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18. それでも… ②ランディ
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*予告入れるのを忘れていました。読んでしまった方、すみません!
*残酷、残虐な描写、表現等があります。苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いします。
~~~~~
ここ数日、何かがおかしい。何がというとよくわからないのだが…。
時々、頭に霞がかかったように、ハッキリしない事がある。
けれど、今日は待ちに待ったリンジーとのお茶会の日だ。なのに何でこの女がここにいるんだ?
側近のリチャードが言うには、何か重要な情報があると、押し掛けて来たらしいが…。
「で?何の情報だ?」
この女には、既に賠償金を払っているから、俺とリンジーに近付くな。と言ってあったと思うのだが…。
「リンジー様に関する事ですわ。」
思わず、片方の眉がピクリとしたのが自分でも分かった。
それに気付いたように目の前の女が、口角を吊り上げた。
「さっさと言って欲しいものだな。こう見えて暇じゃないんでね。」
「まあぁ、つれないわね。けど、いいわ。」
姿勢を正し、扇子を広げて口元を隠してから、すっと眼を細めて言った。
「いきなりで何ですけれど…。彼女の事を信用し過ぎでは?」
「信用して悪いか?彼女はお前と違って嘘などつかぬ。」
テーブルの上に身を乗り出し、変わらず口元は扇子で隠して囁く。
「あら、そう。でもね、彼女、あなた以外の人と親しいと聞いたけど…。」
「 … 」
ローザリンデがこちらを窺うようにチラリと見る。
一瞬、リンジーを疑ってしまいそうになったが、それを悟られないように無表情を装った。
「いえね、私もその話を聞いた時、まさかと思ったのですけど…。どうやら、本当の事らしくて…。」
「嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくんだな。」
そう言って、立ち上がろうとした時、扇子を閉じ、こちらを指し示すように扇子の先を俺に向けた。
「ランディ様、他の誰でもなく、この私が言っているのです。」
「だから、嘘を…」
「この私が言っているというのが、分からないのですか!」
「…………分かった。」
何だ…?今俺は何て言った…?
ローザリンデに頷いている俺が居た。
ぼんやりと他人事のようにそう思った。
「じゃあ、行きましょうか。」
「…そうだな。」
俺と共に歩き出した彼女が歩を止める。
「あ、そうそう、これを忘れちゃいけないわね。」
クスクスと笑いながら、立て掛けてあった剣を俺に渡してきた。
それを受け取り手に持ったまま、歩く。
けど、何処へ…?
リンジーが◯◯◯◯ている所へ。
庭園に着いたが、リンジーが居ない。近くに居た侍女に聞くと、庭園内を散策していると言う。今はバラが見頃だから、そこに居るのではないか。と、もう1人の侍女が言った。
頷くと、庭園の奥へと進んでいった。だが、何故か怒りが沸いてくる。
バラの咲き乱れているバラ園にはいなかったから、更に奥へと進んだ。
ローザリンデが言っていた話が頭の中をぐるぐると駆け巡っている。彼女を信じたいのに…。妙に焦燥感に駆られる。
彼女が俺を裏切る訳無い。━━ 本当に?
━━━ 信じている!━━ 信じられない…
俺は彼女の名を叫んだ。
何かが聞こえたような気がした。
足早に進んでいたのが、小走りになり 、駆け出した。
そして、俺の眼が彼女の姿を捉えた時、彼女は男と睦み合っていた。
カッと頭に血が上り怒りに我を忘れた。
━━ 彼女が俺を裏切るなんて…許せない!
俺にバレた事に気付いたのか、男から慌てて離れ、彼女がこちらへ駆けてくる。
「リンジー!」
怒りに任せ、目の前まで来た彼女の頬を殴った。
殴られた彼女は地面に倒れた後、驚きに眼を見開いて、俺を見上げていた。
「貴様という女は…!」
━━ 何で…何で…信じてたのに…!
ふらつきながら立ち上がる彼女の肩を掴み、斜め上から剣で身体を刺し貫き、抉るように捻ってから剣を抜いた。
ゴフゥォッ!
口から血が吹き出て、 糸の切れたマリオネットみたいに彼女の身体が崩れ落ちる。
もはや彼女の口からは空気が漏れるように、ゼフヒュゥ、ゼフヒュウという音が出るだけだった。
何だこれは…?
頭の中に霞がかかったように、ぼんやりとその光景を見ながらそう思った。
まるで現実の出来事では無いみたいだ。劇場で演劇を見ているような…。
地面に倒れているのは演者ではない。自分の見知った顔を何の感慨もなく、ただ見ていた。
「リンジーッ!」「お嬢様っ!」
不意に、そんなセリフが聞こえてきた。騎士と侍女がこちらに駆けてくる。
その2人の顔にも見覚えがある。
誰だったか…?
騎士が倒れている女に駆け寄り名前を呼ぶが、その眼は今まさに閉じられようとしている。
「殿下ー!!」
倒れた女を抱き締め、涙を流して名を呼ぶ騎士をぼんやり見ていた俺の耳にその声が聞こえた。
俺を呼ぶ白髪交じりの男を見た。
驚きに眼を見開いた後、怒りの表情をしたかと思うと、いきなり頬を殴られた。
そこでハッと眼が覚めたような感覚になったが、目の前の光景に青ざめた。
そこで屈んで泣いているのは、ローランドか?そして、彼の腕の中には…?あり得ない?! 何故彼女が…?!
「リンジー!嘘だ!何で…こんな…?!」
傍に行こうとした俺からリンジーをその身体で隠すように背を向けた。
だが、顔だけは俺の方を向いたまま、鋭い眼で俺を射殺さんばかりに睨み付けている。
「拘束しろ!!」
その声と共に地面に組伏せられる。
「い、嫌だ!リンジー!放せ!リンジー!リンジーッ!!」
背中に膝を乗せ、両腕を掴まれた状態で顔だけ上げて叫んだ。
そんな俺に彼女を抱き抱えたローランドが唾を吐き捨て、急ぎ足で去って行く。
「リンジーッ!!」
その姿はローランドの身体で見えない 。それでも…俺は彼女の名を叫んだ。
嘘だ!嘘だ!嘘だ!誰か嘘だと言ってくれ!
*残酷、残虐な描写、表現等があります。苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いします。
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ここ数日、何かがおかしい。何がというとよくわからないのだが…。
時々、頭に霞がかかったように、ハッキリしない事がある。
けれど、今日は待ちに待ったリンジーとのお茶会の日だ。なのに何でこの女がここにいるんだ?
側近のリチャードが言うには、何か重要な情報があると、押し掛けて来たらしいが…。
「で?何の情報だ?」
この女には、既に賠償金を払っているから、俺とリンジーに近付くな。と言ってあったと思うのだが…。
「リンジー様に関する事ですわ。」
思わず、片方の眉がピクリとしたのが自分でも分かった。
それに気付いたように目の前の女が、口角を吊り上げた。
「さっさと言って欲しいものだな。こう見えて暇じゃないんでね。」
「まあぁ、つれないわね。けど、いいわ。」
姿勢を正し、扇子を広げて口元を隠してから、すっと眼を細めて言った。
「いきなりで何ですけれど…。彼女の事を信用し過ぎでは?」
「信用して悪いか?彼女はお前と違って嘘などつかぬ。」
テーブルの上に身を乗り出し、変わらず口元は扇子で隠して囁く。
「あら、そう。でもね、彼女、あなた以外の人と親しいと聞いたけど…。」
「 … 」
ローザリンデがこちらを窺うようにチラリと見る。
一瞬、リンジーを疑ってしまいそうになったが、それを悟られないように無表情を装った。
「いえね、私もその話を聞いた時、まさかと思ったのですけど…。どうやら、本当の事らしくて…。」
「嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくんだな。」
そう言って、立ち上がろうとした時、扇子を閉じ、こちらを指し示すように扇子の先を俺に向けた。
「ランディ様、他の誰でもなく、この私が言っているのです。」
「だから、嘘を…」
「この私が言っているというのが、分からないのですか!」
「…………分かった。」
何だ…?今俺は何て言った…?
ローザリンデに頷いている俺が居た。
ぼんやりと他人事のようにそう思った。
「じゃあ、行きましょうか。」
「…そうだな。」
俺と共に歩き出した彼女が歩を止める。
「あ、そうそう、これを忘れちゃいけないわね。」
クスクスと笑いながら、立て掛けてあった剣を俺に渡してきた。
それを受け取り手に持ったまま、歩く。
けど、何処へ…?
リンジーが◯◯◯◯ている所へ。
庭園に着いたが、リンジーが居ない。近くに居た侍女に聞くと、庭園内を散策していると言う。今はバラが見頃だから、そこに居るのではないか。と、もう1人の侍女が言った。
頷くと、庭園の奥へと進んでいった。だが、何故か怒りが沸いてくる。
バラの咲き乱れているバラ園にはいなかったから、更に奥へと進んだ。
ローザリンデが言っていた話が頭の中をぐるぐると駆け巡っている。彼女を信じたいのに…。妙に焦燥感に駆られる。
彼女が俺を裏切る訳無い。━━ 本当に?
━━━ 信じている!━━ 信じられない…
俺は彼女の名を叫んだ。
何かが聞こえたような気がした。
足早に進んでいたのが、小走りになり 、駆け出した。
そして、俺の眼が彼女の姿を捉えた時、彼女は男と睦み合っていた。
カッと頭に血が上り怒りに我を忘れた。
━━ 彼女が俺を裏切るなんて…許せない!
俺にバレた事に気付いたのか、男から慌てて離れ、彼女がこちらへ駆けてくる。
「リンジー!」
怒りに任せ、目の前まで来た彼女の頬を殴った。
殴られた彼女は地面に倒れた後、驚きに眼を見開いて、俺を見上げていた。
「貴様という女は…!」
━━ 何で…何で…信じてたのに…!
ふらつきながら立ち上がる彼女の肩を掴み、斜め上から剣で身体を刺し貫き、抉るように捻ってから剣を抜いた。
ゴフゥォッ!
口から血が吹き出て、 糸の切れたマリオネットみたいに彼女の身体が崩れ落ちる。
もはや彼女の口からは空気が漏れるように、ゼフヒュゥ、ゼフヒュウという音が出るだけだった。
何だこれは…?
頭の中に霞がかかったように、ぼんやりとその光景を見ながらそう思った。
まるで現実の出来事では無いみたいだ。劇場で演劇を見ているような…。
地面に倒れているのは演者ではない。自分の見知った顔を何の感慨もなく、ただ見ていた。
「リンジーッ!」「お嬢様っ!」
不意に、そんなセリフが聞こえてきた。騎士と侍女がこちらに駆けてくる。
その2人の顔にも見覚えがある。
誰だったか…?
騎士が倒れている女に駆け寄り名前を呼ぶが、その眼は今まさに閉じられようとしている。
「殿下ー!!」
倒れた女を抱き締め、涙を流して名を呼ぶ騎士をぼんやり見ていた俺の耳にその声が聞こえた。
俺を呼ぶ白髪交じりの男を見た。
驚きに眼を見開いた後、怒りの表情をしたかと思うと、いきなり頬を殴られた。
そこでハッと眼が覚めたような感覚になったが、目の前の光景に青ざめた。
そこで屈んで泣いているのは、ローランドか?そして、彼の腕の中には…?あり得ない?! 何故彼女が…?!
「リンジー!嘘だ!何で…こんな…?!」
傍に行こうとした俺からリンジーをその身体で隠すように背を向けた。
だが、顔だけは俺の方を向いたまま、鋭い眼で俺を射殺さんばかりに睨み付けている。
「拘束しろ!!」
その声と共に地面に組伏せられる。
「い、嫌だ!リンジー!放せ!リンジー!リンジーッ!!」
背中に膝を乗せ、両腕を掴まれた状態で顔だけ上げて叫んだ。
そんな俺に彼女を抱き抱えたローランドが唾を吐き捨て、急ぎ足で去って行く。
「リンジーッ!!」
その姿はローランドの身体で見えない 。それでも…俺は彼女の名を叫んだ。
嘘だ!嘘だ!嘘だ!誰か嘘だと言ってくれ!
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