R18・優しすぎる貴方【完結】

雫喰 B

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20. コンラートの追想 ④

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*今話は、センシティブな内容(人間的にどうかと思われる様な、配慮が必要と思われるかもしれない内容)、不適切な表現等が、多いので、苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願い致します。
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 それでは、[モヤモヤ解決編]の続きをお楽しみ下さい。




    刑罰が確定していないその女は、まだ貴族である為、貴族用の牢とは名ばかりの、一般の囚人からすれば優遇された部屋に監禁されている。
とは言っても、部屋の中ではある程度自由に出来る。

    その女、幼馴染みだった、妹の様に思っていた女。
    何時からか、その身に毒を纏う様になり、今では立派過ぎる程立派な毒婦に成り下がってしまった女。

    初めてその女の悪い噂を耳にした時は、とても信じられなかった。
    
    今でも瞼を閉じれば、幼い頃のヨタヨタと覚束ない足取りで、俺の事を『にぃーたま』と呼びながら、付いて回る姿が思い浮かぶ。

    その女には何度も何度も、『好き』だと言われたが、妹だとしか思っていない女に言われても困るばかりだった。

    だから、言われる度に何と答えていいか分からなかった。

    女らしい身体つきになりだした頃から、必要以上に身体を密着させる様になってきて、正直迷惑に思っていたが、態とやっている訳ではないのだろう。
と思う事にして、本人には、もう子供では無いのだから必要以上に身体を密着させない様に注意していた。

なのに、やめるどころか、他人にまでやる様になったのを見て、頭が痛かった。
けれど、いい加減弁える年齢だから、いつも注意する訳にもいかないし、俺もそこまで暇じゃなかった。

    そんな俺の気も知らずに、いつも周りに取り巻きを侍らせ、その男達に身体を触られたりしているのに、ソイツらに愛想を振り撒いて笑っていられる女の気が知れなかった。

    見る度に、頭の痛い思いをしたので、なるべく見ない様にしていた。

    そのうち、取り巻きの中の一人、バルドリック侯爵令息と婚約したと言う噂を聞いた。

    婚約者がいる男に手を出したのか?と信じられない思いで一杯だった。
    そんな横紙破りな事までするとは思わなかった。

    注意しようかどうしようか悩んだが、他家の事に首を突っ込めない事もあって、結局何も言えずにいた。
    
    そしてそれから暫くして、信じられない様な噂を耳にした。

『薬物を使って、既成事実を作り、婚約した。』

    鈍器で頭を殴られたみたいな衝撃を受けた。
妹だと思っていた女が、自分の欲を満たす為だけにやらかした数々の行為に、眩暈がした。

    その時には既に、その女の傍に寄るのも、目にするのも嫌だった。

    が、父からは、『友人の娘だから頼られたら力になってやれ。騎士たる者、弱きを助けよ。』と言われていた。

こんなのどう、助けるんだよ!

と突っ込みたくなったのは言うまでもない。

が、噂を鵜呑みにする訳にもいかない。侯爵令息の元婚約者の辺りから出た噂なら、嘘かもしれないからだ。

    王家主催の舞踏会に、俺の唯一の彼女を探す目的で参加した時に、婚約したと言われたが、おめでとう!とだけ答えて立ち去ろうとしたら、袖を引っ張られた。

    俺が引き留めるのを、期待していたのは分かっていたが、そんな気は更々無かった俺は、もう一度おめでとうと言って、その手を振り払って立ち去った。

    そして学園を卒業した後、その女はバルドリック侯爵家へと嫁いで行った。
   
    それで、俺とその女の関わりは無くなった筈だった。

    何処で道を踏み外したのか?今となっては、本人(あの女)にすら分からないのではないだろうか。

    何時も他人の所為にして、他の人が悪い。他の人がそうしたからだ。と、他の人の所為にばかりして、自分は悪く無いと言い張り、自分の感情と欲だけを満たす事のみ考え、行動した。他の人を虐げ、害した結果、刑罰が確定する日を待つ為だけにこんな所にいる。

    妹だと思っていた時は、家族に対する情の様な感情で気の毒に思っていた。
    それを裏切られ、それでも人として信じて同情していたが、同情だけだった。
    そしてとうとうそれすらも裏切られ、今では他の囚人に対するのと同等、いや、それ以下だ。

    なのに、その女は未だに自分は悪くないと、反省の色すら見せない。

    だからそんな事を言えるのだろう。

『コンラート、私は悪くないの。あの女に嵌められたの!  お願い、目を覚まして!  此処から出して!』
『何もかも全部、あの女が悪いのよ!』
『貴方は今でも、私の事だけを愛しているのよ。そうでしょ?思い出して!』
『あの女に洗脳されてるのよ!そうじゃなければ、優しい貴方が、こんな、愛している私をこんな目に合わせる筈がないもの!』

    よくもまぁ、そこまで都合のいい事が言えたものだと思う。

    『俺は、お前の事は妹だと思った事はあるが、女として愛した事など一度も無い。俺が昔も今も愛しているのは、レーナだけだ。』

    俺がそう言うと、嘘だ!騙されている!などと、髪を振り乱し、泣き喚く。

    そんな女を見ていたくなくて、最後の尋問に立ち合った時、

『俺の唯一に危害を加えた。それだけでお前は、万死に値する。』

    と決別の意味を込め、告げるだけ告げて立ち去った。




  




             



    

    

    


    
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