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3B-学院と植物
3B-05 新しい刺激
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「次に、我が教室の議題だ。生徒の教室配属について移ろう。明日から配属される生徒は十名。そのうち三名は私が以前から担当していた者たちだ。君たちも顔を知っているだろう。残りは他の教授の担当だった生徒たちだ。例年通り、希望通りに来る者もいれば、定員に溢れて流れてくる者もいる」
教授が配布した紙を手に取る。そこには管理部からの通達が記されていた。
######
――学院管理部通達――
<魔導師部門錬金科ゲオルク研究室配属生徒>
☿:女生徒、🜍:男生徒、🝱:教授担当(継続)、🜔:領主課程重複
1.🜍アンドレイ=エピシン🝱
2.🜍デニス=カラペティアン🝱
3.☿ブレンダ=ウォード🜔
4.☿ダナ=ダイブル🜔
5.🜍イゴール=アレクノ
6.🜍ナイジェル=アンジュー
7.☿ディミトリー=ジキジ🜔
8.☿リディア=リード🜔
9.☿ユリアーネ=カンティア🜔🝱
10.☿シャーロット=アカシア🜔
######
なるほど。研究室は希望配属制。七つの研究室がそれぞれ十名を受け入れる。塔ごとに収容人数が決まっているため、定員以上は受け入れられない。人気の研究室に集中するのは当然だろう。
「見ての通り、アンドレイ君、デニス君、ユリアーネ君は私の担当生徒で、この研究室を選んでくれた。喜ばしいことだ。我々の研究に関心を寄せた者たちだ。ブレンダ君、ダナ君、ディミトリー君、リディア君、シャーロット君は領主課程との重複だ。我が教室の実習は軽いと噂されている。比較的ゆるやかに研究を進めたいのだろう。例年通りの選択だな」
「振り分けの結果、こちらに回ってきたのはイゴール君とナイジェル君か」
「他の研究室に入れず、仕方なくこちらに来たのかもしれないわね」
「その二人には、一層きめ細やかな指導が必要ですね」
色黒のヘンリー先生が心配そうに呟く。毎年のことなのだろう。
「さて、決めねばならん。君たちには各二名ずつ担当してもらう。去年までは三人組ができていたが、レッド君が入ったことで例年通りに戻せる。レッド君、学院生徒は二人一組で一つの主題に取り組むのだ。領主課程の者はそれぞれ組に分ける。不在時の対応が面倒だからな」
「この表の並びのままでいいのでは?」
「一と二、三と四の組ということか?」
「ええ。そしてレッド君がユリアーネ君とシャーロット君を担当する。領主組はそれぞれ一緒に。イゴール君とナイジェル君も組ませる。あとは誰が担当するかを決めるだけね」
……やはり自分の担当は決まったようなものだ。ユリアーネとシャーロット。高貴な二人を任されるのは荷が重いが、逆に配慮してくれたのだろう。
職員たちは議論を始めた。自分は輪から外され、ただ聞く立場となる。だが議論を眺めるのも面白い。頃合いを見て、軽い菓子を出すことにした。
白と茶色のクルス、そしてシトラスソーダ。シトラスから抽出した酸とカルサイトを反応させて作る炭酸飲料だ。最初にソーダを作ったのは酸と大理石を反応させたものだとスキルが教えてくれた。大理石の鉱物分類はカルサイト。王冠で封じれば保存も効く。やや塩味を帯びたレモネードサイダーのような味わいだ。
アイテムボックスから取り出し準備していると、教員たちが興味深そうにこちらを見ていた。議論はいつの間にか止まっている。
「担当は決まりましたか? 休憩用に茶菓子を用意しました。城郭都市で採れたシトラスを基にした飲料です。プチプチとした感覚をお楽しみください。お菓子はクルスです」
クルスを配り、シトラスソーダを注ぐ。王冠を開けると「キュポン」と音が響き、泡が立ち上る。
「うん、爽やかな味。不安なら鑑定をどうぞ」
自ら一口飲み、クルスをかじる。毒見は済んだ。
【シトラスソーダ。炭酸含有。爽快感と酸味が特徴】
「ヘンリー先生、どうぞ」
「いや、それは新製品好きのアレク先生が」
「いやいや、フランコ先生が先に」
押し付け合う講師たち。そんな中、マリア先生が先に手を伸ばした。
「甘いけど酸っぱい。喉を刺激するシュワシュワ……不思議な感覚ね。冷たさと酸味で爽快感が強い。クルスとよく合うわ」
他の講師たちも恐る恐る口にする。
「うわ、口の中で弾ける」
「不思議だ。甘さと酸味、刺激が癖になる」
「レッド君、このシュワシュワは?」
「鑑定通り、炭酸です」
教授が頷く。
「出来立てのエールや葡萄酒の発酵で見られる現象と同じだな。酒精は入っていないのだな?」
「はい、別の方法で作りました」
「この組み合わせは?」
マリア先生の目が鋭く光る。研究者の執念を感じる。
「それは内緒です。落ち着いたらベルナル商会に持ち込み、商品化を考えています」
「この現象はムカージ教授も興味を持つだろう。いずれ開示を願いたい」
「原理は単純です。簡易に作れる目途は立っています。製品化には魔導具科の協力が必要でしょう」
「飲み物一つでこれだ。本格的に始まったらどうなるやら」
教授は笑い、肩をすくめた。
「柔軟に受け入れるしかない。我々の器量も試されているのだ。それにしてもパラケル師は偉大だな。よくここまで導いたものだ」
******
#######
――シトラスソーダ――
シトラスシロップ 100mL
砂糖 40g
クエン酸2g
水400mLにメスアップ。液はあらかじめ冷却。
*カルサイト丸薬2粒
*を入れた後は王冠で即封じる。氷魔法もしくは保冷箱にて冷却継続。
*酸と塩の反応により炭酸ガスを生じる。
(作者注:幕間4-4/4 中和を参照)
#######
######
――シトラスシロップ――
シトラス 5個
砂糖 250g
瓶に充填し、密封。冷所保管。
######
######
――カルサイト丸薬――
カルサイト粉末 20g
砂糖 10g
水適量
カルサイト粉末と砂糖を水で練り、球状に球状に製する。20粒に分割。
######
教授が配布した紙を手に取る。そこには管理部からの通達が記されていた。
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――学院管理部通達――
<魔導師部門錬金科ゲオルク研究室配属生徒>
☿:女生徒、🜍:男生徒、🝱:教授担当(継続)、🜔:領主課程重複
1.🜍アンドレイ=エピシン🝱
2.🜍デニス=カラペティアン🝱
3.☿ブレンダ=ウォード🜔
4.☿ダナ=ダイブル🜔
5.🜍イゴール=アレクノ
6.🜍ナイジェル=アンジュー
7.☿ディミトリー=ジキジ🜔
8.☿リディア=リード🜔
9.☿ユリアーネ=カンティア🜔🝱
10.☿シャーロット=アカシア🜔
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なるほど。研究室は希望配属制。七つの研究室がそれぞれ十名を受け入れる。塔ごとに収容人数が決まっているため、定員以上は受け入れられない。人気の研究室に集中するのは当然だろう。
「見ての通り、アンドレイ君、デニス君、ユリアーネ君は私の担当生徒で、この研究室を選んでくれた。喜ばしいことだ。我々の研究に関心を寄せた者たちだ。ブレンダ君、ダナ君、ディミトリー君、リディア君、シャーロット君は領主課程との重複だ。我が教室の実習は軽いと噂されている。比較的ゆるやかに研究を進めたいのだろう。例年通りの選択だな」
「振り分けの結果、こちらに回ってきたのはイゴール君とナイジェル君か」
「他の研究室に入れず、仕方なくこちらに来たのかもしれないわね」
「その二人には、一層きめ細やかな指導が必要ですね」
色黒のヘンリー先生が心配そうに呟く。毎年のことなのだろう。
「さて、決めねばならん。君たちには各二名ずつ担当してもらう。去年までは三人組ができていたが、レッド君が入ったことで例年通りに戻せる。レッド君、学院生徒は二人一組で一つの主題に取り組むのだ。領主課程の者はそれぞれ組に分ける。不在時の対応が面倒だからな」
「この表の並びのままでいいのでは?」
「一と二、三と四の組ということか?」
「ええ。そしてレッド君がユリアーネ君とシャーロット君を担当する。領主組はそれぞれ一緒に。イゴール君とナイジェル君も組ませる。あとは誰が担当するかを決めるだけね」
……やはり自分の担当は決まったようなものだ。ユリアーネとシャーロット。高貴な二人を任されるのは荷が重いが、逆に配慮してくれたのだろう。
職員たちは議論を始めた。自分は輪から外され、ただ聞く立場となる。だが議論を眺めるのも面白い。頃合いを見て、軽い菓子を出すことにした。
白と茶色のクルス、そしてシトラスソーダ。シトラスから抽出した酸とカルサイトを反応させて作る炭酸飲料だ。最初にソーダを作ったのは酸と大理石を反応させたものだとスキルが教えてくれた。大理石の鉱物分類はカルサイト。王冠で封じれば保存も効く。やや塩味を帯びたレモネードサイダーのような味わいだ。
アイテムボックスから取り出し準備していると、教員たちが興味深そうにこちらを見ていた。議論はいつの間にか止まっている。
「担当は決まりましたか? 休憩用に茶菓子を用意しました。城郭都市で採れたシトラスを基にした飲料です。プチプチとした感覚をお楽しみください。お菓子はクルスです」
クルスを配り、シトラスソーダを注ぐ。王冠を開けると「キュポン」と音が響き、泡が立ち上る。
「うん、爽やかな味。不安なら鑑定をどうぞ」
自ら一口飲み、クルスをかじる。毒見は済んだ。
【シトラスソーダ。炭酸含有。爽快感と酸味が特徴】
「ヘンリー先生、どうぞ」
「いや、それは新製品好きのアレク先生が」
「いやいや、フランコ先生が先に」
押し付け合う講師たち。そんな中、マリア先生が先に手を伸ばした。
「甘いけど酸っぱい。喉を刺激するシュワシュワ……不思議な感覚ね。冷たさと酸味で爽快感が強い。クルスとよく合うわ」
他の講師たちも恐る恐る口にする。
「うわ、口の中で弾ける」
「不思議だ。甘さと酸味、刺激が癖になる」
「レッド君、このシュワシュワは?」
「鑑定通り、炭酸です」
教授が頷く。
「出来立てのエールや葡萄酒の発酵で見られる現象と同じだな。酒精は入っていないのだな?」
「はい、別の方法で作りました」
「この組み合わせは?」
マリア先生の目が鋭く光る。研究者の執念を感じる。
「それは内緒です。落ち着いたらベルナル商会に持ち込み、商品化を考えています」
「この現象はムカージ教授も興味を持つだろう。いずれ開示を願いたい」
「原理は単純です。簡易に作れる目途は立っています。製品化には魔導具科の協力が必要でしょう」
「飲み物一つでこれだ。本格的に始まったらどうなるやら」
教授は笑い、肩をすくめた。
「柔軟に受け入れるしかない。我々の器量も試されているのだ。それにしてもパラケル師は偉大だな。よくここまで導いたものだ」
******
#######
――シトラスソーダ――
シトラスシロップ 100mL
砂糖 40g
クエン酸2g
水400mLにメスアップ。液はあらかじめ冷却。
*カルサイト丸薬2粒
*を入れた後は王冠で即封じる。氷魔法もしくは保冷箱にて冷却継続。
*酸と塩の反応により炭酸ガスを生じる。
(作者注:幕間4-4/4 中和を参照)
#######
######
――シトラスシロップ――
シトラス 5個
砂糖 250g
瓶に充填し、密封。冷所保管。
######
######
――カルサイト丸薬――
カルサイト粉末 20g
砂糖 10g
水適量
カルサイト粉末と砂糖を水で練り、球状に球状に製する。20粒に分割。
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