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第4章 入団までの1年間(3)、グラナダ迷宮と蓋をした私の思い
81:勇者はこの感情の正体が分からない(1)
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オレ、仲河光輝は目の前を走る・・・・・乙女ゲーム『皇国のファジーランド』の隠しキャラのS級・・・いやいまはA級冒険者の<アルフレッド・ブラッドレイ>こと、レイ皇国の王弟である<アルフォンス・レイ>をしかめっ面で見つめる。
オレが一昨日斬ったせいだろう。冒険者の必需品と呼ばれる皮鎧を特につけず・・・・野営用のロングコートとシャツにトラウザースだけの質素な姿。
しかし、やはり攻略対象者というべきか。今朝見せた戦闘狂の性格を知ってさえなければ、男のオレでも一瞬見惚れるほど立ち姿が美しかった。
・・・・・だからかもしれない。アルフォンスが抱えている少女<レティシア・フランシス>が・・・彼のことを潤んだ瞳で見つめているのは。
オレは<命令>されて、ベルタを抱えることになったが、アルフォンスは違う。そのせいか・・・魔獣を斬り伏せながらも・・・・非常に楽しそうだ。
その姿をみると、無性にイライラして、アルフォンスを殴りつけたくなる衝動が止まらない。
先ほど会ったときの<レティシア>のセリフを思い出す。
「彼はA級冒険者のアルフレッド・ブラッドレイ殿だ。いま私に剣や魔法を教えてくれているんだ」
それから推察されるのは・・・やはり乙女ゲームで悪役令嬢だったこの少女・<レティシア・フランシス>は・・・・何かしらの理由で・・・・兄・<フレデリック・フランシス>のふりをして、アルフォンスに師事しているということだ。
いや・・・・・・ずっと考えていたが・・・・もしかしたら、オレがあの時・・・襲撃したせいかもしれない。
オレを隷属化させているルナリア帝国帝王<イグナシオ・ルナリア3世>は、勇者であるオレと国の影・・・いわゆる暗殺などを得意とする兵・・・の中でも選りすぐりの男をけしかけたにもかかわらず、<フレデリック・フランシス>がいまも無傷で健在だったという情報にひどく怒っていたけれど・・・・・・。
よく考えたら、おかしい。オレはあの子供・・・<フレデリック・フランシス>の右足にかなりの深手を負わせたのだ。
ここの治癒魔法の精度や医療技術を鑑みても・・・・・あれは、足を失うか、最悪出血多量で死んでいてもおかしくない怪我じゃないか・・・・?
そこでオレの<彼女・理奈>の姉からさんざん聞かされた乙女ゲームの設定がよみがえる。
<レティシア・フランシス>
12歳のときに大好きだった兄を事故で亡くし、その苛烈な愛情の行き場を婚約者である王太子に向ける公爵家の一人娘。
兄を事故で亡くし・・・・
気付いた瞬間オレは・・・体が震える。
(っっ・・・!!)自分の感情の揺れを、腕に抱えたベルタに悟られたくなくて彼女を見ると・・・・。
白目をむいて、ニヤニヤ笑っていた。
「茶色い猫ちゃん・・・・」と呟いているところを見ると、彼女の固有魔法「一目見た相手でさえあれば、その人物の<現在の様子と場所>が正確に分かる」を使って・・・・大方、昨日見かけた猫の様子でも覗いているのだろう。
安定の<猫狂い>で安心する。
ほっと息を吐く。オレという異分子のせいで、乙女ゲームからかけ離れているのか。そもそも元々この世界自体が、乙女ゲーム通りに進む世界じゃないのかはわからないけれど・・・・・・。
もし乙女ゲームの設定どおりに<フレデリック・フランシス>が死んでいたら・・・・子供を殺してしまったオレを・・・・・理奈はどう思うだろうか。
・・・・・・理奈をもう一度抱きしめる権利は・・・オレにはもう・・・ないのだろうか・・・・。
(理奈・・・・・・・)
さっきの無性にイライラした気持ちがしぼんでいくのが分かる。
(アルフォンスは・・・・彼女、レティシアが本物のフレデリック・フランシスじゃないと知っているのだろうか?
もし・・・・知っていたとしたら・・・・本物のフレデリック・フランシスがいまどんな状態か・・・・教えてくれはしないだろうか)
そうして、もし万が一、重体でも何でも本物の<フレデリック・フランシス>が生きているのが分かったら・・・・このオレの持った<サムド>の能力で・・・・必ず完治させよう。
複雑な思いを抱え、どうにか希望を見出したくてすがるような思いでオレはそう決意をする・・・・・。
自分のあきらめの悪さに思わず、心の中で自嘲してしまう。分からないことを悩んだって仕方がないのだ。最善の結果を出すためには、いま分かる限りの手札でどうにかあがくしかない。
改めて、目の前を走るアルフォンスを再度、目に映す・・・・・・・
するとそこには・・・・レティシアの首筋にキスをしているアルフォンスの姿があった。
迷宮の中に・・・・不釣り合いな音が響く。
アルフォンスがレティシアに何か耳元でささやく。
彼女は大きなそのターコイズブルーの瞳を潤ませて、彼を見つめ返す。
「・・・・・・・・・」
この世界を生き延びるために・・・・・何より理奈に胸を張って・・・・会うために・・・・・オレは色々考えなきゃいけないこともやらなきゃいけないことも・・・・多い・・・・だけど・・・・・・。
なぜだろう・・・・。
いまオレがやるべきことは別にあるはずなのに・・・・・やっぱり無性にイライラして・・・・・アルフォンスを殴りたい衝動が止まらない・・・・!!
オレが一昨日斬ったせいだろう。冒険者の必需品と呼ばれる皮鎧を特につけず・・・・野営用のロングコートとシャツにトラウザースだけの質素な姿。
しかし、やはり攻略対象者というべきか。今朝見せた戦闘狂の性格を知ってさえなければ、男のオレでも一瞬見惚れるほど立ち姿が美しかった。
・・・・・だからかもしれない。アルフォンスが抱えている少女<レティシア・フランシス>が・・・彼のことを潤んだ瞳で見つめているのは。
オレは<命令>されて、ベルタを抱えることになったが、アルフォンスは違う。そのせいか・・・魔獣を斬り伏せながらも・・・・非常に楽しそうだ。
その姿をみると、無性にイライラして、アルフォンスを殴りつけたくなる衝動が止まらない。
先ほど会ったときの<レティシア>のセリフを思い出す。
「彼はA級冒険者のアルフレッド・ブラッドレイ殿だ。いま私に剣や魔法を教えてくれているんだ」
それから推察されるのは・・・やはり乙女ゲームで悪役令嬢だったこの少女・<レティシア・フランシス>は・・・・何かしらの理由で・・・・兄・<フレデリック・フランシス>のふりをして、アルフォンスに師事しているということだ。
いや・・・・・・ずっと考えていたが・・・・もしかしたら、オレがあの時・・・襲撃したせいかもしれない。
オレを隷属化させているルナリア帝国帝王<イグナシオ・ルナリア3世>は、勇者であるオレと国の影・・・いわゆる暗殺などを得意とする兵・・・の中でも選りすぐりの男をけしかけたにもかかわらず、<フレデリック・フランシス>がいまも無傷で健在だったという情報にひどく怒っていたけれど・・・・・・。
よく考えたら、おかしい。オレはあの子供・・・<フレデリック・フランシス>の右足にかなりの深手を負わせたのだ。
ここの治癒魔法の精度や医療技術を鑑みても・・・・・あれは、足を失うか、最悪出血多量で死んでいてもおかしくない怪我じゃないか・・・・?
そこでオレの<彼女・理奈>の姉からさんざん聞かされた乙女ゲームの設定がよみがえる。
<レティシア・フランシス>
12歳のときに大好きだった兄を事故で亡くし、その苛烈な愛情の行き場を婚約者である王太子に向ける公爵家の一人娘。
兄を事故で亡くし・・・・
気付いた瞬間オレは・・・体が震える。
(っっ・・・!!)自分の感情の揺れを、腕に抱えたベルタに悟られたくなくて彼女を見ると・・・・。
白目をむいて、ニヤニヤ笑っていた。
「茶色い猫ちゃん・・・・」と呟いているところを見ると、彼女の固有魔法「一目見た相手でさえあれば、その人物の<現在の様子と場所>が正確に分かる」を使って・・・・大方、昨日見かけた猫の様子でも覗いているのだろう。
安定の<猫狂い>で安心する。
ほっと息を吐く。オレという異分子のせいで、乙女ゲームからかけ離れているのか。そもそも元々この世界自体が、乙女ゲーム通りに進む世界じゃないのかはわからないけれど・・・・・・。
もし乙女ゲームの設定どおりに<フレデリック・フランシス>が死んでいたら・・・・子供を殺してしまったオレを・・・・・理奈はどう思うだろうか。
・・・・・・理奈をもう一度抱きしめる権利は・・・オレにはもう・・・ないのだろうか・・・・。
(理奈・・・・・・・)
さっきの無性にイライラした気持ちがしぼんでいくのが分かる。
(アルフォンスは・・・・彼女、レティシアが本物のフレデリック・フランシスじゃないと知っているのだろうか?
もし・・・・知っていたとしたら・・・・本物のフレデリック・フランシスがいまどんな状態か・・・・教えてくれはしないだろうか)
そうして、もし万が一、重体でも何でも本物の<フレデリック・フランシス>が生きているのが分かったら・・・・このオレの持った<サムド>の能力で・・・・必ず完治させよう。
複雑な思いを抱え、どうにか希望を見出したくてすがるような思いでオレはそう決意をする・・・・・。
自分のあきらめの悪さに思わず、心の中で自嘲してしまう。分からないことを悩んだって仕方がないのだ。最善の結果を出すためには、いま分かる限りの手札でどうにかあがくしかない。
改めて、目の前を走るアルフォンスを再度、目に映す・・・・・・・
するとそこには・・・・レティシアの首筋にキスをしているアルフォンスの姿があった。
迷宮の中に・・・・不釣り合いな音が響く。
アルフォンスがレティシアに何か耳元でささやく。
彼女は大きなそのターコイズブルーの瞳を潤ませて、彼を見つめ返す。
「・・・・・・・・・」
この世界を生き延びるために・・・・・何より理奈に胸を張って・・・・会うために・・・・・オレは色々考えなきゃいけないこともやらなきゃいけないことも・・・・多い・・・・だけど・・・・・・。
なぜだろう・・・・。
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