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#17 淫夢と同じシチュ!?

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 だからできるだけ早く話を終わらせて部屋から退散して欲しいのに……。

 レオンときたら、不躾に部屋のあちらこちらに視線を気遣わしげに逡巡させるばかり。

 別に、見られてまずいものなどない。

 ないけれど、そんなに見られているとどうにも落ち着かない。

 なんだか心の中を見透かされそうだっていうのもある、

 それに加えて、あの淫夢のなかで繰り広げられていた不埒なあれこれがぶわっと蘇ってきてしまう。

 ただでさえ、連日のように甘い言葉を囁かれているのだ。

 淫夢と同じ状況になってしまうんじゃないかと、警戒してしまうのも当然だろう。

 いくら片想い中だった野々宮先輩に瓜二つだからって、野々宮先輩じゃないのだ。

 どんなに甘い言葉を囁かれていようが、そんな口先だけの軽い言葉を信用できるはずもない。

 ーーここは毅然とした態度で対応して、拒絶の意思をしっかりと示しておかなければ。

 意を決した私が早く本題に入ってもらおうとして出した声は、おもむろに立ち上がり、感慨深げに放たれたレオンの声に掻き消されてしまうこととなった。

「ねえ、レオンーー」

「それにしても懐かしいなぁ。ここでノゾミと一緒に二月余りもの長い間抱き合って眠っていたなんて。なんだか夢のようだよ」

「////ーーッ!? だ、抱き合ってたなんて、変な言い方しないでッ!」

 しかも第三者が聞いたらあらぬ誤解を招きかねない言い草だ。

 途端に、羞恥を最大限に掻き立てられてしまった私は真っ赤になりつつもレオンに非難の声をあげたのだった。

 その様子をレオンが眩しそうに綺麗なサファイアブルーの煌めく瞳を眇めて見つめ返してくる。

「ノゾミは本当に初心で愛らしいなぁ」

  そうして懲りもせずにやっぱり甘い台詞を投下する。

「////……だから……揶揄わないでって言ってるじゃない」

 無駄だとは思いつつも、羞恥に塗れながらそんな言葉を放つしかなかった。

 ーー意識するもんか。

 そう思うのに、心とは裏腹に胸の鼓動は尚も忙しなく加速してしまう。

 これ以上加速したら、壊れてしまうんじゃなかろうかと懸念してしまうほどに暴れ回っている。

 そこにまたレオンの甘やかな声音が投下されてしまった。

「心外だなぁ。前にも言ったと思うけど、僕はいつだって真剣だよ。行き倒れて、このままここで朽ち果てていくのかと覚悟した矢先に、救ってくれたノゾミが僕には女神のように神々しく輝いて見えたんだ。この世の者とは思えぬほどに美しいノゾミに僕の身も心も奪われてしまったんだよ」

「////ーーッ!?」

 やけに熱のこもった熱い眼差しで見つめられてしまうと、どういうわけか魔法にでもかかったように、瞬きどころか身動ぎさえもままならない。

 あたかもレオンの怪しく煌めく綺麗なサファイアブルーの瞳に囚われてしまったかのように。

 レオンに惹きつけられフリーズしている私のことを、レオンはやっぱり愛おしげに熱のこもった眼差しで見つめつつ、ベッドに腰を下ろすと。

「そんな女神のようなノゾミと一緒にここで過ごしたんだ。僕にとってはとても特別なことだよ」

 そう語りながら布団の上を愛おしげな手つきで撫で始めたレオンの姿を目にした瞬間。

 パチンと弾けるように我に返った私は、言いようのない羞恥を覚えた。

 一刻も早くベッドから離れてほしくて、大慌てで駆け寄った私は、ベッドに腰を下ろしたレオンめがけて突進してしまう。

 そうして気づいた時には、レオンの身体に体当たりしたことで、ベッドの上にレオンの身体を押し倒す格好となっていた。

 けれどそれだけじゃない。

 非常に運の悪いことに、お腹に抱え込んでいたブラがレオンと私の身体とに挟まれてしまっているようだ。

 ちょうどお腹の辺りにその感触がするが、今はそれどころじゃない。

 レオンに組み敷かれていた淫夢のなかでの体勢とは真逆だけれど、さほど大差ない。

 こんなにも密着しているのだ。

 否が応でも淫夢でのあれこれがフラッシュバックしてしまう。

「////ーーひゃっ!?」

 慌てて飛び退こうとした私の身体をレオンが腕を回すことで封じたために、それは叶わなかった。

 なんとか逃れようとジタバタしているとお腹の辺りにもぞもぞという感触がして。

 ーーあっ、ヤバい。ブラがあったんだ。

 ブラの存在を思い出した私がそれを掴み取ろうと足掻くも、すでにブラをキャッチしていたらしいレオンの手が互いの顔の間で掲げられていて。

 眼前には、可愛いリボンとレースがあしらわれた薄桃色のブラがゆらゆらと悩ましく揺らめいていたのだった。

「おう! これがノゾミがいたという異世界のブラという下着なんだねぇ。うっとりするほどの美しさ。まるでノゾミのようだ」
「////ーーッ!?」

 あまりの羞恥に言葉も失い、あわあわすることしかできないでいる私の羞恥に、あたかも追い打ちの如く放たれた、レオンの感嘆の声が響き渡るという、なんとも地獄絵図のような状況に追い込まれてしまっている。

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