誤解で始まった婚約破棄が、本当の恋に変わるまで

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会場は貴族たちで溢れていた。
音楽が鳴り、ダンスが始まる。
私はロザリンドと共に、中央に進んだ。
貴族たちの視線が集まる。
そして、台本通りに事件が起きた。
ロザリンドがわざとらしくよろめき、手に持ったワイングラスを侯爵夫人にこぼした。
「ああ! なんてこと! 」
侯爵夫人が悲鳴を上げる。
会場がざわめいた。
「ロザリンド様、何をなさるのです! 」
貴族たちが非難の声を上げる。
ロザリンドは冷たく笑った。
「あら、失礼いたしましたわ。でも、こんな退屈な会に、少しは刺激が必要でしょう?」
その高慢な態度に、会場が凍りついた。
私は台本通りに、冷たい声で言った。
「ロザリンド、貴女は......」
「何ですか、エドウィン様? またお説教ですか? もう、うんざりですわ」
彼女が遮る。
完璧な悪役令嬢の演技。
だが、私は彼女の手が震えているのに気づいた。
本当は、こんなことをしたくないのだ。
私は懐から台本を取り出した。
そして......それを破り捨てた。
会場が、さらにざわめいた。
「エドウィン様......?」
ロザリンドが驚いて、私を見つめた。
「これは茶番だ」
私は大きな声で宣言した。
「私たちは、婚約破棄を演じていた。だが......もう、演技は終わりにする」
貴族たちが騒然とした。
ロザリンドが、困惑した表情で立っている。
私は彼女に近づいた。
「ロザリンド、聞いてください」
「エドウィン様、台本と違います......」
「台本なんか、どうでもいい」
私は彼女の手を取った。
「私が言いたいのは、本音です」
会場が静まり返った。
すべての視線が、私たちに注がれている。
「私は貴女を誤解していた。貴女も私を誤解していた。そして、互いに相手のために身を引こうとした」
ロザリンドの目に、涙が浮かんだ。
「でも、気づいたんです。私が本当に望んでいたのは、貴女の自由ではなく......貴女の幸せだった」
「エドウィン様......」
「そして、貴女の幸せに私がいられるなら、それが私の幸せなんです」
私は彼女の両手を握りしめた。
「ロザリンド・アルテア・フィオレンティーノ、もう一度聞きます。私と婚約してください。今度は政略ではなく、本当の気持ちで」
会場が息を呑んだ。


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