【改稿版】それでも…

雫喰 B

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54. 事件の真実

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*今話の中で、出てくる薬物は、飽くまでも想像であり、実際にあるかどうかまでは分かりません。
    万が一、あったとしても(勿論、なくても)、自分や他者に対して、使用する行為を認めていませんし、推奨している訳でもありません。
    また、後催眠に関しても上記と同様です。
    実際にそんな事が出きるかどうか、分かりません。想像であり、フィクションです。
    なので、上記の行為や、それに類する行為を他者や自分に対して行わないで下さい。

*内容が内容なだけに、苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いします。
~~~~~


    その恐ろしい事件の真実とは…。

    リビルド伯爵令嬢のローザリンデの母親が呪術師と呼ばれる一族の生き残りで、ハリーがその呪術をかけられていたと言うのだ。

    呪術と言っても、毒性の強い薬物を用い、譫妄せんもう状態にした上で、後催眠を掛けるという方法で、他者を操るらしく、それを危険視した先々王や、先王の代でその呪術師の一族と薬物、薬物の製造法等を根絶やしにした筈が、それを掻い潜って生き残った者がいた。

    その生き残りこそが、ローザリンデの母親で、流石に、薬物の製造法までは知らなかったようで、逃げる際に薬物を持ち出していたと考えられる。

    が、ローザリンデは正確に呪術を使えた訳ではなく、母親が呪術を使っているを見て、そのやり方を真似ていたのではないか…と結論付けられた。

    人を操る事の出来る呪術も恐ろしいが、それに用いられる薬物は更に恐ろしく、悍ましい物だった。

    リビルド伯爵家が捜索され、押収された薬物は三種類あり、成分が同じだった事から、製法は同じとみられた。

    そして、押収されたのは、液体、粉末、元になった薬草を乾燥させた物の三種類で、一番毒性が高かったのは、高濃度で抽出、精製された液体の物だった。

    使用方法は、液体は経口摂取、薬草を乾燥させた物は、香と同様の使い方で、煙を吸引させる。
    粉末の物は、経口摂取、煙の吸引の両方の使い方をされる。

    更に恐ろしい事に、その強い毒性の為、毒が体外に排出されず、体内に蓄積され、経口摂取した場合は内臓が、煙を吸引した場合は呼吸器や脳の細胞が破壊される。

    そして、ローザリンデによってその薬物を摂取させられたランディ王太子、ハリー・クリムト、リチャード・フォラスの3名は、何れも死亡している。

    元王国騎士団団長のアクシオン・フォラスとその息子のリチャード・フォラスが、その身を犠牲にして呪術と薬物の存在を訴えたからだった。

    ローザリンデの母親が、過去にその呪術を使った時の犠牲者が、アクシオン・フォラスの婚約者で、当時、彼は婚約者の死を不審死だと訴えたが、それを退けられた。

    だが、ハリー・クリムトの事件でローザリンデが関わっていた事と、捕縛される前と後の彼の状態が、その婚約者の時と同じだった事で、独自に調べていた。

    それを知った、リチャードが親友の為にローザリンデに近付き、その罪を暴こうとするも、ミイラ取りがミイラになってしまう。

    そして呪術をかけられ、リンジー・カスペラードを襲ってしまう。

    アクシオンが、リチャードの様子がおかしいと報告を受けた時には、既に事件が起こった後だった。

    息子が起こした事件によって、侯爵家が取り潰される事が避けられないと判断した彼は、個人的な恨みと共に、元凶を取り除くべくローザリンデを斬り捨てた。
    
    半分は私情で動いた彼に、国王は怒ったが、事件の後、何人かの貴族家の当主や身内の者が不審死した事で、その怒りを解いた。
    その不審死した者達が、ローザリンデやその母親と親しかったからだった。

    そして、これらの事実は王家の名に於いて、伏せられる事となり、秘匿される事と決められた。

    ただし、カスペラード辺境伯家、ハリー・クリムト、彼を引き取ったアンネーメン家に、ジョシュアが知らせる事は認められたのだという。

    その話を聞いたハリーが、ランディ王子に会う事と、リンジーに謝罪する事を願った。

    けれど、リンジーに謝罪する事は叶ったが、ランディ王子に会う事は叶わなかった。
    
    というのも、彼がここに着いた時には、自力で立つ事が出来なくなっていたからだ。
    そして起き上がる事も出来ず、ベッドに横たわったままではあったが、リンジーに謝罪する事が叶ったその翌日に死亡した。

    彼の亡骸は、一族の墓がある墓地に埋葬する事を拒否され、この地にある墓地に埋葬された。

    彼の遺志だったとして、タークスとジョシュアがランディ王子に面会したのだが、王子はリンジーと同じ紅茶色の髪の鬘を被り、鏡に向かってうっとりとした表情で、何かぶつぶつと呟いていて、鏡の中のと会話していたのだが、その顔は頬が痩け、眼は落ち窪み、身体もガリガリに痩せて枯れ木みたいになっていた。

    その姿を見て衝撃を受けた二人は、背筋が寒くなり、絶句した。

    面会後、塔の警備責任者に話を聞くと、牢内でリンジーに会わせろと暴れる王子に国王が、彼女が死んだと告げ、その証拠として彼女の髪を渡すと泣き崩れ、それ以降、食事も摂らず、ずっと鏡に向かって話しかけているという。

    そして、鬘に見えた彼女の髪は、鬘ではなく紐で束ねただけの物で、息子が本当に愛していたリンジーと結ばれないのを不憫に思った国王が与えた物だった。

    その彼も、彼等が訪れた3日後に死亡したという。



    

    

    
    

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