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7.座学
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学校の授業は様々だ。座学もあれば、実技もある。座学は男女で分けられており、女性は歴史、作法、作文、算術、科学理論、唱歌、裁縫、魔術理論を学ぶ。今日は歴史、裁縫の授業と男女合同の実技。
「おはよう、おりんさん」
「おはよう、琴音さん。今日はいい天気ね、実技が楽しみだわ」
「まあ、おりんさんの実技好きには呆れるわ。あんなに先生に叱られても尚好きというんだから一種の才能ね」
「なによ、馬鹿にしないでいただけるかしら? ふふ、琴音さんは魔術史と魔術理論がお好きだものね」
親友の琴音さんとおしゃべりしながら廊下を歩く。琴音さんは後藤家の一人娘で、とある商家に嫁ぐことが決まっている女性だ。正直、座学も実技も琴音さんには敵わないのだが、琴音さんは優しくてこんな私でも仲良くしてくださる。教室について、二人で並んで席に着くと学友たちのそれぞれのおしゃべりが垣間聞こえてきた。
「ねえ? あそこのあんみつ屋、新作を出したらしいわよ」
「あら、知らなかったわ。良かったら学校帰りに寄っていきません?」
「どうしましょう、今日の実技って炎属性の応用と先生がおっしゃっていたわよね? 私炎属性魔術は苦手なの」
と、そこに。
「はい皆さん席について! 歴史を始めますよ!」
先生が教室に入ってきて女生徒たちは足早々に席につく。正直歴史は苦手なんだけどなぁ……成績が悪いわけではないが。かといって琴音さんに及ぶわけもなく。
「ここ最近の授業では世界の偉人たちを紹介してきましたが、今日はようやく日本の偉人の出番です」
そう言って授業を始めた女教師はその日本の偉人、とやらについて口を動かす。邪馬台国の女王卑弥呼から、織田信長や伊藤博文等多岐にわたる偉人の名前が黒板に書かれていく。最後に先生がお気に入りとして紹介してくださったのが安倍晴明だった。先生は彼自身にはもちろん、彼の助手についても詳しかった。現在の説では彼には助手はいなかったというのが定番だが先生は彼の助手の存在を信じているという。
「おはよう、おりんさん」
「おはよう、琴音さん。今日はいい天気ね、実技が楽しみだわ」
「まあ、おりんさんの実技好きには呆れるわ。あんなに先生に叱られても尚好きというんだから一種の才能ね」
「なによ、馬鹿にしないでいただけるかしら? ふふ、琴音さんは魔術史と魔術理論がお好きだものね」
親友の琴音さんとおしゃべりしながら廊下を歩く。琴音さんは後藤家の一人娘で、とある商家に嫁ぐことが決まっている女性だ。正直、座学も実技も琴音さんには敵わないのだが、琴音さんは優しくてこんな私でも仲良くしてくださる。教室について、二人で並んで席に着くと学友たちのそれぞれのおしゃべりが垣間聞こえてきた。
「ねえ? あそこのあんみつ屋、新作を出したらしいわよ」
「あら、知らなかったわ。良かったら学校帰りに寄っていきません?」
「どうしましょう、今日の実技って炎属性の応用と先生がおっしゃっていたわよね? 私炎属性魔術は苦手なの」
と、そこに。
「はい皆さん席について! 歴史を始めますよ!」
先生が教室に入ってきて女生徒たちは足早々に席につく。正直歴史は苦手なんだけどなぁ……成績が悪いわけではないが。かといって琴音さんに及ぶわけもなく。
「ここ最近の授業では世界の偉人たちを紹介してきましたが、今日はようやく日本の偉人の出番です」
そう言って授業を始めた女教師はその日本の偉人、とやらについて口を動かす。邪馬台国の女王卑弥呼から、織田信長や伊藤博文等多岐にわたる偉人の名前が黒板に書かれていく。最後に先生がお気に入りとして紹介してくださったのが安倍晴明だった。先生は彼自身にはもちろん、彼の助手についても詳しかった。現在の説では彼には助手はいなかったというのが定番だが先生は彼の助手の存在を信じているという。
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