R18・優しすぎる貴方【完結】

雫喰 B

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25. 彼の想いとツォルニヒ(ルーニー)の後悔 ②

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 ここまで自分の計画の邪魔(レーナは邪魔をした覚えはない)をし、コンラートを自分から取り上げ、しかも、薬を盛られてもレーナへの確とした想いを貫くコンラート。真実、彼に愛されているレーナ。

 そんな彼女を、計画の成功、失敗、以前に、ルーニーの心が、プライドが、感情が許す訳が無かった。

 なのにコンラートは、幼かった時の彼女を覚えているが故に、判断を誤っているとは思っていない。
 そして、ルーニーがレーナに対してどんな行動を取るかも、正確に予測出来ていなかった。

 諜報部隊統括長であるヨーゼフ・ブルームハルト大佐は、コンラートの安全と任務完遂の為に、自分が信用を置いている諜報員を張り付かせていた。

 コンラートがいくら騎士として優秀でも、諜報員と同じ動きが出来るとは限らない。
 何より、彼がこの任務に適していると言っても、安全面に於いて最大限に配慮しなければならなかったからである。

 そして、部下から報告を受けていた彼は、コンラートを呼んで一つの可能性を示唆した上で、一通の手紙を渡して指示を出した。

 『同様の文面の手紙を、ウンツフリーデン伯爵令嬢に毎日送り付ける様に。』

 『何ですかコレは!?』

 手紙の内容を見たコンラートは、ヨーゼフに詰め寄った。

 『それは、飽くまで例文だ。』
 『例文…って、これじゃあ、まるでストーカーじゃないですか!!』
 『だが、抑止力と言うか、牽制にはなるぞ。』
 『抑止力…?牽制…?一体何のことです?』

 訳が分からないと言った感じで、尚も詰め寄るコンラートに、半ば呆れた様に

 『まさか本当に分かってないのか?』『仕方が無いな。』

 などと呟きながら、説明した。

 コンラートが、薬を盛っても陥落しなかった事で、ルーニーのプライドが傷付けられた事、そして、恨みや憎しみと言った思いを更に募らせた事。その憎悪の矛先がレーナに向けられる事を。
 
 そこから導き出される、ルーニーが取るであろう行動。つまり、レーナに危害を加える。という事を。
 
そして、どの様な危害を加えるか?

 予想されるのは、“誘拐”、“凌辱”、“通り魔的犯行” の三つが最も確率が高いだろう事。

 その話を聞き終わったコンラートは、顔色を失っていた。

 だが、と、ヨーゼフは話を手紙に戻した。

 一見、ストーカーな手紙だが、事細かにレーナの行動を把握しているという事は、始終、見張っているという事になる。その事実が、危害を加える側に対しての牽制になるだろう。と。

 話を聞いていたコンラートだったが、次の言葉を聞いて激怒した。

 『敵の尻尾を掴む為に、挑発目的の後半の文章を必ず書く様に。』
 『…ッ!? レーナを、餌にするつもりですか!?』

 コンラートのその言葉に対して、ヨーゼフは冷徹な言葉を彼に向けた。

 『その大切な彼女を危険に晒したのは卿であろう。』
 『…ぐッ…。』

 コンラートは、『彼女を危険に晒したくなければ、絶対に接触するな。』と厳命されていたにも拘わらず、会えない日々に耐えられず、会いたい。と、連絡を取ってしまった。その時の彼の愚行が今の状況だと言われた。

    単なる政略結婚ならば、婚約者の女に恋愛感情がないだろうから、ルーニーの方は優越感に浸っていられる上に、思う通りに出来る。なら、態々婚約者の女に危害を加える必要はない。精々、マウントをとるぐらいである。

    だが、婚約者の女に恋愛感情がある場合はルーニーの思う様にならない可能性が高くなる。
    そうなると、婚約者の女が邪魔になってくる。
危害を加える可能性が高くなるのだ。

 その事を肝に銘じた彼は、彼女の命を守る事を優先させた上で、任務を遂行する事を誓ったのだった。

*****************
 ツォルニヒ(ルーニー)の後悔 ②
 
    薬を盛ったのに、この手に堕ちて来なかったコンラート。 
 それほどまでに、見た目で私に劣る女の事が大事なのか。
 あんな女の方が良いのか。この私よりも…。

 何処までも邪魔な女に制裁を加えなければ。その上で、この世から消さねば。そうしなければ気が済まない。
 妬み、嫉み、恨み、憎しみで、ギリギリギリと歯噛みする毎日だった。
 
 その機会を窺っていた彼女に、コンラートから手紙が来た。

 婚約破棄をして以降、無しの礫だった彼からの手紙に天にも昇る気持ちだったのに、ウキウキと広げた手紙の内容に、怒りで、見る見る顔が真っ赤に染まっていく。

 『何よ!コレ!!』

 まるでストーカーの様に、びっしりとレーナの一日の行動が書き込まれ、後半は彼女に対する想いを書き連ねてあった。    

『彼女の事なら何でも知りたいし、知っている。レーナの事がこの世で一番、かわいい。好きだ。愛している。会いたいのに会えなくなった。でも、陰からでも見ることが出来て幸せだ。けれど触る事が出来ない。おまけに婚約が破棄された。
婚約が破棄されたのも、触れる事が出来なくなったのもお前の所為だ。』

   なんて書かれた手紙を何通も送って来られて。(しかも、半年間ほぼ毎日。)

 始めは、彼以外の人と結婚したから、焼きもちを妬いて、怒っているんだと思ったりしたわ。
   でも、そのうちに、本当にあの女の事を愛している。って分かって来て……。
 益々あの女が許せなかったの。

 こんな事なら、コンラート以外の人と結婚なんてするんじゃなかった。
 彼以外の人と結婚したから、捕まっちゃったんだわ。
 と、ルーニーは後悔の溜息を吐いた。

 えぇぇぇっ!? (後悔って) そこ?
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