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数日後 ───
私と明智、そして(何故か)一緒に行く事になった環七と澤渡は、田園風景の中を走る電車の中にいる。
過ぎ去って行く景色をぼーっと眺めていた。
隣に座る環七は、はしゃぎ疲れた子供のように眠っている。
向かい側に座っている明智と澤渡は本を読んでいた。
書店で付けて貰ったであろうブックカバーの所為で、何を読んでいるのかまではわからないが、ウェブで本を読む時代に紙の本を読んでいる二人。
私もどちらかといえば紙で出来た本の方が好みではある。
懐事情の所為で、ウェブで話読み(1話ずつ課金して読む事)する事が多いが……。
過去に出版された本もあるので、それだけ読める本が多くなるのはありがたい事だと思っている。
─── と、話が逸れてしまった。
この電車で向かっている先は、お盆シーズンに動画を撮影した場所で、私のご先祖様&祖父母の墓がある所だ。
明智の話では、円珠君のお父さんと連絡が取れたので、序でに会って話をする事になっているとの事だった。
円珠君の陰が無かったのは一カ所だけだったのでそれほど気にはなっていない。
けれど、花絵ちゃんに関しては徐々に透けていって消えているので、話をするにしても実際に居るのかわからない。
叶う事ならばもう一度、彼女に会いたい。
だが、この時の私は彼女に会う事は叶わないのではないかと心の何処かで思っていた。
取り敢えず、円珠君や円珠君のお父さんは実際に存在しているようで、それは良かったのだが、もしも会ってみて別人だったらどうしよう等と考え込んでいた。
明智*「お~い、奏~、何ぼんやりしてんだよ。」
そう言って明智が、私のほっぺたを指でツンツンと突っ突いてくる。
環七*「呆れた…奏の傍に居ると構わずにいられなくなるみたいね。」
いつの間にか環七が目を覚ましたたようだ。
澤渡*「まるで保護者だな。」
二人は何か変な物を見るような目で明智を見ている。
明智*「っな!…奏も何か言い返せよ。」
奏*「何が?何で?」
景色に見惚れていた私は、自分の名前がいきなり耳に入ってきたものの、何を言われたのかわからなくて首を傾げて明智を見上げた。
そんな遣り取りをしているうちに、電車がゆっくりとホームに入って行く。
ローカル線は経費削減の為、ドアを開けるのは乗客である。
でも、普段自分でドアを開ける事など無いので何となく楽しく思ってしまう。
勿論、そのドアを閉めるのは運転手なのだが…。
そういえば、幼い頃に初めて乗ったこの路線の電車は、最後尾の車両にデッキがあったなぁと懐かしく思った。
今では見掛ける事も無いが…。
(デッキ付きの車両が走る路線がまだあったりするのだろうか?)
いやいやいや、流石に無いだろう。
そう思いつつもあったらいいなと思った。
ホームに降り立った私達は、駅舎に向かい、あの洋館へと歩き出した。
あの時は、お盆シーズンだったから暑かったけれど今は冬…。
世間では暖冬だと言われているが、寒がりな私はそれでも寒い。
時折吹く風に、肩を竦めてマフラーに顔を埋めようとする。
さっきの電車での遣り取りがあった流れか環奈は澤渡と並んで歩き、どうやら“ 保護者認定 ”されたらしい明智は私の隣でむっつり黙ったまま歩いている。
う~ん。なんか気不味い……。
そして、洋館に着いた。
ドアノッカーを握った澤渡が大きく息を吐き出した後、力を込めてドアを叩いた。
重く大きな扉が左右に開かれ「お待ちしておりました。当館へようこそ。」
胸に手を当て礼をした後に上げた顔は、夏に見たのと同じイケおじ執事だった。
「「「「またお世話になります。」」」」
私達がそう言うとイケおじ執事は、とても素敵な笑顔で応えてくれたのだった。
~~~~~~~
*超遅亀更新&不定期更新にも拘わらず、いつもお付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
*投票して下さった方々本当にありがとうございます!!
*お気に入り、しおり、エールやいいね等もありがとうございます!
私と明智、そして(何故か)一緒に行く事になった環七と澤渡は、田園風景の中を走る電車の中にいる。
過ぎ去って行く景色をぼーっと眺めていた。
隣に座る環七は、はしゃぎ疲れた子供のように眠っている。
向かい側に座っている明智と澤渡は本を読んでいた。
書店で付けて貰ったであろうブックカバーの所為で、何を読んでいるのかまではわからないが、ウェブで本を読む時代に紙の本を読んでいる二人。
私もどちらかといえば紙で出来た本の方が好みではある。
懐事情の所為で、ウェブで話読み(1話ずつ課金して読む事)する事が多いが……。
過去に出版された本もあるので、それだけ読める本が多くなるのはありがたい事だと思っている。
─── と、話が逸れてしまった。
この電車で向かっている先は、お盆シーズンに動画を撮影した場所で、私のご先祖様&祖父母の墓がある所だ。
明智の話では、円珠君のお父さんと連絡が取れたので、序でに会って話をする事になっているとの事だった。
円珠君の陰が無かったのは一カ所だけだったのでそれほど気にはなっていない。
けれど、花絵ちゃんに関しては徐々に透けていって消えているので、話をするにしても実際に居るのかわからない。
叶う事ならばもう一度、彼女に会いたい。
だが、この時の私は彼女に会う事は叶わないのではないかと心の何処かで思っていた。
取り敢えず、円珠君や円珠君のお父さんは実際に存在しているようで、それは良かったのだが、もしも会ってみて別人だったらどうしよう等と考え込んでいた。
明智*「お~い、奏~、何ぼんやりしてんだよ。」
そう言って明智が、私のほっぺたを指でツンツンと突っ突いてくる。
環七*「呆れた…奏の傍に居ると構わずにいられなくなるみたいね。」
いつの間にか環七が目を覚ましたたようだ。
澤渡*「まるで保護者だな。」
二人は何か変な物を見るような目で明智を見ている。
明智*「っな!…奏も何か言い返せよ。」
奏*「何が?何で?」
景色に見惚れていた私は、自分の名前がいきなり耳に入ってきたものの、何を言われたのかわからなくて首を傾げて明智を見上げた。
そんな遣り取りをしているうちに、電車がゆっくりとホームに入って行く。
ローカル線は経費削減の為、ドアを開けるのは乗客である。
でも、普段自分でドアを開ける事など無いので何となく楽しく思ってしまう。
勿論、そのドアを閉めるのは運転手なのだが…。
そういえば、幼い頃に初めて乗ったこの路線の電車は、最後尾の車両にデッキがあったなぁと懐かしく思った。
今では見掛ける事も無いが…。
(デッキ付きの車両が走る路線がまだあったりするのだろうか?)
いやいやいや、流石に無いだろう。
そう思いつつもあったらいいなと思った。
ホームに降り立った私達は、駅舎に向かい、あの洋館へと歩き出した。
あの時は、お盆シーズンだったから暑かったけれど今は冬…。
世間では暖冬だと言われているが、寒がりな私はそれでも寒い。
時折吹く風に、肩を竦めてマフラーに顔を埋めようとする。
さっきの電車での遣り取りがあった流れか環奈は澤渡と並んで歩き、どうやら“ 保護者認定 ”されたらしい明智は私の隣でむっつり黙ったまま歩いている。
う~ん。なんか気不味い……。
そして、洋館に着いた。
ドアノッカーを握った澤渡が大きく息を吐き出した後、力を込めてドアを叩いた。
重く大きな扉が左右に開かれ「お待ちしておりました。当館へようこそ。」
胸に手を当て礼をした後に上げた顔は、夏に見たのと同じイケおじ執事だった。
「「「「またお世話になります。」」」」
私達がそう言うとイケおじ執事は、とても素敵な笑顔で応えてくれたのだった。
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*超遅亀更新&不定期更新にも拘わらず、いつもお付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
*投票して下さった方々本当にありがとうございます!!
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