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「はい」
二人は人目を避けて、図書館の奥の個室に移動した。
扉を閉めて、向かい合って座る。
「まず、私から話します」
エドウィンが深呼吸をした。
「昨夜、貴女からの手紙を読みました。オズワルド宛ての手紙を」
「え......?」
ロザリンドが凍りついた。
「貴女がオズワルドに相談していること、彼を頼りにしていることを知りました。それなら、私が貴女を縛り続けるのは間違っている。だから、婚約を解消しようと考えたんです」
「待ってください!」
ロザリンドが声を上げた。
「私も、エドウィン様からの手紙を読みました。セリア宛ての手紙を」
「セリア宛ての......?」
「はい。貴方様がセリアに特別な想いを抱いていると知って、私が身を引くべきだと思ったんです」
二人は互いの言葉を理解するのに、しばらく時間がかかった。
やがて、エドウィンが気づいた。
「まさか......手紙が入れ替わっていた?」
「そうかもしれません......」
ロザリンドも同じ結論に達した。
「私はオズワルド様に『エドウィン様との接し方』を相談しただけです。彼は話しやすい方だから......」
「私もセリアに『貴女を支えてくれる侍女への感謝』を伝えただけです......」
二人は同時に、ため息をついた。
そして、奇妙なことに、同時に笑ってしまった。
「なんという誤解......」
「お互いに、相手のために身を引こうとしていたなんて......」
笑いが収まると、また沈黙が訪れた。
だが今度は、重苦しい沈黙ではなかった。
ロザリンドが小さく呟いた。
「でも......婚約破棄という選択肢は、悪くないかもしれません」
「え?」
「私たち、互いに遠慮しすぎていたのかもしれません。政略結婚という枠に縛られて、本当の自分を出せなかった」
エドウィンは彼女の言葉に、深く頷いた。
「確かに......私も王子として完璧に振る舞わなければと思って、貴女と本音で話したことがなかった」
「なら、一度リセットしませんか?」
ロザリンドの目が、真剣に輝いた。
「婚約を解消して、互いに自由になる。それで、もし縁があれば......また出会えるかもしれない」
エドウィンは彼女の提案を、慎重に考えた。
だが、婚約破棄は簡単ではない。両家の体面、貴族社会の目、王家の権威。
「ただ破棄するだけでは、双方に傷がつきます」
「なら......演出しましょう」
ロザリンドが、不敵に笑った。
「悪役令嬢の婚約破棄劇。貴族社会でよくある物語です。私が悪役を演じて、エドウィン様に破棄を宣言していただく。そうすれば、貴方様の名誉は守られます」
「だが、貴女が......」
「私は構いません。どうせ窮屈な令嬢生活に疲れていました。むしろ、好都合です」
彼女の目には、確かな決意があった。
エドウィンは、初めて彼女の本当の姿を見た気がした。
完璧な公爵令嬢ではなく、一人の人間としてのロザリンド。
「......分かりました。では、共謀しましょう」
二人は手を取り合った。
婚約破棄という、奇妙な共同作業が始まろうとしていた。
二人は人目を避けて、図書館の奥の個室に移動した。
扉を閉めて、向かい合って座る。
「まず、私から話します」
エドウィンが深呼吸をした。
「昨夜、貴女からの手紙を読みました。オズワルド宛ての手紙を」
「え......?」
ロザリンドが凍りついた。
「貴女がオズワルドに相談していること、彼を頼りにしていることを知りました。それなら、私が貴女を縛り続けるのは間違っている。だから、婚約を解消しようと考えたんです」
「待ってください!」
ロザリンドが声を上げた。
「私も、エドウィン様からの手紙を読みました。セリア宛ての手紙を」
「セリア宛ての......?」
「はい。貴方様がセリアに特別な想いを抱いていると知って、私が身を引くべきだと思ったんです」
二人は互いの言葉を理解するのに、しばらく時間がかかった。
やがて、エドウィンが気づいた。
「まさか......手紙が入れ替わっていた?」
「そうかもしれません......」
ロザリンドも同じ結論に達した。
「私はオズワルド様に『エドウィン様との接し方』を相談しただけです。彼は話しやすい方だから......」
「私もセリアに『貴女を支えてくれる侍女への感謝』を伝えただけです......」
二人は同時に、ため息をついた。
そして、奇妙なことに、同時に笑ってしまった。
「なんという誤解......」
「お互いに、相手のために身を引こうとしていたなんて......」
笑いが収まると、また沈黙が訪れた。
だが今度は、重苦しい沈黙ではなかった。
ロザリンドが小さく呟いた。
「でも......婚約破棄という選択肢は、悪くないかもしれません」
「え?」
「私たち、互いに遠慮しすぎていたのかもしれません。政略結婚という枠に縛られて、本当の自分を出せなかった」
エドウィンは彼女の言葉に、深く頷いた。
「確かに......私も王子として完璧に振る舞わなければと思って、貴女と本音で話したことがなかった」
「なら、一度リセットしませんか?」
ロザリンドの目が、真剣に輝いた。
「婚約を解消して、互いに自由になる。それで、もし縁があれば......また出会えるかもしれない」
エドウィンは彼女の提案を、慎重に考えた。
だが、婚約破棄は簡単ではない。両家の体面、貴族社会の目、王家の権威。
「ただ破棄するだけでは、双方に傷がつきます」
「なら......演出しましょう」
ロザリンドが、不敵に笑った。
「悪役令嬢の婚約破棄劇。貴族社会でよくある物語です。私が悪役を演じて、エドウィン様に破棄を宣言していただく。そうすれば、貴方様の名誉は守られます」
「だが、貴女が......」
「私は構いません。どうせ窮屈な令嬢生活に疲れていました。むしろ、好都合です」
彼女の目には、確かな決意があった。
エドウィンは、初めて彼女の本当の姿を見た気がした。
完璧な公爵令嬢ではなく、一人の人間としてのロザリンド。
「......分かりました。では、共謀しましょう」
二人は手を取り合った。
婚約破棄という、奇妙な共同作業が始まろうとしていた。
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