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12 翌朝
しおりを挟む翌朝。スマホを探す手がクラウディオの顔を叩いてしまって『ぅぶっ!』という声が目覚ましになった。
「んぇ? あ、・・・あぁ、ごめん」
寝ぼけたアレクレットの平手を受けたクラウディオは眠そうに顔を擦り、あくびをしながらアレクレットの体調を心配した。
「いい、大丈夫・・・。そういや、腹、痛くない?」
「腹?」
「精液は腹を下すって言ってただろ? 浄化魔法で綺麗に出来てたのかなって」
『大丈夫だよ』と言えば、クラウディオはアレクレットの頭をひと撫でし、一糸まとわぬ全裸を恥ずかしがる様子もなく机のコンセントで充電してあったスマホを取りに行った。渡されたアレクレットのスマホも充電満タンだった。
画面を見れば、もう8時半と遅く、休日の朝は朝のアラームがない分遅くまで寝るが、外のビジネスホテルでこれほど熟睡したのは初めてだった。
合コンのメンバーからメッセージが届いていたのを確認しようとしたら、クラウディオが隣りにドスンと座り、言った。
「聖紋見せて?」
「そうだった、妊娠!」
布団をめくれば、当然ながらアレクレットも全裸。おかげで目的の聖紋はすぐに確認出来る。
アレクレットの聖紋は昨日の夜と何一つ変化が見られなかった。模様は相変わらず見落としそうなくらいに薄い白いままで、柄が増えた様子も見られない。中出しすれば出来るとおもっていた真ん中の花の蕾もない。
「なんも変わってない。おかしいな、子どもが出来たら模様の真ん中に花の蕾のような模様が出来るって父さんが言ってたんだけど・・・」
「中出ししたら出来るものじゃないのか・・・?」
アレクレットは唇に人差し指を当てて斜め上の天井をみて、クラウディオは腕を組み俯き唸り、それぞれ思案する。
考えてみたところでアレクレットは妖精王の祝福のことをほとんど知らない。
アナルセックスで中出しされれば妊娠すると思ったのも、産みの父が子種の父に犯されて子が出来たと言ったからだ。他人の精液が必要と思ったのも、自分の精液を入れる実験をしても出来なかったから。アレクレットの知識は父と自分の統計サンプル2つ分の情報だけなのだ。
とりあえず、自分でわからないことは父に聞くしかないので電話をかけた。
アレクレットは男とセックスして中に出されたのに妊娠しなかったことを正直に説明し、父の時の状況やいつもと違ったことがなかったかを聞いてみた。
「どうだったって言われてもなぁ・・・、俺の時はほとんどレイプみたいなもんだった。カルロの奴が泥酔して帰ってきて、そんで無理矢理だ・・・。変ったことと言えば、いつもはピンク色の聖紋が真っ赤になってたのは覚えてる。んで、次の日には聖紋に小さい丸い模様が増えて、それが日に日に大きくなっていったから『妊娠したんだろうな』って思ったんだ」
「そっか、なんで僕は妊娠しなかったんだろう・・・」
「アレクレットの模様はなんつーか、ショボいだろ? もしかしたら、聖紋が出来上がってないんじゃないか?」
「うーん、そこからかぁ・・・」
なんとなく予想していたが、やはり、父とアレクレットの違いは聖紋。とは言え、模様を増やす方法はわからないし、色づく条件も不明。
はっきりしているのは『真っ赤になっていた』と言うことから、妊娠するには聖紋を赤くする必要がありそうだ。
思案にふけるアレクレットに、電話の先で父が『おーい、聞いてんのかー』と声を上げた。
「聞こえてる。朝から電話ごめんね。また近いうちに顔出しに行くよ」
「アレクレット・・・、こういう事にまで口煩く言うのは俺も嫌なんだが、結婚を考えてる相手がいるなら紹介しろ。違うなら──コンドームは忘れるな!! 性病になりたいのか!?」
「はい、ごめんなさい・・・」
外で買ってきた朝食用のパンとコーヒーを、ホテルの部屋で食べながらアレクレットが父から聞いた話をすると、クラウディオも同じ推測をした。
だが、クラウディオはサンプル数が2人分しかないことを指摘し、もっと他の祝福持ちの話を聞くべきだ。などと言う。
「でも、他の祝福持ちになんて。会ったことないよ?」
「王室の御用学者に問い合わせる」
「え、えぇ?!」
「情報を制限しているのは向こうだ。王家の奇跡として秘匿したいからと、他の祝福持ちには配慮なしか? 当事者が困ってんだから質問に答えるくらいしてくれるだろ」
「うーん・・・でも・・・」
正直、そこまでするのは面倒くさい。それに、クラウディオとは上手くいかなかったけど、次の人なら成功するかもしれない。まずは2,3回、他の人と試してからでいいんじゃないだろうか。と思ったのだが、クラウディオが『御用学者への問い合わせは自分がする』と言い出した。
アレクレットは半分クラウディオに言われるがままに連絡先を交換し、毎日、聖紋の変化の報告をするようにと言われ、御用学者への問い合わせの結果を報告し合うべく、来週にまた会う約束をして、その日は別れた。
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