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40.陸上生活⑨
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「名残惜しいけどそろそろ行こうかな」
歌うように言ってアルフレッドが席を立つ。
持っていたグラスが空になったから、新しく注ぎに行くのだろう。
「……意地悪ね」
「ははっ。拗ねた顔も可愛いな」
すっかりいつもの調子に戻ったアルが、軽やかな足取りで中央のテーブルへ戻っていく。
彼のおかげで余計に酔いが回ってしまった。
火照った頬を自分の手で仰いでみても、ちっとも熱が下がりそうにない。
そろそろ切り上げた方がいいかもしれない。
立ち上がって、アランのところへ行こうとすると足が少しふらついた。
自覚以上に、結構本格的に酔っているみたいだ。
「大丈夫かおまえ」
「……ダメかも」
ぬっと伸びてきた手が私の二の腕を掴んで支える。
それがウィルの手だと気付き、強張りかけた身体からすぐに力が抜けた。
酔った顔を見られるのが恥ずかしくて、逆側の手でとっさに顔を隠す。
「真っ赤じゃねーか」
「ちょっと酔っちゃって」
「それは見りゃわかる。アルになんか言われたのか」
「え?」
「さっきなんか話してたろ」
「ああ……少しね。でも別にアルのせいじゃ、」
言いかけて言葉が途切れる。
まぁアルのせいと言えばアルのせいとも言える。
いつもああやって女性を口説いているのだろう。
あんなの、簡単に落とせる。落とし放題だ。恐ろしい。秒でハーレムが形成できそうだ。あの口説き文句を本気にしたらきっと地獄を見ることになる。
思わず身震いする私に、ウィルが眉根を寄せた。
「なんか嫌なこと言われたのか。あとで船首に吊るしとくか?」
「ぶっ、物騒なこと言わないでよ。そんなんじゃないから」
「ならいいが……言えないようなひどいこと、」
「ちがうったら」
思わず苦笑する。
「いつもみたいに口説かれてただけ。顔が赤いのは本当に酔っただけよ」
「そうか……けどま、もう休んだ方が良さそうだな」
「うん、そうするつもり。最後にアランに挨拶しようと思って、」
「おいお前ら! そろそろ解散だ!」
「うぃー」
「あいよー」
「えっ、いいよまだみんな飲み足りないでしょ⁉」
「いいんだって。まだ飲みたい奴は二次会行きゃいい」
「でも、」
「下で騒いでたらおまえが寝れないだろ」
「それは……けどそれくらい平気だよ」
「ばぁか。昨日も遅くまで寝れなかったんだろ。今日はちゃんと寝ろ」
ポンと頭に手を置かれ、ぐいぐいと雑に撫でられる。
「……じゃあ、そうする」
「おう。ガキが遠慮すんな」
「ガキじゃないんですけど」
「ガキだろ。酔っ払い。片付けはこいつらがやっとくからシャワーでも浴びて酔い覚ましてこい」
「うん。ここはいいから行っておいでレーナ」
「そそ。女の子の夜更かしはいいことないよ」
「お、なんなら俺と一緒に入る?」
「エミリオ!」
テオとアルが気遣ってくれたあとで、エミリオが調子のいいことを言ってワイアットに怒られる。
「あははっ」
思わず笑う。エミリアはいつもこんな調子だ。
エミリオが「本気なんだけどな」と拗ねたように続けて、ワイアットに叩かれた。
ちっとも痛くなさそうだ。
「ほら、いいから行ってこい」
「うん。ありがとうみんな。じゃあお言葉に甘えて、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
数人の声が重なって、アランがひらひらと手を振ってくれた。
「おやすみレーナ」
「おやすみアラン。誕生日、本当におめでとう」
「うん、コンパスありがとう。すごく嬉しかった」
最後にアランと笑顔を交わし合ってから、みんなにおやすみなさいと告げる。
たぶんほとんど全員が二次会に行くのだろう。
私の睡眠時間を気遣って、わざわざ外のお店に。
ありがたくて、なんだかとてもくすぐったい気持ちだった。
歌うように言ってアルフレッドが席を立つ。
持っていたグラスが空になったから、新しく注ぎに行くのだろう。
「……意地悪ね」
「ははっ。拗ねた顔も可愛いな」
すっかりいつもの調子に戻ったアルが、軽やかな足取りで中央のテーブルへ戻っていく。
彼のおかげで余計に酔いが回ってしまった。
火照った頬を自分の手で仰いでみても、ちっとも熱が下がりそうにない。
そろそろ切り上げた方がいいかもしれない。
立ち上がって、アランのところへ行こうとすると足が少しふらついた。
自覚以上に、結構本格的に酔っているみたいだ。
「大丈夫かおまえ」
「……ダメかも」
ぬっと伸びてきた手が私の二の腕を掴んで支える。
それがウィルの手だと気付き、強張りかけた身体からすぐに力が抜けた。
酔った顔を見られるのが恥ずかしくて、逆側の手でとっさに顔を隠す。
「真っ赤じゃねーか」
「ちょっと酔っちゃって」
「それは見りゃわかる。アルになんか言われたのか」
「え?」
「さっきなんか話してたろ」
「ああ……少しね。でも別にアルのせいじゃ、」
言いかけて言葉が途切れる。
まぁアルのせいと言えばアルのせいとも言える。
いつもああやって女性を口説いているのだろう。
あんなの、簡単に落とせる。落とし放題だ。恐ろしい。秒でハーレムが形成できそうだ。あの口説き文句を本気にしたらきっと地獄を見ることになる。
思わず身震いする私に、ウィルが眉根を寄せた。
「なんか嫌なこと言われたのか。あとで船首に吊るしとくか?」
「ぶっ、物騒なこと言わないでよ。そんなんじゃないから」
「ならいいが……言えないようなひどいこと、」
「ちがうったら」
思わず苦笑する。
「いつもみたいに口説かれてただけ。顔が赤いのは本当に酔っただけよ」
「そうか……けどま、もう休んだ方が良さそうだな」
「うん、そうするつもり。最後にアランに挨拶しようと思って、」
「おいお前ら! そろそろ解散だ!」
「うぃー」
「あいよー」
「えっ、いいよまだみんな飲み足りないでしょ⁉」
「いいんだって。まだ飲みたい奴は二次会行きゃいい」
「でも、」
「下で騒いでたらおまえが寝れないだろ」
「それは……けどそれくらい平気だよ」
「ばぁか。昨日も遅くまで寝れなかったんだろ。今日はちゃんと寝ろ」
ポンと頭に手を置かれ、ぐいぐいと雑に撫でられる。
「……じゃあ、そうする」
「おう。ガキが遠慮すんな」
「ガキじゃないんですけど」
「ガキだろ。酔っ払い。片付けはこいつらがやっとくからシャワーでも浴びて酔い覚ましてこい」
「うん。ここはいいから行っておいでレーナ」
「そそ。女の子の夜更かしはいいことないよ」
「お、なんなら俺と一緒に入る?」
「エミリオ!」
テオとアルが気遣ってくれたあとで、エミリオが調子のいいことを言ってワイアットに怒られる。
「あははっ」
思わず笑う。エミリアはいつもこんな調子だ。
エミリオが「本気なんだけどな」と拗ねたように続けて、ワイアットに叩かれた。
ちっとも痛くなさそうだ。
「ほら、いいから行ってこい」
「うん。ありがとうみんな。じゃあお言葉に甘えて、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
数人の声が重なって、アランがひらひらと手を振ってくれた。
「おやすみレーナ」
「おやすみアラン。誕生日、本当におめでとう」
「うん、コンパスありがとう。すごく嬉しかった」
最後にアランと笑顔を交わし合ってから、みんなにおやすみなさいと告げる。
たぶんほとんど全員が二次会に行くのだろう。
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ありがたくて、なんだかとてもくすぐったい気持ちだった。
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