37 / 84
37
しおりを挟む
「イデア」
「修道院に帰ります」
戸口から声を掛けてくるカール殿下に目も向けず短く答える。それが無礼だろうと構わない。いっそ都合がいいとさえ思う。私がカール殿下と只ならぬ仲になろうとしているなど、これ以上誰にも誤解されたくはない。
「落ち着いてくれ。キャタモールに話を聞いた」
「は……?」
思わず手を止めた。
寄りにも寄ってあの男の名前を聞くとは。
「それを鵜呑みになさるのですか?」
カール殿下にまで噛みつく必要はない。落ち着くべきだ。
まだキャタモールが何を言ったかまではわからない。
「怒っているんだな。当然だ」
「何をお聞きになったのか存じませんが、私は真面目に職務に当たってきたと自負しております」
「わかっている」
「それを、殿下に取入ろうとしているなどと」
「大丈夫だ、イデア。君には何一つ落ち度はない。完璧だ」
「……」
カール殿下の声はその低さを存分に活かした力強い威厳に満ちていて、私の理性を繋ぎ止めるだけの引力があった。ふと我に返った私は、旅行鞄の前に跪いたままで戸口の殿下を見上げた。
「キャタモール卿は何と?」
「……」
カール殿下は暫し口籠った後、小声で心なしか自信が無さそうに呟く。
「私たちの恋を応援したと」
「……!」
キャタモール。やはり見殺しにするべきだった。
「わかる。君は怒っているな。君はそんな浮ついた気持ちでこの仕事を引き受けたわけではない」
「当然です」
「だからそう見えたとしたら私のせいだ。私は君が好きだ」
「──」
一先ず、明日の天気の話でもした方がよさそうだ。どうせ晴れる。
「殿下。馬を連れて森にピクニックでも。姫様を歩かせて体力をつけましょう」
「話を逸らすな。鞄を持つな。立つな。行かないでくれ。私には君が必要だ」
「必要?」
どのような意味で?
秘密の通路的な意味だとしたら余所を当たって欲しい。
「君は完璧な教育係だ」
「……」
完璧。
「シャーロットにとって君ほど頼りになるお手本はいない」
教育係。お手本。
「シャーロットも君に憧れを抱き始め、努力し始めた。驚くべき変化だ。君がさせた」
そう、私は精一杯シャーロット姫の教育係を務めてきた。
不本意な始まり方とはいえ、情熱を持ち真剣に取り組んだ。
「私一人では絶対に成し遂げられなかった快挙だ」
快挙……
「君無しでは無理だ。他所からいくら優秀な家庭教師を見つけてこようと、誰一人として君の足元にも及ばないだろう」
「……」
カール殿下は私の自尊心をくすぐるのが非常に上手い。
気まずくなるほど、口角が上がりかけてしまう。
「それほどでも」
「いいや!君ほど素晴らしい教育係はこの世に存在しない!」
シャーロット姫の件は極秘であり、あらぬ誤解で私を侮辱するとしてもせいぜい中年の二人ばかり。少し大げさに騒ぎ過ぎてしまったかもしれないと考えを改めたところで、聞き捨てならないあの一言を思い出した。
「私が好きと仰いました?」
「ああ。君は私の太陽だ」
臆面もなくカール殿下は断言する。
「君は燃えるように力強く、揺るぎない輝きを放ち、そして誰よりも圧倒的に正しい」
「……」
褒められるのは気分のいいものだ。
「君のような人が宮廷にいてくれるだけで、腐敗に歯止めがかかる。次期国王として断言する。君は貴族の鑑だ。君が男なら迷わず側近として生涯傍にいて欲しいと懇願しただろう」
「殿下ったら……」
「跪こうか?」
なまじ遣りかねないカール殿下を手で制する。
「およしくださいませ。わかりました。私が惑乱しておりました」
「ではその荷物は解くか?」
「はい、解きます」
「よかった……」
ぐったりと肩を落としカール殿下は手近な椅子に腰を下ろした。私は入室を許可していないが、相手は殿下で私は宮仕えの貴族の鑑。御退室願うという選択肢は存在しない。
「イデア」
「はい」
「教育係の後、宮廷医師もいいが、私の相談役として役職を設けるからそれで永久的に……」
「まずは姫様に集中しましょう」
そう。取り乱した。
今シャーロット姫を投げ出せば私はきっと後悔する。
但し良い機会なので申し上げる事にした。
「殿下。今後、私に対して邪推するような者が現れた場合ですが」
「ああ。任せろ。私が対処する」
「お願いします」
「君の誇りを傷つけてすまなかった」
一瞬、妙な違和感を覚えた。
ただそれがなぜか判断がつかなかったので、気にしない事にした。
「侮辱したのは殿下ではありません」
「キャタモールは実際のところ何をしたんだ?君がここまで怒るとは」
私は身の上話をした時のように侮辱的な出来事について簡潔に伝えた。伝え終わると、力なく椅子に腰かけていたカール殿下はみるみる力を取り戻し、珍しく気を荒げ吐き捨てた。
「イデアになんという侮辱を!」
「本当にその通りです。あの男を殺してください」
「ああ。次は無い」
過激な冗談を言い合えるくらいには馬が合うのだから、チチェスター伯爵夫人については不問にしてもいいかもしれない。
カール殿下に誤解も邪推もされず、信頼されている。
この事実は私にとって宮廷に留まる充分すぎるほどの理由である。それに王太子カール殿下と組んでさえいれば命の危険はないだろう。
下らない侮辱など鼻で笑ってしまえばいい。
此処は他でもない宮廷なのだ。
噂や陰謀や渦巻いた時にこそ冷静に対処しなくてはならないとこの度、身を以て学ぶ事ができた。こういう心構えもシャーロット姫に教えて差し上げなくては。
私は決意を新たに荷物を解くと、その夜もまた薬学の専門書に没頭した。
せっかくの美容クリームを失うのは惜しい。これは、私が作れないだろうか?
「修道院に帰ります」
戸口から声を掛けてくるカール殿下に目も向けず短く答える。それが無礼だろうと構わない。いっそ都合がいいとさえ思う。私がカール殿下と只ならぬ仲になろうとしているなど、これ以上誰にも誤解されたくはない。
「落ち着いてくれ。キャタモールに話を聞いた」
「は……?」
思わず手を止めた。
寄りにも寄ってあの男の名前を聞くとは。
「それを鵜呑みになさるのですか?」
カール殿下にまで噛みつく必要はない。落ち着くべきだ。
まだキャタモールが何を言ったかまではわからない。
「怒っているんだな。当然だ」
「何をお聞きになったのか存じませんが、私は真面目に職務に当たってきたと自負しております」
「わかっている」
「それを、殿下に取入ろうとしているなどと」
「大丈夫だ、イデア。君には何一つ落ち度はない。完璧だ」
「……」
カール殿下の声はその低さを存分に活かした力強い威厳に満ちていて、私の理性を繋ぎ止めるだけの引力があった。ふと我に返った私は、旅行鞄の前に跪いたままで戸口の殿下を見上げた。
「キャタモール卿は何と?」
「……」
カール殿下は暫し口籠った後、小声で心なしか自信が無さそうに呟く。
「私たちの恋を応援したと」
「……!」
キャタモール。やはり見殺しにするべきだった。
「わかる。君は怒っているな。君はそんな浮ついた気持ちでこの仕事を引き受けたわけではない」
「当然です」
「だからそう見えたとしたら私のせいだ。私は君が好きだ」
「──」
一先ず、明日の天気の話でもした方がよさそうだ。どうせ晴れる。
「殿下。馬を連れて森にピクニックでも。姫様を歩かせて体力をつけましょう」
「話を逸らすな。鞄を持つな。立つな。行かないでくれ。私には君が必要だ」
「必要?」
どのような意味で?
秘密の通路的な意味だとしたら余所を当たって欲しい。
「君は完璧な教育係だ」
「……」
完璧。
「シャーロットにとって君ほど頼りになるお手本はいない」
教育係。お手本。
「シャーロットも君に憧れを抱き始め、努力し始めた。驚くべき変化だ。君がさせた」
そう、私は精一杯シャーロット姫の教育係を務めてきた。
不本意な始まり方とはいえ、情熱を持ち真剣に取り組んだ。
「私一人では絶対に成し遂げられなかった快挙だ」
快挙……
「君無しでは無理だ。他所からいくら優秀な家庭教師を見つけてこようと、誰一人として君の足元にも及ばないだろう」
「……」
カール殿下は私の自尊心をくすぐるのが非常に上手い。
気まずくなるほど、口角が上がりかけてしまう。
「それほどでも」
「いいや!君ほど素晴らしい教育係はこの世に存在しない!」
シャーロット姫の件は極秘であり、あらぬ誤解で私を侮辱するとしてもせいぜい中年の二人ばかり。少し大げさに騒ぎ過ぎてしまったかもしれないと考えを改めたところで、聞き捨てならないあの一言を思い出した。
「私が好きと仰いました?」
「ああ。君は私の太陽だ」
臆面もなくカール殿下は断言する。
「君は燃えるように力強く、揺るぎない輝きを放ち、そして誰よりも圧倒的に正しい」
「……」
褒められるのは気分のいいものだ。
「君のような人が宮廷にいてくれるだけで、腐敗に歯止めがかかる。次期国王として断言する。君は貴族の鑑だ。君が男なら迷わず側近として生涯傍にいて欲しいと懇願しただろう」
「殿下ったら……」
「跪こうか?」
なまじ遣りかねないカール殿下を手で制する。
「およしくださいませ。わかりました。私が惑乱しておりました」
「ではその荷物は解くか?」
「はい、解きます」
「よかった……」
ぐったりと肩を落としカール殿下は手近な椅子に腰を下ろした。私は入室を許可していないが、相手は殿下で私は宮仕えの貴族の鑑。御退室願うという選択肢は存在しない。
「イデア」
「はい」
「教育係の後、宮廷医師もいいが、私の相談役として役職を設けるからそれで永久的に……」
「まずは姫様に集中しましょう」
そう。取り乱した。
今シャーロット姫を投げ出せば私はきっと後悔する。
但し良い機会なので申し上げる事にした。
「殿下。今後、私に対して邪推するような者が現れた場合ですが」
「ああ。任せろ。私が対処する」
「お願いします」
「君の誇りを傷つけてすまなかった」
一瞬、妙な違和感を覚えた。
ただそれがなぜか判断がつかなかったので、気にしない事にした。
「侮辱したのは殿下ではありません」
「キャタモールは実際のところ何をしたんだ?君がここまで怒るとは」
私は身の上話をした時のように侮辱的な出来事について簡潔に伝えた。伝え終わると、力なく椅子に腰かけていたカール殿下はみるみる力を取り戻し、珍しく気を荒げ吐き捨てた。
「イデアになんという侮辱を!」
「本当にその通りです。あの男を殺してください」
「ああ。次は無い」
過激な冗談を言い合えるくらいには馬が合うのだから、チチェスター伯爵夫人については不問にしてもいいかもしれない。
カール殿下に誤解も邪推もされず、信頼されている。
この事実は私にとって宮廷に留まる充分すぎるほどの理由である。それに王太子カール殿下と組んでさえいれば命の危険はないだろう。
下らない侮辱など鼻で笑ってしまえばいい。
此処は他でもない宮廷なのだ。
噂や陰謀や渦巻いた時にこそ冷静に対処しなくてはならないとこの度、身を以て学ぶ事ができた。こういう心構えもシャーロット姫に教えて差し上げなくては。
私は決意を新たに荷物を解くと、その夜もまた薬学の専門書に没頭した。
せっかくの美容クリームを失うのは惜しい。これは、私が作れないだろうか?
47
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる