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25(ハリエット)
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いた。
見つけた。
あれがレイチェルだわ。
「……許さない……っ」
誰よりも私を大切にしてくれていたはずのマシューなのに、こんなに可哀想な私を見棄てて、私の元を去ってしまった。
それもこれも、全部あのレイチェルとかいう女のせい。
全部狂ってしまった。
両親はマシューを説得するどころか、マシューを巻き込んではいけないとか意味のわからない説教ばかり。
しかも、今までのように贅沢はできないと言って、気に入っているドレスやアクセサリーや、家具まで売りに出してしまった。
大切なぬいぐるみも捨てられた。
食事も召使みたいに粗末なものばかりになって、不味いったらありゃしない。
こんな仕打ち、本当のマシューなら許すはずなかったのに。
私を救い出してくれたはずなのに……!
思えばマシューがあの女に求婚なんかした時点で、全てが狂い始めてしまったのよ。
マシューは、私の味方として、辛い結婚生活を支える為に駆けつけるべきだった。
マシューのくせに、人並みに貴族ぶって結婚しようなんて生意気。
私を待っていればよかったのに。
私が寂しい時。
私が悲しい時。
私が辛い時。
私の逃げ場になれるよう、ずっと独身のまま待っていればよかったのよ。
私のマシューを別人に作り変えたあの女を、私は絶対に許さない。
だって、いくらオーブリーが私を蔑んで虐めたって、マシューが結婚してくれれば全部丸く収まったもの。
でも、私、マシューを責めたりしない。
大切なマシュー。
あなたは変わってしまったけれど、それはレイチェルとかいう女のせいだもの。
目障りなレイチェルがこの世から消えて無くなれば、マシューは目を覚ましてくれる。
私の元に帰って来てくれる。
そして、私に必要な物全てを与えてくれる。
愛。
ぬいぐるみ。
素敵なドレスやアクセサリー。
満ち足りた生活。
結婚。
私を幸せにしてくれるはず。
「いい気になって……」
たかが伯爵令嬢の分際で、例のレイチェルとかいう女は王弟クリストファー殿下の妃に取り立てられて、随分いい暮らしをしているらしい。
そんな噂を聞いた時、私は怒りで失神するかと思った。
信じられない。
そういう人材が必要なら、私が侯爵夫人だった頃に声を掛けてくれればよかったのに。妃も馬鹿ね。王弟殿下はどうしてそんな女を選んだのかしら。見る目が無いわ。
本当にみんなどうかしてる。
私が侮辱と苦しみに悶えながら必死で生活していたら、いつの間にかレイチェルは仕える妃の出産を助けたとかで更に評判がよくなっていた。
最悪なことはまだあって、そんな中マシューがレイチェルに度々ラブレターを送って復縁を迫っているらしい。
この世界は間違っている。
それもこれも全てレイチェルのせい。
だから私はこうして遥々やってきたのだ。
世間にレイチェルの本性を知らしめるために。
何も命までは奪いはしない。
私は天使だもの、そんな残酷なことはしない。
「……」
残酷なのは、レイチェルよ。
マシューの愛も、世間の賞賛も、王弟夫妻の信頼も、得るには値しない見下げ果てた女なのよ。
事実がどうであるかなんて関係ない。
こんなに可愛くて純真無垢で誰からも愛されるべきな私が、妻失格で侯爵夫人も失格で親の愛まで失おうとしているのと同じ。
周りが、そう、判断するだけ。
だから私が教えてあげる。
みんなが褒めちぎるレイチェルなんて女はいないんだって。
「……マシュー……」
私だけは、あなたを待ってる。
愛してあげる。
だからちゃんと私を愛して。
見つけた。
あれがレイチェルだわ。
「……許さない……っ」
誰よりも私を大切にしてくれていたはずのマシューなのに、こんなに可哀想な私を見棄てて、私の元を去ってしまった。
それもこれも、全部あのレイチェルとかいう女のせい。
全部狂ってしまった。
両親はマシューを説得するどころか、マシューを巻き込んではいけないとか意味のわからない説教ばかり。
しかも、今までのように贅沢はできないと言って、気に入っているドレスやアクセサリーや、家具まで売りに出してしまった。
大切なぬいぐるみも捨てられた。
食事も召使みたいに粗末なものばかりになって、不味いったらありゃしない。
こんな仕打ち、本当のマシューなら許すはずなかったのに。
私を救い出してくれたはずなのに……!
思えばマシューがあの女に求婚なんかした時点で、全てが狂い始めてしまったのよ。
マシューは、私の味方として、辛い結婚生活を支える為に駆けつけるべきだった。
マシューのくせに、人並みに貴族ぶって結婚しようなんて生意気。
私を待っていればよかったのに。
私が寂しい時。
私が悲しい時。
私が辛い時。
私の逃げ場になれるよう、ずっと独身のまま待っていればよかったのよ。
私のマシューを別人に作り変えたあの女を、私は絶対に許さない。
だって、いくらオーブリーが私を蔑んで虐めたって、マシューが結婚してくれれば全部丸く収まったもの。
でも、私、マシューを責めたりしない。
大切なマシュー。
あなたは変わってしまったけれど、それはレイチェルとかいう女のせいだもの。
目障りなレイチェルがこの世から消えて無くなれば、マシューは目を覚ましてくれる。
私の元に帰って来てくれる。
そして、私に必要な物全てを与えてくれる。
愛。
ぬいぐるみ。
素敵なドレスやアクセサリー。
満ち足りた生活。
結婚。
私を幸せにしてくれるはず。
「いい気になって……」
たかが伯爵令嬢の分際で、例のレイチェルとかいう女は王弟クリストファー殿下の妃に取り立てられて、随分いい暮らしをしているらしい。
そんな噂を聞いた時、私は怒りで失神するかと思った。
信じられない。
そういう人材が必要なら、私が侯爵夫人だった頃に声を掛けてくれればよかったのに。妃も馬鹿ね。王弟殿下はどうしてそんな女を選んだのかしら。見る目が無いわ。
本当にみんなどうかしてる。
私が侮辱と苦しみに悶えながら必死で生活していたら、いつの間にかレイチェルは仕える妃の出産を助けたとかで更に評判がよくなっていた。
最悪なことはまだあって、そんな中マシューがレイチェルに度々ラブレターを送って復縁を迫っているらしい。
この世界は間違っている。
それもこれも全てレイチェルのせい。
だから私はこうして遥々やってきたのだ。
世間にレイチェルの本性を知らしめるために。
何も命までは奪いはしない。
私は天使だもの、そんな残酷なことはしない。
「……」
残酷なのは、レイチェルよ。
マシューの愛も、世間の賞賛も、王弟夫妻の信頼も、得るには値しない見下げ果てた女なのよ。
事実がどうであるかなんて関係ない。
こんなに可愛くて純真無垢で誰からも愛されるべきな私が、妻失格で侯爵夫人も失格で親の愛まで失おうとしているのと同じ。
周りが、そう、判断するだけ。
だから私が教えてあげる。
みんなが褒めちぎるレイチェルなんて女はいないんだって。
「……マシュー……」
私だけは、あなたを待ってる。
愛してあげる。
だからちゃんと私を愛して。
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