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本編
4.決してこれは嫉妬じゃないけど
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「ここら辺は休憩室だね。夜会で疲れた人たちが休めるようになっていて、男女別だから中の家具もそれぞれで変えているんだ」
「こっちは女性用ですか? 花瓶がいっぱい」
「いや、男性用だよ。花を渡そうとして断られた時に入れれるよう、花瓶が多めに置かれてる」
「うわぁ、世知辛い……」
“でも言われてみれば、ソファは皮張りだしシンプルな家具が多いかも”
メルヴィが指差す通りに視線を動かし部屋を確認する。
解説しながら案内してくれるからか、一人で覗いた時には気付かなかったことが多く、それらを紐解いていくのは楽しかった。
「あ! こっちは衣装室ですよね?」
「あぁ」
色々なサイズやデザインのドレスがあった部屋を指差しながらそう言うと、ゆっくり頷いたメルヴィはにこりと微笑んで。
「折角だから着てみない?」
「えっ!」
そのまま有無を言わさぬ笑顔を張り付けたメルヴィと一緒に部屋へ入る。
“着てみない? って言われても”
正直ドレスなんて着たことのない私は当然着方すらもわからない、のだが。
「ほら、このドレスなんてどうだろう?」
「えー、私にはちょっと派手じゃありません?」
「ならこっちのドレスはどうかな」
「大人っぽすぎる気が……」
私の瞳の色に合わせた真っ赤のドレスや、黒の髪が映える淡い色のドレスを私にあてがっては楽しそうに笑うメルヴィ。
色々な色形のドレスを何着も出され、されるがままだった私はあることに気が付いた。
「紺色はないんですか?」
「え……」
他の濃い色や淡い水色はあるのに、濃い青だけがないことに違和感を覚えてそのまま口にする。
私の質問を受けたメルヴィは、一瞬だけぽかんとした表情になって。
「紺は、俺の色だからね。軽率に誰かが着ないよう衣装室からは外されているんだ」
「あ……」
どこか寂しそうにそう呟かれ、ハッとする。
“そうか、王家の色のドレスになるから――”
王家側が用意した王家の色のドレス。
それが例えハプニングで着替えることになっただけだとしても、勘繰る人はいるだろう。
違うとわかっていてもそこを利用しようとする人がいる可能性もある。
“確かにここにあったら着たがる令嬢も多いわよね”
考えてみれば当たり前なのだが、だがその当たり前がなんだか少し面白くなくて、気付けば私は視線を落としていた。
「リリ?」
そんな私の表情を窺うようにそっと覗くメルヴィ。
けれど、私自身何がそんなに気に入らないのかがわからず、そんな彼からも顔を逸らしてしまう。
「……リリが着てくれるなら、いくらでも紺のドレスを贈るよ?」
「え」
「ううん、受け取ってくれるだけでもいい。俺の色のドレスがリリの物だって思うだけで嬉しいから」
「そんなこと」
ない、と思うのに、そう告げるメルヴィは溢れそうなほどの笑顔を私に向けていて、私の心を落ち着かなくさせた。
「着ないドレスとか、いりません」
「なら着てくれる?」
「着る場所とかないですよ」
「結婚式があると思うけど」
「結婚式!?」
突然の飛躍にギョッとする。
“確かに結婚して欲しいとは言われたけど!”
それはあくまでも魔法の力で言わされている訳であって。
“頷く訳にはいかない、変に頷いて今すぐ式なんて言われたら、魔法が解けた時怖すぎる……!!”
「け、結婚式なら白いドレスなんじゃないですかねぇっ!?」
うわ、間違えた、と思った。
“焦ったからって、結婚式の方を否定しなきゃだったのに!”
何故か色だけを否定してしまい冷や汗が額に滲んだ。
もしこの場で『なら結婚式用の純白のドレスを今から作ろう』なんて言われたら――
そんな想像をした私の背中を冷や汗がつつ、と伝って。
「そうか、なら紺色のドレスをどこで着て貰うか考えなくちゃだね」
「…………、へ?」
そしてあっさりと話題が結婚式から逸れたことに呆然とする。
“てっきり結婚の方で何か言われると思ったのに”
少し肩透かしを食らったような気分になりつつも安堵する。
これでいい、はず。なのに。
“なんでかちょっと寂しい、なんて”
あまりにも自分勝手な思考に少し落ち込みそうになり、そしてそんな思考を振り払うようにブンブンと大きく頭を左右に振って。
“もしかしたら魔法が解けかかってるのかも”
今だけなら、それまでは楽しもう。
逃げるのはその時になってから考えればいいことだから。
「ねぇ! 他にはどんな部屋があるの?」
「ふふ、じゃあ次はあっちの部屋を覗いてみようか」
今度は私が彼の手を引くように歩きだしたのだった。
「今日は何をしようかしら」
“お部屋見学は昨日したし……”
とはいっても、全部屋コンプした訳じゃないので見る部屋は他にもある。
けれど、昨日一人で見ても楽しめなかったのでなかなか部屋の探検に向かう気になれず――
「あ」
行き場を失っていた私の目に飛び込んで来たのは、廊下をモップで掃除しようとしている一人のメイドさんだった。
“モップ掛けって全身運動よね”
しかもこんなに長く果てしない廊下を一人で担当するなんて無謀すぎる!
それに王城のメイドさんたちは、突然現れた私にもちゃんと対応してくれていて恩返ししたい……というのは建前で。
“もし魔法でサクッと出来たら”
「魔法で仕事を手伝ったら感謝とかされちゃうんじゃない!?」
決して冷たくされている訳ではないがあくまでも淡々とした仕事としての顔。
それらが感謝で崩れるところが見てみたい――!
「笑う? それとも感動してくれる? お礼とか言われちゃうのかも!」
気になる、これは気になる……!
そう思った私は、突然駆け寄られ少し困惑する彼女の前に自信満々に立ち塞がって。
“メルヴィにあんなに強い魔法をかけられた今なら、きっと出来るわ!”
そんな根拠のない自信を発揮し、魔法を発動。
「で、でも……っ」
「大丈夫だから私に任せて!」
少し不安そうな彼女からモップを受け取った私は、この廊下がピカピカになる様子をイメージして全力で祈った。
“自動で動くモップ、綺麗になっていく廊下。そんな様子が見てみたい――”
「そしてあわよくば驚いているメイドさんも見たいし、あ、というかモップで壁も拭いていいのかしら? でも魔法で自在に動かしたなら壁どころか天井も拭けちゃうわ。普段モップが床しか拭かないのは手が届かないからなんじゃない?」
「あ、あの、リリアナ様」
「そうよ、だったら壁や天井も自在に拭きあげるモップの姿が見れますように! いや、待って。掃除は上からっていうから廊下を一度でも拭いたこのモップには天井を拭く資格が……」
「リリアナ様ッ!」
「あ、へっ!?」
魔法を発動させるべく集中していた私は、焦ったようなメイドさんの声にビクッと肩を跳ねさせ一気に現実へ引き戻された。
そして目の前に広がった光景に愕然とする。
「な、なにこれっ!?」
そこには見事に不発……どころか、壁や天井にまで制御出来なかった絞っていないモップがびしゃびしゃにしていて。
“これは感謝どころか怒られるやつ!”
ぎゃっ、とショックを受けた私は反射的に小さく震えながらメイドさんの方を振り向くと、唖然としていたメイドさんはクスクスと小さな笑みを溢す。
「ご、ごめんなさい、私」
「大丈夫です、まだそこはお掃除しておりませんでした。今からピカピカにすればいいだけですから」
「……!」
明らかに手間を増やした私に、嫌な顔すら向けない彼女はにこにことしながら宙をさ迷うモップに飛び付き、力業でバケツで洗ってこれまた力業でモップを絞って。
「わ、私も手伝……っ」
「うわっ、この廊下どうしたの?」
「メルヴィっ!」
「ひっ」
そんな彼女の元へ再び向かおうとした私の腕を引き、唖然としたような声を出すのはもちろんメルヴィ本人だった。
「こっちは女性用ですか? 花瓶がいっぱい」
「いや、男性用だよ。花を渡そうとして断られた時に入れれるよう、花瓶が多めに置かれてる」
「うわぁ、世知辛い……」
“でも言われてみれば、ソファは皮張りだしシンプルな家具が多いかも”
メルヴィが指差す通りに視線を動かし部屋を確認する。
解説しながら案内してくれるからか、一人で覗いた時には気付かなかったことが多く、それらを紐解いていくのは楽しかった。
「あ! こっちは衣装室ですよね?」
「あぁ」
色々なサイズやデザインのドレスがあった部屋を指差しながらそう言うと、ゆっくり頷いたメルヴィはにこりと微笑んで。
「折角だから着てみない?」
「えっ!」
そのまま有無を言わさぬ笑顔を張り付けたメルヴィと一緒に部屋へ入る。
“着てみない? って言われても”
正直ドレスなんて着たことのない私は当然着方すらもわからない、のだが。
「ほら、このドレスなんてどうだろう?」
「えー、私にはちょっと派手じゃありません?」
「ならこっちのドレスはどうかな」
「大人っぽすぎる気が……」
私の瞳の色に合わせた真っ赤のドレスや、黒の髪が映える淡い色のドレスを私にあてがっては楽しそうに笑うメルヴィ。
色々な色形のドレスを何着も出され、されるがままだった私はあることに気が付いた。
「紺色はないんですか?」
「え……」
他の濃い色や淡い水色はあるのに、濃い青だけがないことに違和感を覚えてそのまま口にする。
私の質問を受けたメルヴィは、一瞬だけぽかんとした表情になって。
「紺は、俺の色だからね。軽率に誰かが着ないよう衣装室からは外されているんだ」
「あ……」
どこか寂しそうにそう呟かれ、ハッとする。
“そうか、王家の色のドレスになるから――”
王家側が用意した王家の色のドレス。
それが例えハプニングで着替えることになっただけだとしても、勘繰る人はいるだろう。
違うとわかっていてもそこを利用しようとする人がいる可能性もある。
“確かにここにあったら着たがる令嬢も多いわよね”
考えてみれば当たり前なのだが、だがその当たり前がなんだか少し面白くなくて、気付けば私は視線を落としていた。
「リリ?」
そんな私の表情を窺うようにそっと覗くメルヴィ。
けれど、私自身何がそんなに気に入らないのかがわからず、そんな彼からも顔を逸らしてしまう。
「……リリが着てくれるなら、いくらでも紺のドレスを贈るよ?」
「え」
「ううん、受け取ってくれるだけでもいい。俺の色のドレスがリリの物だって思うだけで嬉しいから」
「そんなこと」
ない、と思うのに、そう告げるメルヴィは溢れそうなほどの笑顔を私に向けていて、私の心を落ち着かなくさせた。
「着ないドレスとか、いりません」
「なら着てくれる?」
「着る場所とかないですよ」
「結婚式があると思うけど」
「結婚式!?」
突然の飛躍にギョッとする。
“確かに結婚して欲しいとは言われたけど!”
それはあくまでも魔法の力で言わされている訳であって。
“頷く訳にはいかない、変に頷いて今すぐ式なんて言われたら、魔法が解けた時怖すぎる……!!”
「け、結婚式なら白いドレスなんじゃないですかねぇっ!?」
うわ、間違えた、と思った。
“焦ったからって、結婚式の方を否定しなきゃだったのに!”
何故か色だけを否定してしまい冷や汗が額に滲んだ。
もしこの場で『なら結婚式用の純白のドレスを今から作ろう』なんて言われたら――
そんな想像をした私の背中を冷や汗がつつ、と伝って。
「そうか、なら紺色のドレスをどこで着て貰うか考えなくちゃだね」
「…………、へ?」
そしてあっさりと話題が結婚式から逸れたことに呆然とする。
“てっきり結婚の方で何か言われると思ったのに”
少し肩透かしを食らったような気分になりつつも安堵する。
これでいい、はず。なのに。
“なんでかちょっと寂しい、なんて”
あまりにも自分勝手な思考に少し落ち込みそうになり、そしてそんな思考を振り払うようにブンブンと大きく頭を左右に振って。
“もしかしたら魔法が解けかかってるのかも”
今だけなら、それまでは楽しもう。
逃げるのはその時になってから考えればいいことだから。
「ねぇ! 他にはどんな部屋があるの?」
「ふふ、じゃあ次はあっちの部屋を覗いてみようか」
今度は私が彼の手を引くように歩きだしたのだった。
「今日は何をしようかしら」
“お部屋見学は昨日したし……”
とはいっても、全部屋コンプした訳じゃないので見る部屋は他にもある。
けれど、昨日一人で見ても楽しめなかったのでなかなか部屋の探検に向かう気になれず――
「あ」
行き場を失っていた私の目に飛び込んで来たのは、廊下をモップで掃除しようとしている一人のメイドさんだった。
“モップ掛けって全身運動よね”
しかもこんなに長く果てしない廊下を一人で担当するなんて無謀すぎる!
それに王城のメイドさんたちは、突然現れた私にもちゃんと対応してくれていて恩返ししたい……というのは建前で。
“もし魔法でサクッと出来たら”
「魔法で仕事を手伝ったら感謝とかされちゃうんじゃない!?」
決して冷たくされている訳ではないがあくまでも淡々とした仕事としての顔。
それらが感謝で崩れるところが見てみたい――!
「笑う? それとも感動してくれる? お礼とか言われちゃうのかも!」
気になる、これは気になる……!
そう思った私は、突然駆け寄られ少し困惑する彼女の前に自信満々に立ち塞がって。
“メルヴィにあんなに強い魔法をかけられた今なら、きっと出来るわ!”
そんな根拠のない自信を発揮し、魔法を発動。
「で、でも……っ」
「大丈夫だから私に任せて!」
少し不安そうな彼女からモップを受け取った私は、この廊下がピカピカになる様子をイメージして全力で祈った。
“自動で動くモップ、綺麗になっていく廊下。そんな様子が見てみたい――”
「そしてあわよくば驚いているメイドさんも見たいし、あ、というかモップで壁も拭いていいのかしら? でも魔法で自在に動かしたなら壁どころか天井も拭けちゃうわ。普段モップが床しか拭かないのは手が届かないからなんじゃない?」
「あ、あの、リリアナ様」
「そうよ、だったら壁や天井も自在に拭きあげるモップの姿が見れますように! いや、待って。掃除は上からっていうから廊下を一度でも拭いたこのモップには天井を拭く資格が……」
「リリアナ様ッ!」
「あ、へっ!?」
魔法を発動させるべく集中していた私は、焦ったようなメイドさんの声にビクッと肩を跳ねさせ一気に現実へ引き戻された。
そして目の前に広がった光景に愕然とする。
「な、なにこれっ!?」
そこには見事に不発……どころか、壁や天井にまで制御出来なかった絞っていないモップがびしゃびしゃにしていて。
“これは感謝どころか怒られるやつ!”
ぎゃっ、とショックを受けた私は反射的に小さく震えながらメイドさんの方を振り向くと、唖然としていたメイドさんはクスクスと小さな笑みを溢す。
「ご、ごめんなさい、私」
「大丈夫です、まだそこはお掃除しておりませんでした。今からピカピカにすればいいだけですから」
「……!」
明らかに手間を増やした私に、嫌な顔すら向けない彼女はにこにことしながら宙をさ迷うモップに飛び付き、力業でバケツで洗ってこれまた力業でモップを絞って。
「わ、私も手伝……っ」
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