妖精王の祝福は男性妊娠〜聖紋に咲く花は愛で色づく〜

リトルグラス

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2 合コン

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 今日は、大学で歴史学か魔法科学を取っていた人が集まった合コン。
 とか言いつつ、歴史学を取っていたのは女性側に2人とアレクレットの3人だけで、メインは有名大学出身の高学歴で、一有企業に勤める高収入の、身長が高い『3高』が揃った魔法科学科出身の4人だった。

 メインに比べれば、アレクレットは彩りを添えるサラダのトマトポジションだ。
 顔はだけは中性的で女子から『カワイイ』とお褒めの言葉をいただくけど、体つきも細いし言動も穏やかで、男としては見てもらえないタイプ。
 さらに『3高』と並べられても、仕事は大学で学んだ歴史学を活かせたのか良くわからない市役所の公務員で、まだ4年目の収入は遊ぶ余裕がやっと出てきたばかりの金額。身長も男性平均身長に少し届かない。

 女性たちは露骨に、魔法科学科が出身の4人をターゲットとして見ていて、隣りや正面の席は争奪戦なのだが、何故か、アレクレットは魔法科学の大学院生のクラウディオの隣りに座らされ続けていた。
 どうも、このクラウディオは合コンに来ているのに女性からのアプローチを避けているようだった。
 女性たちよりも聞き上手で、相手を気持ちよく話させて、逆にプライベートな質問は濁して答えて踏み込ませない。そして、困った時はアレクレットに話しかけて歴史の話をしてきた。


 終了時間になると参加者たちが『8対8で人数が多かったから話し足りない』と、幹事に二次会の必要性を訴えた。

 幹事がダーツバーかボーリング、カラオケの選択肢をあげると参加者たちの希望はカラオケに集まった。合コンに誘ってくれた同僚は、『カラオケも一緒行こうよ』と言ってくれたがアレクレットは断った。
 もっと話がしたいと思った相手が二次会に参加しなかったからだ。

 カラオケに行くメンバーと別れて、帰宅のため駅へ向かう途中、アレクレットはクラウディオに話しかけた。

「クラウディオは妖精王伝説の『枯れない泉』と『約束の糧』には詳しかったけど、『妖精王の祝福』には興味ないのかい?」
「興味あるよ。でも、『妖精王の祝福』はヨナセレス国の奇跡として情報が秘匿されてるし、神聖不可侵扱いで王室の御用学者じゃなきゃ研究出来ないことになってるんだ」
「そうな──」
「へぇ~、そうだったんだ~!」

 クラウディオを挟んで反対側の女性が、相槌を打つ言葉を被せてきてアレクレットは少しムッとした。
 合コンの間もずっと積極的にクラウディオに話しかけていた女性だ。二次会ではダーツバーに挙手していたし、今も飲みに誘うチャンスを狙っているのだろう。

「私もネットで検索したことあるんですけど『妖精王の祝福』って本当に情報ないですよね。600年前に妖精王が授けてくれた男性妊娠の魔法ってことくらい?」
「そうだな。情報公開されてるのは、祝福で産まれてくる子どもは男児がたった一人。それも一度きり。祝福持ちは下腹部に『聖紋』と呼ばれる模様がある。それから、女性と結婚したら祝福は消えてしまうってことだけ。男性からどうやって子どもが産まれてくるのかも不明で、『聖紋』の模様もハートっぽいって言う噂しかないからな」
「祝福持ちって本当にいるのかな? 見たことないよね?」
「3年前に海外に行った祝福持ちが亡くなったってニュースをやってた時に、国内の祝福持ちは200人を切ったって言ってたから、いるとしても10万分の1の確率だ。すれ違うことすらないだろうな」

 アレクレットは二人の会話をほくそ笑みながら聞いた。
 まさか、その10万人に1人の『妖精王の祝福』を持つ人間が自分たちのすぐ近くにいるとは想像もしていないだろう、と。


 このヨナセレス王国には600年前まで妖精王がいたと言う伝説がある。
 昔、島の先住民は妖精王の妃と子どもを人質に妖精王を使役して他国からの侵略や干渉を跳ね除けていた。
 妖精王を解放したのは島に漂着した奴隷船の奴隷たちだった。奴隷たちは妖精王の妃と子どもを救い出し、お礼に『枯れない泉』と『約束の糧』そして『祝福』を貰った。

 しかし、魔法が科学で解明され、人々が電気で便利に暮らす現代では、妖精王伝説が語る『枯れない泉』はただの湧き水だと言われているし、『約束の糧』は海底火山によって出来た潮流の変化で魚が穫れるようになっただけだと分析されている。
 だが、男しかいなかった奴隷たちが同胞の数を増やすために妖精王から貰った『男性が妊娠出来るようになる祝福』だけは、科学でも解明できない奇跡の魔法として引き継がれている。


 国内に200人もいない『妖精王の祝福』を持つ男の1人であるアレクレットが、合コンに来た理由は女性と知り合うためではなく、自分を抱いてくれる男性を探すためであった。








***











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