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初恋編【序】
開戦の狼煙
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私は、瑠衣に今日の朝の出来事をすべて話した。
「え~、何それ~。運命の出逢いってやつじゃん!なんかロマンティック~」
瑠衣はそんな薄いコメントをこの話の感想とした。
「でも、年上で優しくてそんなイケメンなんだったら、絶対モテるでしょ。その人。最悪、彼女もいるかもだし」
ぐさり。瑠衣のその言葉が、思いのほか刺さった。確かに、あれほどまでの高貴な存在。世のメス豚共が放っておかないだろう。
「ど、どうしよう瑠衣…」
私は不本意ながら、瑠衣にお伺いを立てる。瑠衣は校内でも有名なほど容姿端麗で、そのため恋愛経験も豊富である。ならばどうして、そんなイケてる女の子が私の友達になってくれたかというのは、それはまた別の機会に語らせてもらう。
ともかく私は、イケてるモテモテな瑠衣に教えを乞うた。すると、瑠衣はこう答える。
「どうしようって、そんなの決まってるじゃん!ライバルが多いのなら、先手必勝!彼女がいるんだったら…奪い取るしかないでしょ!」
あまり大きな声で言わないでと、予め注意していた私の言葉など忘れてしまったかのように、瑠衣は教室中に響くボリュームで机を叩いて声を出したのだった。クラス中の視線が私たちに集まっているように感じたが、私はそれ以上気にするのをやめた。
「まずそのためには、その男の人のことをもっと知らないと!明日も今日と同じ時間に登校してこれば、その人にまた逢えるんじゃない?」
瑠衣はそう言った。天才だと思った。
「まさか、『また遅刻しちゃうから、それはちょっと…』とか、甘いこと言わないでしょうね?内申点と恋愛どっちが大事?」
「恋愛」
私は間髪入れずにそう答えた。迷うまでもなかったからだ。すでに底辺をうねり歩いている私の内申点が今更一度や二度の遅刻でさして変わることも無いだろうと考えたからだ。
それを聞いた瑠衣はゆっくりと頷き、右手を私の前に差し出す。私がその右手を強く握り、瑠衣と熱い握手を交わした事は言うまでもないだろう。
「あんなに恋愛下手の光莉にようやく春が来そうなんだから、私は全力で応援するよ!」
瑠衣はそう頼もしく言ってくれた。
―私はこの心強い友を味方に、恋愛という大きな戦に挑もうとしている。まるで未知の領域。未開の地。傷つくことがあるかもしれない。くじけそうになることも。命を落とすことも…。それはないか…。ともかく!赴くには半端な覚悟ではいられない。絶対に、あの人を…『夢幻神々』を射止めてみせる!!
………………と、この時の私はこんなことを考えていた。しかし、甘かった。
大きな戦、どころの話ではなかった。いうなれば宇宙戦争。私の想像などは遥かに凌駕した、感情と愛情と愛憎が渦巻く波乱の結末になるとは…思いもしていなかった。
さて、物語の書き出しとしてはまずまずではなかったのだろうか。ではお待ちかね。始めるとしよう。私、堀井光莉の人生で最初で最後の恋愛奮闘記を。笑ってくれて構わない、怒ってくれて構わない、呆れてくれて構わない。ただ一つだけ。……泣かないでほしい。
「え~、何それ~。運命の出逢いってやつじゃん!なんかロマンティック~」
瑠衣はそんな薄いコメントをこの話の感想とした。
「でも、年上で優しくてそんなイケメンなんだったら、絶対モテるでしょ。その人。最悪、彼女もいるかもだし」
ぐさり。瑠衣のその言葉が、思いのほか刺さった。確かに、あれほどまでの高貴な存在。世のメス豚共が放っておかないだろう。
「ど、どうしよう瑠衣…」
私は不本意ながら、瑠衣にお伺いを立てる。瑠衣は校内でも有名なほど容姿端麗で、そのため恋愛経験も豊富である。ならばどうして、そんなイケてる女の子が私の友達になってくれたかというのは、それはまた別の機会に語らせてもらう。
ともかく私は、イケてるモテモテな瑠衣に教えを乞うた。すると、瑠衣はこう答える。
「どうしようって、そんなの決まってるじゃん!ライバルが多いのなら、先手必勝!彼女がいるんだったら…奪い取るしかないでしょ!」
あまり大きな声で言わないでと、予め注意していた私の言葉など忘れてしまったかのように、瑠衣は教室中に響くボリュームで机を叩いて声を出したのだった。クラス中の視線が私たちに集まっているように感じたが、私はそれ以上気にするのをやめた。
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「まさか、『また遅刻しちゃうから、それはちょっと…』とか、甘いこと言わないでしょうね?内申点と恋愛どっちが大事?」
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私は間髪入れずにそう答えた。迷うまでもなかったからだ。すでに底辺をうねり歩いている私の内申点が今更一度や二度の遅刻でさして変わることも無いだろうと考えたからだ。
それを聞いた瑠衣はゆっくりと頷き、右手を私の前に差し出す。私がその右手を強く握り、瑠衣と熱い握手を交わした事は言うまでもないだろう。
「あんなに恋愛下手の光莉にようやく春が来そうなんだから、私は全力で応援するよ!」
瑠衣はそう頼もしく言ってくれた。
―私はこの心強い友を味方に、恋愛という大きな戦に挑もうとしている。まるで未知の領域。未開の地。傷つくことがあるかもしれない。くじけそうになることも。命を落とすことも…。それはないか…。ともかく!赴くには半端な覚悟ではいられない。絶対に、あの人を…『夢幻神々』を射止めてみせる!!
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