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蒼編
9 アユ
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思わぬ言われ方に俺は驚く。恥ずかしくなり顔を俯かせる。そんな俺にシモンは答えを言った。
「親指姫はこうあるべきだという常識…このお話では、子供を産むことだね。
それに他人の意見に左右される事…自分がどう見られるかを気にする事…権力やお金による支配に影響される事から最後には自由になったお話だよね~。
要するに本当の意味の自由は~、ただ何かから逃げて体や時間が自由になる事ではなくてね~。
常識や固定観念や、他人の意見や権力では揺るがない、自分を信じる力を持つことだという事を親指姫は教えてくれるお話なんだよね~!」
「なるほど…」
急にそんな事を言われて頷くしかない。
こうはっきりと解説されると、なるほど、と思う。
親指姫にそんな教訓が隠されていたのか、と考えさせられた。
ヒキガエル、モグラ、そして燕と、自らに想いを寄せてくれる男たちを切り捨て、南の国で王子様と結ばれた親指姫。
小さいながらも強い女性だと聖月は思った。
「自分の持っている魅力でさまざまな生き物たちを虜にし、利用し、切り捨てて、幸せになったって考えるとちょっと怖いよね~」
「まぁ、確かに…」
そう考えると、ぞっとしてしまう。
そんな物語を基にしたホストクラブとは一体どういう事なのだ…?と疑問に思った。
まぁ、そんな親指姫のように強く生きてね!って感じでこのホストクラブに親指姫ってつけたらしいよ~」
「は…はぁ…。意外と軽いノリなんだね…」
シモンが軽く説明したことに驚きつつ、俺は「そうなんだ…」と納得した。
それだったら、シンデレラとか白雪姫とか他の物語にしなかった理由が分かった。
このシモンの話し方だと、きっと由来を聞かれることが多いのだろうと思った。
聞かれるからこんなにおとぎ話の内容を詳しく、スラスラと言えるのだろう。
俺はオレンジジュースとフルーツの盛り合わせを交互に頂きつつ、シモンの話を聞いていた。
何と今回も蒼の奢りらしい。
金に煩い蒼が2回も奢ってくれるなんて…と思ったが、素直にそのまま俺は奢られておこうと思った。
しばらくして、ボーイがシモンに声をかけた。
どうやら客の指名が来たらしい。
「じゃあ、また来るね~」
「あぁ。うん…」
俺はシモンを見送った。
ゆっくりと辺りを見渡す。様々な女性がホストと声を交わし、楽しそうに会話をしている。
こんなに夜の世界に溶け込めていない人間は、自分だけだろう。
男同士で話しているのも今日は自分だけだ。
早く帰りたいなぁ、と思っていると女性に声をかけられた。
「ねぇ! 君、ソウのオキニじゃん! ここ座っていい?!」
「え、えぇ…まぁ、いいですけど…」
「有難う~」
どこかきりの同室の夢に似ている綺麗な人だと思った。フレンドリーに話しかけられ、俺は曖昧に頷く。
――うわぁ、変な事になっちゃったなぁ。
どうしてホストクラブで女性に話しかけられるんだ?と思いつつ、俺は女性を見詰める。茶髪の長い髪がさらさらと揺れている。
赤いリップがセクシーで、大きく胸元が開いている赤いドレスがキラキラと輝いて見えた。
「貴方はソウを指名してるんですか?」
「貴方って何か他人みたいじゃん! わたしはアユ! よろしくね、え~と…」
「聖月です」
「みつき! 可愛い名前だね。わたしの名前と交換して欲しい~」
アユと名乗った女性はそう言って笑った。
「アユって名前も可愛いと思います」
「え~。誉めるのうまいね! あ、さっきの質問だけど。そうだね。ここ通ってる子は大体ソウのこと1回は指名してるかなぁ」
「あんな…ソウってどこがいいんです?」
あんな奴と言いそうになって慌てて訂正する。
アユはキラキラと輝いているオレンジ色ネイルを見ながら答えた。
「堂々としてて、トークも一流、顔もいいし、ちょっとSっぽいのがいいんだよね~。姫対応してくれるところも最高!」
「ちょっと…?」
――ドSの間違いじゃないのか?
と、思いつつ俺は「へえ」と相槌をする。やはりここでは猫を被っているようだ。どう自分が見られて、求められているのか判断するのが蒼は上手いのだ。
ここではそういうキャラでやっているのだろう。
頷く俺にアユは身を乗り出して聞いてくる。
「ねえ! 聖月くんと、ソウってどういう関係?! 最近ソウが来るようになったのも、君が関係してるって噂だけどそこらへんどうなの?!」
「えっと」
「親指姫はこうあるべきだという常識…このお話では、子供を産むことだね。
それに他人の意見に左右される事…自分がどう見られるかを気にする事…権力やお金による支配に影響される事から最後には自由になったお話だよね~。
要するに本当の意味の自由は~、ただ何かから逃げて体や時間が自由になる事ではなくてね~。
常識や固定観念や、他人の意見や権力では揺るがない、自分を信じる力を持つことだという事を親指姫は教えてくれるお話なんだよね~!」
「なるほど…」
急にそんな事を言われて頷くしかない。
こうはっきりと解説されると、なるほど、と思う。
親指姫にそんな教訓が隠されていたのか、と考えさせられた。
ヒキガエル、モグラ、そして燕と、自らに想いを寄せてくれる男たちを切り捨て、南の国で王子様と結ばれた親指姫。
小さいながらも強い女性だと聖月は思った。
「自分の持っている魅力でさまざまな生き物たちを虜にし、利用し、切り捨てて、幸せになったって考えるとちょっと怖いよね~」
「まぁ、確かに…」
そう考えると、ぞっとしてしまう。
そんな物語を基にしたホストクラブとは一体どういう事なのだ…?と疑問に思った。
まぁ、そんな親指姫のように強く生きてね!って感じでこのホストクラブに親指姫ってつけたらしいよ~」
「は…はぁ…。意外と軽いノリなんだね…」
シモンが軽く説明したことに驚きつつ、俺は「そうなんだ…」と納得した。
それだったら、シンデレラとか白雪姫とか他の物語にしなかった理由が分かった。
このシモンの話し方だと、きっと由来を聞かれることが多いのだろうと思った。
聞かれるからこんなにおとぎ話の内容を詳しく、スラスラと言えるのだろう。
俺はオレンジジュースとフルーツの盛り合わせを交互に頂きつつ、シモンの話を聞いていた。
何と今回も蒼の奢りらしい。
金に煩い蒼が2回も奢ってくれるなんて…と思ったが、素直にそのまま俺は奢られておこうと思った。
しばらくして、ボーイがシモンに声をかけた。
どうやら客の指名が来たらしい。
「じゃあ、また来るね~」
「あぁ。うん…」
俺はシモンを見送った。
ゆっくりと辺りを見渡す。様々な女性がホストと声を交わし、楽しそうに会話をしている。
こんなに夜の世界に溶け込めていない人間は、自分だけだろう。
男同士で話しているのも今日は自分だけだ。
早く帰りたいなぁ、と思っていると女性に声をかけられた。
「ねぇ! 君、ソウのオキニじゃん! ここ座っていい?!」
「え、えぇ…まぁ、いいですけど…」
「有難う~」
どこかきりの同室の夢に似ている綺麗な人だと思った。フレンドリーに話しかけられ、俺は曖昧に頷く。
――うわぁ、変な事になっちゃったなぁ。
どうしてホストクラブで女性に話しかけられるんだ?と思いつつ、俺は女性を見詰める。茶髪の長い髪がさらさらと揺れている。
赤いリップがセクシーで、大きく胸元が開いている赤いドレスがキラキラと輝いて見えた。
「貴方はソウを指名してるんですか?」
「貴方って何か他人みたいじゃん! わたしはアユ! よろしくね、え~と…」
「聖月です」
「みつき! 可愛い名前だね。わたしの名前と交換して欲しい~」
アユと名乗った女性はそう言って笑った。
「アユって名前も可愛いと思います」
「え~。誉めるのうまいね! あ、さっきの質問だけど。そうだね。ここ通ってる子は大体ソウのこと1回は指名してるかなぁ」
「あんな…ソウってどこがいいんです?」
あんな奴と言いそうになって慌てて訂正する。
アユはキラキラと輝いているオレンジ色ネイルを見ながら答えた。
「堂々としてて、トークも一流、顔もいいし、ちょっとSっぽいのがいいんだよね~。姫対応してくれるところも最高!」
「ちょっと…?」
――ドSの間違いじゃないのか?
と、思いつつ俺は「へえ」と相槌をする。やはりここでは猫を被っているようだ。どう自分が見られて、求められているのか判断するのが蒼は上手いのだ。
ここではそういうキャラでやっているのだろう。
頷く俺にアユは身を乗り出して聞いてくる。
「ねえ! 聖月くんと、ソウってどういう関係?! 最近ソウが来るようになったのも、君が関係してるって噂だけどそこらへんどうなの?!」
「えっと」
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