アドレナリンと感覚麻酔

元森

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蒼編

1 蒼との偶然

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初めにお読みください⬇

 ※DLsiteで販売中の『アドレナリンと感覚麻酔』で載せている蒼ルートのハッピーエンドを掲載します。
 反響などを見て、十夜編を掲載します。
気になる方はチェックお願いします(販売URL⬇)
https://www.dlsite.com/bl-touch/work/=/product_id/RJ01312142.html

 ※時系列としては89話目の続きからとなります。基本的に聖月の一人称です。

 ※蒼×聖月なので、宗祐固定派の方は読まない方が良いです。
 よろしくお願いします。

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次の日。 繁華街にある雑貨屋で収納ボックスを買い、帰路につこうとしていたときだった。 遠くに見知った後姿を見て、思わず立ち止まる。 あれはどう見ても蒼だ。
  蒼はスーツ姿で人込みの中を颯爽と歩いていた。こうして町で蒼を見かけるのは初めての事だった。 声をかけようか、と考えて止めておく。蒼と会って話すことなんてないだろう。段々と遠くに消える蒼を見詰めていた俺に声が掛かる。 
「ねぇ、お姉さん~」
「え?」  
 お姉さん―? 聞き間違いかと思ったが、肩を叩かれ言われたので振り返ってしまう。 そこには、色素の薄い髪色をした長髪の男性が立っていた。20代程で、顔が整っており、細身なので、スーツ姿が良く似合っている人だった。
  目が赤いので、どこか蛇のような印象を持つ。 軽い独特のイントネーションで話しかけられたので余計にそう思ったのかもしれない。
  女性に間違われたのは人生で初めての経験だった。もうこれから一生ないかもしれない。 
「お姉さん、靴紐解けてる~。危ないよぉ」 
「わ、有難うございます」  
 指摘され靴を見ると、スニーカーの紐が解けていた。慌てて靴紐を直していると、頭上から楽しそうな笑い声が聞こえた。 
「お姉さん、可愛いねえ。俺さぁ、シモンっていうんだけどぉ、ちょっとお話しない?」 
「ええっ?」
 ―――これは世に言うナンパというものではないか? 
 自分とは程遠い事が実際に起こり、俺は驚く。シモン、と名乗った男性はニコニコとこちらを見ていた。 本当に自分の事を女性だと思っているみたいだ。
  何だか不思議な事になっているなぁ、と思いつつ誤解されないようにはっきりと説明する。 
「あの、俺…お姉さんじゃなくて、男なんですけど…」 
「あぁ。そうだったのぉ。ごめんねぇ。今日コンタクト1つ落としちゃってあんまり見えてなくて」 
「は、はぁ…」
  よくその状態で人に可愛いという言葉が言えたな、と突っ込まずにはいられない。 それに靴紐が解けていることもよく気付いたものだ。 シモンは別段驚いた様子でもなく俺が男性であることを受け入れていた。 
「でも、女の子っぽい雰囲気があるから不思議だねえ、キミ」
「……そ、そうですか…」
   言われて、ドキリとする。 まさかディメントで女役をしていることがバレたのかと思ってしまった。初対面でそう言われたのが初めてでどう返事をしていいか分からない。
  とにかくこの人から離れた方が良さそうだった。 
「じゃあ、俺用事が…」
   あるので失礼します―。そう続けるつもりだったが、衝撃が走る。 
「こっちに来て~」 
「えっ?! あの?!」
  ぐいっ、と腕を掴まれ引っ張られてしまう。突然の事に目を見開かせる。
「離してください!」
 と叫ぶ俺の声を無視して、シモンはずんずんとどこかへ向かっていく。あろうことかシモンが向かっていく先が、蒼が消えた方向と同じだった。 俺の抵抗の甲斐なく、『親指姫』と書かれた店の前に連れてこられた。
  煌びやかな外観と、店の様子からホストクラブということが分かる。 
「俺、ここで働てるんだよ~。キミもここで休憩したら?」 
「え?! ここ、ホストクラブですよね?! 男の俺が入れませんよっ」 
「いいじゃんいいじゃん。可愛いし大丈夫だって」  
 ―――可愛いで済む問題?! 何が大丈夫なのか全く分からない。俺とシモンが行く行かないで揉めていると、不意に腕を掴まれた。 
「おい、聖月相手に何やってんだよシモン」 
「蒼?!」
「あ、ソウさん~、チョリーッス」
 無理やり腕を外され驚いていると、よく知る人物が腕を掴んでいた。それは先程見た蒼だった。 
 蒼は怒った様子で声をかけてきたが、対するシモンは軽く挨拶をしている。もしかしなくてもシモンは強靭なメンタルの持ち主ではないだろうか。 
「な、何で蒼がここに…?」 
「何でって…。そりゃ、俺が働いているホストクラブだからだろ」 
「ええ?」 
 シモンが軽く「ソウさんはここのナンバー3なんですよぉ~」という声を俺は呆けて聞いていた。 
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