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21. コンラートの追想 ⑤
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二度と関わる筈の無い女。なのに、その女が離婚した事で、とんでもない事に巻き込まれるとは思ってもみなかった。
社交界に、真しやかに流れていた噂を耳にした時、俺は真っ先に婚約者の元へ走った。
『噂なんか気にするな。俺はお前の事を愛しているから結婚すると決めた。』
誤解されたくなくて、そう言ったのに…。
後日、上司である騎士団長に呼ばれ、執務室まで行くと、見た目は騎士なのだが、騎士の顔ぶれなら殆ど覚えている筈の俺が、見た事もない男がそこにいた。
先客がいたので、部屋を出ようとしたら呼び止められた。
何事かと訝しんでいると、
『諜報部隊の統括長、ヨーゼフ・ブルームハルト大佐だ。』
『騎士団副団長の、コンラート・リンドブルム中佐であります。』
団長から紹介されたので、騎士の礼をして自分も名乗った。
そして、団長と統括長から、任務についての打診と言う名前の命令を突き付けられた。
つまり、拒否権は無い。
騎士として、国に遣えている以上、その責務を果たす義務がある。
その事は十分理解しているし、そうするべきだと思っている。
しかし、この任務は断りたい!
拒否権がないのも分かっているが、絶対に断りたい任務だった。
何より、俺は諜報員ではない。騎士だ。
『拒否権が無いのは分かっています。
任務も受けましょう。
ですがその前に、
非礼を承知でお尋ねしたい。
何故、諜報員では無い自分の所に、この任務が回ってきたのでありますか?』
ブルームハルト大佐は、苦虫を噛み潰した様な顔をして答えた。
『この件には、卿の幼馴染みが深く関わっている。そして、彼女の母親とその情夫が大本だという所までは辿れた。が、その情夫がかなりの喰わせ者で、内部にも協力者がいる可能性が出てきた。』
『 !? 』
『だから、そこに近付けて情報を集める事が出来る人間が要る。
それに卿が最適人だという事だ。
聞けばその幼馴染みとは相思相愛だったらしいではないか。』
『相思相愛などでは断じて無い!俺には……』
『まぁ、聞け。我が国ではまだ知られていない薬物が絡んでいる。
そしてその被害は思った以上に拡がっているんだ。国の危機に騎士が立ち上がるのは当たり前だろう。その前では、個人の事情などとるに足らない。』
悔しいが、その通りだ。
騎士として国に遣えた以上、仕方の無い事だと分かっている。分かってはいるが……。
目を瞑れば、俺に裏切られたと思い、泣き崩れる彼女の姿が……。眼に浮かぶ様だ。
しかし、俺には任務を受ける道しか無かった。
が、これまでの経緯を聞いて、激しく後悔した。
これまでの任務で、廃人、若しくは薬物中毒による禁断症状で、今も苦しむ諜報員が多数出ているという話に…。
怪しまれた人間は、薬物を使用した尋問が徹底的に行われている為だ。
そして、その薬物はどれほど厳しい尋問にも耐え得る訓練を受けている者でも、呆気ないくらい簡単に、敵の手に堕ちるらしい。
はっきり言って、ハイリスクしか無い任務に言葉をなくした。
しかし、その薬物の前では、国すら滅ぶだろう。勿論、王国民が、人間が先に壊れるのだが…。
その事実を目の当たりにして、断る事など出来なかった。
悪党共は、薬物で操り、内通者を作り、摘発を免れ続けている。
彼女の身に危険が及ぶかもしれない事を考えると、もう、会えない。
事実、この件が片付くまで彼女、レーナとの接触を禁じられた。
レーナに会えない辛さに身を切られる想いで、執務室を後にした。
社交界に、真しやかに流れていた噂を耳にした時、俺は真っ先に婚約者の元へ走った。
『噂なんか気にするな。俺はお前の事を愛しているから結婚すると決めた。』
誤解されたくなくて、そう言ったのに…。
後日、上司である騎士団長に呼ばれ、執務室まで行くと、見た目は騎士なのだが、騎士の顔ぶれなら殆ど覚えている筈の俺が、見た事もない男がそこにいた。
先客がいたので、部屋を出ようとしたら呼び止められた。
何事かと訝しんでいると、
『諜報部隊の統括長、ヨーゼフ・ブルームハルト大佐だ。』
『騎士団副団長の、コンラート・リンドブルム中佐であります。』
団長から紹介されたので、騎士の礼をして自分も名乗った。
そして、団長と統括長から、任務についての打診と言う名前の命令を突き付けられた。
つまり、拒否権は無い。
騎士として、国に遣えている以上、その責務を果たす義務がある。
その事は十分理解しているし、そうするべきだと思っている。
しかし、この任務は断りたい!
拒否権がないのも分かっているが、絶対に断りたい任務だった。
何より、俺は諜報員ではない。騎士だ。
『拒否権が無いのは分かっています。
任務も受けましょう。
ですがその前に、
非礼を承知でお尋ねしたい。
何故、諜報員では無い自分の所に、この任務が回ってきたのでありますか?』
ブルームハルト大佐は、苦虫を噛み潰した様な顔をして答えた。
『この件には、卿の幼馴染みが深く関わっている。そして、彼女の母親とその情夫が大本だという所までは辿れた。が、その情夫がかなりの喰わせ者で、内部にも協力者がいる可能性が出てきた。』
『 !? 』
『だから、そこに近付けて情報を集める事が出来る人間が要る。
それに卿が最適人だという事だ。
聞けばその幼馴染みとは相思相愛だったらしいではないか。』
『相思相愛などでは断じて無い!俺には……』
『まぁ、聞け。我が国ではまだ知られていない薬物が絡んでいる。
そしてその被害は思った以上に拡がっているんだ。国の危機に騎士が立ち上がるのは当たり前だろう。その前では、個人の事情などとるに足らない。』
悔しいが、その通りだ。
騎士として国に遣えた以上、仕方の無い事だと分かっている。分かってはいるが……。
目を瞑れば、俺に裏切られたと思い、泣き崩れる彼女の姿が……。眼に浮かぶ様だ。
しかし、俺には任務を受ける道しか無かった。
が、これまでの経緯を聞いて、激しく後悔した。
これまでの任務で、廃人、若しくは薬物中毒による禁断症状で、今も苦しむ諜報員が多数出ているという話に…。
怪しまれた人間は、薬物を使用した尋問が徹底的に行われている為だ。
そして、その薬物はどれほど厳しい尋問にも耐え得る訓練を受けている者でも、呆気ないくらい簡単に、敵の手に堕ちるらしい。
はっきり言って、ハイリスクしか無い任務に言葉をなくした。
しかし、その薬物の前では、国すら滅ぶだろう。勿論、王国民が、人間が先に壊れるのだが…。
その事実を目の当たりにして、断る事など出来なかった。
悪党共は、薬物で操り、内通者を作り、摘発を免れ続けている。
彼女の身に危険が及ぶかもしれない事を考えると、もう、会えない。
事実、この件が片付くまで彼女、レーナとの接触を禁じられた。
レーナに会えない辛さに身を切られる想いで、執務室を後にした。
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