次の俺の転生先はウイルス(人外)らしいですよ。

心葉 光

文字の大きさ
6 / 7

第5話 進化?

しおりを挟む
腕が生えた。
    
 同胞を殺し...もとい取り込んだこと自体は特にみんなから反感も無いみたいだし、むしろ腕が生えたことによって体の利便性が上がった気がするし、自分が進化しているみたいで何だか楽しい。よってこれからもどんどん取り込んでいこうと思う。
 ただ問題として今回みたいに勝手に取り込んでしまうとそこら辺にいる同胞たちを触れた瞬間に誰彼構わずに取り込んでしまいそうで怖い。
 これって自分で制御できるようになるんだろうか。本当に誰彼構わず取り込むんだったらむやみやたらに同胞たちには触れない...
 まあそこら辺はこれから実験していけばいいだろう。まだまだストックはあるのさグフフ。
 さて、あと変異体は二体いるわけだが、申し訳ないがこいつらもおれの糧となってもらおう。
 こいつらもまた特徴的だ?
 一体は四角い形をしている。
 もう一体は...外見は特に変わった様子はない。まさか間違えて普通のやつを連れてきたのではなかろうな。こいつらの事だから有り得なくもない。
 
「おい。そこにいる奴を連れてきたのは誰だ」
 
「ホイ!」
 
「キラか。こいつの見た目は何ら他の奴と変わらないが普通のやつとは違うのか?」
 
「チガウ!チガウ!」
 
違うのか。外見以外に何か違うところがあるのだろうか。
 
「普通のやつとはどこが違うんだ?」
 
「・・・・・・・・・」
 
 反応なし、か。
 分からないってことか?
 どこが違うか分からないのに普通のやつと違うのはわかるっていうのもおかしな話だ。
 
「アキ、ラキ。お前らもこいつは普通のやつとは違うと感じるか?」
 
「「ワカンナイ」」
 
 ズコーー
 

 分かんないんかい。
 ラキはともかく一番まともそうなアキも分からないのか。やっぱりキラの勘違いなんだろうか。それとも、「キラには隠された能力があり、それはウイルスが変異体かどうか見分けることが出来る力だったのである」なーんてことはたぶんないな。
 とりあえず、変異体かどうかは分からんが取り込んでおくとしよう。
 ついでに実験をすることも忘れない。試行錯誤は大切だからな。
 まずはさっき生えた腕で触ってみるか。腕なら制御が利くかもしれないしな。
 
ツンツン
 
反応はない。
 
ツンツン
 
「よぅんッ」
 
お前の反応はいらん!
 
 なんて声出してんだよ。俺がセクハラしてるみたいじゃないか。前世で俺の尻を舐めまわすように見つめてきたり、通りすがりに尻を触ってきたりする上司の菊池さんとは違うんだぞまったく。
 そんなことは置いておいて、とりあえずは腕が勝手に動くことは無さそうだ。
 他にも試してみた感じ、腕を使って持ち上げたり、バシバシ叩いたりしてもなんの変化も無かった。結論から言うと腕ならば同胞たちに触れても問題ない。
 次は体だ。俺の本体ともいえる体で触った場合、さっきみたいに勝手に取り込んでしまう可能性がある。
 まず、さっきの二の舞にならないようにイメージしてみようと思う。イメージは大切だ。イメージすることで実際に体を制御することが出来るかもしれないからだ。
 
「勝手に取り込まない。体は俺の物。触っても平気」
 
 こんな感じでいいだろう。
 そしてなんといっても一番大切なのは気合だ。もし体が勝手に動いてもそれをしっかりと制御する意志! そして腰に力を入れて気合で踏ん張る。それに尽きる。腰なんてないんですけどね。
 なにはともあれ準備は万端だ。
 
「取り込まない。取り込まない。制御は上手くいく。気合だ気合!!!」
 
 体に力をこめ、自分の体を制御するイメージを湧かす。
  体がどんどん熱を帯びる。シナプスが体中を駆け巡り、思考速度が早くなるのを感じる。今の状態を例えるならゾーンに入ったような感覚だ。
 そして自分がゾーンの最高到達点を迎えたイメージをして俺はそいつに触れた。
 
ぴとっ
 
 肌が触れ合った瞬間そこには今までにない感覚がはし、走ることはなかった。
 努力も虚しくさっきと同じように体の制御を失うと同胞を取り込み始めた。体の制御が戻った頃には姿形も残らぬままそいつは消えていた。
 今回もダメだったらしい。イメージや気合でなんとかなる説は全く当てにならないことが判明した。
 もう体で触れた場合は制御が効かなくなると考えた方がいいなこれ。
 それよりなんで自分の体なのに自分で制御できないんだよ。
 まさか俺の中で押さえつけてる暴食の化身が餌を求めて暴れだしてる、とかいう厨二でもあるまいし。自分で自分を制御できないというのはもどかしい。
 話が脱線し始めたが本題に戻そう。
 とりあえず、奴を取り込んではみたものの体にはなんの変化もないみたいだ。
 やはりキラの勘違いか、表面化されてないだけで実際は何か変わっているのかもしれない。
 まぁわからん。
 とりあえずどんどん次に行こう。
 最後の変異体は四角い形だ。
 もう制御は諦めて普通に取り込むことにした。
 取り込んだ後は思った通り、四角い形になった。今の見た目は四角い体に手がちょこんと生えていて妖怪の塗壁みたいで少しシュールな感じだ。まぁ見た目なんてあまり気にしないからいいけども。
 それでこいつを取り込んだ感じ、四角くなった以外に他は特に変わったことは無さそうだ。
 一通り取り込み終わったわけだが、一言物申したい。
 
「使えねー」 
 
 最初の方は進化だのなんだのとワクワクしていたが、こいつらいくらなんでも使えなさすぎだろ。
 腕が生えたのはまだ便利な部分があるからいいとしよう。それを差し引いても他のやつは1匹は何に使えるかもわからないし、もう1匹は形が四角になっただけとか誰得だよ。
 次はもっとまともな変異体を寄越してほしい。まともな変異体っていうのも変だけど、とにかく使えるヤツが来て欲しい。
 
 そういえばまだ試してなかったことがあったな。
 こいつらは同胞を取り込むことが出来るんだろうか。おれは触れれば勝手に取り込んじゃうけどこいつら同士が接触しても取り込む様子は見た感じなかった気がする。
 三バカ'sで試してみるか。
 
「アキ、キラ、ラキ。お前らはこいつらを取り込むことは出来るか?」
 
腕で同胞たちを指差した。
 
「「「トリコメル!」」」 

 えっ。なに。取り込めんの?
 でもお前ら普通に同胞たちと触れ合ってたじゃん。
 まさか自分の意思で取り込んだり取り込まなかったりできるとか言わないよな。親玉の俺ですら自分で制御できてないんだぞ。出来るわけないじゃんか。
 
「じゃ、じゃあやってみろ」
 
適当に連れてきた同胞たちを三バカ'sは体の中に取り込み始めた。
  しばらくして俺の時と同じように取り込んだ同胞は消滅していた。
 うん。どうやらできるみたいです。
 いやいやいや。お前らが制御出来て俺が出来ないとかありえないだろ。
 まさかこいつら以外もできるとか言わないよな。
 
「お、おい。こいつらもこういう風に取り込むことは出来るのか?」
 
 総勢一万ものウイルスを指差して聞いてみた。
 
「「「デキル!」」」
 
 うそーん。
 できるのー。
 まさか制御できないのは俺だけ?
 ショックを隠しきれないんですけど。
 きっといつかは俺もできるようになるはずだからもういいや。
 今日はふて寝だふて寝。
 
 はぁ〜疲れた。
 
 体力的には疲れないが精神的に疲れた。
 今日だけで色々なことが起こりすぎた。
 この世界に来て約5日ぐらい。もちろん体感でだ。もっと長いかもしれないし、もっと短いかもしれない。
 今のところ振り返ってみて、最初の4日は何もなさすぎて大丈夫かよとも思ったが今日は色々なことが起きすぎた。
 同胞たちも増やすことが出来たし、自分も進化?することが出来た。若干他のやつに劣ってる気がしなくもないがひとまずウイルスライフは上手くいっているということでいいだろう。 当面の目的としてはこの世界に人里があるなら行ってみたい。あとはこの体の仕組みや取り込んだ変異体の能力を解明していきたい。ここらへんを優先してやっていこうと思う。
 そういえば、いつの間にか体の破れてた部分が治ってる。変異体を取り込んだ時にでも修復されたのだろうか。そこも次に破れ始めたら変異体と通常体を取り込んでみて実験するとしよう。
 
 ここで一旦これまで分かったことをまとめておこうと思う。
・温度や触覚は感じることは出来ないが、目や音は聞こえる。ただし声は出ない。
 
・何も飲まず食わずで生きていける?
 
・同胞たちとはテレパシー的な感じで会話ができる。詳しいことは分からない。天界が融通を利かせたんだろうか。

・もし敵対勢力が出て来た時、対抗できる武器は相手の体内に侵入      し、味方を増殖しつつ細胞を破壊することのみ。
 敵を倒しつつ、増殖。と一石二鳥な武器である。
 名付けてセル・デモリッション。
 略してセルデモだ。
 
・同胞に体の部分で触れると勝手に取り込んでしまう。ただ手で触れるのは問題なし。仲間達は自由に取り込み可。
  
・同胞を取り込んだら傷が癒えた?
 
 分かったことはこれくらいだろうか。
 ひとまず整理し終わったところで今日はここら辺にしておこう。
 風に飛ばされないように地面の砂と砂の間で寝るように同胞たちに伝えると意識をシャットアウトして眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

処理中です...