異世界ならチハたんでも無双できる説!!

清川ダイト

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第5話

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「……ここからだな、チハたん。」
「レイン様、ここにいるものは皆殺し、で良かったですね?」(^ω^)
「いや……皆殺しにはすんな。それにできるだけ殺さないでくれよ……」
「何故ですか!」(•ㅿ•)?
「倫理と感情の問題」
「レイン様、戦場に感情論は無用ですよ」(^∀^)
「なら俺はチハたんに対して戦友以外なんの感情や関係は築きませ~ん」
「えっ!? い、いやっ! その……………………た、確かに感情論も必要ですよね! なのでレイン様のできるだけ人を殺めたくないというそのお気待ち、チハも賛成します!」:( ;˙꒳˙;):
「賛成どうも……っと、話戻すが……多分見えるだけで500人はいるけどチハたんなら倒せるよな?」

 こんな会話をしているうちにも、どんどん兵士がこの場に集結しつつある。仕掛けるなら早くした方がいい──のか?

「チハを軽く見ないでください。たかが500名の兵、それも銃火器や対戦車砲ではなく、ぼっろい剣とか槍とかが主力ですから余裕です!」(◦`꒳´◦)
「まぁ……それならいいけどさ……」

 確かに言っていることは事実だ。チハは戦車戦には弱いがそれは元々対人戦を主に想定して作られた戦車だからだ。それにこの世界では、どうやら大和魂というものが本当に存在するらしい(チハたん参照)から、まぁ実際最強なんだろう。

 だが、一つ懸念がある。シャーリス達と遭遇する前、リュンテが恐ろしいことを言っていた。たしか「一人で2000人の魔人を殺した人間がいる」的な内容だったか……。でも今この街には居ないらしいし(シャーリス参照)きっと大丈夫だろ!

「確か君達は地下牢にいたはずだけれど……脱獄してきたんだね。」

 明らかに他の兵士とは……いや騎士とは違う。美しい白い髪と白い瞳、整った顔、中央に赤い宝石のような物がはまっている白銀の鎧、青色のマント、そして紫色の装飾が入った剣。ザ・騎士だ。

「…………もしかして、俺たちを捕らえたのあなたですか?」
「……そうだよ」
「oh…………」

 となるとこれ、チハたんでも勝てないのでは……?

 とりあえず相手に舐められない為に、俺は平然を装う。

「レイン様、提案があります」(*・∀・*)ノ
「なんだ?! この場を覆せるような名案か?!」
「突撃──」三( o'ω')o
「却下」
「なん……ですと……!?」( ºΔº )

 気お取り直して考える。まず言えること、多分真っ二つにされる気がする。だから接近戦はできるだけ避けたい。ということは遠距離からずっと砲撃を加え続けるしかないのだが……一瞬で距離を詰められて終わる気がする。

 ──一体どうすればいいんだ……せめて距離さえ保てればな~…………というか……なんで攻撃してこないんだ? 全く近づいてくる気配ないし……。調べるか。

 世の中を全てを見通し、全ての動き一つ一つを見ることが出来る能力スキル。そんなイメージをする。

 するとまた体が青く発光し、その光が収まる。

固有能力ユニークスキル 全能之魔眼パーフェクト・アイ を習得しました】

 よし、早速使ってみよう。

「──スキル発動、全能之魔眼パーフェクト・アイ

 使用した瞬間、世界が止まった。恐らくあまりにも早く物事が見えてしまうため、世界が止まって見えるのだろう。……ということはこのままみんな担いで逃げればいいのでは?

『カチャ……』

 無音の世界に、何故か鎧が擦れる音がした。

「うっそ~ん…………」

 見ると、そこにはさっきの騎士が歩いてきていたのだ。もしや──

「もしかしてさっきの光は魔眼マジック・アイを獲得したのかい……?」
「……? ま、まぁ似たようなものだけれど……。あなたも習得してたんすね……」
「えぇ。魔眼マジック・アイがあれば一国の聖騎士にもなれますよ。…………僕のように、ね」

 はい。負け確!!

 俺もやろうと思えば、とんでもない聖剣なんかも作れたりするのだろうが、恐らくこの騎士が持ってる剣も聖剣だろうし、まともに斬り合えば戦闘の「せ」のじも、剣道の「け」の字も知らない俺に勝ち目はない。

 ここまでか……。せめて異世界に来たのだから自由気ままなスローライフなんかを送ってみたかったなぁ~……。というか魔眼マジック・アイって種類あるんだ。

「……君は何故この場に来たのかい? 一人で逃げれば、君だけでも生きれていたはずだよ」

 少し眉間に皺を寄せ、問いかけてくる。

「なぜ…………ただ助けるべきだ、って。関係はまだ薄いけど、そんな理由で一人の命を見殺しにはできない。それに……せずに後悔するより、して後悔する方が気持ち的には楽だから……です。」
「────」

 騎士は目を瞑り、黙って聞いていた。

「────君は、いやあなたは魔人と人間が、共存できると思うかい?」

 思いがけない質問に、今度は俺が押し黙った。

 魔人と人間の共存。俺はまだこの世界の事を何も知らないし、過去に何があったかは分からない。

 だからか俺はふと思った。魔人と人間の違いはあるのか? と。それに何か違いがあっても良いじゃないか。違いがあれば、一人一人が違う長所や短所があれば、それぞれの長所を活かしたり他の人の短所を補える。それは実に素晴らしいことではないか。

 俺は閉じていた口を開き、迷いなく言った。わ

「──俺は共存できる、と思います。」
「なぜだい?」
「人間も魔人も、互いに友好や信頼を築けるからです。友達や親友、家族はお互いに傷つけ合う事はでき──」
「僕は人間じゃない、魔人だ。だけれど僕は、この戦争で沢山の同胞を殺したよ。そんな僕と友好や信頼を築けるのかい?」
「魔人……」

 魔人か~そら強いわ! ──と、リュンテの剣技を思い出しながら心の中で叫ぶ。

 しかし、それなら尚更謎だ。なぜこの騎士は魔人側ではなく人間側に着いたのだろうか。それに彼の言葉からは戦意を感じない。もしかして魔人側に付けない理由があるのか?

「……あんたがもし、自ら望んで魔人を殺して来たのなら俺は許せません。けれど、何者かによってそうしなければいけないのであれば、俺は許しても良いと思います。」
「……なぜ、僕が他人に操られていると分かったんだい?」
「感ですよ。第六感っす」
「……あなたは鋭いですね。まるで一振の剣のようですね……」

 騎士は剣を腰の鞘に収め、膝を着いた。

「僕は……私の名はルインス・エル・バランタイン。もう一度聞きます。あなたは僕を……裏切り者に許しを、償いの機会を与えて頂けますか?」

 その言葉は今までとは違い、騎士ルインスの……いや魔人ルインスの本心で、初めての弱音であるようだった。

──────────

 魔人、ルインス・エル・バランタインはギルド【天龍ノ導てんりゅうのみちびき】の冒険者であり、その中でも最強の冒険者であり剣士であり、パーティーメンバーやギルドからの厚い信頼を受けていた。

 だが、裏切られた。

 難関討伐クエストの報酬だと赤色の宝石のはまった白銀の鎧を与えられた。だが、その鎧には二つの呪いがかかっていた。絶対に外すことができない【束縛】と、指定の人物の命令に逆らうと殺される【君命ノ下僕くんめいのげぼく】という呪いだ。

 その呪いの宝石がはまった装備品はルインスのみならず、同じパーティーメンバー全員にわたされてしまったのだ。加えてそれぞれの宝石は連動しており、誰か一人でも命令に従わなかった場合、皆死んでしまうのだ。

 そしてルインスは人間の国【グッシュダルド】に

 聖騎士というのは名ばかりで、使っている聖剣も所持者から生命力を奪う呪いがかかっている。

 もちろん、何度も抵抗しようとは考えたが、その度に別れたパーティーメンバーの事を思い出してしまう。自分一人の行動で五人が死んでしまう。いや、殺してしまうのだ。そんな緊迫した状況だからか、初めは月一での文通が2ヶ月に一度に、半年に一度に、そして二年がたった頃には誰からも一通も来なくなってしまった。

 そんな時に魔人の国【デルタ】の軍の掃討を命じられた。

 もちろん同じ魔人に剣を向けるのは嫌だった。向かう一歩一歩が辛かった。できるなら自分も一緒に戦いたかった。けれどそうすれば自分も死ぬし、友達パーティーメンバーを殺してしまう。

 友か同胞か。

 そんな選択肢を迫られ、ルーカスは友を選んだ。

 ──見ず知らずの仲間より、より深い関係の仲間パーティーメンバーを優先する。その判断でより沢山の同胞が死んだとしても、僕は友達パーティーメンバーを──メルルナを、殺したくない。

 戦況も圧倒的にグッシュダルドが優勢で、発生する衝突ももはや戦闘ではなく虐殺に近く、もはやデルタに勝ち目は無かった。

 そんな時、ルーカスの元にデルタの最後の戦力にして最強の魔人が来るという知らせが来た。そしてその日のうちに出撃命令が出された。

 彼の──いや彼女の剣の技を見た時、ルーカスはその正確さとスピードに驚いた。無論、ルーカスのスキル魔眼マジック・アイを使えば簡単に斬れるが、彼女は何のスキルも使わず、ただ己の剣の腕だけで音速をも超える超速の砲弾を斬った。もしルーカスもスキル無しでやろうと思ったら100パーセント確実に斬ることは出来ないだろう。だが彼女はそれを連続して斬ってみせたのだ。

 ルーカスは嬉しかった。同じ魔人に自分よりも強い剣士がいることを、自分を殺せれる剣士がいたことが。

 そして同時にあることを思いついた。命令に逆らったり、自ら命を絶った場合にのみ呪いは発動する。ならば他殺であれば呪いは発動しないはずだ──と。

 ルーカスは四人が処刑される時に魔眼マジック・アイを使ってリュンテ達の縄を解き、そのまま自分は殺されて四人ともう一人が逃げやすいようにするつもりであった。

 だが、まさか同じスキルの持ち主がいて、それも人間、加えて魔人と友好や信頼を築きたいと言う者がいたとは露ほど考えていなかった。

「僕は……私の名はルインス・エル・バランタイン。もう一度聞きます。あなたは僕を……裏切り者に許しを、償いの機会を与えて頂けますか?」

 ついこんなことを言ってしまった。自分は決して許されないことをしたのに、もう覚悟はできていたはずなのに、救いを求めてしまった。

「……俺は、たとえルーカスさんが沢山の命を奪っていたとしても過去は過去、今さらどうにもならないことです。でも、これからの未来の事ならばいくらでも変えることができます。俺の夢は人間や魔人、その他の種族みんなが幸せに暮らせる国を作りたい。その為にはルーカスさんのように強い守護者が欲しいんです。それにルーカスさんは悪い人じゃない。そんな人を、俺はこんなところで殺したくないです。だから俺はルーカスさんのことを許します」
「…………僕は……僕は強くなんかない……。自分勝手で、臆病者で、弱虫だ……! だからお願いだ、僕を許さないでくれよ! 僕の救いは君の手で……君の手で…………殺してほしい」

 ルーカスの瞳から大粒の涙が流れていた。本当は死にたくない。またメルルナに会いたい。けれど自分には生きる資格がない、この世に存在してはいけないのだ。

 ──僕は死ぬべきなんだ……

──────────

 ──殺してほしい……か。

 俺の頭でその言葉が響く。

 だいぶ昔、高校生になった初め、俺は新しい環境下で精神的にキツかった。誰かに頼ろうにも頼れず、についても考えるようになった。

 だからこそルーカスの気持ちが分かった。俺はこの世界について、ルーカスについて何も知らないに等しいが、困っている時、悩んでいる時の気持ちが、して欲しい事が、かけてほしい言葉が分かる。

「────わっかた」
「……ありがとう」
「……ルーカス、俺も似たようなもんだよ……」
「え……?」
「──能力スキル・無効化インヴァリッド

 この空間を壊すような、能力スキルを無効化させるような、そんなイメージをする。能力スキルを習得する前に詠唱したが、まぁ何とかなるやろ。

固有能力ユニーク・スキル オール・無効化インヴァリッド を習得しました。】

 なんと……全てオールだったか……。

 幸い能力スキルの名前を間違っていても能力スキルは発動するらしく、『バリンッ!』と音を立てて崩れた。

「さて……やるか!」
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