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本編
3.自由の定義
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「んんーっ、よく寝た……!」
パチリと目を覚ました私はそのままふかふかのベッドで思い切り伸びをする。
好きに使っていい、と言われた部屋はとてもシンプルで物が極端に少なかった。
“でも部屋はめちゃくちゃ広いのよね”
あるのはベッドとソファ、ローテーブルだけ。
そのせいでより広く見えてしまっているこの部屋のローテーブルにはカタログが一冊。
「この部屋を好きな物で埋め尽くして欲しい、って言われてもなぁ」
パラリと捲った冊子には種類別に家具の名前が記載され、材質や色などがメモされている。
この部屋を私の好みになるよう好きなだけ家具を買い揃えていいということなのだろうが。
「魔法が解けたあとに家具代を請求されたら堪ったもんじゃない!」
届く大量の請求書。
ふとそんな想像をしてしまった私は両腕を抱えるようにしてぶるりと震えた。
“だって、いつここを追い出されるかわからないもの”
この生活は魔法が解けるまでの期間限定。
その日は明日かもしれないし来月かもしれないのだ。
もし魔法が解けたあと購入費用を請求されたら、ポンコツ魔女の私では支払いの目処がたたないということは明白で。
「師匠みたいな魔法使いなら稼げるとは思うけど……」
魔女や魔法使いは一ヶ所に定住しないとされている。
それはもちろんその習性によるものなのだが、だからといってお金がなければ旅なんて出来ない。
その為、旅の先々で楽器を魔法で奏で吟遊詩人のようなことをしたり、単発で何かの面倒ごとを解決して報酬を貰ったりして稼ぐことが多かった。
そして魔法の威力が強いほど出来ることは増え、報酬額も上がる。
私が数十回しても稼げない額をテオ師匠は一回で稼ぐなんてこともざらだろう。
“というか、魔法がちゃんと発動しないと稼ぐとかのレベルじゃないわ”
現状完全無職。
魔法の影響とはいえ私をここに連れてきたのはメルヴィなのだから、家賃や食費には目を瞑って貰うとしても、他人のお金で買い物をするのはやはりどう考えても色々マズイ気がした私は、パラパラと見ていたそのカタログをパタンと閉じた。
「ま! 家具がなくても困らないしね」
そうだそうだと開き直りつつ立ち上がる。
「なんでもしていい、かぁ」
“外には勝手に出ないように言われたけど、城内なら自由にしてていいって言われたのよね”
ならばまず最初にするべきはここに来た目的でもある王城探索!
そう結論付けた私はウキウキと部屋から一歩を踏み出し、ハタ、とあることに気が付いた。
“……ん? 外に出ることは許されてないって考えると、これ本当に自由なのかしら?”
もしやこれ、ゆるい軟禁――……
「ま、いっか! どうせ魔法が解けるまでだろうし、それに城内は広いもの! 気になるところがいっぱいあるからきっと飽きないわ!」
そう気を取り直した私は、改めて王城探索への一歩を踏み出したのだった。
長い廊下を進みながら、豪華そうな部屋の扉を片っ端から開けてみる。
貴賓室だったり、休憩室だったり。
誰の物でもなさそうなさまざなサイズのドレスが大量にある衣装室もあった。
「夜会とかでドレスを汚す人、いそうだものね」
おそらくそういったおっちょこちょいな人の為に用意しているだろうドレスたちは、もしかしたら過去の王妃様や王女様たちのお下がりかもしれないし、そういった人たちの為だけに新しく購入されたものなのかもしれない。
王城で出されるドレスが型落ち品だとは思えないし、と考えながらはぁ、とため息を漏らす。
“楽しくない”
私に与えられた部屋は所有者の好みで好きに色付けられる、所謂『真っ白な部屋』だったのだろう。
適当に開けた豪華な部屋の内装は、私に与えられた部屋とは違い各部屋ごとにコンセプトが決まっているのか見るだけでも楽しい……はずなのに、何故か全然わくわくしなかった。
「つまらないな……」
そんな言葉が私から漏れる。
普段なら絶対気になるものがいっぱいなはずなのに、と思ったよりも上がらないテンションを不可思議に思いながら廊下を適当に歩いていた時だった。
“何かしら、ここ”
その廊下の奥まった突き当たり。
パッと見では気付かないような、どこか素朴でこぢんまりとした雰囲気のある小さめの扉。
隠す意図はなさそうだが、それでも人目にはつきにくいその扉は大きな通路側からは死角になっているものの、扉の近くにある窓からは太陽の光が射し込み決して嫌な雰囲気には感じなくて。
「気になる……!」
さっきまで凪いでいた私の心臓が途端にトクントクンと音をたてる。
気になる。
中に何があるのか、中がどうなっているのか。
ごくりと唾を呑んだ私は、いざその扉を開くべくドアノブにそっと手を掛けて――……
「開けちゃうの?」
「ひぇっ!?」
完全に意識を扉へと集中していた私は、真後ろから聞こえたその声にビクリと肩を跳ねさせた。
「め、メルヴィ!?」
いつの間にか私の背後に立っていたメルヴィは、扉を開けようとしている私の手に自身の手を重ねて。
「ここは、まだダーメ」
「えっ! 全部見ていいって言ったのに!?」
「うん、全部構わないよ。けれど、この中を知ってしまったらもう戻れないけどいいのかな?」
「戻れない……?」
ごくりと生唾を呑む。
――この中を知ったらどうなるんだろう。
そんな言い回しをされたら余計気になるに決まっている。
気になって気になって仕方ない私は、ドアノブに掛けた手により力を入れて。
「……ちなみに少し焦らすとより楽しくなると思うけど」
“た、楽しく!?”
その一言にピタリと停止した私は、すぐにメルヴィを振り返った。
「焦らすって、どれくらい?」
「さぁ。その時がいつ訪れるのか、そこも気にならない?」
“今見るか、その時が来てより楽しいタイミングで見るか……!?”
その『より楽しい』がどれほどのものなのか、知るその瞬間がいつ訪れるかも確かめねばならないのだとしたら。
魔女とは好奇心を抑えられないもの。
部屋がより気になった今、すぐにでも中を暴きたい衝動よりも、熟した瞬間に全てを暴くとどうなるのかという興味が私の中では勝利して。
「今は我慢するわっ」
“そんなお楽しみ、待つに決まってる……!!”
パアッと表情を明るくした私は、逸る好奇心を必死に抑えてドアノブから手を離した。
「折角だから案内しよう」
にこやかに笑ったメルヴィが、重ねていた手をそのまま握り歩き出す。
手を繋ぐのは三回目。
この手を振りほどくことが出来ないということは前回でしっかり学んでいる。
“王城内の、それもパーティーがないとあまり使わないような部屋が揃ってたし”
前回よりも人目が少ないだろうと判断した私は、どうせ離せないならばと繋がれた手をぎゅっと握り返して。
「――ッ!?」
「へ?」
途端にギシッと握った手を固めたメルヴィが息を詰めた。
“え、え? 私何かしちゃった……?”
ぽかんとした私は一瞬でガチガチに固まってしまった彼をじっと見上げる。
すると、下から見上げる彼の横顔がじわりと赤らんでいくことに気が付いて。
「まさか、照れてるんですか?」
「別に、その……、握り返されると思わなかったから」
「えっ、だ、だってそれはっ」
深い意味なんてなかった行為。
どうせ離してくれないならば、ただ手を掴まれているより互いに握りあっている方が歩きやすいんじゃないかというその程度のこと。
「この間より、人目もないですし」
「うん」
「見られる心配がないなら、困らないし」
「見られても俺は困らないけれど」
“私が困るのよ!”
思わず内心でそう叫ぶ。
魔法で気持ちを変えたあげく、誘惑したなんて尾ひれがついたら逃走後にがっつり追手がかかるかもしれないから。
――逃げにくくなるから、よね?
答えの出ない自問自答が頭に過り、私の頬も彼に釣られたのか熱を持つ。
その答えは、今の私にはまだわからなかった。
パチリと目を覚ました私はそのままふかふかのベッドで思い切り伸びをする。
好きに使っていい、と言われた部屋はとてもシンプルで物が極端に少なかった。
“でも部屋はめちゃくちゃ広いのよね”
あるのはベッドとソファ、ローテーブルだけ。
そのせいでより広く見えてしまっているこの部屋のローテーブルにはカタログが一冊。
「この部屋を好きな物で埋め尽くして欲しい、って言われてもなぁ」
パラリと捲った冊子には種類別に家具の名前が記載され、材質や色などがメモされている。
この部屋を私の好みになるよう好きなだけ家具を買い揃えていいということなのだろうが。
「魔法が解けたあとに家具代を請求されたら堪ったもんじゃない!」
届く大量の請求書。
ふとそんな想像をしてしまった私は両腕を抱えるようにしてぶるりと震えた。
“だって、いつここを追い出されるかわからないもの”
この生活は魔法が解けるまでの期間限定。
その日は明日かもしれないし来月かもしれないのだ。
もし魔法が解けたあと購入費用を請求されたら、ポンコツ魔女の私では支払いの目処がたたないということは明白で。
「師匠みたいな魔法使いなら稼げるとは思うけど……」
魔女や魔法使いは一ヶ所に定住しないとされている。
それはもちろんその習性によるものなのだが、だからといってお金がなければ旅なんて出来ない。
その為、旅の先々で楽器を魔法で奏で吟遊詩人のようなことをしたり、単発で何かの面倒ごとを解決して報酬を貰ったりして稼ぐことが多かった。
そして魔法の威力が強いほど出来ることは増え、報酬額も上がる。
私が数十回しても稼げない額をテオ師匠は一回で稼ぐなんてこともざらだろう。
“というか、魔法がちゃんと発動しないと稼ぐとかのレベルじゃないわ”
現状完全無職。
魔法の影響とはいえ私をここに連れてきたのはメルヴィなのだから、家賃や食費には目を瞑って貰うとしても、他人のお金で買い物をするのはやはりどう考えても色々マズイ気がした私は、パラパラと見ていたそのカタログをパタンと閉じた。
「ま! 家具がなくても困らないしね」
そうだそうだと開き直りつつ立ち上がる。
「なんでもしていい、かぁ」
“外には勝手に出ないように言われたけど、城内なら自由にしてていいって言われたのよね”
ならばまず最初にするべきはここに来た目的でもある王城探索!
そう結論付けた私はウキウキと部屋から一歩を踏み出し、ハタ、とあることに気が付いた。
“……ん? 外に出ることは許されてないって考えると、これ本当に自由なのかしら?”
もしやこれ、ゆるい軟禁――……
「ま、いっか! どうせ魔法が解けるまでだろうし、それに城内は広いもの! 気になるところがいっぱいあるからきっと飽きないわ!」
そう気を取り直した私は、改めて王城探索への一歩を踏み出したのだった。
長い廊下を進みながら、豪華そうな部屋の扉を片っ端から開けてみる。
貴賓室だったり、休憩室だったり。
誰の物でもなさそうなさまざなサイズのドレスが大量にある衣装室もあった。
「夜会とかでドレスを汚す人、いそうだものね」
おそらくそういったおっちょこちょいな人の為に用意しているだろうドレスたちは、もしかしたら過去の王妃様や王女様たちのお下がりかもしれないし、そういった人たちの為だけに新しく購入されたものなのかもしれない。
王城で出されるドレスが型落ち品だとは思えないし、と考えながらはぁ、とため息を漏らす。
“楽しくない”
私に与えられた部屋は所有者の好みで好きに色付けられる、所謂『真っ白な部屋』だったのだろう。
適当に開けた豪華な部屋の内装は、私に与えられた部屋とは違い各部屋ごとにコンセプトが決まっているのか見るだけでも楽しい……はずなのに、何故か全然わくわくしなかった。
「つまらないな……」
そんな言葉が私から漏れる。
普段なら絶対気になるものがいっぱいなはずなのに、と思ったよりも上がらないテンションを不可思議に思いながら廊下を適当に歩いていた時だった。
“何かしら、ここ”
その廊下の奥まった突き当たり。
パッと見では気付かないような、どこか素朴でこぢんまりとした雰囲気のある小さめの扉。
隠す意図はなさそうだが、それでも人目にはつきにくいその扉は大きな通路側からは死角になっているものの、扉の近くにある窓からは太陽の光が射し込み決して嫌な雰囲気には感じなくて。
「気になる……!」
さっきまで凪いでいた私の心臓が途端にトクントクンと音をたてる。
気になる。
中に何があるのか、中がどうなっているのか。
ごくりと唾を呑んだ私は、いざその扉を開くべくドアノブにそっと手を掛けて――……
「開けちゃうの?」
「ひぇっ!?」
完全に意識を扉へと集中していた私は、真後ろから聞こえたその声にビクリと肩を跳ねさせた。
「め、メルヴィ!?」
いつの間にか私の背後に立っていたメルヴィは、扉を開けようとしている私の手に自身の手を重ねて。
「ここは、まだダーメ」
「えっ! 全部見ていいって言ったのに!?」
「うん、全部構わないよ。けれど、この中を知ってしまったらもう戻れないけどいいのかな?」
「戻れない……?」
ごくりと生唾を呑む。
――この中を知ったらどうなるんだろう。
そんな言い回しをされたら余計気になるに決まっている。
気になって気になって仕方ない私は、ドアノブに掛けた手により力を入れて。
「……ちなみに少し焦らすとより楽しくなると思うけど」
“た、楽しく!?”
その一言にピタリと停止した私は、すぐにメルヴィを振り返った。
「焦らすって、どれくらい?」
「さぁ。その時がいつ訪れるのか、そこも気にならない?」
“今見るか、その時が来てより楽しいタイミングで見るか……!?”
その『より楽しい』がどれほどのものなのか、知るその瞬間がいつ訪れるかも確かめねばならないのだとしたら。
魔女とは好奇心を抑えられないもの。
部屋がより気になった今、すぐにでも中を暴きたい衝動よりも、熟した瞬間に全てを暴くとどうなるのかという興味が私の中では勝利して。
「今は我慢するわっ」
“そんなお楽しみ、待つに決まってる……!!”
パアッと表情を明るくした私は、逸る好奇心を必死に抑えてドアノブから手を離した。
「折角だから案内しよう」
にこやかに笑ったメルヴィが、重ねていた手をそのまま握り歩き出す。
手を繋ぐのは三回目。
この手を振りほどくことが出来ないということは前回でしっかり学んでいる。
“王城内の、それもパーティーがないとあまり使わないような部屋が揃ってたし”
前回よりも人目が少ないだろうと判断した私は、どうせ離せないならばと繋がれた手をぎゅっと握り返して。
「――ッ!?」
「へ?」
途端にギシッと握った手を固めたメルヴィが息を詰めた。
“え、え? 私何かしちゃった……?”
ぽかんとした私は一瞬でガチガチに固まってしまった彼をじっと見上げる。
すると、下から見上げる彼の横顔がじわりと赤らんでいくことに気が付いて。
「まさか、照れてるんですか?」
「別に、その……、握り返されると思わなかったから」
「えっ、だ、だってそれはっ」
深い意味なんてなかった行為。
どうせ離してくれないならば、ただ手を掴まれているより互いに握りあっている方が歩きやすいんじゃないかというその程度のこと。
「この間より、人目もないですし」
「うん」
「見られる心配がないなら、困らないし」
「見られても俺は困らないけれど」
“私が困るのよ!”
思わず内心でそう叫ぶ。
魔法で気持ちを変えたあげく、誘惑したなんて尾ひれがついたら逃走後にがっつり追手がかかるかもしれないから。
――逃げにくくなるから、よね?
答えの出ない自問自答が頭に過り、私の頬も彼に釣られたのか熱を持つ。
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