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第2章 入団までの1年間(1)、新たな攻略対象との出会い
23:鍛錬2日目・朝の応接間
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準備を整えた後、城の侍女に案内されてアルフレッドのいる応接間に向かう。
豪華な応接間の扉を開けると、そこには難しい顔をしてうつむく<アイオス>という架空の人物になりすましている兄・フレデリックと、困惑顔のジンがいた。
2人は応接間のソファに座っている。そして、その前の席には、なぜかアルフレッドがふんぞり返って座っていた。
(なんだ、この状況は・・・?)
いぶかしげに思いつつ、私は一歩足を進める。
「アルフレッド殿、お待たせしました。
アイオスにジンはおはよう。朝からこんなところで・・・どうしたんだ?」
兄に成りすましている私は、公爵子息教育で習った従者に対する態度で2人に接した。
その言葉で初めて私が来たことに気づいたのだろう、兄・フレデリックがバッと顔をあげて、私を見つめた。
一瞬、泣きそうな顔になったのは、見間違えじゃないだろう。
(おい・・・何があったんだ・・・)
頭を抱えたい気持ちを無視して、兄を見つめ返すと、彼は力なく笑った。
「公爵様(父・コドック)にフレデリック様の鍛錬の様子を伝えるよう言われていますので、講師をされているアルフレッド殿に昨日の様子を聞いていたのですよ」
従者口調でそう話した後、兄は再び私を見つめてきた。
(レティ・・・本当に大丈夫なのか?)
変装用の魔道具のせいで変化した兄のアッシュグレーの瞳が、眼鏡の奥で雄弁にそう私に語りかける。
(おいおいおい・・・、兄様にこんな表情をさせるなんて・・・。
本当にアルフレッドは一体、何を言ったんだ?
・・・まさか昨日、娼館について・・・私と話したことを言ったんじゃないだろうな・・・?)
ものすごい嫌な予感がして、アルフレッドに視線を向けると、剣呑な目で兄のことを眺めている姿が目に入る。
「アルフレッド殿、私の従者に何を報告したんですか?」
「アルだ」
「は・・・?」
「俺のことはアルでいい」
(いきなり何を言い出すんだ、こいつは・・・。私は何を報告したのか聞いただけだろうが・・・!)
よく分からない状況に一度、肩をすくめ、息を吐きだす。
話を戻すために、再度アルフレッドに視線を向けると、私の方を不機嫌な顔でまっすぐ見つめるアメジストの瞳とかち合った。
仕草が残念な男だが、さすが攻略対象者というべきか・・・改めて対峙したアルフレッドは凄まじく顔が整っていた。思わず少し赤面してしまう。
私は彼と話すことを早々に諦めた。意識すると彼の顔は、前世喪女には刺激が強すぎだ。
兄とジンの方に目線を向けなおすと、ジンはアルフレッドの突然の愛称要請に驚いた顔をしているが、兄・フレデリックは全くの無反応だった。
どうやら、よほどショックなことを聞いたらしい。
心配になってきた私は思わず、兄の顔を覗き込んでしまう。
公爵子息としてはアウトな仕草だが、私の中の12歳のレティシアが、お兄様が心配だとわめくのだ。
「・・・アイオス、どんな報告だったんでしょうか?」
兄と目線が合ったところで、被せるように低音の声が響いた。
「上官命令だ」
「・・・アル殿。・・・・・・これでいいでしょうか?」
(めんどくさいな、こいつ。どこが塩対応キャラだよ・・・!!)
そんな心の声に従い、兄・フレデリックに目線を向けたまま、アルフレッドに適当に対応していたら・・・。
ぐいっと腕を掴まれた。
「呼び捨てでいい、準備が出来たんなら、行くぞ!」
「は・・・?」
私は腕を掴まれたまま、引きずられるように応接間の扉の前までアルフレッドに連れていかれる。
魔法で身体強化できるとはいえ、やはりこの体は力があまり出ない。
一度、掴まれたらアルフレッドのような男の前では無力だ。
扉を出る直前、唖然とするジンと青ざめた顔のメアリ、そして本当に心配そうな兄・フレデリックの顔が目に入った。
その様子に私は、公爵子息教育で得たほほ笑みを浮かべて、兄を安心させようとした。
「アイオス、そんなに心配しないで。そんな顔では、せっかくの男前が台無しだよ」
そう言った瞬間、ガンッという音と共に扉が閉められた。
豪華な応接間の扉を開けると、そこには難しい顔をしてうつむく<アイオス>という架空の人物になりすましている兄・フレデリックと、困惑顔のジンがいた。
2人は応接間のソファに座っている。そして、その前の席には、なぜかアルフレッドがふんぞり返って座っていた。
(なんだ、この状況は・・・?)
いぶかしげに思いつつ、私は一歩足を進める。
「アルフレッド殿、お待たせしました。
アイオスにジンはおはよう。朝からこんなところで・・・どうしたんだ?」
兄に成りすましている私は、公爵子息教育で習った従者に対する態度で2人に接した。
その言葉で初めて私が来たことに気づいたのだろう、兄・フレデリックがバッと顔をあげて、私を見つめた。
一瞬、泣きそうな顔になったのは、見間違えじゃないだろう。
(おい・・・何があったんだ・・・)
頭を抱えたい気持ちを無視して、兄を見つめ返すと、彼は力なく笑った。
「公爵様(父・コドック)にフレデリック様の鍛錬の様子を伝えるよう言われていますので、講師をされているアルフレッド殿に昨日の様子を聞いていたのですよ」
従者口調でそう話した後、兄は再び私を見つめてきた。
(レティ・・・本当に大丈夫なのか?)
変装用の魔道具のせいで変化した兄のアッシュグレーの瞳が、眼鏡の奥で雄弁にそう私に語りかける。
(おいおいおい・・・、兄様にこんな表情をさせるなんて・・・。
本当にアルフレッドは一体、何を言ったんだ?
・・・まさか昨日、娼館について・・・私と話したことを言ったんじゃないだろうな・・・?)
ものすごい嫌な予感がして、アルフレッドに視線を向けると、剣呑な目で兄のことを眺めている姿が目に入る。
「アルフレッド殿、私の従者に何を報告したんですか?」
「アルだ」
「は・・・?」
「俺のことはアルでいい」
(いきなり何を言い出すんだ、こいつは・・・。私は何を報告したのか聞いただけだろうが・・・!)
よく分からない状況に一度、肩をすくめ、息を吐きだす。
話を戻すために、再度アルフレッドに視線を向けると、私の方を不機嫌な顔でまっすぐ見つめるアメジストの瞳とかち合った。
仕草が残念な男だが、さすが攻略対象者というべきか・・・改めて対峙したアルフレッドは凄まじく顔が整っていた。思わず少し赤面してしまう。
私は彼と話すことを早々に諦めた。意識すると彼の顔は、前世喪女には刺激が強すぎだ。
兄とジンの方に目線を向けなおすと、ジンはアルフレッドの突然の愛称要請に驚いた顔をしているが、兄・フレデリックは全くの無反応だった。
どうやら、よほどショックなことを聞いたらしい。
心配になってきた私は思わず、兄の顔を覗き込んでしまう。
公爵子息としてはアウトな仕草だが、私の中の12歳のレティシアが、お兄様が心配だとわめくのだ。
「・・・アイオス、どんな報告だったんでしょうか?」
兄と目線が合ったところで、被せるように低音の声が響いた。
「上官命令だ」
「・・・アル殿。・・・・・・これでいいでしょうか?」
(めんどくさいな、こいつ。どこが塩対応キャラだよ・・・!!)
そんな心の声に従い、兄・フレデリックに目線を向けたまま、アルフレッドに適当に対応していたら・・・。
ぐいっと腕を掴まれた。
「呼び捨てでいい、準備が出来たんなら、行くぞ!」
「は・・・?」
私は腕を掴まれたまま、引きずられるように応接間の扉の前までアルフレッドに連れていかれる。
魔法で身体強化できるとはいえ、やはりこの体は力があまり出ない。
一度、掴まれたらアルフレッドのような男の前では無力だ。
扉を出る直前、唖然とするジンと青ざめた顔のメアリ、そして本当に心配そうな兄・フレデリックの顔が目に入った。
その様子に私は、公爵子息教育で得たほほ笑みを浮かべて、兄を安心させようとした。
「アイオス、そんなに心配しないで。そんな顔では、せっかくの男前が台無しだよ」
そう言った瞬間、ガンッという音と共に扉が閉められた。
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