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第七話
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それから数ヶ月が経過した。バイトを増やした事以外は生活に変化は無く、相変わらずの日々を送っている。
帰宅すると、早速机に向かって執筆する。ここ数ヶ月の内に大量に蓄積されたメモが、机上の広範囲を埋めてしまっている。それらを適当に纏めると、途中になっている原稿用紙を引っ張り出した。
存在抹消ボタンを題材に書き進めているが、中々リアルな描写が出来ず詰まってしまう。それもその筈だ。今回の題材については、ほぼイメージで書かなくてはならないのだから。
実際目の当たりにしたら。イメージしてみるが、それさえ所詮想像だ。実際の事は、本当に直面しないと分からない物だろう。
筆が全く進まず、一先ず休息を挟む事に決めた。書きたい意欲とは裏腹に、進歩が無く少し苛々としてしまう。
携帯の電源を入れる。気分転換にネットサーフィンする為だ。検索ボタンにカーソルを合わせると、検索履歴の一行目に¨存在抹消ボタン¨が出てきた。二番目からも¨存在抹消ボタン 証言¨ ¨存在抹消ボタン 本物か?¨など、付属が付けられただけの履歴が並んでいた。
現段階でも、存在抹消ボタンの効果は実証されていない。多分、永遠に立証されはしないだろう。なぜなら、実際抹消されていても語ってくれる人間は居ないのだから。
その所為もあり、これはデマだとの意見が多くなった。人々の関心も、少しずつ薄れていっている――気がする。
しかし、それでも博士は主張し続ける。これは本物だと。他の博士が辛辣な言葉を並べるのを物ともせず、実際消えている人間が居るんだと言い続けている。証拠は提出出来ないと、博士自身も諦めてしまってはいるが。
多分、新情報は無いだろう。そう考え、僕は久しぶりの単語を―――名詞を検索ワードとして打ち込んだ。名詞とは、高羽司佐――そう、自分の名だ。基本は避けるようにしているが、それでも時々気になってしまうのだ。
検索結果は数多く並んだ。無名作家でも、結果だけはやたらと多い。ただ、少しだけ表示される内容を見ても、あまり高評価は無いように感じる。こっ酷い低評価も無いと見えるが。
所謂、心に残らない存在なのだ。何も感じない、平々凡々な作品。
それでも、どこかに葉月のような存在がいるかもしれないと、適当に見出しをタップした。
だが、それは間違いだった。表示されたのは恐れていた酷評だった。本の内容についての批判から始まり、最後には作者に対しての悪口までがつらつらと綴られている。
途中でやめる事も出来たが、僕はなぜかしなかった。苦しくなりながらも、全てに目を通してしまった。
多分、書いた本人は、そこまで強い気持ちで書いてはいないだろう。語尾に付けられる¨w¨のマークが適当さを表現している。それでも、痛いものは痛かった。批判までは良い、しかし悪口や罵倒となると話は別だ。
僕は、モヤモヤと絡まる心持ちのまま、サイトページを落とした。
――直後、電話が鳴った。本を発売する際、よく手助けしてくれた担当だった。
帰宅すると、早速机に向かって執筆する。ここ数ヶ月の内に大量に蓄積されたメモが、机上の広範囲を埋めてしまっている。それらを適当に纏めると、途中になっている原稿用紙を引っ張り出した。
存在抹消ボタンを題材に書き進めているが、中々リアルな描写が出来ず詰まってしまう。それもその筈だ。今回の題材については、ほぼイメージで書かなくてはならないのだから。
実際目の当たりにしたら。イメージしてみるが、それさえ所詮想像だ。実際の事は、本当に直面しないと分からない物だろう。
筆が全く進まず、一先ず休息を挟む事に決めた。書きたい意欲とは裏腹に、進歩が無く少し苛々としてしまう。
携帯の電源を入れる。気分転換にネットサーフィンする為だ。検索ボタンにカーソルを合わせると、検索履歴の一行目に¨存在抹消ボタン¨が出てきた。二番目からも¨存在抹消ボタン 証言¨ ¨存在抹消ボタン 本物か?¨など、付属が付けられただけの履歴が並んでいた。
現段階でも、存在抹消ボタンの効果は実証されていない。多分、永遠に立証されはしないだろう。なぜなら、実際抹消されていても語ってくれる人間は居ないのだから。
その所為もあり、これはデマだとの意見が多くなった。人々の関心も、少しずつ薄れていっている――気がする。
しかし、それでも博士は主張し続ける。これは本物だと。他の博士が辛辣な言葉を並べるのを物ともせず、実際消えている人間が居るんだと言い続けている。証拠は提出出来ないと、博士自身も諦めてしまってはいるが。
多分、新情報は無いだろう。そう考え、僕は久しぶりの単語を―――名詞を検索ワードとして打ち込んだ。名詞とは、高羽司佐――そう、自分の名だ。基本は避けるようにしているが、それでも時々気になってしまうのだ。
検索結果は数多く並んだ。無名作家でも、結果だけはやたらと多い。ただ、少しだけ表示される内容を見ても、あまり高評価は無いように感じる。こっ酷い低評価も無いと見えるが。
所謂、心に残らない存在なのだ。何も感じない、平々凡々な作品。
それでも、どこかに葉月のような存在がいるかもしれないと、適当に見出しをタップした。
だが、それは間違いだった。表示されたのは恐れていた酷評だった。本の内容についての批判から始まり、最後には作者に対しての悪口までがつらつらと綴られている。
途中でやめる事も出来たが、僕はなぜかしなかった。苦しくなりながらも、全てに目を通してしまった。
多分、書いた本人は、そこまで強い気持ちで書いてはいないだろう。語尾に付けられる¨w¨のマークが適当さを表現している。それでも、痛いものは痛かった。批判までは良い、しかし悪口や罵倒となると話は別だ。
僕は、モヤモヤと絡まる心持ちのまま、サイトページを落とした。
――直後、電話が鳴った。本を発売する際、よく手助けしてくれた担当だった。
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