文字の大きさ
大
中
小
1 / 161
1巻
1-1
今、世界中で売り出されているVRMMO【REAL&MAKE】、通称R&M。
R&Mを発売したのは【幻想物語】という日本の小さな会社で、今やVRMMOを語る際には外せない企業へと成長した。
ネットに繋がったパソコンと、専用のVRヘッドセットさえあれば手軽にプレイできる。
そんなお手軽ゲームの人気の理由は、高速演算が可能とする、誰もが1度は憧れるファンタジー世界のリアルな再現だった。
どこまでも広がる大地、己の判断が生死を分ける戦闘、ギルド対ギルド戦、AI(人工知能)搭載でより人間らしいNPC。そして、職業総数1万×各種スキルという、無限大の可能性!
『もう1人の自分を作り出せ!』
そんないささか壮大過ぎるゲームのプロモーション映像を妹達に見せられたんだが、大してゲームをやったことがない俺、九重鶫に一体何をさせようと言うんだ? まぁ、ある程度予想は付くけど……。溜め息をつきたい気分を抑え、俺は少々興奮気味の妹2人に視線を向けた。
「とりあえず、人の部屋に入る時はノックしろ。いつも言ってるだろう?」
「うっ、ごめんなさい。でも、つぐ兄ぃに大事なお願いがあって来たの!」
「ん、大事。すごく大事」
「……はぁ、大方このゲーム買えってんだろ」
ゲームのプロモーション映像が流れるノートパソコンを持ちながら、一回りも歳の違う双子の妹達のうち、姉である九重雲雀が期待の眼差しで訴えた。
その隣には妹である鶲が立っており、ずっと後ろ手に持っていたらしい紙袋を俺に見せる。そこには大手家電量販店のロゴマークが印字され、いつも冷静な彼女もどこか誇らしげ。
俺は思わず、我慢していた溜め息を漏らしてしまった。
右に髪を結ってるのが雲雀、左に髪を結ってるのが鶲だ。一卵性の双子なので顔は同じだが、性格や話し方が違うので、慣れれば見分けは簡単だと思う。
雲雀は元気いっぱい、鶲はやや感情の薄い口調が特徴だ。そして、雲雀が俺のことを「つぐ兄ぃ」と呼ぶのに対し、鶲は「つぐ兄」と語尾を伸ばさない。
2人とも柔らかい黒髪で、明るい色のぱっちりした目をしている。幼さが強調された丸顔で、我が妹ながら可愛らしい容姿だ。
双子は母親似なので、父親寄りの俺とはあまり似ていない。まぁ、当たり前だけど。
「違う。ゲームならある。つぐ兄に金銭的な負担を強いることはない」
「? ……は?」
「この間、つぐ兄ぃがいない時、お父さんにねだって買ってもらいましたー!」
「……何やってんだ、あのクソオヤジ。あとで母さんに電話してやる」
「お父さんは娘に甘い。これは常識。ちょろい」
俺は盛大に溜め息をつき、頭痛の種となりつつある親父に内心で文句を言った。
母さんにチクって、今度赴任先から帰って来たらアイツの料理だけ抜きにするか。そんな考えが頭を過る。
いつもは朗らかに笑う母さんだけど、怒った時は怖いの一言に尽きる。取り付く島もない。
「でも、だったら俺に言う必要ないんじゃないか? 買っちゃったものは仕方ないし、お前達はゲーム好きなんだから自分でやれるだろう?」
俺はふと首を捻った。テレビやパソコン、ソフトがあればゲームはできるのだし、俺は要らないだろう。ちょっと言い方は悪いけど、勝手にやればいいのだ。
そんな疑問も双子はお見通しだったのか、雲雀が上機嫌で口を開く。
「ふっふっふ。何故やらないか、そ・れ・は……」
「私達は13歳、レーティングに引っ掛かった。15歳以下は、20歳以上の人と同伴じゃないとプレイできない。無念」
「ひぃちゃん、私が言おうとしたのに酷いよぉ。まぁそんな訳で、つぐ兄ぃのお力添えをっー!」
片手にノートパソコンを持ちながら、答えを溜めに溜めた雲雀は、焦れた様子の鶲に肝心の台詞を言われてしまった。そのせいか一瞬情けない表情をするも、パソコンを持っていない手を顔の前で立て、俺を拝む体勢となる。
なるほど。だからそんなに必死なのか。
「……どうせ嫌だって言っても、大方ずっと説得し続ける気だろう? 俺が首を縦に振るまで」
「うん、よく分かったねー」
「お風呂、背中流す。妹の色仕掛けは兄に効く」
「……どこでそんな知識手に入れるんだ、鶲」
「ふふっ、乙女の秘密」
仕事中も、買い物中も、料理中も、風呂に入ってる時すら説得しに来る2人の姿が目に浮かぶ。
ふーむ。15歳以下は20歳以上の同伴が必要とか、そもそも大丈夫なゲームなのかね? 倫理的にヤバかったりしないのか。
今日は土曜日で、時刻は午前11時を少し過ぎたところ。仕事がない実にのんびりとした休日のため、朝飯と昼飯は兼用のつもりだった。
俺は自室のソファーに座り、返事をまだかまだかと待つ妹達を眺めて、しばらく沈黙し思考を巡らせてから口を開く。
「分かった。ただし、お前達に悪影響がありそうならすぐ止めるからな? あと、俺にゲームの腕を期待するなよ」
「やっ、やったー! つぐ兄ぃ、ありがとう!」
「一緒にできて嬉しい。つぐ兄の気持ちが変わらないうちに、すぐ準備する」
俺の言葉にピョンピョン跳ねて喜ぶ雲雀。口元を緩めていそいそと俺の隣に座り、紙袋からゲームを取り出して準備する鶲。
行動力の高さにお兄ちゃんは脱帽しちゃうよ。ゲーム好きなのは誰に似たのか。
俺は鶲から、すごく格好いいヘッドセットを手渡された。
これはこのゲーム専用のVRハードという機械で、頭に装着して、横にあるスイッチを押せば仮想世界に入ることができる。
もちろん、ネット回線のあるパソコンに端子を繋げないと意味がないらしい。R&M専用ヘッドセットなので、他のゲームでは使えない。
使用中は脳波が管理され、現実で身体を動かしているのと同様の感覚を得られるそうだ。
ということは、俺は人と比べて運動が得意ではないのだが、それは仮想世界でも同じなのか……。ふむ、ちょっと残念。
「つぐ兄ぃ。歳、外見、性別は現実が反映されるからね? あぁでも、人外系の職業を選べば固有装備があるから、人間とはかけ離れた外見になれるよ!」
「……へぇ、最近のゲームは本格的なんだな」
「無理に性別を偽ることはできるけど、それはただのオカマさん」
「……それは、嫌だな」
「私達がつぐ兄守る。一緒にキャラメイクするから、頑張ろう」
「はいよ」
「じゃー、ログインするよ!」
そして俺達3人は、ヘッドセットに付いたボタンを押した。すると意識が沈む感覚に襲われ、目の前が真っ暗になる。
初めての体験に、俺は多少の心地悪さを感じた。
◆ ◆ ◆
不意に意識が浮上する。真っ白な部屋の中だ。隣に双子がいるのを確認して、俺はあたりをキョロキョロと見回した。
目ぼしい物は特に何もないな。壁一面が真っ白で統一されているので、距離感がつかめない。
俺は自身の手を眺め、握ったり開いたりを繰り返して首を捻る。
「ここがゲームの世界? ふむ、どう見ても俺の手だ……」
「……ハッ! よっ、ようやく私が憧れた、R&Mの世界に来れたー!」
「落ち着け、雲雀」
「……雲雀ちゃん、ここはまだ玄関口。キャラメイクしないと」
興奮気味の雲雀に対し、すぐに冷静さを取り戻した鶲が手をかざしながら「キャラメイク!」と高らかに宣言する。どうしたらいいのか分からないので、俺はじっとしていよう。とりあえず双子に任せたほうがよさそうだ。
すると突然、真っ白だった部屋にサイバーチックな光が走り、目の前に、半透明に色付けされたウィンドウらしき物が音もなく開いた。
続いて、優しそうな女性の声が響き渡る。
『15歳以下のプレイヤーを確認。20歳以上のプレイヤーの引率を確認。ようこそ【REAL&MAKE】の世界へ! わたしはメイク部屋の案内人でもあり、この世界を見渡す者。R&M、それはもう1人の自分が織り成す物語。何をするのもあなたの思うまま。さぁ、手元のウィンドウに情報を入力して、わたしの創り出した世界、ラ・エミエールを冒険しましょう!』
「おー、胸がドキドキするねー! 早速作ろう!」
「雲雀ちゃん最初に作って。わくわく、わくわく」
「俺は最後だな。ただでさえゲームするのとか久々だから、2人を参考にしないと……。手伝ってくれるか?」
「「もちろん!」」
雲雀が張り切った声を上げた。そして、どうやら鶲も張り切っている。
普段通り無表情のままだが、心情が口に出ている。いつも年齢に似合わず落ち着いているので、こんな鶲を俺は久しぶりに見た。
「あ、15歳以下の女の子限定職がある! ふっふっふ、コレとアレでー」
「雲雀ちゃんはタンク職を目指す。タンクは皆の盾。敵の攻撃にひたすら耐える。一番大変。だけど遣り甲斐がある職業」
「へぇ、そういうことまで考えるのか。奥が深い……」
テンションの高い雲雀の話にはついていけなかったが、助けを求めて鶲を見れば、俺でもどうにか分かるように話してくれた。とりあえず、タンクは大変な職業だと覚えておこう。
しばらく待つと、雲雀のキャラメイクが終わったようで、誇らしげに胸を張りながら、俺と鶲にウィンドウを見せてきた。
「私達が15歳以下なのは変わらないし、3人で固定PTなのは決定だもんね。うん、でーっきた!」
【プレイヤー名】
ヒバリ
【メイン職業/サブ】
見習い天使レベル1/ファイターレベル1
【HP】198/198
【MP】74/74
【STR】24
【VIT】26
【DEX】17
【AGI】18
【INT】19
【WIS】14
【LUK】23
【スキル5/10】
剣術1/盾術1/光魔法1/HPアップ1/VITアップ1
【控えスキル】
【装備】
石の剣/木の盾/冒険者の服(上下)/冒険者の靴/見習い天使の羽
「回復しながらのタンク役って、私の夢だったんだー。ファイターは盾騎士狙い、天使を育てればある程度魔法弱点がなくせるし。んー、完璧!」
え? お、お兄ちゃん、妹の話について行けないよ……。
その都度説明するとは言ってくれたが、もう最初からさっぱり分からん。
俺がやったことのあるゲームと言えば、竜を倒しに行くやつの5……だったか? それも多分、30分とやってない。
聞けばSTRは力、VITは体力、DEXは器用さ、AGIは敏捷性、INTは知能、WISは魔力、LUKは運を意味するらしい。
混乱する俺に構わず、次は鶲が楽しそうに、慣れた手付きでウィンドウにタッチしていく。ポツリ、ポツリと小さくつぶやく鶲に、俺と雲雀は思わず苦笑した。
「私は身軽さを重視する。索敵、忍び寄って敵を後ろから狩る。雲雀ちゃんとお揃いの職業、限定職も入れて……完璧」
【プレイヤー名】
ヒタキ
【メイン職業/サブ】
見習い悪魔レベル1/シーフレベル1
【HP】153/153
【MP】87/87
【STR】16
【VIT】14
【DEX】23
【AGI】25
【INT】16
【WIS】21
【LUK】19
【スキル5/10】
短剣術1/気配察知1/忍び歩き1/闇魔法1/DEXアップ1
【控えスキル】
【装備】
石の短剣/冒険者の服(上下)/冒険者の靴/見習い悪魔の羽
「おぉ、気配察知は大事だよねー。ひぃちゃん、頼りにしてるよ!」
「任せて」
「さ、次はつぐ兄ぃの番だよ! うーん。つぐ兄ぃは、どんなキャラにしよっかねぇ?」
「生産系、でも戦える。……つぐ兄は運動音痴。テイマー系?」
「テイマーいいね~。つぐ兄ぃと可愛い魔物、絶対似合うもん!」
「ん。溢れ出るつぐ兄の色気で魔物を篭絡する」
「……は? え? よく分からないが、それで大丈夫……だと思う。あと、俺は運動音痴じゃなくて、運動が得意ではないだけだ」
2人は俺のウィンドウを見ながら、あーでもないこーでもないと話し始めた。
職業に合わせたスキル選びがとても大事で、今選ばないものは、買うかクエストでしか手に入らないそうだ。俺はよく分からないけど、2人はゲームについてきちんと調べてたんだな。
あと、繰り返すけど俺は運動音痴じゃない。そりゃ体育の成績はギリギリだったけど、一応人並みのはずだ。
2人に頼りながらウィンドウの空欄を埋め、それを見返してみる。やっぱりよく分からないが、とりあえず確認。
【プレイヤー名】
ツグミ
【メイン職業/サブ】
錬金士レベル1/テイマーレベル1
【HP】94/94
【MP】164/164
【STR】11
【VIT】8
【DEX】19
【AGI】7
【INT】26
【WIS】23
【LUK】14
【スキル5/10】
錬金1/調合1/合成1/料理1/テイム1
【控えスキル】
【装備】
革の鞭/錬金士のローブ/冒険者の服(上下)/テイマーブーツ
【テイム0/1】
「か、かわのむち……」
ステータス画面で、装備の欄に目が留まってしまった。妹達の説明によると、選んだ職業によって、使用可能な武器がランダムで1つもらえるらしい。
錬金士は分厚い本で、テイマーは革の鞭……ぶっちゃけ、どっちの武器をもらったとしても大差ないような。
「ん、つぐ兄は装備品に付加を付けたり、ポーション作ったり、おいしい料理を作ったり」
「あ、このゲームには、満腹度と給水度があるからねー。ゲージがなくなる前に、食べ物と飲み物を口にしなきゃいけないって決まりなんだ。だからつぐ兄ぃの料理には、色々とお世話になりますっ!」
「ふーん……あ、最後に設定があるぞ」
分からないことばかりだが、2人がこんなに嬉しそうなのだからまぁいいか。結局のところ、楽しんだ者勝ちだ。2人の様子から、ちょっとだけ学んだぞ。
メイク完了のボタンを押すと、最後に設定を変更する画面が映し出された。
妹達に勧められるまま、「PvP対象不可」「PK対象不可」「残酷な描写減」のチェックボックスにレ点を入れた。
変な人に絡まれた時の対策、そしてグロテスク耐性のないであろう俺への配慮らしい。
最後に完了ボタンを押せば、先ほど聞こえた優しそうな女性の声が、再度響いた。
『引率者のログアウトは、全員のログアウトとなります。15歳以下の方とはぐれた場合の緊急措置としてご活用ください。では改めて、ようこそ【REAL&MAKE】の世界へ。わたしはあなた達を歓迎します!』
その言葉の約5秒後。視界が真っ白に染まり、またも意識が沈んでいく。
今度はそこまで不快ではなかった。慣れてきたのか、仕組みが違うのかは分からない。
◆ ◆ ◆
――あたりがザワザワと喧騒に包まれている。ゆっくり目を開けば、俺は石畳が敷かれた噴水のある広場に佇んでいた。
よく見ると、噴水の水飛沫1つ1つが、細かく再現されていることに気付く。
俺はかつて大学の資料で見た、中世ヨーロッパにいるような錯覚に襲われた。
「……すごいな」
目の前を歩いて行く、武器を腰に提げた冒険者。行商人の露店が集まった広場に買い物に来たであろう主婦。木の棒を持って走り回る子供。石や煉瓦で出来た建物は本物にしか見えない。
俺の髪を爽やかな風が優しく撫でた。その風に乗り、露店で肉が焼かれる香ばしい匂いもする。
思わず感嘆して呆然としていると、不意に両腕に重みが掛かった。
その慣れた感覚にはっとして視線を向ければ、そこには雲雀と鶲。
「つぐ兄ぃ、すごく綺麗でしょう? 謳い文句通り、まさにもう1つの世界!」
「あぁ……これならみんながやりたがる訳だ」
してやったり、という表情を浮かべる雲雀に向かい、俺は素直に頷いた。
「もう1つの世界」と、ゲーム会社が大々的に謳うのも分かる。どれが俺達と同じプレイヤーで、どれがゲームの用意したNPCなのか、見分けが付かなかった。
「R&Mでは、ある程度のことは自由にできる。私は2人といられるならそれでいい」
「つぐ兄ぃ、とりあえず簡単なことから説明するね。そこのベンチ座ろうか」
雲雀は腰に石の剣、左腕に木の盾を装備。動きやすそうな半袖の上着に、短パンと靴を身に付け、さらに真っ白な小さい羽を背中に生やしていた。
鶲は太股にベルトを巻き付け、そこに石の短剣を差している。服と靴は雲雀と変わらないものだ。そして背には、真っ黒い蝙蝠を模した小さな羽があった。
羽は動くらしく、2人の動きに合わせてかすかに羽ばたいている。
俺はというと、服こそ双子と変わらないが、腰には何の役に立つのか不安しかない革の鞭。あとは大きなフードが付いた白いローブと、編み上げブーツだ。
フードを被ったら完全な不審者になってしまう可能性があるので、無闇に被らないようにしよう。
「えーと、まずここの地理の説明でしょ。アイテム補充、今日は何するか、あとは……」
「システム説明も。現実とここの時間差、その他諸々。いっぱいある」
「雲雀、鶲。俺は保護者だが、お前達が遊ぶのを制約しようとは思ってないからな? これだけ覚えてれば大丈夫、って内容を教えてくれればいいよ」
「むーっ、私はヒバリだよ、ツグ兄ぃ。あと、ツグ兄ぃを蔑ろにするのは嫌!」
「私はヒタキ、ふふっ。ツグ兄のために簡潔に説明する」
頭を抱えながら唸っていたヒバリが、頬を膨らませて怒った。一方のヒタキは、どこか面白そうに小さく笑った。
呼び方のニュアンスで怒られたらしい。どうやらゲームの中では、ちょっと違う2人になりたいようだ。よく分からないけど。
ヒバリより説明がうまいヒタキに教えてもらい、設定を頭に詰め込む。自分なりに纏めると……。
感想
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
妹ばかり愛した家族へ。私が王太子妃になった日、皆さんは謝りました。けれど、もう遅いのです
由香【全一話完結】
幼い頃から妹の引き立て役として生き、婚約者まで奪われて家を追放された侯爵令嬢エレナ。
傷ついた彼女が助けた青年は、身分を隠した王太子だった。
一年後、王太子妃となったエレナの前に現れたのは、今さら「家族だから」と擦り寄ってくる両親と妹。
けれど彼女は、もう二度と振り返らない。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

