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level 7
「『ごきげんよう』というのはおかしいですか?」
「メール見てくれた?」
「はい」
「今日はごめんな。会いに行けなくて。今、大丈夫?」
「はい」
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
「どんなことでしょうか?」
「あとで落ち合おうよ」
「え? でもわたし」
「桃李ちゃんたちとアフターするんだろ? オレのことは気にしなくていいよ。解散したあとにでも会えれば」
「いつになるかわからないですけど」
「終わったらメッセージでもくれよ。すぐに迎えに行くから」
「じゃあ、ヨシキさんもアフター、ごいっしょしませんか?」
「ごめん、遠慮しとく。今はそんな気分じゃないんだ」
「…」
「オレに構わず、美月ちゃんはアフター楽しんできて。何時になってもいいから連絡くれよ。じゃあ、あとで」
そう言い残して電話は切れた。
いつになく強引だったが、それだけに切羽詰まったものを感じる。
いつでも明るく、余裕ありそうなヨシキさんが、『そんな気分じゃない』だなんて、なにかよほどのことがあったに違いない。
イベント会場をあとにしたわたしたちは、前回のアフターで利用した近くのファミレスに移動した。
今日もイベント帰りと思われる女の子が数組、テーブルを囲んで話をしていたが、この前のわたしたちのような、大人数のグループはいなかった。もちろん、ヒエラルキーの頂点に君臨する、魔夢さんや百合花さんのような、大物レイヤーさんらしき姿は見当たらない。
夕食には少し早い中途半端な時間だったけど、みんながパスタやサンドイッチを頼むので、わたしもグラタンを注文。
食事をしながら、今日のイベントのことや、『リア恋plus』合わせの件などを喋ったものの、ヨシキさんのことが気になり、わたしはみんなの話は上の空だった。
2時間くらい、そうやって話していただろうか。
外に出た頃には、空は茜色の夕闇が少しづつ広がっているところだった。
「あ。わたしは少し、用事があるので」
レジで支払いを済ませてファミレスの外に出たタイミングで、わたしはそう切り出した。
「え~。美月姫はこのあとご予定があるんですかぁ? 桃李、お別れするのが辛いですぅ~((((*´・ω・。)」
「すみません。今日はここで。また来週お会いしましょう」
「そっか。じゃあ美月さん、またね」
「ごきげんよう。恋子さん」
「むっきゅう~~~~((◎д◎ ))ゝ 素敵なお言葉を聞いてしまいました!!
別れ際に『ごきげんよう』と、御所言葉をさりげなくのたまうところに、美月姫の気品と高貴さを感じてしまいますぅ(≧∇≦*)♪
美月姫~。わたしにも! わたしにもおっしゃってくださいっ!!」
「あ。ご、ごきげんよう、桃李さん」
「ああああ~~っ。そのお言葉だけで、桃李、美月姫のいない寂しい一週間を乗り切れる気がします(ж>▽<)y ☆
それではごきげんようでございます。美月姫Y(>_<、)Y」
「凛… 美月ちゃんは…」
『ごきげんよう』という言葉に、異様に反応して興奮している桃李さんを横目に、優花さんはなにか言いたそうな顔をしたが、次の瞬間にはいつもの笑顔に戻って、わたしに言った。
「今日はここでお別れってことか。じゃ、美月ちゃん。またね」
「ごきげんよう。ソニンさん」
「ふふ。ごきげんよう」
意味ありげな含み笑いを残して、優花さんはみんなの背中を押して歩き出す。
勘のいい優花さんのことだ。
これからわたしがヨシキさんに会うのを、察したのかもしれない。
みんなの後ろ姿を見送りながら、わたしは逆の方へと歩いていった。
ファミレスの角を曲がり、まわりに知った人がいないのを確かめて、わたしはヨシキさんに、今いる場所をメールで知らせる。
『了解。5分で着く』
そう返事が来て3分も経たないうちに、ヨシキさんの黒の『TOYOTA bB』が、わたしが立っていた歩道の横に着けられた。
「乗って」
助手席のドアが開き、ヨシキさんが顔を見せる。
一抹の不安を感じながら、わたしはクルマの助手席にからだを滑り込ませた。
つづく
「はい」
「今日はごめんな。会いに行けなくて。今、大丈夫?」
「はい」
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
「どんなことでしょうか?」
「あとで落ち合おうよ」
「え? でもわたし」
「桃李ちゃんたちとアフターするんだろ? オレのことは気にしなくていいよ。解散したあとにでも会えれば」
「いつになるかわからないですけど」
「終わったらメッセージでもくれよ。すぐに迎えに行くから」
「じゃあ、ヨシキさんもアフター、ごいっしょしませんか?」
「ごめん、遠慮しとく。今はそんな気分じゃないんだ」
「…」
「オレに構わず、美月ちゃんはアフター楽しんできて。何時になってもいいから連絡くれよ。じゃあ、あとで」
そう言い残して電話は切れた。
いつになく強引だったが、それだけに切羽詰まったものを感じる。
いつでも明るく、余裕ありそうなヨシキさんが、『そんな気分じゃない』だなんて、なにかよほどのことがあったに違いない。
イベント会場をあとにしたわたしたちは、前回のアフターで利用した近くのファミレスに移動した。
今日もイベント帰りと思われる女の子が数組、テーブルを囲んで話をしていたが、この前のわたしたちのような、大人数のグループはいなかった。もちろん、ヒエラルキーの頂点に君臨する、魔夢さんや百合花さんのような、大物レイヤーさんらしき姿は見当たらない。
夕食には少し早い中途半端な時間だったけど、みんながパスタやサンドイッチを頼むので、わたしもグラタンを注文。
食事をしながら、今日のイベントのことや、『リア恋plus』合わせの件などを喋ったものの、ヨシキさんのことが気になり、わたしはみんなの話は上の空だった。
2時間くらい、そうやって話していただろうか。
外に出た頃には、空は茜色の夕闇が少しづつ広がっているところだった。
「あ。わたしは少し、用事があるので」
レジで支払いを済ませてファミレスの外に出たタイミングで、わたしはそう切り出した。
「え~。美月姫はこのあとご予定があるんですかぁ? 桃李、お別れするのが辛いですぅ~((((*´・ω・。)」
「すみません。今日はここで。また来週お会いしましょう」
「そっか。じゃあ美月さん、またね」
「ごきげんよう。恋子さん」
「むっきゅう~~~~((◎д◎ ))ゝ 素敵なお言葉を聞いてしまいました!!
別れ際に『ごきげんよう』と、御所言葉をさりげなくのたまうところに、美月姫の気品と高貴さを感じてしまいますぅ(≧∇≦*)♪
美月姫~。わたしにも! わたしにもおっしゃってくださいっ!!」
「あ。ご、ごきげんよう、桃李さん」
「ああああ~~っ。そのお言葉だけで、桃李、美月姫のいない寂しい一週間を乗り切れる気がします(ж>▽<)y ☆
それではごきげんようでございます。美月姫Y(>_<、)Y」
「凛… 美月ちゃんは…」
『ごきげんよう』という言葉に、異様に反応して興奮している桃李さんを横目に、優花さんはなにか言いたそうな顔をしたが、次の瞬間にはいつもの笑顔に戻って、わたしに言った。
「今日はここでお別れってことか。じゃ、美月ちゃん。またね」
「ごきげんよう。ソニンさん」
「ふふ。ごきげんよう」
意味ありげな含み笑いを残して、優花さんはみんなの背中を押して歩き出す。
勘のいい優花さんのことだ。
これからわたしがヨシキさんに会うのを、察したのかもしれない。
みんなの後ろ姿を見送りながら、わたしは逆の方へと歩いていった。
ファミレスの角を曲がり、まわりに知った人がいないのを確かめて、わたしはヨシキさんに、今いる場所をメールで知らせる。
『了解。5分で着く』
そう返事が来て3分も経たないうちに、ヨシキさんの黒の『TOYOTA bB』が、わたしが立っていた歩道の横に着けられた。
「乗って」
助手席のドアが開き、ヨシキさんが顔を見せる。
一抹の不安を感じながら、わたしはクルマの助手席にからだを滑り込ませた。
つづく
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