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第1章 私が魔法騎士として生きる理由(わけ)
05:「剣聖」とレティシアの魔法
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私が握っているこの剣は、以前からレティシアが愛用していたもの・・・というわけではなく、前世を思い出した私が、父・コドックに頼んで、新しく用意してもらったものだ。
「剣がほしい」というと、侍女のメアリからは「レティシア様、令嬢が剣など・・・おやめください!」と倒れる勢いで懇願され、兄・フレデリックからは「レティ、もし身の安全が不安なら、護衛を増やすように父上にいうよ?」と心配された。
しかし、娘を溺愛するコドックだけは・・・
「剣がほしいのかい?
そうか・・・。レティは父様が昔、魔法騎士として活躍していた話が、大好きだものな。分かったよ!早速、父様と同じデザインの剣をあつらえよう!!」
そう言って、嬉々としてプレゼントしてくれた。
その剣が届いたのが、ちょうど昨日。私は今日の予定を頭の中でぐるっと組み立てると、公爵家屋敷内にある鍛錬場へと足をむけた。
私が剣を欲したのは、何も酔狂のためではない。
前世を思い出してからというもの、以前のレティシアができなかったはずの動きが出来るようになっている、と気づいたからだ。
例えば、廊下を歩いているときのことだ。
数メートル先にいる侍女が壺を落としそうになったとき・・・。
「えっ・・・レティシア様!?あ・・・ありがとうございます!」
その壺が床にぶつかる前に、私は侍女まで駆け寄り、壺を抱えることができた。
もちろんレティシア同様、前世の私にもそんな能力はない。しかし、私がプレイしていたVRMMOのアクションゲーム、そこで「剣聖」という二つ名のついた私のキャラクターなら、出来ることだった。
そこで私は、1つの仮説を立てた。
ファジーランドの世界は魔法のある世界。全員が魔法を使えるというわけではないが、おおよそ50人に1人の平民と、5大国の王族・貴族の大多数は、魔法が使える。
そして、レティシアは最弱とはいえ、その5大国の一つ、レイ皇国の貴族である。当然魔力があり、魔法が使える、・・・・・と考えられる。
そう、「考えられる」。
レティシアのいるレイ皇国は、残念ながら、王族や貴族の女性が戦うことを良しとしない。
貴族男性は法律で、「貴族の後継者は国のために、14歳から20歳まで魔法騎士として働く義務がある」と定められているので、5歳になると有無を言わさず、魔力量・属性を調べられ、その内容を公表される。
そして高い適性のあるものは、長子に限らず後継者候補として育てられ、魔法の鍛錬を開始する。
一方、王族・貴族の女性は、魔法の使い方はおろか、何の属性があるかすら知らず、生涯を終える者がほとんどだった。
(私はVRMMOの中で、「身体強化魔法」や「火魔法」なんかを使ってプレイしていた。レティシアは「魔力を練って魔法を使う」、という魔法の基本的な使い方を知らなかったが、私は違う。VRMMOの中とはいえ、魔法を使っていたのだから。
つまり私が以前と違う動きができるのは、無意識のうちに、レティシアの中にある魔力を使って「剣聖」のときのような動きを魔法で再現しているのではないか?)
その突飛ともいる仮説。それを証明するために私は、この鍛錬場に足を踏み入れたのだ。
まだ朝早いこともあり、公爵家の私兵たちはこの場に誰もいない。
ざっと1000人は入れそうな広い鍛練場。いまは閑散としているその中心に立ち、父・コドックにプレゼントされたばかりの剣を一振りした。
ビシュッ。ビシュッビシュッ。
軽快な音が鳴る。
「レティシア様!公爵様に剣までおねだりされて何をされるかと思ったら、令嬢が・・・・令嬢が・・・・そのように剣をふるうなんて!!即刻、おやめくださいませ!!!」
「・・・・・・」
鍛錬場まで不可解な顔をしてあとをついてきた侍女のメアリが、突然私が剣をふるったことで怒りを爆発させた。
・・・しかし、私は元引きこもり。
さらに、前世の姉に対する対応が、基本「スルーする」だったため、つい癖で、メアリの抗議を無言で受け流してしまう。
私は剣をかまえたまま、鍛錬場の隅に置いてある試し切り用の案山子まで駆け寄り、振り下ろす。
ビシュッ。ズドッ!
私の想像では、そのひと振りで案山子は真っ二つになるはずだった。
だが、実際は案山子を斬る途中で剣は止まっている。
「!?」
「レティシア様?レティシア様---!聞いてください!!」
メアリの悲鳴が修練場に響くも、私は思考に没頭していた。
(やはり剣筋・動き自体は「剣聖」と呼ばれた、VRMMOの世界そのままだ。だが、案山子の途中で剣がとまるとは・・・「剣聖」のころのような威力はない・・・ということか?どういうことだ?
もしかして、レティシアの身体強化魔法への適性がそこまでないのか?・・・分からないな。まぁいい。次は火魔法だ)
「ファイア!」
「レティシア様、れ・・・令嬢が魔法など・・・っっ!!」
メアリがさらに悲鳴をあげ、卒倒しそうになる中、私は前世のキャラクターが得意だった火魔法を行使する。瞬時に、私の魔法を受けた案山子がゴオッと勢いよく火柱を上げ、燃え落ちる。
(これは、すごいな・・・!!ただの「ファイア」の威力じゃない・・・!レティシアはもしかして火属性に高い適性があるのかもしれない)
「レティシア様・・・・」
突然あがった火柱とその火の威力に腰を抜かしてその場にへたり込むメアリ。思考に没頭していた私は、その姿を目に入れることもなく、鍛錬場の向かいにある厩舎の方に目を向けた。
(おっと!あれはフレデリックか。馬でどこか出かけるつもりか・・・)
厩舎には、愛馬に鞍を乗せている兄・フレデリックがいた。
その姿をとらえた私は剣を携えたまま、急いで兄のもとへ向かう。
この数ヶ月の間におこるはずの事故を防ぐため、私は兄が外出するときは、必ずついていくことにしているのだ。
「剣がほしい」というと、侍女のメアリからは「レティシア様、令嬢が剣など・・・おやめください!」と倒れる勢いで懇願され、兄・フレデリックからは「レティ、もし身の安全が不安なら、護衛を増やすように父上にいうよ?」と心配された。
しかし、娘を溺愛するコドックだけは・・・
「剣がほしいのかい?
そうか・・・。レティは父様が昔、魔法騎士として活躍していた話が、大好きだものな。分かったよ!早速、父様と同じデザインの剣をあつらえよう!!」
そう言って、嬉々としてプレゼントしてくれた。
その剣が届いたのが、ちょうど昨日。私は今日の予定を頭の中でぐるっと組み立てると、公爵家屋敷内にある鍛錬場へと足をむけた。
私が剣を欲したのは、何も酔狂のためではない。
前世を思い出してからというもの、以前のレティシアができなかったはずの動きが出来るようになっている、と気づいたからだ。
例えば、廊下を歩いているときのことだ。
数メートル先にいる侍女が壺を落としそうになったとき・・・。
「えっ・・・レティシア様!?あ・・・ありがとうございます!」
その壺が床にぶつかる前に、私は侍女まで駆け寄り、壺を抱えることができた。
もちろんレティシア同様、前世の私にもそんな能力はない。しかし、私がプレイしていたVRMMOのアクションゲーム、そこで「剣聖」という二つ名のついた私のキャラクターなら、出来ることだった。
そこで私は、1つの仮説を立てた。
ファジーランドの世界は魔法のある世界。全員が魔法を使えるというわけではないが、おおよそ50人に1人の平民と、5大国の王族・貴族の大多数は、魔法が使える。
そして、レティシアは最弱とはいえ、その5大国の一つ、レイ皇国の貴族である。当然魔力があり、魔法が使える、・・・・・と考えられる。
そう、「考えられる」。
レティシアのいるレイ皇国は、残念ながら、王族や貴族の女性が戦うことを良しとしない。
貴族男性は法律で、「貴族の後継者は国のために、14歳から20歳まで魔法騎士として働く義務がある」と定められているので、5歳になると有無を言わさず、魔力量・属性を調べられ、その内容を公表される。
そして高い適性のあるものは、長子に限らず後継者候補として育てられ、魔法の鍛錬を開始する。
一方、王族・貴族の女性は、魔法の使い方はおろか、何の属性があるかすら知らず、生涯を終える者がほとんどだった。
(私はVRMMOの中で、「身体強化魔法」や「火魔法」なんかを使ってプレイしていた。レティシアは「魔力を練って魔法を使う」、という魔法の基本的な使い方を知らなかったが、私は違う。VRMMOの中とはいえ、魔法を使っていたのだから。
つまり私が以前と違う動きができるのは、無意識のうちに、レティシアの中にある魔力を使って「剣聖」のときのような動きを魔法で再現しているのではないか?)
その突飛ともいる仮説。それを証明するために私は、この鍛錬場に足を踏み入れたのだ。
まだ朝早いこともあり、公爵家の私兵たちはこの場に誰もいない。
ざっと1000人は入れそうな広い鍛練場。いまは閑散としているその中心に立ち、父・コドックにプレゼントされたばかりの剣を一振りした。
ビシュッ。ビシュッビシュッ。
軽快な音が鳴る。
「レティシア様!公爵様に剣までおねだりされて何をされるかと思ったら、令嬢が・・・・令嬢が・・・・そのように剣をふるうなんて!!即刻、おやめくださいませ!!!」
「・・・・・・」
鍛錬場まで不可解な顔をしてあとをついてきた侍女のメアリが、突然私が剣をふるったことで怒りを爆発させた。
・・・しかし、私は元引きこもり。
さらに、前世の姉に対する対応が、基本「スルーする」だったため、つい癖で、メアリの抗議を無言で受け流してしまう。
私は剣をかまえたまま、鍛錬場の隅に置いてある試し切り用の案山子まで駆け寄り、振り下ろす。
ビシュッ。ズドッ!
私の想像では、そのひと振りで案山子は真っ二つになるはずだった。
だが、実際は案山子を斬る途中で剣は止まっている。
「!?」
「レティシア様?レティシア様---!聞いてください!!」
メアリの悲鳴が修練場に響くも、私は思考に没頭していた。
(やはり剣筋・動き自体は「剣聖」と呼ばれた、VRMMOの世界そのままだ。だが、案山子の途中で剣がとまるとは・・・「剣聖」のころのような威力はない・・・ということか?どういうことだ?
もしかして、レティシアの身体強化魔法への適性がそこまでないのか?・・・分からないな。まぁいい。次は火魔法だ)
「ファイア!」
「レティシア様、れ・・・令嬢が魔法など・・・っっ!!」
メアリがさらに悲鳴をあげ、卒倒しそうになる中、私は前世のキャラクターが得意だった火魔法を行使する。瞬時に、私の魔法を受けた案山子がゴオッと勢いよく火柱を上げ、燃え落ちる。
(これは、すごいな・・・!!ただの「ファイア」の威力じゃない・・・!レティシアはもしかして火属性に高い適性があるのかもしれない)
「レティシア様・・・・」
突然あがった火柱とその火の威力に腰を抜かしてその場にへたり込むメアリ。思考に没頭していた私は、その姿を目に入れることもなく、鍛錬場の向かいにある厩舎の方に目を向けた。
(おっと!あれはフレデリックか。馬でどこか出かけるつもりか・・・)
厩舎には、愛馬に鞍を乗せている兄・フレデリックがいた。
その姿をとらえた私は剣を携えたまま、急いで兄のもとへ向かう。
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