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14. マグダレーナの追想 ①
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騎士団長の声が聞こえた事で、そちらへ注意を向けた。
「コンラートからは、報告と共に話を聞いてはいるが、精査する為にも先にシュトラウス子爵令嬢から話を聞きたい。こちらとしては、違法薬物の流通を元から絶ちたい考えなので、出来るだけ正確に包み隠さず話して欲しい。」
まるで隠し事や誤魔化しは許さない。とでも言う様に鋭い眼で騎士団長は言った。
マグダレーナは、何も悪い事はしていないが、思わず萎縮してしまいそうになった。
けれども、ここで萎縮してしまうと、信用されないばかりか、痛くもない腹を探られる事になるのが分かっているので、あった事を正確に話していこうと思った。
「婚約破棄に至った経緯からの話と解釈してよろしいでしょうか?」
「それでお願いする。」
「承知しました。リンドブルム侯爵令息の体面もあるでしょうが、包み隠さずお話する事、ご容赦下さいませ。婚約破棄に至った出来事は、リンドブルム侯爵令息から『今後の事について話し合いたいから、いつも交流の為のお茶会をしていた時間に直接部屋まで来て欲しい。』と手紙が来た事から始まりました。」
「なっ!?…」
何か言いかけたコンラートを、国王は片手を挙げて制した。
「構わん。続けよ。」
「はい。」
そして、マグダレーナは話を続けた。
コンラートから手紙が来た事。
そして、その時間に彼の部屋へ行くと、ベッドの上で裸で愛し合う二人を見た事を。
それが理由で婚約破棄に至った事を…。
その時の事を思い出して、眼に涙が浮かんで来たが、何とか泣き出さずに話せた。
騎士団長は、その時の心情を思いやってか、痛ましげな眼で彼女を見た。
「辛い思いをしたのに、包み隠さず話してくれた事、礼を言う。」
「…いえ。」
「リンドブルム侯爵令息、先ほど何か異議がある様だったが、何かあるのか?」
納得いかない。といった表情のコンラートに、シュトラウス子爵が冷たい眼で問うた。
「私はそのような手紙を出した覚えはありません。」
「え?」
無表情のまま彼が言った言葉に、マグダレーナが戸惑いの声を上げた。
「どういう事か? シュトラウス子爵令嬢、確かにリンドブルム侯爵令息からの手紙だったのか?」
騎士団長が眉間に皺を寄せ、マグダレーナに聞いた。
「このような事、嘘を言っても仕方ありません。確かに、リンドブルム侯爵家の封蝋がしてありました。そしてそれは両親も執事も見ております。」
「…っ!?」
無表情だったコンラートが、驚愕の表情を浮かべる。
(???????)
それを見たマグダレーナが、何故彼が驚いているのか分からない、といった顔をした。
「どうやらこれは、確認する必要があるな。シュトラウス子爵令嬢、その手紙はまだあるのか?」
「はい。今手元にはありませんが、家にあります。」
「では、誰かに取りに行くようにお願いできるだろうか?」
「承知しました。」
騎士団長が、部屋の隅に控えていた騎士を呼び、シュトラウス子爵家の者を呼ぶ様に命じ、部屋に招き入れられた従者に、その手紙を取りに行くように告げた。執事が、その手紙の保管場所を知っている事も付け足して。
従者が下がった後、マグダレーナはコンラートの方を見た。すると、彼も彼女の方を見ていたので、眼が合ってしまう。
本当に、彼は手紙の事は身に覚えが無いのだろうか? けれど、彼が嘘を言っている様にも見えない。
しかし、手紙には封蝋までしてあった事は間違い無い。封蝋は何処からどう見ても本物だった。
何より、リンドブルム侯爵家を訪れた際、執事は『承っておりますので、お部屋までどうぞ。』と、自分の事を迎え入れたのだ。
だとするなら、コンラートが手紙の事を知らないのはどう考えてもおかしい。
一体全体、何がどうなっているのか、彼女はますます訳が分からなくなった。
「コンラートからは、報告と共に話を聞いてはいるが、精査する為にも先にシュトラウス子爵令嬢から話を聞きたい。こちらとしては、違法薬物の流通を元から絶ちたい考えなので、出来るだけ正確に包み隠さず話して欲しい。」
まるで隠し事や誤魔化しは許さない。とでも言う様に鋭い眼で騎士団長は言った。
マグダレーナは、何も悪い事はしていないが、思わず萎縮してしまいそうになった。
けれども、ここで萎縮してしまうと、信用されないばかりか、痛くもない腹を探られる事になるのが分かっているので、あった事を正確に話していこうと思った。
「婚約破棄に至った経緯からの話と解釈してよろしいでしょうか?」
「それでお願いする。」
「承知しました。リンドブルム侯爵令息の体面もあるでしょうが、包み隠さずお話する事、ご容赦下さいませ。婚約破棄に至った出来事は、リンドブルム侯爵令息から『今後の事について話し合いたいから、いつも交流の為のお茶会をしていた時間に直接部屋まで来て欲しい。』と手紙が来た事から始まりました。」
「なっ!?…」
何か言いかけたコンラートを、国王は片手を挙げて制した。
「構わん。続けよ。」
「はい。」
そして、マグダレーナは話を続けた。
コンラートから手紙が来た事。
そして、その時間に彼の部屋へ行くと、ベッドの上で裸で愛し合う二人を見た事を。
それが理由で婚約破棄に至った事を…。
その時の事を思い出して、眼に涙が浮かんで来たが、何とか泣き出さずに話せた。
騎士団長は、その時の心情を思いやってか、痛ましげな眼で彼女を見た。
「辛い思いをしたのに、包み隠さず話してくれた事、礼を言う。」
「…いえ。」
「リンドブルム侯爵令息、先ほど何か異議がある様だったが、何かあるのか?」
納得いかない。といった表情のコンラートに、シュトラウス子爵が冷たい眼で問うた。
「私はそのような手紙を出した覚えはありません。」
「え?」
無表情のまま彼が言った言葉に、マグダレーナが戸惑いの声を上げた。
「どういう事か? シュトラウス子爵令嬢、確かにリンドブルム侯爵令息からの手紙だったのか?」
騎士団長が眉間に皺を寄せ、マグダレーナに聞いた。
「このような事、嘘を言っても仕方ありません。確かに、リンドブルム侯爵家の封蝋がしてありました。そしてそれは両親も執事も見ております。」
「…っ!?」
無表情だったコンラートが、驚愕の表情を浮かべる。
(???????)
それを見たマグダレーナが、何故彼が驚いているのか分からない、といった顔をした。
「どうやらこれは、確認する必要があるな。シュトラウス子爵令嬢、その手紙はまだあるのか?」
「はい。今手元にはありませんが、家にあります。」
「では、誰かに取りに行くようにお願いできるだろうか?」
「承知しました。」
騎士団長が、部屋の隅に控えていた騎士を呼び、シュトラウス子爵家の者を呼ぶ様に命じ、部屋に招き入れられた従者に、その手紙を取りに行くように告げた。執事が、その手紙の保管場所を知っている事も付け足して。
従者が下がった後、マグダレーナはコンラートの方を見た。すると、彼も彼女の方を見ていたので、眼が合ってしまう。
本当に、彼は手紙の事は身に覚えが無いのだろうか? けれど、彼が嘘を言っている様にも見えない。
しかし、手紙には封蝋までしてあった事は間違い無い。封蝋は何処からどう見ても本物だった。
何より、リンドブルム侯爵家を訪れた際、執事は『承っておりますので、お部屋までどうぞ。』と、自分の事を迎え入れたのだ。
だとするなら、コンラートが手紙の事を知らないのはどう考えてもおかしい。
一体全体、何がどうなっているのか、彼女はますます訳が分からなくなった。
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