誤解で始まった婚約破棄が、本当の恋に変わるまで

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翌朝の食事は、いつも以上に重苦しかった。
エドウィンとロザリンドは、互いに昨夜の手紙のことを考えていた。
「おはようございます、エドウィン様」
「......おはよう」
エドウィンの声が、いつもより固い。
ロザリンドも、笑顔が引きつっている。
沈黙が続く。
エドウィンは内心で葛藤していた。
ロザリンドはオズワルドを想っている。それなら、彼女を自由にしてあげるべきではないか。
政略結婚で縛り続けるのは、彼女にとって不幸だ。
だが、どう切り出せばいい? 婚約破棄など、王家の体面に関わる。
ロザリンドも同じことを考えていた。
エドウィン様はセリアを想っている。なら、私が身を引くべきだ。
でも、どうやって? 婚約破棄は公爵家の名誉に傷をつける。
二人とも、相手のために自分が犠牲になろうと考えていた。
だが、それを口に出すことはできなかった。
食事が終わり、ロザリンドが立ち上がる。
「それでは......」
「ロザリンド」
エドウィンが思わず声をかけた。
彼女が振り返る。
「何でしょうか?」
「いえ......その......」
言葉が続かない。
「体調には気をつけて」
結局、そんな言葉しか出てこなかった。
「......ありがとうございます」
ロザリンドは少し寂しそうに微笑んで、部屋を出ていった。
エドウィンは拳を握りしめた。
何も言えない自分が、情けない。
その日の午後、エドウィンは図書館に向かった。
婚約破棄の前例を調べるためだ。
古い貴族の記録、王家の歴史書。様々な文献を探す。
すると、書棚の影から人の気配がした。
「誰だ?」
エドウィンが声をかけると、ロザリンドが書棚から顔を出した。
「エドウィン様......」
二人は驚いて、互いを見つめた。
ロザリンドの手には「貴族の婚姻と解消の歴史」という本があった。
エドウィンの手には「王家の婚約破棄事例集」があった。
気まずい沈黙。
互いに、同じことを調べていたのだ。

***

沈黙が続く。
図書館の静寂が、ますます重く感じられた。
エドウィンが先に口を開いた。
「......ロザリンド、その本は」
「これは......その......」
ロザリンドが言い淀む。
だが、隠しても仕方がない。互いに同じ目的で来ているのだから。
「実は......婚約破棄について調べていました」
彼女の言葉に、エドウィンは目を見開いた。
「まさか......貴女も?」
「え......?」
今度はロザリンドが驚く番だった。
「私も、同じことを考えていたんです」
エドウィンが本を見せる。
二人は顔を見合わせた。
しばらくの沈黙の後、エドウィンが重い口を開いた。
「......話をしませんか? 誰もいない場所で」
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