次の俺の転生先はウイルス(人外)らしいですよ。

心葉 光

文字の大きさ
5 / 7

第4話 俺俺俺俺俺!!!

しおりを挟む
「俺が寝ている間にもこんなに増えてたのか。これは凄い...」
 
 今の状況を一言で表すなら、「ブワッ」だ。表現は酷いかもしれないがほんとにそんな感じなのだ。
 俺に語彙力がないのは見逃してほしい。
 
 目の前には推定一万はくだらないであろう「俺」がそこにいる。
 この光景を作り出したのが俺だと考えると、さながら敵国へと進行するための兵の整列を行っている最高指揮官になったような気分だ。
 
「パパパッパパラッパパラッパパパ
パーン、デーン、デーン!!」
 
大空へと突き抜けるようなラッパの音、骨の髄まで響くような重低音の銅鑼どら、そしてそこへ最高指揮官からの叱咤激励が飛ぶ。
   
「よくぞ集まってくれた同志諸君!我々は敵国ブラックカンパニーを討ち滅ぼすべくここに立ち上がった!
 皆の中には戦時中、命を落としてしまうことあるかもしれない。しかし!しかし!死ぬのを恐れるな!我々は我々の愛国、アキラーン帝国の栄光をこの手につかむ為に死地へと赴くのだ!
 それは決して無駄死になどでない!我々皆全てが英雄なのだ!
 我々の国に誇りを持て!剣を掲げよ!敵国を討ち滅ぼせー!!!」 
 
「「「「おぉーーー!」」」」
 
 って今のはちょっと誇大妄想すぎたな。実際はとてもじゃないがそんな風には見えない。
 まずウイルスの見た目だ。白くて丸い。まるで白玉みたいだ。モチモチしてそうで可愛らしい。そして戦場にこれから行くんだ!というような覇気は全く感じられない。まぁ戦場になんて行かないけども。
 さらには剣を掲げよなんて言ったけど、まず剣を持てる腕なんて生えてない。まあ結論からいうととても軍隊には全く見えない。
 むしろ自分で言うのもあれだけど、とても可愛らしい。可愛い小動物がたくさん集まってくっついている感じ。これは癒し系だ。癒し系。
 
第三者から見たら、
 
「あそこに白玉みたいなのがいっぱいあるよ。なんだか可愛いねぇ」
 
 こんな感じに言われてしまうかもしれない。
 まぁいきすぎた妄想はこれ位にしておこう。
 
 それにしてもこんだけ集まったわけだがどうしよう。集めてみたけどこの後のことを考えてなかった。
 とりあえずはあいつらを呼んで状況を確認してみればいいだろう。
 
「アキ、キラ、ラキ!こっちこーい!」

「ハイ」 
「ホイ」
「ホア」
 
 同胞の間をすり抜けて3体がこちらへ向かってくる。相変わらずキラとラキは変な返事だ。

「よし、アキ、キラ、ラキ。これはお前らが増やしたのか?」
  
「ハイ!」
「ホイ!」
「ホア!」
 
 やはりこいつらの働きによってここまで増やされたらしい。
 この短時間で一万近くのウイルスたちを増殖させたと考えると増殖力はかなりのものだろう。
 いや体から免疫系のヤツらも出てきてるはずだから同胞たちは何体か殺されてると考えれば実際に生まれた数はもっといると考えたほうがいいだろうか。こいつらはその中で生き残った奴らということになるだろう。
 全体を見回してみると、数もさることながら、通常の丸い形と変わり、手みたいなものが生えたり、形が四角くなっている奴がいる。
 どういうことなのか一応聞いてみるか。

「お前ら、あの変な形をしてる奴らは何なんだ?」 

「「「トツゼン!カタチ!カワッタ!」」」
 
うむ、やっぱりバカだこいつら。
 
まぁ考えられる理由として増殖している最中に遺伝子の変化が起きて形が変わってしまったのだろう。人間でも同じように遺伝子に何らかの異常が起きてとは変わってしまうこともあるし、そうじゃないかと思う。
 いわゆる突然変異だ。
 まぁこれくらいの考察しかできない。
 この考察はとりあえずは置いておくとして、変異体について詳しく知っておく必要がありそうだ。
 
「アキ、キラ、ラキ。この中でとは違う奴らをここに連れてきてくれ」
 
「ハイ!」
「ホイ!」
「ホア!」
 
 あいつらちゃんと連れてこれるかな...
 おい言ってるそばから間違えてやがる。ラキそいつじゃないぞ。その隣だ隣。おお、そいつだそいつ。口には出してないけど心の声がなんとか届いのか?アキとキラは大丈夫そうだ。 
 それにしても変異体は意外と少ない。三体だけか。まぁそれだけ突然変異は起こりにくいってことだろう。
 
「アキ、キラ、ラキよくやった。それでは今連れてこられたお前達に質問だ!とりあえず右から順番に質問を開始する。まずお前に生えてる腕みたいなのはなんだ?なにか出来るのか?」
 
「ヨウ!」
  
 そう言うと腕を左右に振り出した。
どうやら腕は自分の意思で動かせるらしい。もう少し詳しい情報が欲しい。
  
「よし、じゃあこっちに来て詳しく見せてくれ。」
 
「ヨウ!ヨウ!」
 
 それにしても「ヨウ!」しか言えんのかこいつは...あいつらより更にバカっぽいじゃないか。まあいいか。
 近くで見るとほんとに腕みたいだな。パッと見、前世の某アニメで見たイシ〇ブテにそっくりだ。ほんとにパッと見だよ?ちょっとゴツゴツ感が足りないくらいか?
 そんなことより触った感触とか、どんな構造か確かめてみるか。
 
「うっうぉ!?腕に俺の体がまとわりついてる!!一体どういうこと!?
 
クソ、クソッ    体が離れない...

体の制御が…利かない!?」
 
 必死に自分の体を制御しようと格闘している間ににも体全体を覆うまでに自分の体が伸びている。
 どうやら止めることは出来ないらしい。もう潔く諦めよう。
 時間にして三十秒くらいだろうか。
 体が元の形に戻り始めるとようやく制御を取り戻すことが出来た。
 それと同時に腕の生えたウイルスの姿は跡形もなく消えてた。
    急に起きた出来事に唖然としているなか、

「「「アキラ!ウデ!ハエタ!」」」
 
 突然のアキ達の大声で我に返ると確かに今までは付いて無かったはずの二本の腕らしきものが生えているではないか。
 
ブンブン。
クニュクニュ。
 
 
 グルグル振り回したり、クネクネしてみたところ今までずっとこの腕はついていたんじゃないかっていくらいよく馴染んでる。人間の様な指はなく、先は丸い形状たが特に気にはならない。
 
ってちがーう!どうしてこうなった...
 
 体があいつに触れた瞬間、体の制御が急に利かなくなったんだよな?
 それで体の制御が出来るようになった時にはもうあいつの姿は無かったんだよな?
 そんで気づいた時にはあいつに付いてたはずの腕が俺に付いてた?
 
oh Jesusオー ジーザス...
 
 まさか俺は同胞を体に取り込み、あまつさえあいつの腕を自分のモノにしちまったってことか?て言うことは俺は同胞を殺しちまったってことか?いやいやいやいや殺してないよ。殺してない...
 あいつは俺の中で生き続けてるんだよ。そうじゃなきゃ腕なんて生えてくるわけないよね!?そうだよな?みんな?
 
「あのー。そのー。あいつ消えちゃった(テヘペロ)」
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
えー、何その無言。怖い。
 
 みんな仲間殺しちゃったから怒ってんの?それともなんとも思ってないの?人間みたいに表情なんてないから全くわかんないんですけどぉ!?
 
「「「・・・・・・キエタ!キエタ!」」」 
 
 その間を置いてから喋り始めるの辞めてもらえます?心臓に悪いじゃないか。てか消えた消えた言いながら飛び跳ねてるところを見ると絶対何も考えてないわこれ。
 こいつらがバカで良かった。
 そしてひとつ思った。
 俺がオリジナルで生みの親なんだから特に何があっても責められるわけなくね?初めてこいつらと会ったときも俺の言うことを聞いてたし、よくよく考えたら何も問題ないじゃないか 、と。
 
 そんなことより、この生えた腕どうすんねん。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

処理中です...