38 / 43
38
しおりを挟む
「……!」
「……っ」
国境の危機を救うべく派遣された王国の英雄フィンリー侯爵とアイラが一目で恋に落ちた瞬間を間近で目撃し、切迫した事態の中での一瞬の華やぎに私は胸を躍らせた。
年の差はあれど、若者の輝きに心癒される年下好きなフィンリー侯爵にとって妙齢のアイラは丁度いい年齢だし、貴族との結婚を虎視眈々と狙い続けいつか婚期を逃しそうだったアイラにとって絶好のチャンス到来な上とてつもなくいい相手だ。
しかもアイラは教養や精神の面で前妻より遥かに優れているし、なにより城塞都市生まれの城塞都市育ちで英雄にはぴったり。
教養レベルの高さでどうしても年上狙いになりがちなアイラには、深みを増した中年男の魅力がたまらないのかもしれない。
「国王陛下の命により……」
フィンリー侯爵はゴールトン=コリガン辺境伯トレヴァーではなく、私の横に立つアイラを見つめたまま口上を述べ始めた。
私が破談となりトレヴァーに出会うまでの間や、トレヴァーと結婚するまでの間に、私の傍で幸せを願ってくれたウォリロウ侯爵夫人と心が重なったような気がする。
それは形の無い励ましであり、支えであり、喜びだ。
ウォリロウ侯爵家からは莫大な寄付が寄せられている。
破談といえば……
「……」
マシューだわ。
いるわ。
「……」
フィンリー侯爵の一団の中には名門貴族や平民の子息たちが入り混じっている。
皆、心を一つにしてフィンリー侯爵を師と仰ぎ邁進している若者たちだったはずだ。彼らの一部は既にいい年齢に差し掛かっており、マシューもその一人といえる。
感慨深い。
一瞬、目が合った。
マシューは静かに目を伏せた。
「……」
状況が状況だからなのかもしれないけれど、既に宣戦布告を受け襲撃を待つ静かな戦地となった場所でいちばん懐かしい顔を見たら、それだけで言葉にできない感動が私の胸を奮わせ、思いがけない活力となった。
私を捨てた元婚約者であるのも事実。
併し、今目の前にいるマシューは信頼できる旧友や家族に等しい。
年齢を重ね、そして訓練も重ねたのだろう。
あのマシューの優しい顔立ちに精悍な色が加えられ、大人の男性になっていた。マシューの方でも出産を経て母となった私のことを似たような感覚で観察していたのかもしれない。
フィンリー侯爵の一団は二手に分かれ東と西の砦の外側で守備にあたる為、到着早々、持ち場に着いた。
併し、マシューだけは移動せずその場に残り続けた。
物々しい移動の中でマシューが進み出てトレヴァーの前に跪く。
「……」
私の元婚約者を見下ろすトレヴァーの目には、見たこともない冷たい光がちらついている。
「……」
マシュー。
やめて。
余計なことを言わないで。
そんな願いを込め固唾を飲みつつマシューの後頭部を見下ろしていた私だったけれど、私の元婚約者は思わぬ朗報を齎した。
「コルボーン伯領は全方位を善良な諸侯に囲まれた極めて穏やかな土地です。国境の砦の再建に尽力すべく、領内の八割の大工と石工を伴って参りました。どうぞお役立てください」
「……!」
マシューの言う通り、コルボーン伯領は気候も情勢も極めて穏やかな土地だった。
だからマシューのような無責任な優しさを振りまくお坊ちゃんが育ってしまったといえるけれど、それは脇に置くとして、平穏を極めるコルボーン伯領は芸術や建築などの学問を究めるのにうってつけの場所で優秀な人材が多い。
砦の再建に当たり、コルボーン伯領の職人が加勢してくれるのは心強い。
「御父上の御意思か?」
トレヴァーが冷徹な問いを投げかける。
元婚約者として、私への私情で勝手に領内の男たちを戦地へ連れて来たとなれば、それはやはり大問題だった。
マシューはきっぱりと否定した。
「いえ。コルボーン伯爵家の意志です。また、無理矢理に連れて来たのでもありません。皆、国境の危機の役に立ちたいと信念を持ち集った男たちです」
「……」
トレヴァーは静かに機嫌を損ね、小さな溜息をついてから表情を変えた。
「ありがとう。コルボーン伯領の大工は優秀と妻から聞いている。頼りにしている」
ちなみに私は言ってない。
「……」
マシューは無言で頭を下げた。
実際、マシューが引き連れてきたコルボーン伯領の大工や石工たちはとても優秀であるだけでなく堅実且つ謙虚であり、ゴールトン=コリガンの砦の再建に大いに役立った。
誇りと業を持った職人でありながらゴールトン=コリガンの職人たちの言う事をよく聞くのである。
「あんな真面目な良い人たちがいるんですね!」
と、方々から称賛の声が上がった。
更には勤勉でもある石工たちによって、南の岩山の材質をよく理解し、堅牢な石材を採掘したら加工しながら運搬するという驚愕の時短術が半日で実行され、驚くべき速さで城壁と砦の再建が進んだのだ。
基本的に、採石場は採石場、加工場は加工場として何百年も機能してきた。
ゴールトン=コリガンの職人たちも充分すぎるほど優秀なのに、余所者の提案を無下にするほど頑固でもなかった。
彼らは性質が両極端すぎて、却って仲良くなっていった。
そして仲良くなって作業が更に捗るのである。
そんな謙虚で優秀な職人の資質は、コルボーン伯領で生まれ育ち教育を受けたマシューにも備わっていた。
あのマシューが、フィンリー侯爵のもとで才能を開花させていた。
マシューは砦の外側に投石機能を備えた防壁というか、防壁の機能を備えた投石器のようなものを現地で組み立てて、東の農村地帯に到着から七日で安全な暮らしを取り戻させた。
落雷によって半壊した東の砦が元通りの姿になるにはどうしても月日を要するものの、充分、その時間を稼げたのだった。
「奥様よりお馬鹿な幼馴染なんかを優先した偽善的な軟弱者だって坊ちゃんが言ってましたけど、結構頼りになるじゃありませんか」
マイラがトレヴァーからそんな悪口を吹き込まれていたなんて知らなかった……
でも事実だ。
東の安全をある程度確保できると、マシューは更に西の砦の防壁と西の城壁に増築を提案した。
トレヴァーとマシューは職人たちのように仲良くはならなかったけれど、国境の安全を守る貴族として互いを尊重し信頼しあいながら邁進しているように私には見えた。
「君の前の男と思うと腹立つが、あいつ、頭いいな」
「成長したのよ」
私は事実を述べたまでだったけれど、トレヴァーは夫としては面白くないようだった。
併しそれは落雷によって防壁を半分以上失い宣戦布告を受けている状況下において、些末な問題でしかなかった。
マシューの提案で、砦の防壁と城塞の城壁に取り付け式の振り払い発射装置が設置された。
「つまりですね。万が一ですよ?よじ登って来た敵兵を、ペダル式の鉄の振り子でぶぅんと払い落とすわけです」
パンディアーニが髭の先をぶぅんと振って私にもわかりやすく説明してくれたのを見て、私はクリストファー殿下を思い出した。
メラン伯爵クリストファー殿下も陛下の命を受け、間もなく到着する。
「更にもう一つのペダルを踏むとバネとネジで鉄の矢を放ちます。これはですね、弓兵一人で三人分の働きが可能になるわけです。凄い!」
パンディアーニは本気で感動しているようだった。
私は言葉を失った。
凄いのだろう。
驚くのは、それをマシューが発案し、迅速に増築してしまったことだ。
私の知る、優しいだけで役に立たない偽善的な彼は、既にいなかった。
離れている間にマシューも自身の人生を見つめ直し、歩み、本当に成長したのだ。それを実感した時、私は自分の中にある感情をどう名付ければいいかわからなかった。
次第にそれは、感動だと理解した。
フィンリー侯爵が見たかった光を、私も見たのだ。彼は正しかった。
そんなフィンリー侯爵はアイラと熱い眼差しを交わしている。
勿論、其々が多忙を極めている為、すれ違いざまに、無言で。
燃えあがる二人に言葉はいらないということだろう。
私もマシューとは言葉を交わさなかった。
私は頼れる旧友として彼を見ていたけれど、夫のトレヴァーは私とマシューが個人的に交流するのをよく思うわけがないし、マシューも新しい人生を歩む今、私という過去と必要以上に関与したくないかもしれないと思ったからだ。
別れたはずの人生の道が、今一度、交わっている。
不思議な感覚に名前も付けられないまま日々が過ぎてゆき、やがて北の同盟国から大量の干し肉と酒が届いた。
フィンリー侯爵の一団は長期戦を見越して保存食を持ち込んできていたし、コルボーン伯領の職人集団は助けに来た身分だからと粗食を貫いていたものの、確実に備蓄は圧迫されていた。
それさえも解決してしまった。
落雷は、果たして、国境の危機だったのだろうか。
そんな疑問がふと過る余裕が出て来た頃に、クリストファー殿下が到着した。
「……っ」
国境の危機を救うべく派遣された王国の英雄フィンリー侯爵とアイラが一目で恋に落ちた瞬間を間近で目撃し、切迫した事態の中での一瞬の華やぎに私は胸を躍らせた。
年の差はあれど、若者の輝きに心癒される年下好きなフィンリー侯爵にとって妙齢のアイラは丁度いい年齢だし、貴族との結婚を虎視眈々と狙い続けいつか婚期を逃しそうだったアイラにとって絶好のチャンス到来な上とてつもなくいい相手だ。
しかもアイラは教養や精神の面で前妻より遥かに優れているし、なにより城塞都市生まれの城塞都市育ちで英雄にはぴったり。
教養レベルの高さでどうしても年上狙いになりがちなアイラには、深みを増した中年男の魅力がたまらないのかもしれない。
「国王陛下の命により……」
フィンリー侯爵はゴールトン=コリガン辺境伯トレヴァーではなく、私の横に立つアイラを見つめたまま口上を述べ始めた。
私が破談となりトレヴァーに出会うまでの間や、トレヴァーと結婚するまでの間に、私の傍で幸せを願ってくれたウォリロウ侯爵夫人と心が重なったような気がする。
それは形の無い励ましであり、支えであり、喜びだ。
ウォリロウ侯爵家からは莫大な寄付が寄せられている。
破談といえば……
「……」
マシューだわ。
いるわ。
「……」
フィンリー侯爵の一団の中には名門貴族や平民の子息たちが入り混じっている。
皆、心を一つにしてフィンリー侯爵を師と仰ぎ邁進している若者たちだったはずだ。彼らの一部は既にいい年齢に差し掛かっており、マシューもその一人といえる。
感慨深い。
一瞬、目が合った。
マシューは静かに目を伏せた。
「……」
状況が状況だからなのかもしれないけれど、既に宣戦布告を受け襲撃を待つ静かな戦地となった場所でいちばん懐かしい顔を見たら、それだけで言葉にできない感動が私の胸を奮わせ、思いがけない活力となった。
私を捨てた元婚約者であるのも事実。
併し、今目の前にいるマシューは信頼できる旧友や家族に等しい。
年齢を重ね、そして訓練も重ねたのだろう。
あのマシューの優しい顔立ちに精悍な色が加えられ、大人の男性になっていた。マシューの方でも出産を経て母となった私のことを似たような感覚で観察していたのかもしれない。
フィンリー侯爵の一団は二手に分かれ東と西の砦の外側で守備にあたる為、到着早々、持ち場に着いた。
併し、マシューだけは移動せずその場に残り続けた。
物々しい移動の中でマシューが進み出てトレヴァーの前に跪く。
「……」
私の元婚約者を見下ろすトレヴァーの目には、見たこともない冷たい光がちらついている。
「……」
マシュー。
やめて。
余計なことを言わないで。
そんな願いを込め固唾を飲みつつマシューの後頭部を見下ろしていた私だったけれど、私の元婚約者は思わぬ朗報を齎した。
「コルボーン伯領は全方位を善良な諸侯に囲まれた極めて穏やかな土地です。国境の砦の再建に尽力すべく、領内の八割の大工と石工を伴って参りました。どうぞお役立てください」
「……!」
マシューの言う通り、コルボーン伯領は気候も情勢も極めて穏やかな土地だった。
だからマシューのような無責任な優しさを振りまくお坊ちゃんが育ってしまったといえるけれど、それは脇に置くとして、平穏を極めるコルボーン伯領は芸術や建築などの学問を究めるのにうってつけの場所で優秀な人材が多い。
砦の再建に当たり、コルボーン伯領の職人が加勢してくれるのは心強い。
「御父上の御意思か?」
トレヴァーが冷徹な問いを投げかける。
元婚約者として、私への私情で勝手に領内の男たちを戦地へ連れて来たとなれば、それはやはり大問題だった。
マシューはきっぱりと否定した。
「いえ。コルボーン伯爵家の意志です。また、無理矢理に連れて来たのでもありません。皆、国境の危機の役に立ちたいと信念を持ち集った男たちです」
「……」
トレヴァーは静かに機嫌を損ね、小さな溜息をついてから表情を変えた。
「ありがとう。コルボーン伯領の大工は優秀と妻から聞いている。頼りにしている」
ちなみに私は言ってない。
「……」
マシューは無言で頭を下げた。
実際、マシューが引き連れてきたコルボーン伯領の大工や石工たちはとても優秀であるだけでなく堅実且つ謙虚であり、ゴールトン=コリガンの砦の再建に大いに役立った。
誇りと業を持った職人でありながらゴールトン=コリガンの職人たちの言う事をよく聞くのである。
「あんな真面目な良い人たちがいるんですね!」
と、方々から称賛の声が上がった。
更には勤勉でもある石工たちによって、南の岩山の材質をよく理解し、堅牢な石材を採掘したら加工しながら運搬するという驚愕の時短術が半日で実行され、驚くべき速さで城壁と砦の再建が進んだのだ。
基本的に、採石場は採石場、加工場は加工場として何百年も機能してきた。
ゴールトン=コリガンの職人たちも充分すぎるほど優秀なのに、余所者の提案を無下にするほど頑固でもなかった。
彼らは性質が両極端すぎて、却って仲良くなっていった。
そして仲良くなって作業が更に捗るのである。
そんな謙虚で優秀な職人の資質は、コルボーン伯領で生まれ育ち教育を受けたマシューにも備わっていた。
あのマシューが、フィンリー侯爵のもとで才能を開花させていた。
マシューは砦の外側に投石機能を備えた防壁というか、防壁の機能を備えた投石器のようなものを現地で組み立てて、東の農村地帯に到着から七日で安全な暮らしを取り戻させた。
落雷によって半壊した東の砦が元通りの姿になるにはどうしても月日を要するものの、充分、その時間を稼げたのだった。
「奥様よりお馬鹿な幼馴染なんかを優先した偽善的な軟弱者だって坊ちゃんが言ってましたけど、結構頼りになるじゃありませんか」
マイラがトレヴァーからそんな悪口を吹き込まれていたなんて知らなかった……
でも事実だ。
東の安全をある程度確保できると、マシューは更に西の砦の防壁と西の城壁に増築を提案した。
トレヴァーとマシューは職人たちのように仲良くはならなかったけれど、国境の安全を守る貴族として互いを尊重し信頼しあいながら邁進しているように私には見えた。
「君の前の男と思うと腹立つが、あいつ、頭いいな」
「成長したのよ」
私は事実を述べたまでだったけれど、トレヴァーは夫としては面白くないようだった。
併しそれは落雷によって防壁を半分以上失い宣戦布告を受けている状況下において、些末な問題でしかなかった。
マシューの提案で、砦の防壁と城塞の城壁に取り付け式の振り払い発射装置が設置された。
「つまりですね。万が一ですよ?よじ登って来た敵兵を、ペダル式の鉄の振り子でぶぅんと払い落とすわけです」
パンディアーニが髭の先をぶぅんと振って私にもわかりやすく説明してくれたのを見て、私はクリストファー殿下を思い出した。
メラン伯爵クリストファー殿下も陛下の命を受け、間もなく到着する。
「更にもう一つのペダルを踏むとバネとネジで鉄の矢を放ちます。これはですね、弓兵一人で三人分の働きが可能になるわけです。凄い!」
パンディアーニは本気で感動しているようだった。
私は言葉を失った。
凄いのだろう。
驚くのは、それをマシューが発案し、迅速に増築してしまったことだ。
私の知る、優しいだけで役に立たない偽善的な彼は、既にいなかった。
離れている間にマシューも自身の人生を見つめ直し、歩み、本当に成長したのだ。それを実感した時、私は自分の中にある感情をどう名付ければいいかわからなかった。
次第にそれは、感動だと理解した。
フィンリー侯爵が見たかった光を、私も見たのだ。彼は正しかった。
そんなフィンリー侯爵はアイラと熱い眼差しを交わしている。
勿論、其々が多忙を極めている為、すれ違いざまに、無言で。
燃えあがる二人に言葉はいらないということだろう。
私もマシューとは言葉を交わさなかった。
私は頼れる旧友として彼を見ていたけれど、夫のトレヴァーは私とマシューが個人的に交流するのをよく思うわけがないし、マシューも新しい人生を歩む今、私という過去と必要以上に関与したくないかもしれないと思ったからだ。
別れたはずの人生の道が、今一度、交わっている。
不思議な感覚に名前も付けられないまま日々が過ぎてゆき、やがて北の同盟国から大量の干し肉と酒が届いた。
フィンリー侯爵の一団は長期戦を見越して保存食を持ち込んできていたし、コルボーン伯領の職人集団は助けに来た身分だからと粗食を貫いていたものの、確実に備蓄は圧迫されていた。
それさえも解決してしまった。
落雷は、果たして、国境の危機だったのだろうか。
そんな疑問がふと過る余裕が出て来た頃に、クリストファー殿下が到着した。
447
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください
ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。
やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが……
クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。
さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。
どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。
婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。
その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。
しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。
「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる