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第6話
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「さて……やるか!」
全能之魔眼の世界が崩れると同時に、チハたんの砲塔にあるタブレットに顔をよせる。
「チハたん。相談というか提案がある」
「何でしょうか?」
「とりあえず、チハたんの砲の火力を無茶苦茶強くした──」
「やりましょう早くしてください!!」
「そ、即決かよ……」
もうちょっと拒否反応を、例えば「レイン様は私の砲に不満なんですか!?」とか「必要ありません。チハには大和魂があるのですからどんな敵でも一発でドーンですよ!」とか言ってきそうだったが……まぁ面倒がないからこれはこれで良しと。
「じゃあ早速……」
まず俺は、チハたんの砲身の先っぽに魔法陣が出ているようなイメージを、そしてそこから発射される砲弾をただの徹甲弾ではなく、魔力をたんまりと詰め込んだ【魔力徹甲弾】てきなのが発射され、どんな敵でも一撃で倒せれるイメージをする。
すると、今回は俺ではなくチハたんが光った。どうやら、俺の創造叡智は他人にもスキルを与えることができるようだ。
「これは……?」
俺からは見えないが、今チハたんの目の前には何らかの能力を習得したと出ているのだろう。
「俺からのプレゼントだ。チハたん、目の前に表示されている通りに詠唱してみな。」
「わ、わかりました!」
「コホン」と咳ばらいをし、息を吸いチハたんは詠唱を開始する。
「──轟火獄天砲!!」
チハたんの主砲の先に真っ赤の魔法陣が展開される。
「チハたん、狙いはルーカスの……あの騎士の中心、赤い宝石に撃てっ!!」
「了解です!!」
少し砲塔が動き、ルーカスの白銀の鎧の中心にある赤色の宝石に向く。
「ルーカス!! その剣で防げ!!」
「…………!!」
俺の合図とともにルーカスは剣を宝石の前にかざす。
「チハたん、照準オーケーか?」
「もちろんです! 撃っても良いですか? 良いですよね!」
「あぁ! あの剣ごと宝石もぶっ壊せ!」
「いきますよ──轟火獄天砲、発射ァァァ!!!!!!」
『キィィィィン…………ドゴォォォォォン!!!!!!』
放たれた砲弾は一直線にルーカスの赤い宝石に向かっていき、剣と接触する。しかし剣は予想以上に丈夫ならしく『ジジジジジジ……!!』と音を出しながら押しとどめている。
「やりますね。しかし、そんな棒でこのチハの砲撃を止められるわけが無ァァァァァァァい!!!!」
『ドンッ!』とチハたんの周囲に衝撃波が放たれる。同時に沢山の光の粒子のようなものが発生する。
「おぉ……!」
いつの間にか辺りは夜になったかのような暗さに包まれている。それによって浮かび上がる光の粒子がとても綺麗に見える。
しかしその風景も一瞬で、浮かび上がった光の粒子たちはチハたんに向かって集結する。なんか凄いことが起きそうな予感!!
不意に背中から強い光を浴びた。反射的に振り返ってみたが、あまりに強い光でよく見えない。次第に目が慣れてきて光源が分かった。
「日の出……?」
そう、さっきまで真上にあったはずの太陽が今は東側から顔を出そうとしている。
ここで俺はこの日が意味することが分かった。そしてチハたんが今しようとしていることも、何となくわかる気がする。
「──我、日の本を護る者。そして、創造者レイン様の忠実なる恋人である!」
「うんなんか後半おかしくない!?」
いつの間にか恋人にされてた件……というか恐らく性別同じなんだよね!? チハたんの声明らかに女の子っぽいし。
「今貴様らは神国を、そして創造者レイン様に楯突いている。その罪の大きさを、その身に刻め!! ──大和魂!!!!」
チハたんに集まった光の粒子が方針に集中し、先ほどの轟火極天砲と同じ軌跡を辿って発射され、今も一進一退の鍔迫り合いをしている砲弾に着弾した。
『ビキィィン……!』
剣が折れた。いや砕け散ったと表す方が正確だろうか。白い砲弾が深紅の砲弾に当たった瞬間、ルーカスの魔力を吸い取っていた剣はあっけなく折れた。
そしてそのまま砲弾は、白銀の鎧についている赤い宝石に命中、触れた瞬間に木っ端微塵になった。
「──スキル発動! 全能之魔眼!!」
すぐに世界の時が止まり、無音になる──ことはなかった。なぜなら今俺がこのスキルを使った目的は、ただ今にもルーカスの心臓に大穴を開けんとする深紅の砲弾を破壊するためである。これはルーカスの持っている魔眼では決してできないことである。
そう、俺の全能之魔眼は他の眼系の能力とは違い、この能力一つで色々なものが見える。例えを挙げるなら、まず見えている物質の属性や能力、そして呪いなんかをパッと見るだけで分かる。加えて物質の運動方向を変えれたり、多少なら物質を破壊したりもできる。そして時も止めれるのだ! そう、この能力無茶苦茶強い──いやもはやチート級にエグい能力だ。
俺は今にもルーカスの体を貫かんとしていた深紅の砲弾をじっと見つめ意思の力のみで破壊、そして全能之魔眼を解除し、世界に時間の流れが戻る。同時に破壊された砲弾に乗っていた衝撃がルーカスを押し倒す。
「な……いったい……?」
「今までよくお一人で耐えてこられましたね。お疲れ様でした。」
「…………??」
突然の事だったためまだ理解が追いついていないようだ。
シャーリス達の方を見ると、リュンテがどういう訳か辺りの兵士を斬り倒し、さらに皆の縄まで解いている。
──さすがチハたんの砲弾を斬っただけあるな……味方でよかった。
みんなの無事を確認でき、ホッと胸を撫で下ろしていたその時、突然シャーリスが倒れた。
「シャ……シャーちゃん!? だっ大丈夫!?」
シャーちゃんとはなんぞや……! いつか呼んでやろ──と思いつつ駆け寄る。あ、もちろん心配してますよもちろんはい。ただ、パッと思っただけだから。
「ど、どうし……ってほんとに大丈夫か!?」
シャーリスの状態は思った以上に酷く、顔は青ざめて、額にはとんでもない量の汗、そして口から血を吐いている。さらには荒い息をして熱もありそうだ。
──とりあえずこの場から逃げた方が良さそうだ。
シャーリスをおんぶ……身長が40cm近く縮んだためだいぶ難しいが、まぁチハたんに乗せたら簡単だから──
「おっと、逃がしませんよ?」
後ろから声がした。振り返ると先程の大臣の男が立っている。しかし牢屋で会った時とは違い、大きな木製のステッキを持っている。
「逃がしませんよと言われても……五対一っすよ?」
「殺しますよ?」「チハだけで充分ですね」('ω')「そんなことよりはやくシャーちゃ……シャーリスを治療しないと……」「あんなやつアタイで充分ね。食後の運動にもならないわぁ。」
と順にマルナ、チハたん、ベレッタ、リュンテが言う。まったく敵ながら酷い言われようだ。事実だけど。
しかし大臣的な男はククク……と笑うと不気味な笑みを浮かべる。
「人間の力を侮らないでくださいよ──終焉牢獄!!」
「無効化」
すかさずスキルを無効化させる。スキル発動やらを省いたのは単に嫌がらせである。このこともあってか大臣の動揺っぷりはすさまじく、呆然と立ちすくしている。
「…………………なっ……はぁ!!????」
長い沈黙を挟み、やっと出てきた言葉はこういうものであった。
「さて……これでもまだ邪魔しますか?」
「クソッ……魔物風情が……!!」
「待たんかビルカス。お前にはこの者らを倒せる力はない」
「…………!!??」
俺の問いかけに、大臣は怒りのこもった目でこっちを見て、今にも攻撃魔法が飛んできそうであったが、それを止めたのは意外な人物であった。そう──
「国王、ディダ……」
誰かがつぶやく。
国王らしいこの老人はいつの間にか近くまで歩いてきていた。白い髭をはやし、顔にはシワが刻まれ、頭には冠をかぶっておりいかにも王と言った感じだ。
「くっ…………そ、そうだルーカス!! そこで寝そべっていないで、早く魔人を殺さんかっ!!!!」
するとルーカスは着ている鎧が重そうに、ゆっくりと立ち上がった。
「こんな魔人の小娘らなんぞ、さっさと殺してして……」
ビルカスが突然言葉を途切れさせ、ハッとしたように視線を下げる。それも無理はない、なぜならビルカスの腹には剣の鋭利な切っ先が突き出ていたからだ。
「なっ、グハァァァ!!!!!!」
痛みを感じたのか、ビルカスは今になってようやく地面に倒れ込む。ビルカスの背後に立っているルーカスは剣を一振し、血を払う。
「……あぁ、そうだね。こんな人間の一人くらい簡単に殺してしまえるよ」
「な……ぜだ…………わた、しの……じゅつしき、は……かん、ぜんで……あったはず……」
「そうだね。あなたの呪いは完璧に機能していましたよ。魔法耐性のみならず物理、斬撃耐性まで着いていたから破ろうにも破れませんでした」
「グブッ…………ち、治癒魔法──ブレイジン……」
「覚悟」
ルーカスの剣がビルカスの首をはねた。同時にビルカスは絶命する。
話の内容から恐らくルーカスを操っていたのはこのビルカスという男だろう。初めて目の前で人が死ぬ姿を見たが…………まぁ正義が果たされた、と言うことで一旦置いておこう──
「っ………………!!!!」
その時、突然ルーカスの首に剣が迫り、ルーカスはギリギリ剣で止める。
ルーカスに斬りかかった人物は、白い髭をはやし、顔にシワを刻み、頭には黄金の冠を被ったいかにも王のようなヒト……そう、ディダ王である。
──まさかいろいろ面倒な事になったからこの場で全員殺そうっていう算段……!?
一瞬身を引きしめたが次の言葉は予想外であった。
「──強くなったな」
「……まだまだ、ですよ」
──なるほど、師弟関係というやつか……ええなぁ。
二人はすぐに剣を収め、向かい合う。
「……長い間、ご苦労だったな」
「………………えぇ、苦労しましたよ」
その答えを聞いてディダ王は顔を伏せ、言った。
「去れ。ルーカスよ、お前がいるべき場所はここではない」
「…………」
ルーカスは静かに頷いた。
全能之魔眼の世界が崩れると同時に、チハたんの砲塔にあるタブレットに顔をよせる。
「チハたん。相談というか提案がある」
「何でしょうか?」
「とりあえず、チハたんの砲の火力を無茶苦茶強くした──」
「やりましょう早くしてください!!」
「そ、即決かよ……」
もうちょっと拒否反応を、例えば「レイン様は私の砲に不満なんですか!?」とか「必要ありません。チハには大和魂があるのですからどんな敵でも一発でドーンですよ!」とか言ってきそうだったが……まぁ面倒がないからこれはこれで良しと。
「じゃあ早速……」
まず俺は、チハたんの砲身の先っぽに魔法陣が出ているようなイメージを、そしてそこから発射される砲弾をただの徹甲弾ではなく、魔力をたんまりと詰め込んだ【魔力徹甲弾】てきなのが発射され、どんな敵でも一撃で倒せれるイメージをする。
すると、今回は俺ではなくチハたんが光った。どうやら、俺の創造叡智は他人にもスキルを与えることができるようだ。
「これは……?」
俺からは見えないが、今チハたんの目の前には何らかの能力を習得したと出ているのだろう。
「俺からのプレゼントだ。チハたん、目の前に表示されている通りに詠唱してみな。」
「わ、わかりました!」
「コホン」と咳ばらいをし、息を吸いチハたんは詠唱を開始する。
「──轟火獄天砲!!」
チハたんの主砲の先に真っ赤の魔法陣が展開される。
「チハたん、狙いはルーカスの……あの騎士の中心、赤い宝石に撃てっ!!」
「了解です!!」
少し砲塔が動き、ルーカスの白銀の鎧の中心にある赤色の宝石に向く。
「ルーカス!! その剣で防げ!!」
「…………!!」
俺の合図とともにルーカスは剣を宝石の前にかざす。
「チハたん、照準オーケーか?」
「もちろんです! 撃っても良いですか? 良いですよね!」
「あぁ! あの剣ごと宝石もぶっ壊せ!」
「いきますよ──轟火獄天砲、発射ァァァ!!!!!!」
『キィィィィン…………ドゴォォォォォン!!!!!!』
放たれた砲弾は一直線にルーカスの赤い宝石に向かっていき、剣と接触する。しかし剣は予想以上に丈夫ならしく『ジジジジジジ……!!』と音を出しながら押しとどめている。
「やりますね。しかし、そんな棒でこのチハの砲撃を止められるわけが無ァァァァァァァい!!!!」
『ドンッ!』とチハたんの周囲に衝撃波が放たれる。同時に沢山の光の粒子のようなものが発生する。
「おぉ……!」
いつの間にか辺りは夜になったかのような暗さに包まれている。それによって浮かび上がる光の粒子がとても綺麗に見える。
しかしその風景も一瞬で、浮かび上がった光の粒子たちはチハたんに向かって集結する。なんか凄いことが起きそうな予感!!
不意に背中から強い光を浴びた。反射的に振り返ってみたが、あまりに強い光でよく見えない。次第に目が慣れてきて光源が分かった。
「日の出……?」
そう、さっきまで真上にあったはずの太陽が今は東側から顔を出そうとしている。
ここで俺はこの日が意味することが分かった。そしてチハたんが今しようとしていることも、何となくわかる気がする。
「──我、日の本を護る者。そして、創造者レイン様の忠実なる恋人である!」
「うんなんか後半おかしくない!?」
いつの間にか恋人にされてた件……というか恐らく性別同じなんだよね!? チハたんの声明らかに女の子っぽいし。
「今貴様らは神国を、そして創造者レイン様に楯突いている。その罪の大きさを、その身に刻め!! ──大和魂!!!!」
チハたんに集まった光の粒子が方針に集中し、先ほどの轟火極天砲と同じ軌跡を辿って発射され、今も一進一退の鍔迫り合いをしている砲弾に着弾した。
『ビキィィン……!』
剣が折れた。いや砕け散ったと表す方が正確だろうか。白い砲弾が深紅の砲弾に当たった瞬間、ルーカスの魔力を吸い取っていた剣はあっけなく折れた。
そしてそのまま砲弾は、白銀の鎧についている赤い宝石に命中、触れた瞬間に木っ端微塵になった。
「──スキル発動! 全能之魔眼!!」
すぐに世界の時が止まり、無音になる──ことはなかった。なぜなら今俺がこのスキルを使った目的は、ただ今にもルーカスの心臓に大穴を開けんとする深紅の砲弾を破壊するためである。これはルーカスの持っている魔眼では決してできないことである。
そう、俺の全能之魔眼は他の眼系の能力とは違い、この能力一つで色々なものが見える。例えを挙げるなら、まず見えている物質の属性や能力、そして呪いなんかをパッと見るだけで分かる。加えて物質の運動方向を変えれたり、多少なら物質を破壊したりもできる。そして時も止めれるのだ! そう、この能力無茶苦茶強い──いやもはやチート級にエグい能力だ。
俺は今にもルーカスの体を貫かんとしていた深紅の砲弾をじっと見つめ意思の力のみで破壊、そして全能之魔眼を解除し、世界に時間の流れが戻る。同時に破壊された砲弾に乗っていた衝撃がルーカスを押し倒す。
「な……いったい……?」
「今までよくお一人で耐えてこられましたね。お疲れ様でした。」
「…………??」
突然の事だったためまだ理解が追いついていないようだ。
シャーリス達の方を見ると、リュンテがどういう訳か辺りの兵士を斬り倒し、さらに皆の縄まで解いている。
──さすがチハたんの砲弾を斬っただけあるな……味方でよかった。
みんなの無事を確認でき、ホッと胸を撫で下ろしていたその時、突然シャーリスが倒れた。
「シャ……シャーちゃん!? だっ大丈夫!?」
シャーちゃんとはなんぞや……! いつか呼んでやろ──と思いつつ駆け寄る。あ、もちろん心配してますよもちろんはい。ただ、パッと思っただけだから。
「ど、どうし……ってほんとに大丈夫か!?」
シャーリスの状態は思った以上に酷く、顔は青ざめて、額にはとんでもない量の汗、そして口から血を吐いている。さらには荒い息をして熱もありそうだ。
──とりあえずこの場から逃げた方が良さそうだ。
シャーリスをおんぶ……身長が40cm近く縮んだためだいぶ難しいが、まぁチハたんに乗せたら簡単だから──
「おっと、逃がしませんよ?」
後ろから声がした。振り返ると先程の大臣の男が立っている。しかし牢屋で会った時とは違い、大きな木製のステッキを持っている。
「逃がしませんよと言われても……五対一っすよ?」
「殺しますよ?」「チハだけで充分ですね」('ω')「そんなことよりはやくシャーちゃ……シャーリスを治療しないと……」「あんなやつアタイで充分ね。食後の運動にもならないわぁ。」
と順にマルナ、チハたん、ベレッタ、リュンテが言う。まったく敵ながら酷い言われようだ。事実だけど。
しかし大臣的な男はククク……と笑うと不気味な笑みを浮かべる。
「人間の力を侮らないでくださいよ──終焉牢獄!!」
「無効化」
すかさずスキルを無効化させる。スキル発動やらを省いたのは単に嫌がらせである。このこともあってか大臣の動揺っぷりはすさまじく、呆然と立ちすくしている。
「…………………なっ……はぁ!!????」
長い沈黙を挟み、やっと出てきた言葉はこういうものであった。
「さて……これでもまだ邪魔しますか?」
「クソッ……魔物風情が……!!」
「待たんかビルカス。お前にはこの者らを倒せる力はない」
「…………!!??」
俺の問いかけに、大臣は怒りのこもった目でこっちを見て、今にも攻撃魔法が飛んできそうであったが、それを止めたのは意外な人物であった。そう──
「国王、ディダ……」
誰かがつぶやく。
国王らしいこの老人はいつの間にか近くまで歩いてきていた。白い髭をはやし、顔にはシワが刻まれ、頭には冠をかぶっておりいかにも王と言った感じだ。
「くっ…………そ、そうだルーカス!! そこで寝そべっていないで、早く魔人を殺さんかっ!!!!」
するとルーカスは着ている鎧が重そうに、ゆっくりと立ち上がった。
「こんな魔人の小娘らなんぞ、さっさと殺してして……」
ビルカスが突然言葉を途切れさせ、ハッとしたように視線を下げる。それも無理はない、なぜならビルカスの腹には剣の鋭利な切っ先が突き出ていたからだ。
「なっ、グハァァァ!!!!!!」
痛みを感じたのか、ビルカスは今になってようやく地面に倒れ込む。ビルカスの背後に立っているルーカスは剣を一振し、血を払う。
「……あぁ、そうだね。こんな人間の一人くらい簡単に殺してしまえるよ」
「な……ぜだ…………わた、しの……じゅつしき、は……かん、ぜんで……あったはず……」
「そうだね。あなたの呪いは完璧に機能していましたよ。魔法耐性のみならず物理、斬撃耐性まで着いていたから破ろうにも破れませんでした」
「グブッ…………ち、治癒魔法──ブレイジン……」
「覚悟」
ルーカスの剣がビルカスの首をはねた。同時にビルカスは絶命する。
話の内容から恐らくルーカスを操っていたのはこのビルカスという男だろう。初めて目の前で人が死ぬ姿を見たが…………まぁ正義が果たされた、と言うことで一旦置いておこう──
「っ………………!!!!」
その時、突然ルーカスの首に剣が迫り、ルーカスはギリギリ剣で止める。
ルーカスに斬りかかった人物は、白い髭をはやし、顔にシワを刻み、頭には黄金の冠を被ったいかにも王のようなヒト……そう、ディダ王である。
──まさかいろいろ面倒な事になったからこの場で全員殺そうっていう算段……!?
一瞬身を引きしめたが次の言葉は予想外であった。
「──強くなったな」
「……まだまだ、ですよ」
──なるほど、師弟関係というやつか……ええなぁ。
二人はすぐに剣を収め、向かい合う。
「……長い間、ご苦労だったな」
「………………えぇ、苦労しましたよ」
その答えを聞いてディダ王は顔を伏せ、言った。
「去れ。ルーカスよ、お前がいるべき場所はここではない」
「…………」
ルーカスは静かに頷いた。
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