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きっかけ
しおりを挟むこんなテンションで仕事をしていても、1日はあっという間に終わるものだ。
気付いたら帰りのホームルームすら終わっていたことに、私自身驚きを隠せない。
「今日、先生全員で飲み会だから17時までには学校出てね」
「えー!そうなの!?私も行くー」
「私も私も」
このギャル共め。
「お酒飲めるようになってからね」
「やだ!だって若王子も来るんでしょ?」
「先生をつけなさい」
「若王子がお酒飲んでる所見たーい」
話!聞いて!ください!
やはり若王子は生徒達からも人気があるようだ。
カッコイイ、色気やばい、えろい!って覚えたての言葉を乱用する子供のようにそれしか言わない女子生徒達。
「ピアス痕がめっちゃえっち」
「左耳やばい、えっちすぎる」
「わかったわかった、早く帰りなさい。私はもう出るからね」
聞いてるこっちが恥ずかしい。
足早に教室を出ようとした瞬間ーーー。
ドンッ!
と鈍い音が響く。
「痛っ...」
「か、神崎!ごめん...!」
私よりも身長が高い神崎に華麗にタックルを決めてしまったようだ。
一瞬目を見開いた神崎は腰を抑えているが、すぐさま無表情に戻り「大丈夫」と一言口にする。
?なんだ、今の驚き方。
「先生は怪我ない?」
「あ、ああ。私は大丈夫だよ。本当にすまない...」
「いいって」
ポンポンと頭を撫でられたかと思えば、教室中が黄色い声で溢れかえる。
神崎のことずっと待ってたんだよ~、帰ろ~と女子生徒達の声。
神崎 七王
完全に校則違反の髪色とピアス。
アーモンド型の瞳と、スっと通った鼻、形のいい唇と完璧なパーツが揃っており、顔面のクオリティが高いことから女子生徒は彼のことを放っておかないようだ。
お金持ちのお坊ちゃまらしいが、分け隔てなく誰にでも優しいうえ、努力を惜しまない彼は教員の中でも評判が良かった。
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