家の月々のローンの返済だの教育費だので月々の支払いがあるから使えるお金が少なくて当たり前だろ! お前が日頃の生活費の節約の仕方が問題なんじゃねぇのかよ!」
母さんのこめかみがビクリッ! と大きく震え、ブチッ! と決定的に何かが壊れた音がした。
「ここでアンタを殺して死刑宣告になっても! どの道18日後に隕石が衝突して死ぬんだ!
日頃の積年の恨み! ここで晴らさずして死ねるかぁ!」
そう叫びながら母さんは台所から包丁を2本抜き取ると父さんに向けた!
「お、おい! 育枝、正気に戻れ!」
父さんは必死に取り押さえようとするが、母さんは今まで見たことが無いほどの力で振りほどいた。
「アタシは本気だよ! 知らないのかい!? 一気に殺人が増えて警察がひっきりなしに動いているんだ。ここでアンタを殺しても罪にも問われないし逮捕もされないんだよおおおおお!」
父さんは心臓と腹をそれぞれ刺されて崩れ落ちた――。
滅茶苦茶仲の良い家族だとは思っていなかったが、小学生の頃はよく家族旅行に行っていたし、つい最近まで夫婦喧嘩を見たことも無かった。
でもそれが逆に良くなかったのかもしれない。
地震が今まで起きたことが無かった場所で大地震が起きれば備えが足りず壊滅的な被害が起きるように、
マグマが小さい爆発をすること無く永遠とたまり続けてしまったのだろう……。
「俺は……家族のシナジーすらも繋ぎ止められていなかったか――」
血だまりがドンドンと濃くなり、やがて父さんは動かなくなった。
父さんは以前言っていた組織内のシナジー(連携効率)の低下で組織は滅び、人類内のシナジーの低下で種族人類が滅ぶと。
僕の家庭は気が付かないうちにシナジーが無くなり、ちょっとしたきっかけであっという間に崩れ去ったのだ……。
母さんは持っていた包丁を取り落とすと、その場で電話をかけ始めた。
話している内容からすると警察に自ら通報したようだった……。
先ほどはこの状況なら罪から逃れられるとか言っていたけど、母さんはそんな大層なメンタルを持ち合わせていない。罪の重さで潰れてしまうために自ら自首したのだ……。
しばらくすると警察がやってきて
僕は2日連続で何やら警察から話を聴取を受けた――何を答えたのか覚えていないけども……。
僕は目の前で起きたことが昨日に引き続き信じられないという気持ちで、
それらを呆然と見守っていた。
昨日の暴漢の襲撃で熊田君が目の前で刺されたことに引き続き、またしても何も出来なかった……。
止めに入ることもせず、目の前に起きていた信じられないことを頭の中で解説していることだけだったんだ……。
誰が聞いても言い訳にしか聞こえないだろうけど、怖かったんだ。
僕が発言・行動することによって火に油を注ぐんじゃないか……。
更にその火の粉がこちらにまで飛び散ってしまうのではないかって……。
最悪の結果が連続して起きてしまったのにも関わらず、つくづく弱い人間だと自分自身に対して呆れ果てていると、
いよいよ母さんが連行されるということになるようだった。
何も出来なかった最後の償いとして母さんを見送ろうと思った……。
母さんに手錠をかけられてパトカーに乗り込む直前に振り返って僕と目が合った。
「裕司、魂まで汚しちゃいけないよ。アンタはあたしみたいにならず、最後までキチンと生きるんだよ!」
まだ目の前で起きたことが全く現実感が無かったのでその言葉の意味を理解することが出来なかった。
後にその言葉は事実上の遺言として受け取ることになるのだけども……。
こんなことになるだなんてほんの2日前まで思いもしなかった。
隕石が衝突して地球ごと人生が終わるのか……と漠然と思っていたのだが、隕石が衝突する前に全てが砕け散ってしまった。
寝て何もかも無かったことになるか、この酷い出来事全て忘れられたらいいのに……。
あまりにも衝撃を受けすぎると涙も出ない。心の中の何かが壊れてしまったかのようだ。
まるで永久に覚めることのない悪夢より酷い何かを見せられているような気がした。
その願いは奇しくも7年後に叶ってしまった
昨日の暴漢襲撃事件の影響を受けて、捜査や治安の問題のために、当面の間は休校になるようだった。
恐らく隕石衝突まで学校が再開されることは無いだろうから、永久に登校する必要すら無いかもしれない。
でも、学校に行かなくて良いことがこんなにも嬉しくないとは思わなかった……。
勉強をする義務やダルイ行事に参加しなくてはいけない義務などから逃れることは出来たものの、代わりに同年代の誰とも会うことが出来なくなってしまったのだから……。
しかし、これだけにとどまらなかったのだ……。
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「今日から裕司は学校には行かないけど……これからどうする?」
母さんが心配そうに聞いてきた。
「とりあえず、自分で勉強をしていこうとは思うけど……」
正直言って、昨日のショックが大きすぎてノープランだったので適当に答えたけど……。
「残り18日しか無いんだ。自由に好きなことしていいぞ? 母さんも、裕司は昨日大変な目に遭ったばっかりなんだし、そんなプレッシャーをかける必要ないぞ」
父さんが妙に優しい声をかけてきた。
ちなみに今日はいつも読んでいた新聞が届かなかったのか手持無沙汰にしているのが分かる。
「ねぇ、あなた。会社に毎日行っていると思ったら実は出社して無いみたいじゃない。
給料が今月分が支払われていないと思って聞いてみたら、
会社が休業状態に入ったから給料が出ないって言われたわ」
父さんはピクッと身体が反応した……。
実をいうと伊崎家は生活に窮することになってしまっている。
僕はあまり注目していなかった点だったが、物流が治安の悪化の影響によって全国的に滞っているために、
スーパーマーケットでも営業しているところも少なくなってしている。
それが品薄と物価高に繋がり、毎日価格が倍になっている有様なのだ。
残念ながらお金は物資調達のために地球があと少しで無くなるかもしれないという状況でも必要なのだ。
ところがそのお金が無いという話を今朝母さんは呟いていた。
「今日の夕食からは非常食の缶詰を開けて食べなきゃいけない日々になるけど、それすらも数日すれば尽きてしまうわ……。
どうして言ってくれなかったのよ……」
「……どうすることも出来ないだろ?」
「それに、預金が以前よりも減ったような気がするけど、一体どこで何に使ったの?」
父さんは沈黙して庭の方に視線を向ける。それに対して母さんの顔が更に厳しいものになる。
「まさか……女?」
「……そうだ」
父さんは意外とあっさりと認めた。僕はこの場に存在していいのかとすら思った……。
「どうして、結婚しておきながらそんなことが出来るのよ……」
「俺の稼いだ金を俺がどう使おうと勝手だろ?」
ピキッと母さんの何かが切れた音がした。僕は茫然と見守っていたが、後戻りできない一線を越えた気がした。
「ふざけないで! 私が支えているから稼ぐことができたんでしょ! 夫婦共有の財産よ! 第一、隕石が衝突しないことだってあり得るんだから来月以降についても考えていかないと! どうするのよ!」
「それならお前が稼いで来いよ! いっつも家で暇して何もしてないだろう! パートのシフト増やせよ!」
「なによ! 毎日、毎週、毎月、毎年! 掃除洗濯、夕ご飯の買い物! 家計のやりくり! 姑やママ友との付き合い! こんな生活まっぴらごめんなのに、アンタは全然あたしの精神的な支えになってくれなかったじゃない! 今のパートだけで精一杯よ!」
「俺だって疲れてたんだよ! 上司の部長と部下との板挟みで課長の俺は色々と大変なんだよ! むしろ俺の方を労わってくれよ! だから外で女を作ってるんだよ!」
「部長のくせに給料が少なくて、やれ疲れた、やれ肩を揉め、やれ料理の味が薄い――終いには浮気で散在してお金が必要になったらスッカラカンじゃない! いい加減にしろよ!」
最近夫婦仲が冷え切っている中で、僕の学校の一件で色々考えていた結果、「最後の一撃」になってしまったのだろう。
両親の罵詈雑言が飛び交っている中で学校に行くことも出来ないというのは、隕石衝突することよりもある意味地獄だった。
むしろ、今すぐ隕石が衝突して早くこの悪夢から抜け出したいような気分にすらなった……。
明日からもずっとこんな雰囲気でい続けるのだろうか……。
この2人としても他に行き場所は無いだろうし、家を出ることもないだろう。
僕が外に行くとしても治安悪化で危険。八方塞がりな気がして気が遠くなってきた。
「この家の月々のローンの返済だの教育費だので月々の支払いがあるから使えるお金が少なくて当たり前だろ! お前が日頃の生活費の節約の仕方が問題なんじゃねぇのかよ!」
母さんのこめかみがビクリッ! と大きく震え、ブチッ! と決定的に何かが壊れた音がした。
「ここでアンタを殺して死刑宣告になっても! どの道18日後に隕石が衝突して死ぬんだ!
日頃の積年の恨み! ここで晴らさずして死ねるかぁ!」
そう叫びながら母さんは台所から包丁を2本抜き取ると父さんに向けた!
「お、おい! 育枝、正気に戻れ!」
父さんは必死に取り押さえようとするが、母さんは今まで見たことが無いほどの力で振りほどいた。
「アタシは本気だよ! 知らないのかい!? 一気に殺人が増えて警察がひっきりなしに動いているんだ。ここでアンタを殺しても罪にも問われないし逮捕もされないんだよおおおおお!」
父さんは心臓と腹をそれぞれ刺されて崩れ落ちた――。
滅茶苦茶仲の良い家族だとは思っていなかったが、小学生の頃はよく家族旅行に行っていたし、つい最近まで夫婦喧嘩を見たことも無かった。
でもそれが逆に良くなかったのかもしれない。
地震が今まで起きたことが無かった場所で大地震が起きれば備えが足りず壊滅的な被害が起きるように、
マグマが小さい爆発をすること無く永遠とたまり続けてしまったのだろう……。
「俺は……家族のシナジーすらも繋ぎ止められていなかったか――」
血だまりがドンドンと濃くなり、やがて父さんは動かなくなった。
父さんは以前言っていた組織内のシナジー(連携効率)の低下で組織は滅び、人類内のシナジーの低下で種族人類が滅ぶと。
僕の家庭は気が付かないうちにシナジーが無くなり、ちょっとしたきっかけであっという間に崩れ去ったのだ……。
母さんは持っていた包丁を取り落とすと、その場で電話をかけ始めた。
話している内容からすると警察に自ら通報したようだった……。
先ほどはこの状況なら罪から逃れられるとか言っていたけど、母さんはそんな大層なメンタルを持ち合わせていない。罪の重さで潰れてしまうために自ら自首したのだ……。
しばらくすると警察がやってきて
僕は2日連続で何やら警察から話を聴取を受けた――何を答えたのか覚えていないけども……。
僕は目の前で起きたことが昨日に引き続き信じられないという気持ちで、
それらを呆然と見守っていた。
昨日の暴漢の襲撃で熊田君が目の前で刺されたことに引き続き、またしても何も出来なかった……。
止めに入ることもせず、目の前に起きていた信じられないことを頭の中で解説していることだけだったんだ……。
誰が聞いても言い訳にしか聞こえないだろうけど、怖かったんだ。
僕が発言・行動することによって火に油を注ぐんじゃないか……。
更にその火の粉がこちらにまで飛び散ってしまうのではないかって……。
最悪の結果が連続して起きてしまったのにも関わらず、つくづく弱い人間だと自分自身に対して呆れ果てていると、
いよいよ母さんが連行されるということになるようだった。
何も出来なかった最後の償いとして母さんを見送ろうと思った……。
母さんに手錠をかけられてパトカーに乗り込む直前に振り返って僕と目が合った。
「裕司、魂まで汚しちゃいけないよ。アンタはあたしみたいにならず、最後までキチンと生きるんだよ!」
まだ目の前で起きたことが全く現実感が無かったのでその言葉の意味を理解することが出来なかった。
後にその言葉は事実上の遺言として受け取ることになるのだけども……。
こんなことになるだなんてほんの2日前まで思いもしなかった。
隕石が衝突して地球ごと人生が終わるのか……と漠然と思っていたのだが、隕石が衝突する前に全てが砕け散ってしまった。
寝て何もかも無かったことになるか、この酷い出来事全て忘れられたらいいのに……。
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