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化学準備室
しおりを挟む「おはようございます、姫神先生」
「おはようございます」
隣のデスクの石井先生は、私の顔を見るなり「うちのクラスのテスト結果はどうでした?」と期待に胸をふくらませている。
「えーっと...残念ながら赤点が2人いましたね」
「そ、そんなぁ~...受験を控える3年生なのに...。学年主任姫神様、どうしましょ~」
職員室内でマドンナ的存在の彼女の嘆きを聞いて、他学年の男性教員達がスっと立ち上がった。
わらわらと席の周りに集まり、大丈夫大丈夫!石井先生なら大丈夫だよ!と根拠の無い励ましを、斜め向かいのデスクに座る若王子が冷めた瞳で見詰めている。
怖い...。
「ん?」
私の視線に気付いた瞬間、ふわりと微笑むもんだから余計に怖いわ。
「主任、1限目は3-Aですよね?僕は3-Bなので一緒に行きましょうか」
「あ、うん。待ってて、荷物荷物...」
男性教員に囲まれた石井から逃げるようにして職員室を出ると、若王子はどデカいため息を吐いた。
「あの下り、何回やるんでしょうね。テスト終わる度アレですよ。毎回僕ら化学準備室に逃げてるんだから」
少しイライラしてるのだろう、ポケットの中の煙草をあさっているようだ。
乾いた笑いが溢れた私を化学準備室に招き入れた若王子は、椅子に腰かけるなり早速煙草に手をつける。
「若王子くん、校内で煙草吸ってる所がバレたら校長先生に怒られちゃうよ?」
「主任も1本どうです?」
「ん?人の話聞いてる?」
煙草を咥えながら器用に珈琲を淹れる彼は、どうやら校内で吸うのを辞める気はないらしい。
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