巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1D-窯業と産業

1D-09 蒸留と濃縮

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 まずは検証のひとつ。メンタをポーションと同じように作成するとどうなるか。熱水抽出を試してみた。工程はほぼポーションと同じだ。

【*メンタ水。ほんのりとした清涼感のある水。口臭改善】

 さらに、残り少ない魔力を使って成分を抽出する。枯渇寸前の魔力を振り絞ると、頭がくらくらした。

【*メンタ水+。清涼感のある水。口臭改善+】

 抽出効率が上がったのか、「+」としてランクが上がった。
 次に、ポーションの原料であるアルテミを改めて【物質鑑定】する。以前にも鑑定したが、項目が増えてからは行っていなかった。

【*黒アルテミ。別名;黒アルテミ。ポーション等の原料。薬効部位;葉・頭花。魔素を含む】
 薬効部位が明記されるようになっていた。植物の名前は、どうやら古語――ラテン語由来のようだ。

 アルテミ草を材料に、魔力を使わず熱水で抽出してみる。村人から買い取った品を使い、両親には商品開発の一環として了承を得ている。

【*アルテミ水。治癒効果有。ポーション等の原料。苦味とえぐみ有】
 瓶に詰めると、【ポーション・普及品・効果6】となった。予想通りの結果だ。
 次に、熱水抽出に魔力を併用してみる。

【*アルテミ水+。治癒効果有。ポーション等の原料。苦味・えぐみほぼ無】
 瓶に詰めると、【ポーション・一級品・効果6】。これも予想通り。

 ここからが新しい試みだ。アルテミを熱水蒸留してみる。
【*アルテミ劣化オイル。芳香油。治癒効果有。飲料には不適。化粧品原料。魔素を含む】
【*アルテミ劣化ウォータ。芳香蒸留水。治癒効果有。苦味・えぐみ多い。魔素を含む】

 アルテミ劣化ウォータを瓶に詰めると、【10倍濃縮ポーション・劣化品・効果3・液量1/10】となった。蒸留すると濃縮ポーションになるが、味の良し悪しで等級が変わるらしい。効果は通常の半減となった。

 続いて水蒸気蒸留を試す。
【*アルテミオイル。芳香油。治癒効果有。飲料不可。化粧品・軟膏原料。魔素を含む・効果3】

【*アルテミウォータ。芳香蒸留水。治癒効果有。苦味・えぐみ有。ハイポーションの主剤。魔素を含む・効果3】
 液量は通常の1/10。魔素がオイルとウォータに分かれたため収率は半分だろう。瓶に詰めると、【10倍濃縮ポーション・一級品・効果6・中間製品】となった。
 さらに、水蒸気蒸留の途中で水魔法を使い、魔素の流れに干渉してみた。

【*アルテミオイル。芳香油。飲料不可。化粧品・軟膏原料】
【*アルテミウォータ。芳香蒸留水。治癒効果有。苦味・えぐみ極小。ハイポーションの主剤。魔素を含む・効果6】

 魔素がすべてウォータに移り、オイルからは治癒効果が消えた。瓶に詰めると、【10倍濃縮ポーション・特級・効果6・中間製品】となった。

 さらに、この濃縮液に水を90mL足して100mLにすると――
【*ポーション・特級。苦味・えぐみ無。効果6】
 やはり効果は6で固定される。薬草5株から抽出されるポーションの効果は6が基準。液量は瓶の100mL単位で規格化され、等級は味で決まる。濃縮すれば「*倍」の接頭辞が付く。

 魔力を使うと植物由来の魔素が移動し、収率が大幅に改善する。熱水でも水蒸気蒸留でも同じだ。今回の検証で、魔力を使わなくても一級品が作れることがわかったのは大きな成果だ。収率は半分になるが、ほぼ放置で作れる利点は大きい。塗布型ポーションの商品化への道も見えてきた。

 さらに、ポーション液は100mL規格で90mL分の余裕がある。ブラックメンタウォータに記載されていた「ハイポーション」のヒントもここに繋がる。他の成分を加える余地があるのだ。

 魔力は枯渇し、最後は気力で結果をまとめる作業となった。
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