S級パーティから追放された幸運な僕、女神と出会い最強になる〜勇者より先に魔王討伐を目指す〜

灰色の鼠

文字の大きさ
4 / 62
第1章 ー愚者編ー

第4話 『幸運なボクは覚醒する』

しおりを挟む
 
 意識を朦朧とさせながらボクは先の見えない深い森を1人静寂に包み込まれながら徘徊していた。
 目的は定かではない、なんらかの本能のような感覚がボクを何処かへと導いている。

 次第に森の木々は減っていって、暗い森の先から赤い光が照らされていた。
 それでもボクは顔をしかめたまま深刻そうに汗を垂らして、足を強引に制御させようと抵抗を試みる。

 あの日の地獄が脳裏に蘇ってくる。
 焼かれていく建物、殺されていく動物たち、破壊されていく血のこびりついた自然、ボクと妹を必死に逃がそうと身代わりになった両親。

 頭を抱えながら広がっていく風景にボクは目を逸らし、現実を受け止めまいと抵抗をした。

 それがまるで無意味かのように殺されていく人々たちの声が鼓膜に響いてくる。
 ボクの名前を呼びながら皆言うんだ。

「逃げろ」と。 先急ぐボクの背後から数えきれない程の死体が転がり、女性が叫んでいる。

「ぃぃいっ! やめてくれっ! ーーー誰だよ!? ボクにこんなことをーー思い出させようとするヤツはーーーー お願いだからもうやめてくれ! 思い出したくない! 思い返したくない……!!」

 耳を両手で塞ぎながらボクはその場を逃げていく。出来るだけ赤い光の届かぬ場所まで、走りながら遠くへと逃げる。
 その途端、意識のスイッチが一瞬オフにされたかのように風景が真っ黒に染まり、そしてまた世界が変わった。

 今度はある部屋にボクは椅子に座らせられていた。
 目の前にはベットが設置されていて誰が横になっている。

「え、エリーシャ!? なんでこんな所なんかに!?」

 ベットで横になっていたのは包帯だらけの妹エリーシャだ。
 驚きのあまりに立った拍子に座っていた椅子が床に倒れてしまった。

 すぐそばにいたエリーシャはそんなこともお構いなくボクを睨みつけて、乾いた声で嘆いた。

 覚えている。
 ボクは先ほどから今のビジョンを全て覚えている。
 彼女がこれから口にする言葉も、勇者になった経緯も、ボクが冒険者を本格的に計画した理由も彼女の一言によるものだった。

『ーーー 魔王を殺したい……!! 復讐して、必ず1人残らず伐ち引かせてやる……! 勇者になって、それから邪魔するヤツらなんてみんな殺してやる!!』

 怒りがごもった声、震える声で言い放ったおぞましい野望にボクは彼女に恐れを覚える。
 エリーシャはそのまま気を失い眠ってしまった。

 覚えているんだ。これまでの出来事も、勃発した悲惨な日々を、ボクを突き動かすきっかけになったオリジンを。

 ここから始まったのだ。
 ずっと昔から復讐がすでに、魔物や魔族を害とみなすようになったのは。

 ボクにそのような感情を奮い立たせてくれたのが、妹であるエリーシャだった。

『……エリーシャ。お兄ちゃんは『ーーー』だから、その日が訪れた時は……頼むから、ボクを殺してくれ』

 振り返ると、そこには過去若かった自分が立っていた。
 ボクの体をすり抜けて、眠っている妹の頭を撫でてやり、涙を零しながら笑っている『ネロ・ダンタ』ボクが。
 すべてをを投げ打つ覚悟を持った、眼差し。

 もう1人のネロがエリーシャの頭を撫でるのを止める、背後で佇むボクの方へと振り返って、表情を強張らせた。
 ボクも返すようにもう1人の自分に言った。

「キミを1人にはさせない。だから、一緒に行こう」

 もう1人のネロがボクの言葉を飲み込み小さく頷く。

『ーーーそれでいいんだね』

 彼はボクへと一歩、二歩と小さな歩幅で距離を詰めて手を差し出した。
 躊躇う理由などない、ボクは深い息を吐きだし自分を落ち着かせてから差し出された手を見た。

 離さぬように出来るだけ力強くもう1人の自分の手を掴んで、目を大きく開きながら彼に微笑んでみせる。
 それでも彼からの返答はない。

『行ってこい』

 その言葉を最後に、ボクの忌々しい記憶がすべての感情をかき消していき、さらに胸を痛める憂鬱感が心から剥がされ、ボクの目の前で消滅する。

 気がついた時には、ボクの見える風景は変わっていた。

「目を覚ましたようだね、おはよーう」

 気配がして地面を横になった状態で夜空を見上げると、そこにはボクの顔を覗き込むようにニヤける少女のフィオラがいた。

「……ボクに、一体なにをした?」

 聞こえる、感じる、臭う。
 人間の感覚である五感が大幅に進化でもしたかのように、あらゆるモノが感じ取れる。

「それは自分の目で、直に確かめてごらん?」

 焚き火に照らされたボクらのわずかな隙を狙って食い殺そうと木々をカムフラージュにして、身を隠しながら様子を伺っているモンスターの数までもが手に取るようにわかる。

 すぐさまボクは荷物にしまっていたナイフを数本抜き取り、背後から飛び出そうと助走をつけようとした直前のモンスターに向かってナイフを1本投げつけた。

 ズサっ! ウギャン!!?
 手応えのある音と鳴き声、木々に返り血が飛び散ってボクは確信した。
 生命活動が途絶えた。

 自分の華麗なるナイフさばきに見惚れている場合ではないと我に返り、手に残ったナイフをすぐさまボクらを囲みながら身を潜めている無礼なモンスターらに投げつけてみせる。

 ズサ! ズサ! ズサ! と生命活動が消滅していく。
 先ほど彼女を襲っていた狼の群れだろうか、かなり数が多い。

 それでも投げたナイフの勢いは止まらい、狼らの肉と木々を貫通しながら数体を次々と沈黙させていく。

 気がつけばボクらを囲んでいた脅威は全滅していた。

「フフフ、お見事!」

 たったの1匹、親玉だけは除いてだが。

 アオォォン!! 鳴き声により木々が揺れ、真正面から巨大な毛玉が姿を現した。

 狼のような見た目だが普通より巨大で、さらに頭部が3つ胴体から生えていた。

 森を探索する冒険者らを最近困らせている希少なモンスター『ウフベロス』だ。
 ケロベロスにも似た姿をしているが、実物は火を吐いたりもっと巨大なため、ケロベロスに比べればウフベロスは雑魚だ。

 真正面から牙を生やした口から唸り声を発しながら威嚇してくるが、不思議に恐怖や動揺の反応が湧いてこない。

 昨日の自分なら、完全に腰を抜かして失禁しているだろう。
 それなのに、ヤツに抱く感情は些細なものだった。

「かわいいな」

 挑発しているつもりではなく、ヤツを見て第一印象に芽生えた感情だ。

 ボクの言葉が通じたのかは分からないが、ウフベロスは激怒したかのように鳴き声を発しながら、爪で地面をめり込ませ口を開きながら突っ込んできた。

 一方、ボクの隣にいた自称女神のフィオラは後ろに手を組みながらボクを面白おかしそうにジト目で顔を覗き込んでいた。

 危機感がまるでない。無心のボクは手を前へとかざすと、ウフベロスは躊躇うこともなく腕に力強く噛み付いてきた。

「………?」

 ポカンとするボク。

(痛みがまったくない)

 腕を動かすと自分よりデカイウフベロスの体が宙へと浮き上がった。
 見た目によらず軽く感じた。

 そのまま前方へと噛み付いたままのウフベロスを投げつけた。

 ウフベロスは噛み付いていたボクの腕を離すと、手前に立つ巨大な木に体をおもっきり叩きつけて地面に倒れてこんでしまう。
 木々は衝撃で崩れる。

 噛み付かれた手を見ると、傷1つ付いていないことに気がついた。
 試しにつねってみるが変わらず柔らかい皮膚だ。

「トドメを忘れないでね。
 私の加護を持っているキミだから余裕だけど、一般の人じゃ手が余ると思うから片付けたほうがいい」

 横でなにを言っているかイマイチ理解できないが、彼女の言う通りに片付けておこう。
 まだ余っていたナイフを構えると、ボクは集中するように息を吐き捨て、地面を蹴った。

 逃げようとするウフベロスに余裕なんて与えさせたりはしない、そんなことを思いながらボクはナイフを振り下ろした。




 ※※※※※※

  


「な、なんなんだ? この全身がみなぎるような感覚は……?  しかも、幸運しか取り柄のないボクがどうして?」

 気がつけば一撃でウフベロスを真っ二つに両断していて、そのすぐそばでボクは返り血を拭っていた。

「ウフフン! どうかしら? 私の『女神の加護』の効果は? 前よりとっても強くなった気がしないかしら?」

「どうもこうも。って、女神のカゴ……なにソレ?」

「左手をご覧なさい!」

 左手の甲を見ると、そこには刻み込まれたかのような魔法陣が皮膚に浮かび上がっていた。

「ステータスプレートを見てみなさいよ? 声にならないと思うわよ」

「わ、わかったよ。落ち着いて」

 なんだか上機嫌な様子で詰め寄ってくロリが微笑ましかった。
 苦笑いをしながらボクはギルドカードの裏を見る。
 そこにはステータスがすべて記載されていて、レベルが上がるごとに能力値の文字が赤く点滅する。

「うおっ! なんじゃコリャ!?」

 驚くのも無理もない。なんせステータスプレートの数字がすべて赤く点滅していたからだ、それも強めに。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

  ー STATUS ー
 LV:36
 名前:ネロ・ダンタ 性別:男 年齢:18歳

 筋力:20 → 200
 体力:12 → 157
 魔力:5 → 100
 敏捷:25 → 200
 防御:18 → 150
 魔防:13 → 180
 運 :200
 スキル(技能):女神の加護LV MAX
 自身のパラメータをすべて大幅に上昇。
 仲間に効果を付与できるが24時間に一回限りである。

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 手の力が抜けてしまう。
 そのまま手に持っていたステータスプレートを落としてして、口をあんぐりと開けて唖然。

 そばにいたフィオラはボクの落としたステータスプレートを拾うと、中身を確認してうすく笑った。

「まあ、こんな所かしら……って、うわ!? 本当に幸運が高いんだね~ネロ様は」

 ステータスを見たフィオラは興奮した様子で口元に手を当てて頰を染めていた。

 それにしても、幸運値のパラメータは相変わらず変動はナシ。
 そもそも人間の通常幸運値は100までが限界なのに、それを凌ぐかのように元々ボクの幸運値は高い。

 すべてのステータスが幸運値と並ぶように数値が底上げされていた。
 あんぐりと開いていた口を閉ざし、フィオラからステータスプレートを受け取って中身を再確認する。

「こ、こ、これじゃ、基礎ステータスが聖剣士並みじゃないか!? もしかしてこの……」


 左手の甲に刻まれた印を目に当てる。

「はは……はは。なんてことだよ……ははは!」

 手を顔に当てながらボクは、自身に起きた大きな変動に面白おかしくなり笑う。
 嬉しさよりも驚きの方がデカイのだろうか、ボクの目は死んでいた。

「これなら、ボクにでも最強のパーティを設立できるかもしれないな」

 それでも受け入れてみると、素直に嬉しくて無意識に拳を握りしめながらガッツポーズをしてしまった。
 横でボクを面白そうに眺めるフィオラの存在に気がつき、赤くなりながら咳払い。

「ごほん……なんて言うか、これってキミのおかげなんだよね?」

「そうだよ、ネロ様のために頑張ったんだよ。あ、それと私のことはキミじゃなくて、気軽にフィオラって呼んで!  私、貴方を気に入っちゃったみたいだからさ!」

 そういえば、ボクが目を覚ましてから彼女は敬語口調をやめていた。
 もしかして同行を前提で、馴れ馴れしい口調なのだろうか。
 まあどっちにしろフィオラのおかげだ、本当に運が良い。

「わ、わかったよフィオラ?  えっと、なんてお礼すればいいか分からないけど、とにかく……ありがとう」

「お礼ならこっちが言いたいわよ。 ネロ様の役に立つこそが、いまの私の使命だから!」

「そうか………もし良かったさ、ボクとパーティを組んだりしないか?   ちょうど人員を探していた所でさ」

「パーティという単語が何なのかあまり存知ていないけど! いいよ、女神である私が人員になりましょうや!」

 フィオラは自信満々な笑みを浮かべると、大きな胸を揺らしながらボクの前へとつきだす。

 噴射しそうな鼻血を抑え込む。
 見ていないフリをする。

 そんなフィオラにボクは、握手を求めて手を差し出す。
 何故かそれを見たフィオラは、肩を震わせながら笑った。

「フフフ、本当に面白いお方だね。ますます気に入っちゃったよ!」

「いいからさ、握ってよ……恥ずかしいからさ」

 フィオラはボクの差し出した手に小さな自分の手を重ねると、ニコリと笑顔を向ける。

 ーーそして新たなパーティが、今ここで設立された。
しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...